家電製品レビュー

工事の要らないエアコンが超涼しくて快適! 暑~い作業スペースに置いた

ハイセンスジャパン「スポットエアコン HPAC-22D」

前々から興味があった「スポットエアコン」。必要な場所に移動して使えるポータブル冷房で、ポータブルエアコン、ポータブルクーラーなどとも呼ばれています。今年あたりはぜひ導入したい! と思いましたが、運良く最新スポットエアコンを試用する機会を得ましたので、実際に使ってレビューしたいと思います。

今回使ったのはハイセンスジャパンの「スポットエアコン HPAC-22D」。6月10日に発売されたばかりの最新モデルで、オープンプライスですが、記事掲載時点の実売価格は4万円前後といったところ。

必要に応じて設置場所を容易に変えられるポータブルなスポットエアコンです。電源はAC100V(コンセント)。必要に応じて付属の排気ダクトパイプを接続し、熱気を帯びた排気を室外に排出して使います

なぜスポットエアコンに興味があるかと言えば、拙宅内で「ここにエアコンを設置したいな〜」と思う場所があるからです。それは作業スペースがある5畳ほどの玄関なんですが、そこで自転車(e-bike)いじりをはじめとする各種作業をします。

その玄関スペース、晩秋〜冬〜早春は問題ないんですが、梅雨〜夏〜秋口にかけて「とにかく暑い」んです。換気しにくい間取りでもあり、熱気や湿気がこもりがち。真夏などは5分も作業すれば汗だくって感じ。

玄関内は自転車置き場を兼ねた作業スペース。梅雨〜夏〜秋口は暑〜い!

じゃあこの玄関にエアコンを設置しちゃおうか、と思ったりするわけですが、暑いのは1年で4カ月間くらいだし、毎日作業するわけでもないし。それに壁にエアコンを設置となると、配線やら穴あけやら工事も必要になりますし、ん〜そこまでは……という感じ。

そうして汗だく作業を我慢していたある日、ホームセンターに行ったらスポットエアコンが展示されており、稼働していました。で、その風を浴びてみたら「あら涼しい!!!」と実感。「こんなに涼しいものなのか!!!」と驚きました。ですが業務用で大きめで外見がイカツくてお値段も張り、「これを買うなら素直に壁エアコン設置の方が現実的かも?」と思いました。

でも最近ではお手頃価格の家庭用スポットエアコンが多数あります。外見的にも一般家庭で使うに違和感がないものが増加中。そんなわけで、今時的なスポットエアコンに興味津々なのでした。

普通のエアコンとスポットエアコンは何が違う?

まずは「スポットエアコン HPAC-22D」がどんな製品なのかを、写真とあわせて見ていきましょう。

本体サイズは300×330×670mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは21.5kg。電源はAC100V(50/60Hz)のコンセントから取ります。定格消費電力は620W/720W(50/60Hz)で、冷房能力は2.0kW/2.2kW(50/60Hz)
上部はテーブルより少し低いといった感じ。比較的に狭いスペースに置けますが、使用時には吸排気するため周囲にある程度の空間が必要です。重さは21.5kgありますので、持ち上げて移動するのはけっこう大変。でもキャスター付きなので、フローリング床上を移動させるのは容易です

HPAC-22Dは置いて電源コードをコンセントにつなげるだけで使えます。コンセントにつなげて電源を入れれば、数分で冷気を放出し始めます。吹き出し口のルーバーやフラップの向きを(手動で)変えれば、風向を上下左右に調節できます。

なお、運転モードはクーラーとして使える「冷風モード」、除湿ができる「除湿モード」、送風のみ行なう「送風モード」があります。操作は本体前面上部の操作部を直接操作してもいいですし、付属のリモコンからでも行なえます。

本体上部のボタンで直接操作できます
付属リモコンを使っての操作も可能
リモコンの操作部はバックライト付き。リモコンには温度センサーが内蔵されており、運転モードを「i FEELモード(体感周囲温度感知)」にすると、リモコン周囲の温度を基準として自動で温度調節されます

ところで一般のエアコンは、空気を冷却する際にドレン水という水分が生じます。空気中の水分が結露して流れ出すわけですが、一般のエアコンの場合はこのドレン水を屋外に排出しています。室内に湿気としてあった水分を屋外に流し出しているわけですね。

では、HPAC-22Dはどうしているのか? HPAC-22Dは水捨ての手間がないノンドレン方式です。具体的には、本体内部に生じたドレン水を本体内熱交換器の熱によって蒸発させ、本体背面から排気とともに排出しています。

ただし、湿度が高い状況下でHPAC-22Dを使った場合、ドレン水の蒸発が追いつかず、本体内に水がたまってしまうことがあります。その場合はエラー表示がなされ、排水口(排水ドレン栓)を開いて水を捨てる必要があります。

背面。赤く囲った部分が排気口で、それ以外は吸気口(本体左側面上含む)
下部に排水ドレン栓

スポットエアコンは、一般のエアコンの室外機を本体に内蔵しているエアコンなので、エアコン使用時は本体の排気口から熱を帯びた排気が出てきます。熱交換によりいったんは水となった室内の湿気は、本体内で蒸発して排気口から排出されます(ノンドレン方式)。本体背面下部には排水口(排水ドレン栓)があります。

なお、排水口に市販のホースなどをつなげて排水経路を確保すれば、連続排水が可能。連続排水にすれば内部に水がたまることがなくなり、エラーも出なくなりますので、湿度の高い場所での連続運転も現実的です。

満水時などの排水方法

電源につなげば即使えるHPAC-22Dですが、そのままだと排気口からの熱気が室内に流れ出て、室内に熱がこもってしまいます。ガレージなどで使って「一時的に人に冷気が当たればいい」というだけなら、今回説明したような状態で使ってもいいのですが、多くのケースで付属の排気ダクトを使うことになるでしょう。

排気ダクトは、本体の排気口につなぐフレキシブルなパイプです。排気ダクトの先は窓などに接続。排気ダクトの中を流れた熱気は屋外に排出されるというわけです。

付属の排気ダクトを本体に接続した様子。本体背面排気口からの熱を帯びた排気を、窓などから室外に放出するためのフレキシブルパイプです。排気ダクトの長さは35〜145cmに調節でき、ダクト直径は13cm

排気ダクトと付属の窓パネルなどを使えば、縦幅60〜150cmの引き戸タイプの窓にHPAC-22D用の排気口を設けられます。本体からの排熱を効率よく屋外に排出できて、冷房や除湿の効率がより高まります。

付属の排気ダクトや窓パネルなどを使い、HPAC-22Dからの熱を帯びた排気を窓から屋外に排出しているイメージ。縦幅150〜190cmの窓の場合、別売の「窓延長パネルセット(部品コード 2195615)」が必要

多くの家庭用スポットエアコンが、これと同様の方法で熱気を屋外に排出するようです。しかし拙宅には残念ながら引き戸タイプの窓がほとんどありません。玄関の窓が引き戸タイプですが、高さが190cmを超えてしまい、上のイメージのように「窓からのスマートな排気」ができませんでした。

しかし試してみると、排気ダクトの先を開いた窓の外に出すとか、ドアの隙間から隣室に出すとかしても、そこそこの冷房/除湿効率アップにつながりました。HPAC-22Dからの排気がそのまま室内に放出されるより、排気ダクト経由で別の場所に排気した方が、ずっと快適に使えるという印象です。

予想以上の涼しさで汗だくにならない! 動作音の印象は?

それでは、スポットエアコン HPAC-22Dを実際にしばらく使ってみた印象をお伝えします。筆者的結論を先に書くと、「しっかり涼しい」「強力に冷える」「汗だくとはオサラバ」という感じ。予想以上に冷えてくれて、必要な場所への移動もわりあい容易。「とにかくこの場所で汗をかかずに作業したい、過ごしたい」というなら確実にその願いが叶います。

前述の「梅雨〜夏〜秋口にかけてとにかく暑い玄関スペース」でHPAC-22Dを使っている様子。6月後半の夏日で、いつもなら15分で確実に汗だくとなり、30分くらいで作業断念って感じの状況でした。HPAC-22Dを稼働させると5分ほどで涼しさが生じ、10分もすると汗などかかず快適に作業できる状態に。直接的に冷風を浴びると寒いほど。5畳ほどの玄関ですが、HPAC-22Dだけで十分な冷房効果でした
排気ダクトは細く開いた窓へと向けました。網戸越しの排気なのでメーカーは推奨しない使い方ですが、排気は網戸に支障を与えるほどは温度が高くならないので、たぶんこんな使い方でも大丈夫だと思います。「冷風モード」でエアコンとして使っている時の排気の温度は、人肌より少し高温という感じ

淡々と印象を書いている筆者ではありますが、あの暑い玄関でスポットエアコン HPAC-22Dを使った気分は「すっげ〜涼しい〜!!!」「ヒッジョーに快適♪」「うっひゃ〜!」といった感じ。玄関スペース暑い問題が一気に解消して大興奮&大満足です♪

HPAC-22Dから吹き出す冷気、しかも湿度が低い乾いた冷気は、暑い季節の作業を物凄く快適にしてくれます。「ここに冷房があればなぁ」とボヤいている人の多くを喜ばせる効果があると思います。いや〜イイですわ〜最高ですわ〜HPAC-22D。

ただし、人によっては「これはイヤ」となる要素もあります。例えば送風。風量は「強」「中」「弱」がありますが、弱でも「ゴォォ〜」みたいな感じでけっこうウルサい。強にすると「ゴオオオオォ〜」と、かなりの音。暑い時にこういう強い送風があるのはありがたいのですが「もう少し弱い送風もあればいいのにな」と感じることも少々ありました。

使用中の音も同様で、熱交換器の動作音なのでしょうか、スーパーの生魚や肉が置いてあるあの冷蔵庫より少し大きいかも的な音がすることがあります。熱交換器オンオフ切り替え時に鳴っていると思われるノイズもあります。もちろん温度設定により騒音のレベルは異なりますが、「しっかり涼しくしたい」と思って使う多くのケースでそれなりの騒音が出るというイメージです。

また、排気ダクトをつなげていると、ダクト内を流れる空気の風切り音のようなノイズも生じます。多めの送風、近くで動作する熱交換器、そしてダクト内を流れる空気の風切り音。率直なところ、「静かに涼しく」という快適さは求められないと思います。「とにかく涼しく」ならオススメですが、静かさまで求めるなら壁に据え付けるエアコンの方が明らかにいいと思います。

まあ、普通のエアコンの室外機が本体内にあるようなモンなので、こういった騒音はしょうがないんでしょうね。普通のエアコンと比べたら「かなりの騒音」という感じですが、肉体的作業中になら我慢/無視できるレベルの騒音だと、筆者の感覚では思います。また筆者は、「あの暑さの苦痛を皆無にできるなら、このくらいの音はヘーキ」って感じでもあります。

ただ、人によっては「こんなに騒音がしてはダメ」となるかもしれません。なので、購入を考えるならそのあたりを十分吟味してください。

スタパ齋藤