家電製品ミニレビュー

三洋電機「Steaven」 前編

~置き場所に困らない! コンパクトなスチームオーブン
by 石井 和美
三洋スチームコンベクションオーブン「Steaven SOB-VS10」

 以前からずっと欲しかったスチームオーブンレンジ。手軽に蒸し料理ができ、唐揚げなども揚げずにふっくらおいしくできると評判だ。余分な脂や塩分もカットしてくれるというので、そろそろ健康に気をつかわなければならないアラフォー世代にとっては、魅力的な製品である。

 しかし、スチームオーブンレンジ導入を検討したときに直面するのが、置き場所の問題。各メーカーから魅力的なスチームオーブンレンジが発売されているが、どれもサイズが大きく、我が家では置ける場所がない。

 小さいサイズがあればいいのに…と何年も待ち続けていたが、昨年12月、ついにコンパクトなスチームコンベクションオーブン「Steaven(スチーブン) SOB-VS10」が発売された。今回は、このSteavenを前編・後編の2回に分けて紹介しよう。

 


メーカー三洋電機
製品名Steaven SOB-VS10
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格23,980円

電子レンジ機能はないが、オーブントースター並みにコンパクト

 Steavenは、過熱水蒸気による減塩・脱油調理ができるオーブンだ。従来のスチームオーブンレンジと一番違うのは、電子レンジ機能が省略されているということ。その分、本体サイズがコンパクトで、価格も2万円前後に抑えられている。我が家のように、電子レンジをすでに持っている家庭にはちょうどいい製品だ。

 本体サイズは400×372×250mm(幅×奥行き×高さ)。我が家で活躍中の、三洋電機の「オーブントースター SK-WA22」より一回り大きいほどのサイズ。これならトースター代わりに置くことができる。スチームオーブンレンジは、奥行が450mm以上のものが多いが、Steavenなら奥行は372mmで、狭い場所に置くこともできる。

 庫内には上下に遠赤外線ヒーターがあり、見た目はまるでオーブントースターのようだ。しかし、本体底面にスチームタンクを搭載し、蒸し料理にも対応している。遠赤外線ヒーターと組み合わせて、蒸し料理や焼き料理、それらの機能を組み合わせた料理など、幅広い調理にも対応している。消費電力は1,400Wとなっている。

カラーはプレミアムホワイトとプレミアムレッドの2色。プレミアムレッドはシックな赤で、どんなインテリアにも馴染む遠赤外線ヒーターが見えるので、一見トースターのよう遠赤外線ヒーターは上部にもある
スチームタンクに水を入れる。前面から引き出すことができるスチームタンクには満水ライン時で約450mlの水が入る

 蒸し温度は60~120℃、オーブンは60~250℃で10℃単位で設定できるため、料理に合わせて細かく調整可能。さらに、最高約250℃の過熱水蒸気によって脂と塩分を減らすヘルシー調理も可能だ。鮭の塩焼きや鶏の照り焼きから、油を使わないフライや唐揚げまでおいしく調理ができる。

 操作方法は大きく分けて「自動メニュー」と「手動」の2通りだ。自動メニューはトースト、冷凍トースト、トーストセット、鶏の照り焼き、焼き魚切身、唐揚げ、蒸し野菜、鶏肉と野菜の蒸し焼き、茶わん蒸し、温泉たまご、スフレケーキ、などのメニューが並んでいる。

 手動で指定するときはオーブン、グリル両面、グリル上火、蒸す、煮るから調理方法を選び、スチームが必要な場合は有無を選ぶ。あとはダイヤルで温度を決めて、時間を合わせる。操作はシンプルで直感的だ。すぐに使い方を覚えることができた。

 付属品は調理網、オーブン角皿、レシピブック、取扱説明書。レシピブックは100種類のレシピが掲載されており、オールカラーでとても見やすい。

操作はシンプル。すぐに覚えることができる。液晶の文字もハッキリ見やすいトースター(左)より一回り大きい程度。これなら場所をとらない!ダストトレーを引き出して洗うことができる
波型角皿を採用しており、余分な脂分は溝に落として仕上げることができるレシピブック付きカラーで見やすい

 実物は想像以上にコンパクトで使いやすそうだが、4人家族で調理した場合、量は足りるのか? ということも気になるところだ。では、実際に調理してみることにしよう。

「蒸し焼き」するトーストのおいしさに感激!!

 一番はじめに試したのはトーストだ。我が家ではオーブントースターの代わりにSteavenを使用するつもりだったので、トーストの焼き加減は大変気になるところだ。

 Steavenは、トーストするときにスチームの有無を選択することができる。日にちがたって固くなってしまったパンなども、スチームを使うとふっくらさっくり仕上げることができるという。

 本体には、パンとサイドメニュー2品を同時に2人分加熱できる自動メニュー「トーストセット」が搭載されているので、さっそくパンと一緒にハムエッグとブロッコリーを同時に調理してみることにした。

 アルミカップにハムと卵を割り入れ、塩こしょうをふりかけておく。ブロッコリーは小さく切り、チーズをまぶす。あとはスチームタンクに水を入れ、角皿にパンを手前側に置いて自動メニュー「3 トーストセット」で加熱するだけだ。加熱時間は10分と表示された。

 電源を入れると、あっという間に庫内がスチームで充満する。扉に水滴がついて、中の状態が見えないくらいだ。パンが入っているのに大丈夫なの……と不安になったが、そのまま様子を見ていると、途中でスチームが終わり、オーブンに切り替わってパンに焦げ目を付けていた。

2人分の朝食セットが一度にできるスチームタンクに水を入れてから、角皿をセットするあっという間にスチームが充満!! パンが入っているのに大丈夫なのか?
パンにきちんと焦げ目がついているパンにバターを乗せて食べてみた。中はふわふわ、外はこんがり。とてもおいしい!!ハムエッグは半熟状態

 ハムエッグはかなり半熟だったが、どれも火が通っている。特筆すべきは、パンのおいしさだ。

 パンを焼いているのに、扉がスチームでビショビショになったときはどうなることかと思ったが、できたパンはこんがり。中はふっくらしていて、外はカリッ。小麦の香りが引き立ち、焼いたばかりのパンのよう。ふつうにオーブントースターで焼くより、格段においしい。ごく一般的な安いパンだが、焼きたての手作りパンのようになる。

 我が家は4人家族なので、2人分しかできない自動メニュー「トーストセット」を利用するときは2回加熱しなければならないが、洗う手間などを考えれば、忙しい朝に重宝しそうな機能だ。何より、トーストの焼き加減が絶妙で素晴らしい。

 食パンだけなら、角皿を使わずに一度に4枚焼くことができる。Steavenがきてからというもの、ほぼ毎日のようにパンを焼き、幸せをかみしめている。スチームを組み合わせて、パンを焼くということに半信半疑だったが、いきなりスチームオーブンの魅力にはまってしまった。

蒸し器いらずで、手軽に蒸し料理が作れる!

 今までの電子レンジや、オーブンとトースターではできなかった加熱方法が「蒸し」だ。Steavenではスチームタンクを使って、手軽に蒸し料理を楽しめる。

 まず、試したのはふかし芋。サツマイモは洗って水気をふいたものを並べ、手動で「蒸す」で120℃、45分にセットする。

 蒸し器を出す必要がなく、事前に温めておく必要もない。水タンクに水を入れ、サツマイモを並べてスイッチを入れるだけなので、とても手軽だ。

 ふだん蒸し料理を作るときは、先に蒸し器でお湯を沸かしておく。湯気の立ったところに食材を入れなければならないが、Steavenは予熱の必要がないので、ヤケドの心配がない。

 できあがったふかし芋は芯までしっかり火が通っている。子供のおやつにもピッタリだ。

予熱をしなくてもいいのが嬉しいサツマイモを角皿に並べて50分加熱ふかし芋がオーブントースターでできるなんて!

 ふかしておいしいものといえば、中華まん。レンジでチンするよりも、蒸し器でふかしたほうが生地がふんわりする。

 ふだんは水にくぐらせてラップしてレンジで加熱しているのだが、味はいま1つ。本当は蒸し器を出したいところが、中華まんをあたためるためだけに蒸し器を出すのが面倒なのだ。

 Steavenなら水にくぐらせた中華まんをお皿に載せ、手動で「蒸す」100℃で約18~22分に設定するだけ。予熱やラップをする必要もない。

 ホッカホカに温まった中華まんは、蒸し器で蒸したように生地がふんわり。中の具もふっくらしていてとてもおいしい。レンジで加熱するより時間はかかるものの、中華まんのおいしさが引き立っている。

中華まんをふかすときは、平らなお皿に載せる生地がふんわり、中身もジューシー。レンジで加熱するよりおいしい

 難しい温泉たまご作りも自動メニューがあるので簡単だ。角皿に濡らしたキッチンペーパーを敷き、玉子を入れる。自動メニューに「10 温泉たまご」があるので、あとはおまかせだ。約25分で加熱が終わった。

 温泉たまごは、温度調整が難しい。非常に面倒なので、ふだんは全く作っていないのだが、これなら簡単だ。できあがった温泉たまごの火の通り方は絶妙。とてもおいしそう!

 カルボナーラに温泉たまごを添えたところ、いつものカルボナーラがゴージャスな雰囲気になった。全体がなめらかになって、とてもおいしい。今回は2個だけ調理したが、一度にもっとたくさん作ることができるので、家族全員分の料理に温泉たまごを添えることもできる。牛丼やサラダなどにのせて食べてもおいしそうだ。

むずかしい温泉たまごも自動メニューでおまかせカルボナーラに落とした温泉たまご。お店のようなゴージャスな見た目になったフォークでくずしてみると、中はトロトロに仕上がっていた

「過熱水蒸気」で鮭の切り身もふっくら。魚独特の生臭さも抑えられる

 Steavrnの最大の特徴は、最高約250℃の過熱水蒸気によって脂と塩分を減らすヘルシー調理だ。蒸し料理は、蒸し器を使えば、自宅でもできるが、過熱水蒸気調理は専用の機器がないとできない。そもそも、スチームオーブンレンジが欲しいと思ったのも、この過熱水蒸気調理が魅力的だったからだ。Steavenでは、コンパクトなサイズながら、過熱水蒸気調理もしっかり搭載している。

 まずは、スーパーで、安く売られていた鮭のカマで試してみた。鮭のカマはとても脂が多いが、過熱水蒸気を使ったヘルシー調理にするとどうなるのだろう。自動メニューの「5 焼き魚」を選び、切り身が大きかったので4人分で加熱した。かかった時間は17分。

脂の多い鮭のカマ。スチーム「入」にすればヘルシー調理に焼き上がった鮭から脂が流れ出ている左の鮭はガスグリルで焼いたもの。Steavenで調理した鮭は縮みが少なく、ふっくら

 角皿には鮭の脂が流れ出ている。ガスのグリルで焼いた鮭と比較してみたが、Steavenで調理した身は縮んでいないことがわかる。

 ひっくり返して箸を入れてみたところ、グリルで焼いた鮭は黄色い脂がたくさん出てきた。Steavenでヘルシー調理をした鮭は、脂がほとんど出てこない。

ガスグリルで焼いた鮭は、黄色い脂がたくさん出てきたSteavenでヘルシー調理した鮭は、臭みもなくさっぱりしている

 食べてみると、Steavenで調理した鮭はふっくらしており、上品な味になっている。グリルで焼いた鮭は非常に脂っぽく、魚特有の生臭いニオイも強い。

 グリルで焼いた鮭のほうがこってりしているが、Steavenで焼いた鮭のほうが最後まで飽きずに食べられる。

 そろそろ健康にも気をつけたいメタボ夫婦にとって、減脂、減塩でおいしく仕上げてくれる過熱水蒸気の調理は非常に嬉しい。ヘルシーになっても、ポソポソになったり、まずくなってしまったら悲しいが、これだけおいしいのなら全く問題はい。今後も過熱水蒸気を使ったヘルシー調理を積極的に活用していきたい。

 なお、切り身も4切れまで一度に加熱でき、4人家族でも一度で調理が済むので手間がかからない。

蒸し料理も手軽にできて便利!

 今回の前編では気軽にできる蒸し料理を中心にレポートしてきた。最初は、オーブントースター代わりとして考えていたが、蒸し料理までこれ一台でできてしまうので何かと便利だ。おやつにふかし芋を作ったり、中華まんを蒸したり、我が家ではフル稼働している。過熱水蒸気でふっくら焼ける魚の切り身も、ヘルシーなうえにおいしい。何かと使える一台だ。

 特に蒸し焼きしたトーストのおいしさには、感激してしまった。個人的には、このおいしさを味わえるだけでも、Steavenを購入する価値はあると思う。

 明日の後編では、過熱水蒸気で作る唐揚げや「余熱なしでもスポンジケーキが焼ける」というオーブン機能も検証する。






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