家電レビュー

ラクに雑草を引っこ抜く! ムサシ 除草バイブレーターがすごかった

購入したムサシ 除草バイブレーター「WE-700」

今年の夏は記録的な暑さだったのに加え、台風や熱帯低気圧、線状降水帯の影響で雨もたくさん降った。筆者は自宅近くに9畳ほどの畑を借りているが、晴れれば熱中症特別警戒アラートが出るし、雨なら出かけられないしで、畑仕事が全然できない状態だった。

そうなると作物以外にも大量の雑草が繁茂してしまって、大変なことに。そこで役に立ってくれたのが“除草バイブレーター”という製品だ。

畑に雑草が生い茂ると作物にも悪影響があるし、近隣の畑にも迷惑をかけるしで、なんとか早急に雑草を駆除しなければならない。とはいえ、手作業で30分も作業すれば汗だくの割には、思うように進まないのが問題であった。

筆者が急遽導入したのは、ムサシという会社が出している除草バイブレーター「WE-700」。一部で大人気となっており、この夏は度々品切れになっていたのだが、運良く購入することができた。

これはどういう製品かというと、除草ツールとしてよくある、雑草を引っ掛けて引っぱるという櫛状の金属刃部分が細かく振動し、その振動で雑草を根っこから簡単に引き抜くという、電動農具である。

バリエーションは2タイプあり、「WE-700」はAC電源で動くタイプ、「WE-750」は充電式のタイプだ。屋外で使用するなら充電式のほうが便利に決まっているが、充電に4時間かかるうえに稼働時間が25分しかなく、しかも価格が高い。公式Webサイトでの直販価格は、ACタイプのWE-700が9,232円なのに対し、充電タイプのWE-750は19,030円と、1万円近くの差があった(記事掲載時点)。

筆者が買うならWE-700だよな、と決断した。なぜならば、うちにはAC出力が出せるポータブル電源があるのだ。これと組み合わせれば、電源が取れない屋外でも問題なく作業できるはずだ。

シンプルながらよく考えられた構造

届いた製品を見て、驚いた。AC駆動なので、ケーブル長は1mか2mぐらいあるだろうと勝手に思っていたのだが、なんと20cmしかなかった。そもそもどれぐらいの範囲で使用するかわからないので、最初から延長コードで使用する前提なのだろう。延長コードとセットで販売するパターンもあったのは、こういうことだったのかと納得した。まあ延長コードなどは、専用品でなくても電器店でいくらでも売っている。とりあえず3mの延長コードを追加購入した。

ブレード部分は六角ネジで固定するようになっており、交換も可能になっている。ボディ横には、六角レンチも装備されている。重量は約1kg。ちなみにバッテリータイプのWE-750は960gである。AC型は内部にトランスが入っている関係で、多少重いのかもしれない。

刃先は六角ネジで固定する
ボディ脇に六角レンチが収納されている

電源ケーブル部の先端は、接続部に土などが入り込まないようにカバーが被さる構造になっている。また引っ張りによる抜け防止のために、ケーブルをホールドする機構も付いている。このあたりはなかなかよく考えられている。

電源接続部はカバーできる構造

スイッチはハンドル上部にあり、安全のために赤いボタンを押し込んで上にスライドするようになっている。強さレベルのようなものはなく、単にON・OFFするだけだ。いったんONにすると、手を離してもずっとONのままである。

ハンドルの電源スイッチ

ハンドル先端にグリップが付いており、両手持ちする場合は片手でハンドルを持ち、空いた手でここを握るということだろう。特に説明されなくても握り方がわかるのは、いいデザインだ。

スイッチを入れると、ガシガシと音がして刃が高速で出たり引っ込んだりする。音はそこそこ出るが、屋外ならそれほど問題にならない程度だ。エンジン式の草刈り機に比べれば、全然マシである。

消費電力が気になるところだが、手持ちのポータブル電源であるEcoFlow(エコフロー)の「RIVER 2」につないで動かしてみたところ、30W程度であった。バッテリーは300W出力できるので、これぐらいなら余裕である。

では実際にどれくらい雑草がとれるのか試してみよう。

力を入れなくても勝手に抜ける

実践した現場は、筆者の借りている畑である。スイッチを入れて、雑草の根元に歯を差し込むと、振動で勝手に土の中に入っていく。そしてゆっくり引っぱると、かなり根深く生えていた雑草を、ほぼ力を入れずに引き抜くことができた。

ポータブル電源につないで早速使ってみた

通常これぐらい根深く生えた雑草は、人力では両手で引っぱらないと抜けないだろう。また引っぱっても途中でちぎれる可能性が高い。根が残るとまたそこから生えてしまうので、抜本的な除草にはならないのがこれまでの常識だった。

かなり長い根まで簡単に抜けた

とりあえず50cm四方の部分を除草してみたが、ものの2~3分で綺麗になった。歯が入って振動しているので、除草した後は耕されたようにふわふわになっている。

実際の除草の様子

手作業で除草すれば、もっと時間も手間もかかるはずだ。このような歯を持つ除草道具も持っているが、除草すると櫛状の刃の間に雑草が挟まってしまうので、いちいちそれを手で取り外してから再び除草作業に戻るという、半分ぐらいが無駄なアクションになる。

だが本機では刃が振動しているので、挟まった雑草もある程度は勝手に落ちるし、多少挟まったままでも問題なく土の中に潜っていけるので、手を止めず連続で除草ができる。効率という点でも、だいぶ違う。

しばらく使っているうちに、だんだんコツがわかってきた。振動する刃は、土の中に入ると勝手に後ろ方向に進もうとするので、それをあえて進まないようその場に2秒ぐらいホールドする。その後、力を抜いて成り行きで後ろに引くと、雑草がスルッと抜ける。これは全然ラクチンだ。

除草工具としては、回転する刃を持った草刈り機も昨今は電動のものが増えているが、ああしたものはブロック塀のキワの部分までは危なくて攻め込めない。だが除草バイブレーターはただ前後に振動しているだけなので、ブロック塀と垂直に刃を構えていけば、安全に除草できるところもポイントが高い。

また回転する刃を振り回していると、勢い余って育成中の作物までぶった切ってしまうことがある。こうした心配がないのも、ゆっくり動かす除草バイブレーターのメリットだろう。

一方で、苦手なタイプというか、文字通り歯が立たない雑草もあった。芝のように細いツルツルした雑草は、刃で絡め取れず、すり抜けてしまった。根に届くぐらいまでもっと深く時間をかけて潜らせれば抜けないこともないが、それをやるぐらいなら鍬(くわ)でガシガシ掘り返した方が早い。タイプ別に効率的な方法を考える必要はありそうだ。

細くてストレートの葉を持つ雑草は苦手だった

消費電力としては、単に動かしているだけなら30W程度だが、負荷がかかると45W程度まで上昇することがわかった。とはいえ、容量のあるポータブル電源からすればそれぐらいの変動は問題ない。

満充電してから作業に挑んだが、30分ほど除草作業をしてもバッテリーは10%程度しか消費していなかった。空になるまで、単純計算でおよそ5時間程度使える計算になる。

なによりも、約9畳の畑にはびこった雑草を概ね抜くのに30分しかかかっていないのは驚異的である。手作業でやれば、2~3時間ぐらいかかるだろう。さらにこの電力はソーラーパネルから充電した電力であり、完全にカーボンニュートラルである。総合的に見て、バッテリータイプのWE-750よりもかなり使い勝手がいい。

人気商品ゆえに…

筆者は畑の維持のために積極的に除草作業を行なうモチベーションがあるが、一般の方は庭の除草など、暑いし疲れるし汚れるしで、まったく生産性のない作業にうんざりされていることだろう。

だが除草バイブレーターを使えばほぼ体力は必要ないし、大して手も汚れない。また作業効率も4倍ぐらい上がるので、短時間で終了する。なにしろ簡単にスルスル抜けるので、除草が楽しい。もっと雑草はないかと探すレベルで楽しい。下がりきった除草モチベーションを上げる意味でも、お勧めできる商品だ。人気沸騰の理由もそういうところだろう。

ただこの製品、筆者はAmazonで8,200円で購入したのだが、同時に多くの販売店が扱っており、価格にバラツキがある。この製品のことは以前から知っており、6,000円台で販売する店舗があったので購入したが、なんと2カ月待っても商品が送られてこない。そのうち同じ店舗がちゃっかり価格を吊り上げて2~3日でお届けとなっているのを見つけて、これはダメだとキャンセルし、急遽別の店舗から購入した次第だ。また価格をつり上げた転売ヤーなどからの購入は、今後購入される方の適正な価格維持のためにも、控えていただくようお願いする。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。