家電製品レビュー

進むべき方向をシンプルに指し示す、自転車用ナビゲーターでもう迷わない!?

目的地までの方向をシンプル表示で示す自転車用ナビゲーター

仕事でもプライベートでも、目的地までの距離が約10km前後であれば、自転車で移動することが多い。東京都内であれば、例えば山手線の上野駅から浜松町駅までの距離は、だいたい平行して走る昭和通りや中央通りを通れば、約9km。自転車で気軽に行ける場所は、意外と広いのだ。

ただし、もともと江戸城の城下町だった東京の都心部は、そのなごりで道が直線的ではない。「あっちの方かなぁ」と、なんとなく走っていると、目的地からかなり離れてしまうことも少なくない。

そこで、スマートフォンの地図アプリは、とても役立つ。

とはいえ、スマートフォンの地図アプリを常時確認するのは面倒でもある。何より、自転車の走行中にスマートフォンを使用するのは、道路交通法で禁止されている。スマートフォン用のホルダーなどを取り付ければ“走行中の使用”は避けられるが、やはりLINEなどのメッセージが来れば読みたくなるし、電話がかかってくれば取りたくなってしまう。もちろん、自転車を降りて確認すればよいだけなのが、それがなかなか……ね? ……という方も多いのではないだろうか?

自転車走行中は、気になるスマートフォンをカバンの中などにしまっておきたい。それでいて、地図アプリのナビ機能を使いたい。そんな方に気になる製品が、きびだんごが販売している「BeeLine Velo(ビーラインヴェロ)」だ。

ビーラインヴェロは、スマートフォンの専用地図アプリと連携させて使う自転車用ナビゲーター。価格は20,727円。

専用地図アプリで設定すると、目的地までの方向と距離を、ディスプレイ上に表示してくれるもの。ディスプレイに表示されるのは、方向を示す矢印と、距離を示す数値だけ。気を引くような、ほかの表示が皆無なため、画面ではなく自転車走行に集中しつつ、どの方向へ向かえば良いのかが把握できるのだ。

留意しておくべきは、本機は、常にスマートフォンの専用アプリを起ち上げておく必要があること。本機単体では使えないデバイスだ(バックグラウンドで動作させておけば良いので、画面を表示させておく必要はない)。

さっそく送られてきた箱を開ける。本体はやわらかいラバー素材のケースに包まれている。懐中時計のように、パカッとフタ状になっているケースを開くと、黒いデバイス部分が現れる。さらにデバイス部をラバーケースから外すと、充電用のmicro USBの端子が、本体側面に配置されている。

ビーラインヴェロを箱から出したところ

はじめに充電をしつつ、その間に専用アプリ「Beeline Bike Navigation」をスマートフォン(iPhone)にダウンロードしておく。

アプリを起ち上げると、デバイスを探し始めるので、そのまま待って、ペアリング(接続)設定に進む。アカウントを設定すれば、アプリ側の準備は終了だ。

続いてアプリで、目的地を設定する。使い方はGoogleマップなど、一般的な地図アプリと使い方は大きく変わらない。最初に表示される画面の「目的地を探す」をタップすると、現在地を中心とした地図が現れる。行きたい場所をタップすると、現在地からの推奨ルートが自動で提示されるので、あとは画面内の「Go」をタップすれば、ナビが始まる。

目的地によっては、複数のルートから選択できる。ルートごとの距離と予測所要時間も表示されるので、それらを勘案して、どのルートをナビゲーションするかを選べる。

アプリの「Go」をタップすると同時に、連携しておいたビーラインヴェロ本体の画面にも、矢印や、次の曲がり角までの距離と方向などが表示される。

アプリを起動させた時の画面には、前回設定した目的地などが表示されている(左)。「目的地を探す」をタップすると、現在地を中心とした地図が表示される。画面下部の「どこへ?」と表示された検索窓に、駅名や会社名などを入力して目的地を設定することもできる
地図を拡大して、行きたい目的地付近をタップすると、自動で現在地からの推奨ルートが表示される。あとは画面下部の「Go」ボタンを押すだけ。同時に本機に、矢印や距離などが表示される
設定した目的地によっては、複数のルートが提案される。その場合は、好みのルートを選択して「Go」をタップする

本体を手にして、はじめに戸惑うのは、電源ボタンらしきものが無いこと(ディスプレイの上下左右の4カ所に、操作用のタッチ式ボタンはある)。これは本機が常にスリープ状態にあるためだ。Bluetoothが届く範囲で専用アプリを立ち上げると、スリープが解除され、アプリで目的地を設定すれば、本体ディスプレイに矢印などが表示される。

また、電源オフ操作もできない……というか、スマートフォンとのペアリングが外れて30秒が経過すると、自動でスリープ状態になる。改めて使いたい場合には、アプリを立ち上げればOK。再度、自動でペアリングされ、アプリで目的地を設定すれば、本体ディスプレイに矢印などが表示される。

スマホを見なくても、向かうべき方向が気軽に確認できる!

実際に取り付けてみた。説明書には自転車のハンドルバーへの取り付け方法が書かれておらず、取り付け方法に少々とまどった。

取り付け方は、まずラバーケースのデバイス部が収納されていない方のカップ(くぼみ)を、ハンドルバーの設置したい場所に置く。次に、デバイス部が収納されたカップ側を、ハンドルバーを巻くようにくるりと一周させる。あとは、デバイス部が入っていない方のカップに、デバイス部が入っているカップをはめ込む。これだけで、かなりの振動があっても、簡単に外れることはない。

筆者はハンドルバーに取り付けたが、ステム部分にも取り付け可能。

本機を取り付けたところ

自転車を走らせていくと、進むべき方向と同時に、次の曲がり角で進むべき方向と、その曲がり角までの距離がカウントダウンされていく。

位置情報は、スマートフォンのGPSが使われているため、本機に表示される方向指示や距離などは、スマートフォンの性能に依存する。筆者はiPhone 7を使っているが、最も確認する頻度の高い、次の曲がり角までの距離を見ている限り、かなり正確な数値が表示されていると感じた。

そのため、推奨ルート通りに自転車を走らせる限りでは、道に迷うこともなく、スムーズに目的地にたどり着けた。

もし、ルートから外れた場合は、しばらくするとルートが再検索される。もしくは、本機ディスプレイ部の下部のボタンを押すと、すぐにリルートされる。

また、日が暮れてからの走行に関しても、ディスプレイの視認性は高い。むしろ、モノクロのシンプルな表示のため、日差しの強い中よりも、夜の方が見やすい印象も受けた。

夜間はバックライトで、表示が見やすい

なお、案内モード時には、いま通っているルートが「良いか/悪いか」、「気に入ったか/気に入らなかったか」の判定を行なえる。マイナス評価することで、次回からは、当該ルートを回避するようになるという。

ルートが気に入ったかどうかを判定すると、次回からユーザーの好みが反映されていく

購入の決め手は、アプリ推奨ルートとの相性

ビーラインヴェロは、専用のナビアプリの情報を受け取って、シンプルに表示するデバイス。そのため、ビーラインヴェロ単体では使えず、常にスマートフォンの地図アプリを起動させておく必要がある。当然、一般的な地図やナビアプリを起動させているのと同様に、スマートフォンのバッテリーが消費されていく。

シンプルな表示で、進むべき方向を示してくれるのはうれしい。使い始めこそ、表示されている方向と、次の曲がり角までの距離が、どれくらい正確なのか測りかねたが、何度か曲がり角を通過すると、すぐに慣れた。

最終的に、ユーザーにフィットする製品かどうかは、専用の地図アプリとの相性で決まると言ってもよいかもしれない。アプリで推奨される道と、自身が通りたい道とで、どれだけ差異が少ないかなどが重要な気がした。

ユーザーの、専用アプリで推奨されるルートとの相性が非常に重要

専用アプリで提案される道は、Googleマップで言えば「自転車」で経路検索した場合のルート。大通りを優先して使うルートが表示される。筆者は、のんびりと自動車の少ない道を通りたいため、より裏道に近いGoogleマップで言えば「徒歩」ルートを指定してもらいたいと思った。

このあたりの、推奨されるルートの好みに加えて、表示される内容などは、ビーラインヴェロ本体の購入前に確認しておきたい。確認方法は簡単。本体を購入していなくても、専用アプリ「Beeline Bike Navigation」で、ほぼ再現できる。ビーラインヴェロ本体に表示される「矢印」画面も用意されているのだ。

デバイス自体については、何も問題なくとても見やすい。あとはアプリを事前に使って、自分との相性が良いかどうかを確認しておこう。

専用アプリで、事前にどのようなルートが提案されるか、どういった表示がされるのかを体験できる
河原塚 英信