家電レビュー
ウルトラファインバブルでトイレ掃除の手間激減! 買ってよかった東芝の洗浄便座
2024年5月1日 08:05
この記事で最もいいたい結論は「東芝の温水洗浄便座は水道水だけで便器が汚れない!」ことだ。
「トイレ掃除はできるだけサボりたい」。その願いをかなえてくれるのが、温水シャワートイレの自動洗浄機能。
筆者宅では数年前から自動洗浄機能付きのシャワートイレを利用している。この機種は用を足すたびに洗剤を泡状にして便器面に噴霧。食器洗い洗剤を使ってトイレを洗浄し「界面活性作用」で汚れを付きにくくコーティングしてくれていた。さらに小用を足すときは、便器内を泡で満たし飛び跳ねを防止してくれるので、非常にお気に入り。
そんな折、使っていたトイレの便座が壊れてしまったのでシャワートイレを購入することにしたが、同じ製品を買っても面白くないので、東芝ライフスタイルから2023年9月に発売された「温水洗浄便座 ウルトラファインバブル洗浄搭載 SCS-SRU7010」を購入してみた。これ大当たりでしたわ!
最初はシャワートイレ不要派だった家族も、導入してみると掃除の手間の少なさに喜んでいる。買い替えを検討している人も、今は大きな不満がない人にも、とりあえずは読んでみてほしい。
洗剤も使わずウルトラファインバブルだけでトイレ掃除が激減!
東芝のウルトラファインバブル搭載シャワートイレの特徴は、とにかく便器が汚れない。夏場なら2週間、冬でも1カ月も掃除をしないと、水の溜まっている部分に黒いリング汚れがつく。いわゆる「さぼったリング」だ。
しかしこの便座を買って2カ月使ってみたところ、さぼったリングの気配はほぼなく、便器がまったくといっていいほど汚れない! 他社製のヤツは食器洗い洗剤を使っているから「まあ汚れないわな」って感想だが、東芝は洗剤も何も使ってないのに「ウルトラファインバブル」水を毎回噴霧しているだけで、ホント汚れない。マジか!? ってぐらい。
さぼったリングの正体は、尿石&黒カビ。尿石(に加え水道のミネラル分)は放置しておくと、お風呂の鏡につく白いウロコ汚れと同様に、便器表面が石灰成分でザラザラになり、黒カビが付きやすくなる。
これらを掃除するためには「サンポール」などの酸性洗剤で石灰成分をまず落として、それから(時間を空けるなどして)便器全体を漂白系の洗剤で洗わないとダメ。ただし、酸性と塩素系の洗剤が混ざると有毒なガスが出て危険なため、一度に両方を使わずしっかり間をあけて、換気もするなど注意が必要だ。
我が家では東芝のウルトラファインバブル洗浄搭載のシャワートイレを使い始めたところ、便器はいつもツルツルで、黒いリングがいつまで経っても現れない。ウルトラファインバブルの洗浄効果は、東芝の洗濯機でも実証されており、最近では汚れが落ちるシャワーヘッドなどでも有名だ。
このシャワートイレは、洗浄効果の高いウルトラファインバブル水を便器全体にミスト状に噴霧。尿石やミネラル分が石灰化する前に洗い流し、同時に汚れが付きにくいようにコーティングしてくれて、カビが発生しづらくなるという。
シャワーを噴射するノズルの部分も毎回ウルトラファインバブルの水で洗浄するため、こちらもほとんど汚れることがなかった。もう3カ月以上放置したままだが、黒カビのカケラも見えないほど。
ただ難点は便座のフチ(水が出る部分)には、ウルトラファインバブルのミストが届かず、2カ月で黒カビが現れた。できれば今後はウルトラファインバブル水を水タンクに給水したり、フチを狙えるようなノズルを開発してもらい、メンテナンス「ほぼ」フリーのシャワートイレに進化して欲しいところだ。
シャワートイレとしての使い心地も100点
取り付けてみての第一印象は「見た目がスッキリ」。一般的なシャワートイレは左右どちらかに操作パネルと電子機器を収める部分がポシェットのようにぶら下がっている。そのため狭いトイレの中がさらに狭く感じてしまうが、このシャワートイレはそれがないので、通常の便座とまったく変わらないコンパクトさだ。とはいえリモコンの電池が切れても、便座の向かって左側側面にある「ビデ」「おしり」「停止」の3つのボタンで操作可能。
リモコンは大きなスマートフォンサイズで厚みが1cmほど。必要最低限のボタンが正面にまとめられているので、使い方に迷うことはなかった。正面にある「停止」「おしり/リズム」「ビデ」「ムーブ」の大きなボタンに加え、小さな「ノズル 前/後」「水勢 弱/強」「温水 低/高」「便座 低/高」ボタンがある。
「おしり」は1回押すとシャワーの開始で2回押すとシャワーの強弱がリズミカルにつく。「ムーブ」は、押すごとに、位置固定と前後への動作を切り替える。「ノズル位置」は前後7段階の調整ができ、さまざまな体格、体勢でもベストポジションに持っていけるだろう。シャワーの強さは「水勢」を押すごとに4段階の切り替えが可能。
便座の温度は3段階の切り替えができて、低温にすると他社よりやや冷たい感じがした。節電という観点からするとよさそうだが、真冬の「低」は少しひんやりとするかも知れない。
これらの設定は、リモコンに2人分がメモリーできる。体格差の大きい家族がいる場合はメモリーを使うといいだろう。通常はすべて規定値の中間でOKという印象だ。
脱臭機能のスイッチはついていないが、着座で脱臭開始(設定で機能を無効化もできる)。利用後は一定時間後にOFFになる。ファンの音も静かで脱臭効果も高いので、直前に用を足していた人の気配はほぼ感じない。
お尻やビデの洗浄にもウルトラファインバブル水が使われる。PM2.5の半分以下、大腸菌とほぼ同じ大きさの極小さな空気の泡が含まれた水は、皮膚のシワだけでなく、毛穴と毛根の間にも入り込んで、汚れを落としてくれるという。ただ自分で汚れを確認できないため効果を感じにくいのだが、唯一お腹を壊したときのヒリヒリが少なく感じた。
また水に大量のウルトラファインバブルが含まれているので、使う水量が半分なのに、水勢が弱いと感じることがない。さらに節電機能も充実しており、本機は温水を使うときだけ瞬間的に加熱する「瞬間式」になっている。あらかじめお湯を沸かして保温タンクに貯水する「貯湯式」に比べると電気代も安くなっている。
さらに節電モードとして夜間は便座の予熱を停止する機能や、便座をヒヤリとしない28℃程度に保持し、着座すると加熱する方式で待機電力を抑えている。そのため年間の消費電力量(夜間OFFタイマー利用時)は、およそ84kWとなり電気代に換算すると約2,600円(月額約217円)となる。
なお温水利用時は、電子レンジ並みの最大1,200Wの電力が必要なので、家庭の電気の契約アンペア(A)によっては、冬場に電気ストーブをつけてトイレに入る方は、シャワートイレ利用時はストーブを消すと安心かもしれない。しくじるとトイレの照明が消えて真っ暗になり、ちょっとしたホラーゲームになってしまうかも!?
極小の空気の泡ウルトラファインバブルが石鹸代わりになりうるワケ
ウルトラファインバブルは、1μm(1mmの1/1,000)未満の空気の泡を含んだ水。よく知られているのがシャワーヘッドで、油性マジックで落書きした顔にウルトラファインバブルのシャワーを当てるとインクがスッ! と落ちるCMなどでも有名だ。
一般的な空気の泡は、すぐに水面に浮かび上がり泡ははじけてまう。しかし1μm未満まで細かくなった泡は、その性質を変え水に完全に溶け込み何日間も水に溶けた状態になる。この特性を利用したのは魚の養殖や野菜の生産。大量の空気(酸素)を含んだ水の中で魚や野菜が育つので、短期間で大きく・元気になるという。
水に溶け込んだウルトラファインバブルには、石鹸や洗剤に含まれる「界面活性作用」があり、「汚れを引きはがし、再び付着しないようにする」効果がある。しかも1μm未満という極微細な泡なので皮膚や毛穴の奥まで浸透し汚れを落とすのだ。東芝の洗濯機にもウルトラファインバブルが利用され、微細な泡が生地の奥まで入り込み汚れをはがして、落とした汚れが再び衣類に付着しない界面活性作用により、洗濯洗剤との相乗効果でシャツが真っ白になると評価が高い。
このウルトラファインバブルの界面活性作用は、薬剤を使わないためNEXCO西日本のトイレや配管の清掃、温泉施設の洗浄などにも使われ、日本が産学官(企業/学校/政府)共同で世界に輸出できる技術として注目されているほどだ。
これをシャワートイレに適応したのが本機。利用後にウルトラファインバブルの水をシャワー状にして便器面を洗い流し、界面活性作用で汚れを付きにくくコーティングするイメージだ。使用前にシャワーのノズルに対しても噴霧するので衛生的だという。
さらにお尻を洗う水もウルトラファインバブルの温水なので、顔に書いたマジックの落書きが落ちるがごとく、お尻もキレイに洗浄してくれるというワケだ。
左右の突起がなくコンパクトで自分でも取り付け可能
シャワートイレの工事は、免許不要なので自分で工事してもOK。水栓のパッキンやコマを交換した経験があれば、マニュアルを読みながら1~3時間程度で終わるだろう。電気関係の工事はなく、こちらはコンセントを差し込むだけ。
一番の難関は、既存の便座を外すこと。長年使われた便座は、ゴムなどが便器に融着してしまい、添付の簡易工具ではネジが固くて外れない場合がある。100円ショップのモンキーレンチや水道用のレンチがあると作業が捗るかもしれない。古い便座を取り外せれば、工事は半分終わったも同然という感じだ。
次は水道工事をするので、家全体の水栓、もしくはトイレの個別の水栓を閉じて、ホースなどに溜まっている水を貯めるバケツと雑巾を5枚程度用意するといい。
まずは説明書通りに、シャワートイレを取り付けるためのアタッチメントを便座にネジ止めする。そこにスライドさせるようにシャワートイレ本体をはめ込む。
残るは水道の配管。製品によっては金属ホースが使われていて、曲げるのが面倒だったりするが、この製品は樹脂製で曲げやすいホースなので、狭い場所やホースが余ってしまっても、クルリとホースを曲げられるので問題ない。またホースと水道管はネジ止め、本体とはワンタッチジョイントと留め具で固定できるので簡単。
最後に閉めてあった水栓を開け、設置したホースの各所から水漏れしていないことを確認したら、コンセントを差し込めば工事終了だ。ポイントは動作チェックするときに、便座を包んでいるビニール袋を利用して、シャワーが飛び散らないようにテストする点。
筆者は何度も温水シャワートイレの取り付けをしたことがあるので、1時間程度で終わった。
水道工事はしたことがないという人でも説明書通りにすれば、3時間程度で設置できるはずだ。もし自信がない場合は、購入時に取付工事も依頼すればいい。おそらく30分もすれば終わるだろう。
なおリモコンはトイレの左右・正面どこに付けても、しっかり反応する。リモコンが物陰に隠れてしまう場合は、取り付け前に動作チェックしてから固定するといい。
トイレ掃除の手間を省けるコンパクトなシャワートイレ
2024年1月1日に取り付けてからすでに4カ月以上使っている。「ぢ」持ちでさらに高血圧な筆者は、ヒートショック予防策(冷たいトイレに座った瞬間に血圧上がるのを防ぐ)もかねて、いち早く温水シャワートイレを入れたが、奥さんは不要派だった。
しかし実際に導入してみると、トイレ掃除の回数が圧倒的に少なくなり、トイレの便座カバーを取り換えたりする手間もなくなって、今では喜んでシャワートイレを使っている。
「ぢ」や「下痢気味」でお尻がヒリヒリしている方はもちろん、「高血圧」やトイレでゆっくり過ごしたい人にもオススメ。特に、できるだけトイレ掃除の面倒から解放されたい一人暮らしや共働き夫婦、また10年以上前のシャワートイレを利用している人にも買い替えを検討してほしい温水シャワートイレだ。