家電レビュー

いい炊飯器は冷めてからおいしさわかる? タイガーの実力は

タイガー魔法瓶の土鍋炊飯器2026年モデル「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」

タイガー魔法瓶の「土鍋ご泡火炊き」といえば、内釜に本物の土鍋を採用したフラッグシップ炊飯器。10万円を超える高価格帯ですが、そのおいしさから毎年注目を集める人気シリーズで、筆者も新モデルが登場するたびに味をチェックしています。

そんな同シリーズの最新モデルが「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」(以下、JRT-A100)。実売15万円近い本製品は、炊きたてがおいしいのはある意味当然。むしろ筆者が実際に使っていて印象に残ったのは、時間が経ったごはんのおいしさでした。

そこで今回は、炊きたての味だけでなく、冷凍ごはんや、冷たいごはんのポテンシャルが試されるおにぎりにも注目しながらレビューしていきます。

炊きたてのごはんは安定のおいしさ!

土鍋で炊いたごはんはおいしいですが、土鍋は焼成時にサイズ差が生まれやすく、家電に組み込むのは簡単ではありません。このため、一般的な炊飯器の形で本物の土鍋を内釜に採用しているのは、現在タイガーのみ。そんなタイガーの土鍋炊飯器の最上位に位置する5.5合炊きモデルが、JRT-A100です。

本体サイズは28.4×36.7×22.4cm(幅×奥行き×高さ)。正面から見るとかまど風の特徴的なデザインをしています

本シリーズは「本物の土鍋」というわかりやすい特徴もあり、高級炊飯器のなかでも毎年注目される存在です。このため筆者も、新製品が登場するたびに実際の炊き上がりを確認しています。

新モデルを実際に使って進化を感じたのは天面の「スムーズタッチディスプレイ」。従来モデルより画面がかなり鮮明になりました。高級炊飯器は、米の銘柄や食感、土鍋炊飯器ならおこげの有無など、炊飯前に選択できる項目が多いので、これは結構うれしい変化。

まるでハメコミ画面のように鮮明になったタッチディスプレイ
小さな変化ですが、じつは付属する計量カップが上から見ると虎型に進化。ごはんを炊くたびに少し楽しいうえ、指を掛けやすく意外と実用的でもありました
土鍋はセンサーの精度を高めるために底を薄型化するなど、細かな形状変更があります。重さは1,089g(実測値)。本物の土鍋を採用しているだけに軽くはありません

今回、我が家では「銀河のしずく」と「無洗米コシヒカリ」で炊飯しました。正直なところ、炊き上がりの味は昨年モデルよりもさらにおいしく感じます。単純に甘味が増しただけではなく、噛んだときの米独特の旨みと、後から鼻に抜ける香りがより鮮明になり、銀河のしずくはすっきりとした甘さと軽快な食感。一方、コシヒカリは粘りと濃厚な旨みが際立ち、個人的に昨年モデルより銘柄ごとの個性がわかりやすくなったという印象です。

今回は銘柄にあわせた火加減ができる「銘柄炊き」で炊飯。79銘柄が登録されており「サキホコレ」のような、やや認知度の低い銘柄もあります
炊きたてのごはんは透明感がありツヤツヤ
タイガーによると、土鍋は炊飯中に細かな泡で米を守るため米に傷がつきにくく旨みを守るそうですが、たしかに米表面がツルっとしている気がします
お椀によそったところ。食感は中心までやわらかいのに、噛むとしっかりとした弾力があります
本物の土鍋はごはんが内側にこびり付きやすい印象がありますが、本製品はごはんがこびり付きにくく、洗いやすいのも好印象

高級炊飯器の違いは、冷めてからのほうがわかりやすいかも?

ところで今回、味の違いを見るために、自宅で普段使っている実売2万円前後の圧力IH炊飯器と、JRT-A100で同じ「銀河のしずく」をほぼ同時に炊き比べてみました。炊きたてを食べた時点でも味や食感の違いはありましたが、それより驚いたのがJRT-A100のごはんは時間が経ってもおいしいこと。

食事中、おかずを食べながらゆっくり食べたりすると、ごはんをお椀に入れた状態で30分以上経つこともあります。そこで、お椀によそったごはんを約30分置いて比べてみると、普段使っている炊飯器で炊いたごはんは、お箸で持ち上げるとお椀のごはんが一つの塊になって持ち上がりました。一方、JRT-A100で炊いたごはんは、時間が経っても米粒がダマになりにくい印象。食べ比べてみても、JRT-A100のほうが冷めてもやわらかさと弾力が残り、甘みも感じやすかったです。

お椀によそって30分後のごはん。2万円前後の圧力IH炊飯器はお椀のごはんが塊になっていました
タイガーJRT-A100はダマにならずほぐれるため、ここまでしか持ち上がりませんでした

この「時間が経ってもおいしい」という特徴は、おにぎりやお弁当、冷凍ごはんでも活きてくるのですが、じつはJRT-A100には冷めてもおいしく食べられることを目的とした専用メニュー「おにぎりモード」もあります。

おにぎりモードで炊いてみると、炊き上がりは銘柄炊きよりやややわらかめで、弾力も少し穏やかな印象です。そのぶん、通常の炊飯よりも軽い力でおにぎりが形になりやすく、空気を含ませるような、ふんわりとしたおにぎりが作りやすいという印象がありました。

おにぎりモードで炊いたごはんで作ったおにぎり
同じ水分量でもやや柔らかめで、力を入れなくても表面がしっかりくっつくイメージ

最近は大きめの具材を混ぜ込んだ「ごちそうおにぎり」という料理ジャンルもありますが、銘柄炊きだと強めに握らないとポロポロと崩れるおにぎりも、おにぎりモードで炊いたごはんなら具材を多めに入れてもしっかり形になりました。弾力のある食感が好きな筆者は、おにぎりでも銘柄炊きにしたほうが味は好みなのですが、その日のメニューに合わせて使い分けられるのは便利かもしれません。

おにぎりモードで握ったごちそうおにぎり。なかでも油分の多いアボカドを銘柄炊きで握ると、すぐに形が崩れてしまったのですが、おにぎりモードのごはんだと写真のように形にしやすかったです

我が家は保温より冷凍派。でも保温性能も試してみた

我が家は夫婦2人暮らしなので、ごはんは一度に3合ほど炊き、食べきれなかった分は2~3日かけて消費しています。そのため、普段は炊きたてのうちに一膳ずつ冷凍保存してしまうことがほとんどです。ただ、JRT-A100には炊きたてのおいしさを長時間キープするという「匠おひつ保温」が搭載されているので、今回はあえて17時間保温したごはんも試してみました。

炊飯後何時間経ったか一目でわかるようになっています

17時間保温したごはんも、一般的な炊飯器と比べると十分おいしく食べられるレベル。ただし、炊飯約1時間後に冷凍して3日間おいたごはんと並べてしまうと差は歴然です。保温したごはんはやや黄色みがあり、少しぬかのような香りが出ています。一方、冷凍ごはんは解凍後も白さやツヤが残り、炊きたてに近い印象でした。

左が17時間保温したごはん、右が3日間冷凍したごはん

食べ比べてみても、冷凍ごはんのほうが米粒の弾力や甘みがしっかり残っています。しかも、多くの炊飯器は冷凍したごはんを解凍すると表面がベチョッとなり食感が損なわれることも多いのですが、JRT-A100で炊いて冷凍したごはんは炊きたてに近い粒感が楽しめました。電子レンジで温めてもベチャつかず、一粒一粒がほどよくほぐれる点はとくに嬉しいポイントでした。

銘柄炊きで炊いたごはんを約3日間冷凍し、電子レンジで解凍。冷凍後も粒感が失われず、カレーとの相性も良好でした

最近は我が家のように夫婦2人暮らしや単身世帯も増え、一度炊いたごはんをその日のうちに食べ切る家庭ばかりではありません。炊きたてを味わったあとは、おにぎりにしたり、冷凍したり、お弁当に入れたりと、ごはんは意外と「時間が経ってから」食べる機会も多いものです。

高級炊飯器というと、「炊きたてがおいしい」のはある意味当たり前。しかし、今回JRT-A100を使って印象的だったのは、炊きたてだけでなく時間が経ってから食べるごはんまでおいしい点でした。

毎食炊きたてを用意しなくても、おいしいごはんを好きなタイミングで楽しめるというのは、我が家のようなライフスタイルには大きな魅力。「毎日最高の炊きたてを食べたい」という人はもちろん、「炊いたごはんを無理なく数日に分けておいしく食べたい」という人にも、その価値を実感できる炊飯器だと感じます。

倉本 春