家電製品レビュー
まとめ買いストレスが激減! スマホで在庫がわかる冷蔵庫「スマートストッカー」
2021年5月21日 07:00
日立グローバルライフソリューションズから3月に発売された、冷蔵庫の在庫管理ができる「スマートストッカー R-KC11R」。内容積113Lの小型冷蔵庫のようなものだが、庫内に重量センサーを搭載し、アプリを使って在庫管理ができるという。このコロナ禍でまとめ買い需要が増えた今、買い過ぎやストック切れを防いでくれそうな本製品を1カ月ほど使ってみたので、使用感をお伝えしたい。
自炊が増え、ストック管理に悩んでいた
新型コロナウイルス感染症が終息する気配を見せることなく、1年が過ぎた。もともとフリーランスで仕事をしている筆者にとって、在宅ワーク自体は以前と変わらぬライフスタイルだが、やはり自宅で食事する頻度が増えたことで、食事の準備に大きなストレスを感じ始めている。
そもそも筆者は食品の在庫管理が苦手なので、以前から使い切れる分だけ買うようにしていた。それをしっかり使い切り、冷蔵庫の中がスッキリすることに達成感を感じていたのだが、コロナ禍になって明らかに在庫が追いつかなくなってきたのだ。
そんなタイミングで仕事が忙しかったり、体調が悪かったりして買い物に行けなかった日は、冷蔵庫を開けても夕飯の材料になりそうなものが見つからず、結局出前を取ることも少なくない。
せめて栄養バランスを崩さないように、と以前から続けているヨーグルトと野菜ジュースも、なくなってから買いに行く、という悪いクセが治らない。そしてストックを切らすたびに、「どうして私はもっと計画的に買い物できないんだろう」と自己嫌悪に陥ってしまう。
そんな状態だったから、日立グローバルライフソリューションズから、冷蔵庫の在庫管理ができる「スマートストッカー R-KC11R」が登場すると聞いたとき、「まさに今の私の悩みを解決してくれるものかもしれない」と飛びついた。と同時に、「これが商品化されるということは、私同様に在庫管理がうまくできない人が多いのかも」と少し安堵もした(笑)。
冷凍/冷蔵/常温で切り替えられるマルチな「食品保管庫」
ところで先ほど「スマートストッカー」を“冷蔵庫”と書いたが、正確にはただの冷蔵庫ではない。保存したい食品の内容に合わせて、庫内の温度を約−18℃の「冷凍」、約2℃の「冷蔵」、約15℃の「常温」に切り替えられるマルチな食品保管庫なのだ。
温度帯が変えられるというのは、日立冷蔵庫の上位モデルKXタイプに搭載している「ぴったりセレクト」と同じ発想。KXタイプの場合、冷蔵庫本体の中段と下段の引き出しのうち、どちらを冷凍室にしてどちらを野菜室にするか(両方とも冷凍室も可)、自由に切り替えられるため、使用頻度が高いほうを使いやすい中段に設定できるメリットがある。
一方、スマートストッカーの場合は、「購入当初は冷凍食品が多かったけれど、最近は冷蔵品が多い」「常温で管理したい食材が増えてきた」など、ライフスタイルの変化に合わせて、柔軟に切り替えられるというわけだ。
さらに「冷蔵」が約2℃と通常の冷蔵庫より低温なのは、KXタイプなど上位モデルに搭載した「まるごとチルド」機能を踏襲しているから。低温なので食品の鮮度が一般的な冷蔵庫温度より長持ちするほか、湿度も約80%と高めで、一時保存のサラダなどはラップをせずに保存ができる。
しかしマルチなぶん、どの温度帯で使うか、悩ましいところだ。まとめ買いを考えたら冷凍か、でも鮮度が長持ちするので、冷蔵品を多めに買ってもいいか……どちらも捨てがたい。まあ、実際に使ってみてから切り替えることもできるのだから、まずは冷蔵で使うことにした。
コンパクトとはいえ、家具のような大きさのものが狭い住まいに追加されるのだから、置き場所は慎重に検討しなくてはいけない。筆者宅でも、邪魔にならないようにリビングの隅の方に置こうとも思ったが、使い勝手を考えて、リビング・ダイニングの中心に置いてみた。
実際に置いてみたところ、邪魔になるどころか、スタイリッシュなフラットデザインでインテリアが引き締まった。鋼板ドアは高級感がありながら主張しすぎない控えめなシャンパンカラー。サイドはブラウンのツートンになっていて、どの角度から見てもカッコいい。このデザインなら、どんなインテリアにも合わせられそうだ。
オイコスや野菜ジュースの在庫切れを防止
スマートストッカーの在庫管理方法は、重量の増減だ。庫内トレイの2段目と5段目に重量センサーが搭載され、重量の増減がWi-Fiで連携したスマートフォン上の専用アプリ「日立冷蔵庫コンシェルジュ」で確認できる。
実際にどのように表示されるのか、さっそく使ってみよう。筆者がスマートストッカーで在庫管理したいと思っていたのは主に、ヨーグルトと野菜ジュースだ。ヨーグルトは「オイコス」という水切りヨーグルトで、タンパク質が豊富なため、朝食代わりに食べることが多い。
また野菜ジュースも、食事前に飲むと血糖値の上昇を抑えると聞き、食事に野菜が足りないと感じたときは飲むようにしている。いずれも切らしたら困ってしまう食品だが、賞味期限も長いので、まとめ買いに向いている。
ヨーグルト20個以上、野菜ジュース(720ml)は8本入った。これ以上ストックしたい場合、上の段のトレイを外し、高さを確保してもいい。2段目と5段目に重量センサーを設置したのは、その意図もあるそうだ。なお、それぞれの耐荷重は15kgとなっている。
この状態からアプリを設定してみる。在庫の管理方法としては、この状態を100%とし、在庫が減って重量が軽くなるとアプリ上で表示され、設定した一定数より少なくなるとアラームとして通知される仕組みだ。
「最後の1個」でモメることも防げる?
ではこの後、アプリ上でどのような変化が確認できるのだろうか。いくつか取り出したところで、アプリを確認してみた。
このように在庫の様子が手に取るようにわかるのはおもしろい。自分は何も考えずに食べているだけなのに、それをちゃんとチェックして記録してくれる、優秀な秘書のようだ。仮に自分が食べていなくても、減ったらアプリでわかるので、「まだあると思っていたのに」「最後の1個を食べたら、ちゃんといってよね!」といった小競り合いも減りそうだ。
ではいよいよ25%を切るとどうなるのか。中身を減らしてアプリを見てみると、残量が「21%」と赤字で表示され、グラフでも「残量が少なくなっています」と表示された。同時に、スマホにも通知が来るので、うっかりの買い忘れは防げそうだ。
ここで便利なのが、購入サイトの登録だ。あらかじめいつも購入するサイトを登録しておけば、残量が減ったのがわかった段階で、購入手続きをさっとできる。
ちなみに今回は短期間の使用だったが、長期的に使うことで、消費サイクルの把握にもつながるのではないかと思う。例えば20個買ったヨーグルトがだいたい1週間でなくなるとわかれば、毎週20個の定期購入にするのもいい。
冷凍に切り替えて、宅配弁当や冷凍食品の在庫管理にも
今回は冷蔵で使ってみたが、実は冷凍食品の管理の必要性も感じていた。忙しいときにも、さっとチンして食べられる冷凍食品も多めにストックしたいが、そもそも冷凍室は狭いので、あまり多くは入れられない。
しかも最近、低糖質なのにおいしいと評判の宅配弁当「nosh(ナッシュ)」を利用し始めているのだが、これまたかさばるのだ。
そこでいったん、ヨーグルトなどを自宅の冷蔵庫に移し、温度設定を冷凍モードに切り替え、十分冷えたところでnoshを入れてみた。幅があるので、横に2つ並ばなかったのは残念だが、1段目のトレイを外せば、8〜9個は積み重ねられる。
noshは基本的には定期購入だが、不要なときはいつでもスキップできるので、減り具合をアプリで管理しながら、ある程度減ったときに購入する、という使い方が便利だ。ちなみに5段目には冷凍チャーハンや冷凍パスタを入れておいた。息子が急にお腹が空いたときに食べてもらう用として、これまた重宝した。
「名もなき家事」の軽減や防災備蓄の管理など、筆者には必要な機能だった
スマートストッカーを使って1カ月、最初は戸惑いもあったが、使い続けるうちに、スムーズに使えるようになった。特にストック管理するものが決まった後は、必要に応じて消費期限などの設定はできるものの、基本的には操作は不要。いつも通り使っているが、在庫が減ったらお知らせしてくれる、というイメージだ。
これによって、いわゆる「名もなき家事」が一つ減った。在庫管理が苦手な筆者にとって、適量を用意しておくことが実は難しい。買い過ぎれば冷蔵庫がごちゃごちゃになって、何があるかわからなくなり、買わないと当然、ストック切れで食べたいときに食べられない。
今までは主婦である筆者が管理するのが当たり前だったが、このアプリは家族で共有できるので、家族が外出先からチェックして、帰りに買ってきてくれてもいいのだ。そう、自分で食べるものは自分で買えといいたい(笑)。
また適度なストックは防災備蓄の観点からも重要だ。10年前は東日本大震災のとき、流通が滞ってお店から食品が消え、最近でも自粛需要でスーパーの棚から物がごっそりなくなったこともあった。こんなとき、多少日持ちする食品を多めに用意しておけば、当面は困らない。筆者のように、冷蔵庫をスッキリさせて満足していては危険かもしれない。
単純に、セカンド冷蔵庫(冷凍庫)はあると便利だ。でもそれに加えて在庫管理ができる「スマートストッカー」は、変化しつつある今にマッチした新時代の冷蔵庫といえるだろう。