家電ミニレビュー

2個は1個を兼ねる? Wボウルのフープロでナンとカレーの同時調理に挑戦

フードプロセッサー コンボ「RCP-6」

日々クッソ忙しくて「ていねいな暮らし」なんてできないよ……そんな人におすすめの調理家電がフードプロセッサー(フープロ)です。

わが家ではカレーライスなどの下ごしらえには欠かせません。ほとんどのカレーレシピで必要なタマネギのみじん切りが高速にできて、涙を流さなくてもすみます。苦手な子供が多いニンジンも、刻んで煮込めば溶け込んで、食べてくれますしね。

今回は、10月に発売されたレコルト「フードプロセッサー コンボ RCP-6」を試してみました。価格は9,900円。

最大の特徴は、2種類のボウルを付属することですが、果たして便利なのでしょうか。

フードプロセッサーの形状は、大きく2タイプに分けられます。1つはモーター部がボウル容器の下にある伝統的なタイプ。もう1つは、最近増えているモーター部がボウルの上にくるタイプです。

安定感は前者の方がありますが、後者の方が容器の形状がシンプルで洗いやすく、全体的にコンパクトな傾向があります。レコルト「フードプロセッサー コンボ」は後者のタイプです。

主な付属品を見てみましょう。

容器がプラスチック製のクリアボウルとステンレスボウルの2種類で、容量はともに1,000ml。ニオイの強いニンニクなどの食材や、冷たい状態でかき混ぜたい食材はステンレスボウルを、野菜など刻み具合を確認したいのならクリアボウルと、使い分けられます。

回転するアタッチメントは、4枚刃の「ブレード」と「泡立てパーツ」、「こねパーツ」の3種類。回転数は、通常の「ブレード」と「泡立てパーツ」が1分間に約3,500回転で、「こねパーツ」が1分間に約1,100回転と、それぞれ異なります。回転数は手動で変更する必要はなく、パーツの軸の太さと本体の2段になった軸受で、自動的に回転数が変わる仕組みです。ボウルの下に敷くすべり止めマットやボウルのフタ、アタッチメントを洗うためのお手入れブラシも付属しています。

4枚刃のブレードとステンレスボウル。氷や冷凍フルーツも粉砕する
2つのボウルは重ねあわせて収納できる
生クリームの泡立てや、バターの作成に使用される「泡立てパーツ」
「泡立てパーツ」は、円形のプレートが傾いている構造
パンや餃子の皮、パスタなどのタネを作るための「こねパーツ」。軸の部分が他のパーツよりも太い
本体の軸受けは2段になっており、自動的にアタッチメントの回転数が変わる仕組み
ボウルの下に敷いて振動による横滑りを防ぐ「すべり止めマット」
フタをしてボウルのまま保存できる
ブレードの汚れを安全に落とせる「お手入れブラシ」

4枚刃ブレードで高速カット

ボウルが2つあるメリットを感じてみようと、付属のレシピブックから「焼きたてナン&スパイスチキンカレー」を作ってみました。

まずはスパイスチキンカレーから。

ステンレスボウルにタマネギとニンジン、しょうが、ニンニクを入れ、ボウルカバーをはめ、本体をセットして15回、軽くプッシュ。手に強い振動や抵抗感を感じることもなく、硬いニンジンもバラバラになります。連続して稼働させると粉々になりすぎるパワフルさです。4枚刃の効果でしょうか、切りきれなかった食材が残ることもありません。時代は4枚刃! シェーバーみたいですが……。

次に鍋で炒めた鶏肉を取り出し、その鍋にバターとクミンパウダー、先ほど刻んだタマネギなどを入れて10分ほど炒めます。その間に、トマトとパクチー(茎と根の部分)を同じステンレスボールで10秒連続でプッシュ。あっという間に液状になりました。それらを鶏肉とともに鍋へ投入し、醤油や鶏がらスープ、ガラムマサラといったスパイスを混ぜて弱火で15分ほど煮たら完成です。

専用レシピブック。使い方の解説とともに27種類のレシピが掲載されている
タマネギやニンニクなどをカットしてみる
硬さの異なる野菜も均一にカットされた
トマト
トマトは液状に
鍋で煮ていけばスパイスチキンカレーの完成
別の日にキーマカレーを作るためにバラ肉をミンチに。肉の繊維も軽々とカットすることができた

手際が悪い料理初心者も心の余裕を持てる

カレーを作り終えてから、ナン作りを開始しました(すみません、タイトルに「同時調理」と書きましたが、気持ちに余裕がなく順番に作りました……挑戦はしましたよ。慣れてくれば、もしくは2人いれば同時調理はできると思います)。

クリアボウルに「こねパーツ」をセットし、強力粉と溶き卵、牛乳、砂糖、塩、ドライイーストを入れ、「1分間連続プッシュ→30秒休む」を2回繰り返します。そしてバターを投入し、さらに「20秒連続プッシュ→30秒休む」を4回繰り返します。

最初の連続プッシュで、しっかり塊になり、振動が強くなります。小さな子供や腕力のない高齢者には少し厳しく、ホームベーカリーを使った方が良いかもしれません。とはいえ、フードプロセッサーで生地を作ったのは初めてで、手でこねると途方もない時間がかかるところが、ものの数分でできてしまったのは驚きでした。

強力粉をまな板などに打ち粉し、生地を丸め、クリアボウルに戻し、蓋をして湯煎で発酵させます。30〜40分後、2倍ほどに膨れた生地を分割して平たく伸ばし、バターを熱したフライパンで両面焼けばナンの完成です。

こねパーツをセットしたボウルに材料を入れて連続プッシュ
すると、みるみるうちに塊の生地になっていく
湯煎で発酵し2倍ほどの大きさに膨らんだ
インド料理店のような立派な大きさではありませんが、素人でも粉からナンが焼けました

日常的に料理をしないオッサンの調理なので手際が悪いわけですが、それだけにボウルが2つあるメリットを感じました。食材を変えるたびにボウルを洗ったり、「先に野菜を刻んで肉は後かな」と順番で悩んだりすることがない。これは今回のカレーとナン、餃子やシュウマイのタネと皮、パスタとソースといった、合わせてひとつの料理になるパターンに限らず、まったく別の料理を作る際も同じでしょう。

ガスコンロが1口より2口以上あったほうが便利なように、2個は1個を兼ねる的な、ちょっとした心の余裕を生み出すWボウルなのでした。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>