家電製品レビュー

家のニオイを狙い撃ち除去! 小さくてスマートな空気清浄機「P1」

Smartmi「小型スマート空気清浄機 P1」はどうスマートに使えるのか

できるだけ気を付けていたとしても、普段通りの生活を送っているだけで自宅のあちこちがニオイの元になってしまうものだ。料理するときもそうだし、暖かい季節になるとゴミのニオイにも悩まされる。それに、トイレのニオイもやっぱり気になってしまう。筆者の後にトイレに入った娘は、だいたい「クサッ!」と大声で、大げさに叫ぶのだ。あれ、絶対に家の外まで聞こえているからやめてほしい。

そんな風に、ときどき、まれにクサかったりすることもある我が家をなんとかしようと思い、Smartmiの「小型スマート空気清浄機 P1」(以降Smartmi)を試してみることにした。スマートホーム家電で知られるプラススタイル(+Style)が5月24日に15,800円で発売(5月31日まで3,000円オフ)した同製品は、アプリ操作が可能で、他のスマートホーム機器との連動もできるのが特徴となっている。従来のフツーの空気清浄機と比べて使い勝手はどう変わるのだろうか。

持ち手付きで移動しやすい、コンパクト・高性能な空気清浄機

小型スマート空気清浄機 P1

Smartmiは、コストパフォーマンスに優れたスマートフォンで有名な中国のXiaomiグループが製造するスマート空気清浄機。日本国内では+Styleが販売する。ブラックとシルバーの2色展開で、円筒型の個性的なデザインでありながら、落ち着きのある質感で部屋の風景になじむ外観だ。ソフトな革の持ち手もワンポイントとなっている。

革の持ち手で軽々と持ち運べる

一般的なHEPAフィルターの3倍の空気清浄効果をもつという高性能な「H13 HEPAフィルター」を採用し、0.3μmの微粒子を99.98%除去するという。本体は直径約22cm、高さ約36cmの比較的コンパクトなサイズにもかかわらず、10分間で10畳分の広さの空間を清浄化する処理能力。周囲360度から空気を取り込み、上面から清浄化された空気を排出する構造で、部屋のどこに置いてあっても効果的にホコリやニオイを取り除いてくれそうだ。

周囲360度から空気を取り込む
上部から清浄化した空気を排出

天面にはタッチパネル式のインジケーターがあり、ここで電源のオン/オフ、動作モードの変更が可能で、現在の稼働状況もわかる。現在の空気中に含まれるPM2.5(煙など)やPM10(花粉など)の微粒子レベルが数値とアイコンで表され、空気の汚れ具合が視覚的に、シンプルに把握できるようになっているのだ。

天面のインジケーター
タッチパネル式で、指で触れて操作可能

本体重量は約3kgと、数字だけ見ると重そうに感じるが、コンパクトサイズなうえに持ち手があることで、軽々と片手で持ち運べる。ホコリやニオイを集中的に消し去りたいところへ気軽に移動させられるから、日中はリビングに置いておき、夜は寝室に移動してキレイな空気で安眠できるようにする、といった使い方も無理なくできる。

動作モードを「自動」にしておけば、PM2.5やPM10のレベルに応じて自動で強弱を切り替えてくれるので、いちいちタッチパネルで手動操作する手間も省ける。「強(レベル2)」の状態だとファンの音がそこそこ大きくなるものの、遠ざけたくなるほど騒がしくはない。「弱(レベル1)」ならほとんど聞こえないので、寝室にあっても睡眠が妨げられることなく、安心して使えるはずだ。

本体後部にあるセンサーでPM2.5やPM10を検知する

スマートフォンアプリ活用で、より効率的にニオイ対策

本体のタッチパネルで操作すればSmartmi単体で使うことができる。けれど、スマート空気清浄機ということで、スマートフォン向けの「+Style」アプリと連携して応用の幅を広げられるのが、やはり一番の肝。+Styleのさまざまなスマートホーム機器を制御するアプリと同じものを使えるので、Smartmiのためだけにインストールするアプリを増やす必要がないのはありがたいところだ。

「+Style」アプリ

アプリではSmartmiの動作状況をチェックできるほか、電源のオン/オフや動作モードの変更、各種設定変更などが行なえる。自宅にいるときだけでなく、外出先からでもリモート操作できるという利点もある。ただ、正直にいってしまえば、こうしたリモート操作機能自体はさほど重要なポイントではないと思う。

Smartmiの動作状況をグラフィカルに確認できる

なぜなら、空気清浄機のような家電製品は基本的には動かしっぱなしにすることが多く、電源のオン/オフなどを頻繁に切り替えるようなものではないだろうからだ。仮に電源や動作モードを操作するにしても、よほど広い家でもない限りは、アプリをわざわざ立ち上げて操作するより本体を直接操作しに行った方が手っ取り早い。

であるならば、スマートフォンアプリを使った連携機能は、どんなシチュエーションで役に立つのだろうか。カギとなるのはアプリの「スマートモード」だ。これを活用して、家庭のニオイをより的確に、効率的に軽減することが可能になる。

画面下部中央の「スマートモード」をタップすると「シーン」と「自動設定」の2つの機能を利用できる

「スマートモード」で管理できるのは、指定した条件にマッチしたらSmartmiを動作させる「自動設定」と、複数の動作を一度に実行する「シーン」 の2つ。このうち「自動設定」では、決まった時間になったら電源オン/オフや動作モードを切り替えたり、Smartmiが検出したPM2.5やPM10のレベルが一定以上になったら電源をオンにしたり、といったような自動化が可能。+Styleが提供している他のスマートホーム機器との連動にも対応する。

スマートセンサーと連携させてトイレのニオイを軽減

では、実際に筆者の自宅でどんな風にSmartmiを使っているのか、活用例をいくつか紹介したいと思う。まず1つ目は+Styleの「スマートセンサー(ドア・窓)」と連携させたパターンだ。

冒頭で書いたように、我が家で一番気になるのはトイレのニオイ。もちろんトイレ室内には換気扇があり、トイレ自体に脱臭機能もあるし、芳香・消臭剤も完備している……のだけれど、それだけだといろいろ「間に合わない」こともある。そこで、気軽に持ち運べるSmartmiをトイレの近くに置き、スマートセンサーで戸の開閉を検知したときに、Smartmiのオン/オフ、もしくは動作の強弱を切り替えてニオイを軽減させることを考えた。

トイレの近くにSmartmiを設置
戸の開け閉めを検知できるようにスマートセンサーを取り付け

ただ、戸の開閉と用を足したかどうかは必ずしも連動しない。「ニオイが漂う状況になるきっかけ」は「戸を開けたとき」なのか、それとも「戸を閉じたとき」なのか。おそらくどちらのタイミングでもありうる。なので、ここでは「トイレ外へのニオイの流出を抑える」ことを目的に、「戸が5秒間開いたときに10分間“強”モードで運転し、その後自動モードに移行する」という自動設定にした。

戸を開けているとSmartmiの機能が実行
+Styleアプリでの「自動設定」の内容。「5秒間開いていたら10分間“強”モードで運転する」ように

戸を開けた瞬間に動作モードを切り替えることもできるが、それだと開閉を繰り返すだけで何度も同じ処理が実行されてしまう。「5秒間開いたとき」という条件にすることで、開いてもすぐに閉じれば動作は変わらず、そのまま開けっぱなしにしそうだったら強運転になる、という挙動にできるというわけだ。

もしくはトイレの照明を人感センサー付きの「スマートLED電球(人感)」にして、人の動きを感知したらSmartmiを動作させる、というような自動設定にすれば、より効果的なニオイ除去ができるだろう(あいにく筆者宅では電球のソケットサイズが合わなかったため使用できなかった)。

トイレの照明がE26電球対応ソケットなら「スマートLED電球(人感)」に交換して、検知タイミングでSmartmiを動作させる方法もある

生ゴミの嫌なニオイもセンサー連携で消し去る

もう1つ、スマートセンサーと連携させると便利なのは、家庭の生ゴミ処理機。電力による高熱で生ゴミを乾燥させる生ゴミ処理機は、特に夏場に悩まされるゴミの悪臭を抑えることができるアイテムだ。購入補助金がもらえる自治体もあり、筆者宅のキッチンにも以前から設置していてとても役に立っている。乾燥後の生ゴミは家庭菜園の肥料にすることもでき、ゴミの量を減らせるエコなメリットもあるのがありがたい。

Smartmiと生ゴミ処理機

ところが、生ゴミを腐らせてしまうのは防げているとはいえ、生ゴミ処理機で乾燥処理するときに独特のニオイが出ることがあるのが困りもの。間違って乾燥処理が終わったばかりのタイミングでフタを開けてしまい、その濃厚なニオイが流れ出るとわりとダメージが大きい……。

これを防ぐ方法が、生ゴミ処理機のフタ部分にスマートセンサーを取り付け、「フタが5秒間開いていたときに5分間だけ強で運転し、その後自動モードに移行する」という設定だ。しかも通常時は「自動」で動作しているので、料理中のキッチン・ダイニング周りのニオイも普段から軽減できる。

生ゴミ処理機にスマートセンサーを取り付けた。稼働中に取り付け場所が高温にならないことを確実にチェックしておきたい
生ゴミ処理機のフタを開けたときにSmartmiを稼働するように
こちらも「5秒間開いていたら、5分間だけ“強”で運転する」という設定とした

たとえば焼き肉のような、食事中はそうでもないのに、終わった後になぜか気になってしまう(そして部屋に染みついてしまうように感じる)ニオイも抑えられる。完全にニオイがゼロになるわけではないけれど、Smartmiを使いはじめてから、確実に軽減できている実感があるのがうれしい。

消したくない香りも自動化できちんと残せる

しかし、料理のニオイすべてが除去したいもの、というわけでもない。コーヒーを淹れたときの香りなんかは、むしろ部屋に充満させたいくらいだ。こういう場合は、コーヒーを淹れてからしばらくはSmartmiをあえて電源オフにしてしまうのもアリだろう。

ここで活躍するのが、+Styleの「スマート全自動コーヒーメーカー」。豆を挽いてドリップするところまですべて自動でこなしてくれるこのスマート家電を組み合わせ、「コーヒーを作り始めたらSmartmiをオフにし、1時間後に再び電源をオンにする」という自動設定にする。朝の挽き立てコーヒーの香りは残し、それを存分に堪能した後はいつも通り消臭モードへ移行する。これで爽やかな朝が持続すること間違いなしだ。

「スマート全自動コーヒーメーカー」
コーヒーメーカーでコーヒーを淹れ始めたら、Smartmiをオフにする設定

他にも、もし電源をオンにすることで何かしらのニオイ、もしくはホコリが出てしまうような電化製品があるなら、同じく+Styleの「スマートWi-Fiプラグ」と連携させるのがおすすめ。通電のオン/オフが切り替わったタイミングでSmartmiをオン/オフする自動設定を登録しておくことで、ニオイやホコリが部屋中に広がってしまうことを防げるはずだ。

「スマートWi-Fiプラグ」
サーキュレーターのように稼働させるとホコリが立ちそうなものをスマートWi-Fiプラグに接続
スマートWi-Fiプラグで家電製品の電源をオンにしたときに、自動でSmartmiを運転する設定

手元でのワンタップ操作や音声アシスタントとの連携も

ニオイやホコリとは関係ないけれど、もう1つおすすめしたいのが、天面のインジケーターの明暗を自動で調節する設定。スマートモードの自動設定ではSmartmiのインジケーターの明るさを調節することもできるのだ。夜の時間帯になったらインジケーターを暗くするかオフにして、夜間の眠りを妨げないようにし、朝の時間帯になったらインジケーターを明るくする、といった自動化が可能になっている。

Smartmiの天面のインジケーターは、夜暗くなるとかなり明るく見える
朝になったらインジケーターを明るく、夜になったら消す設定

Smartmiには、周囲の明るさに応じてインジケーターの輝度を自動で切り替える「Auto」の設定もある。けれど、自分の生活リズムに合わせて切り替えたいときや、完全に消してしまいたいときもある。特にSmartmiを寝室に置く場合は、部屋の明かりを消すとインジケーターのわずかな光でもまぶしく感じるので、こうした細かいカスタマイズ設定にもこだわりたい。

そして最後に紹介したいのが、「スマートモード」の「シーン」設定。複数の操作を一度に実行できるようにするシーン設定を利用することで、Smartmiを最小限の手間で操作できるようになる。

最初の方で説明したように、Smartmiを操作するのにいちいちアプリを起動するのは面倒だ。でも、電源操作や動作モード切り替えのシーンを登録しておけば、スマートフォンのホーム画面にウィジェットとしてそれらを配置しておける。あとはいつでもワンタップで操作可能だ。

「シーン」設定をしておくと、ワンタップで素早く操作できるようになる
ホーム画面にウィジェットとして配置。モード切り替えなどが簡単だ

また、Appleのスマートホーム技術「HomeKit」にも対応しているので、iPhoneで本体にあるQRコードを読み取ってアクセサリー登録すれば、Siriに「空気清浄機をオン(オフ)にして」と話しかけるだけで操作できるようにもなる。ちなみに+Styleアプリではなく、Smartmiの公式アプリと連携した場合は、Google アシスタントやAlexaを使った音声操作も可能なようだ。

Apple HomeKitに対応する。本体下部にあるQRコードをiPhoneで読み込むだけで準備完了だ
iPhoneに「空気清浄機をオンにして」と話しかけたところ。Smartmiを遠隔から素早く操作できる

これまでとは違うピンポイントの空気清浄が可能に

ほとんど電源を入れっぱなしにしておくことが多い空気清浄機。でも、スマートフォンアプリやスマートホーム機器、あるいは音声アシスタントと連携できるSmartmiだと、ピンポイントでホコリ、ニオイを撃退するような、これまでは考えられなかった効果的な使い方ができるようになる。

ぜひSmartmiのスマートな機能を使いこなして、日常的に発生するホコリやニオイを最大限に抑えてみてほしい。

日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。