家電レビュー
スムージーも料理も楽々、手作りが1ランク上がる老舗ブレンダーVitamixがスゴイ!
2021年10月19日 08:05
毎年のように新モデルが登場する家電製品が多い中、大きく変わらず長年売られ続けている定番モデルがある。そんな家電を持つブランドの一つが、アメリカ製のハイパワーブレンダー「Vitamix(バイタミックス)」だ。
その歴史は長い。創業者W.G.Papa Barnard氏と息子のBill氏が1921年に家庭用品を販売開始したことに始まり、37年にバイタミックスの原型となるブレンダーを開発。50年にはテレビ番組でのデモンストレーションが注目を集め、全米に広がったそうだ。
これまで、バイタミックスのパワーブレンダーは本気のヘルシー志向の人がスムージーを作るための家電というイメージだった。アボカドの種がクラッシュできるほどにハイパワーで、毎日のようにスムージーを飲む家庭、もしくはお店で使われている製品だと思っていた。
しかし実際に使ってみると、それは違うことを実感。スムージーだけでなく様々な調理ができるほか、料理の下ごしらえに大活躍した。「Vitamix A3500i」をお借りして、色々な料理に活用してみたので、その良さをお伝えしたい。
1台で8つの使い方
まずはどんな製品なのか紹介していこう。現在国内で正規販売されているバイタミックスは4モデル。食材を入れるコンテナのサイズや、操作パネルの形状、タイマー/自動プログラムの有無などに違いがある。しかし、基本的にモーターは共通で、パワーは同じ。また、コンテナのサイズに違いはあるものの、ブレードや基本構造も共通だ。このため、操作性や付属品、本体価格などで選択できる。
今回お借りしたフラッグシップモデルのVitamix A3500iは、タッチパネルを採用し、5つのプログラムモードと、タイマー機能を搭載している。価格は151,800円。
一般的にジューサーミキサー(ブレンダー)というと、葉物野菜などを細かく切り刻み、スムージーやソースを作るために使われることが多い。つまり、「砕く」と「混ぜる」機能だ。しかし、バイタミックスには、「混ぜる」「砕く」「冷やす」「刻む」「温める」「挽く」「つぶす」「攪拌(こねる)」の8つの使い方ができる。この機能を使いこなすことで、様々な料理でバイタミックスが活用できるというわけだ。
使い方は非常にシンプルだ。基本的にはスタートボタンを押した上で、速度調整ダイヤルを回して、回転を上げていくだけでいい。回転数は10段階まであり、ゆっくりと上げていくことで食材を滑らかにできる。なお、今回利用したVitamix A3500iには5つのプログラムモードが搭載されており、スムージーモードでは自動的にスピードを上げながら50秒間回転する。この他、断続回転ができるパルスモードや自動停止ができるタイマー機能などを搭載している。
本体サイズは203×279×432mm(幅×奥行き×高さ/コンテナセット時)と大きく、重量も6.9kgと非常に重い。このため、一般的なジューサーミキサーのように使いたいときだけ取り出すのではなく、常設するのがおすすめだ。
付属のコンテナは2.0Lと大きく、多くの食材が入れられる。トライタン製なので、見た目よりも軽く使いやすかった。フタはツメでしっかりとロックが掛かる仕組みで、回転中に蓋が外れると停止する。なお、中央部分の蓋プラグは取り外しが可能で、食材を投入したり、タンパーを差し込めるようになっている。
「混ぜる」「砕く」機能でスムージーとスープを作る
早速、バイタミックスを使って料理を作っていこう。まずは基本となるスムージーだ。ジューサーミキサーで作るスムージーは、近年流行りのスロージューサーとは異なり食材の全てを使ったジュースとなる。食物繊維が豊富に含まれるのがポイントだが、そのままでは濃厚でもったりとした飲み口になるため、水や牛乳、豆乳などを入れてのばすことになる。
スムージーにしたい食材と氷を入れて回転をスタート。ゆっくりと回転を上げていき、最高のレベル10で数十秒回したら、サラッとした口当たりのスムージーになる。口当たりがザラザラしている場合は水分が足りないか、回転不足だ。
今回はオレンジと人参のスムージーを作ってみたが、短時間で完成した。スムージーのレシピはバイタミックスのサイトにも多数掲載されているため、好みや食材に合わせて選んだり、好きにアレンジして色んな味を楽しむことができそうだ。
個人的に好みだったのが、「豆乳と枝豆の冷製ポタージュ」だ。市販の冷凍枝豆と豆乳、塩、胡椒を入れるだけで、枝豆の香りが堪能できる冷製スープが簡単にできる。朝食メニューの一つに最適で、何度も作るほどに美味しかった。なお、撹拌時間を5~6分にすると温かいスープにもできる。
野菜のみじん切りや大根おろしなど下ごしらえに大活躍
バイタミックスの使い方として便利だったのが、食材を細かくする「刻む」という機能。いわばフードプロセッサーのように使う方法だ。例えばキャベツをみじん切りにしたい場合、コンテナに水を入れてその中にある程度の大きさにカットしたキャベツを入れる。この状態でダイヤルを最高速にして、ほんの数回、押すだけでいい。
水と一緒にキャベツが回転しブレードに切り刻まれて、みじん切りのキャベツができあがる。たったの数秒だ。あとはコンテナからザルにあけて、水を切るだけでいい。山芋などはぶつ切りにして、コンテナに入れ、低速からゆっくり高速回転にしていくとなめらかな状態になる。これらを合わせるだけで手軽にお好み焼きができた。
さらに、使用頻度がたかかったのが玉ねぎのみじん切りだ。スピード4~5で回転した状態で、蓋プラグを開け、そこから、1/4カットの玉ねぎを落としていく。すると一瞬でみじん切りが作れる。みじん切りになった玉ねぎはコンテナの壁に張り付くため、それ以上潰れることもない。小型のフードプロセッサーにたっぷりの玉ねぎを入れたときのように、上手くみじん切りにできなかったり、大きさがバラバラになるといった失敗もないこの方法は多くの食材で利用できる。
人参やピーマンなどの野菜だけでなく、脂身の少ない肉もみじん切りにできる。野菜の場合は、コンテナに水を入れてザルにあけるだけでかんたんにキレイに取り出すことが可能。肉の場合はスパチュラなどを使って取り出すことになる。なお、玉ねぎと鶏肉を同時に入れて肉団子を混ぜるまで一気に行なうことも可能だ。
パスタソースや米粉のマフィンを作る
バイタミックスがあるといろいろなメニューを手作りできる。例えばパスタソースだ。生のバジルの葉があれば、オリーブオイルやナッツ、粉チーズなどと一緒に撹拌するだけで簡単にバジルソースが作れる。
材料をコンテナに入れてペーストにしたら、あとは塩コショウで味を調整してパスタに絡めるだけでいい。市販のソースとは別次元の濃厚なソースができあがった。あとは生クリームを足せるほか、オイルの量で味や口当たりの調整ができる。
また、作ってみて面白かったのが、米粉を使ったマフィンだ。コンテナに生のお米を入れて、回すだけで簡単に米粉が作れる。あとはそこに牛乳や卵などのマフィンの生地材料を入れて再び混ぜ合わせるだけ。小麦粉不使用のグルテンフリーマフィンの生地が完成する。後は具材を合わせてマフィンの型に流し込みオーブンで焼くだけ。生地の下ごしらえはバイタミックスだけでできるため手間もかからなかった。
なんとアイスクリームもできる!
筆者がバイタミックスに惚れるきっかけになったメニューが「アイスクリーム」だ。コンテナで食材を混ぜるだけでなんとアイスクリームができる。初めて作ってみたとき、そのできあがりの美味しさに「そんなバカな」と思わず笑ってしまったほどだ。
このとき作ったのは「ピスタチオのアイスクリーム」。材料は非常にシンプルでピスタチオとカシューナッツ、牛乳とハチミツそして氷だけだ。これらをコンテナに入れて混ぜるだけでいい。回転させすぎると緩くなってしまうので、冷たさとなめらかさのバランスの良いところで止めるのがポイント。
できあがりはまるで有名店で食べるピスタチオのジェラートのような味。使用するハチミツによって、甘さやコク、風味が大きく変わるため、それを楽しむのもいい。ほかにも基本のバニラアイスから小倉、チョコミントまで様々なレシピが公開されている。スムージーや食事メニューだけでなくデザートまでバイタミックス一つでカバーできるのだ。
他のジューサーミキサーとは一線を画す孤高の存在
数カ月の間バイタミックスを使っていろんな料理を作ってみた。感想としていえるのは、とにかく楽しかったということだ。
何か作ろうと思った時バイタミックスのレシピを検索すると、最低でも下ごしらえができ、メニューによっては最後まで完成させられることが多い。実際に使うまでは「ただ混ぜるだけ」「スムージーを作るだけ」だと思っていたことを反省したくなった。キッチン周りの使いやすい場所に置き、メニューに応じてさっと使うのがポイント。使う時だけ取り出すといった収納型は難しそうだ。大きく重いからこそ、定位置を定めて活用したい。
今回使った「Vitamix A3500i」はプログラムメニューのある高性能モデルだが慣れればプログラムなどがないモデルでも問題ない。最終的には食材の種類や量に合わせて調整しながら使うことになるので、まずは入門モデルからスタートするという使い方も良さそうだ。
実際に使う上での注意点が大きく2つある。1つは置き場所だ。ハイパワーで回転するため、安定した場所に最低でも203×279mm(幅×奥行き)のスペースが必要となる。日本のキッチンではこの置き場所が大きな課題となる。
そしてもう1つが、動作音が大きいことだ。特に最高速で回転したときの音は非常に大きい。温かいスープなどを作る場合、最高速で長く回すことになる点に注意したい。なお、バイタミックスを完全に覆うサイズではあるが専用のアクリル遮音ケースもある。
それでもバイタミックスには魅力がある。「混ぜる」「砕く」「冷やす」「刻む」「温める」「挽く」「つぶす」「攪拌(こねる)」の8つの使い方ができるため、毎朝のスムージーからランチで食べるパスタのソース、そしてディナーメニューの様々な下ごしらえ、そしてデザートまで1日の料理のありとあらゆる場面で活躍する。
置き場所と動作音に問題がないなら、バイタミックスはぜひおすすめしたい。料理が楽になるだけでなく、よりヘルシーで、楽しくなることは間違いない。