家電レビュー

バイク用の超シンプルなナビを試す! 自転車で使っても新発見があって楽しい♪

ユニークなナビゲーションデバイス「Beeline Moto」を使ってみました。モーターサイクル用のナビですが、一般的なナビと違い、進む方向や曲がり角など道案内に必要な情報しか表示しないという非常にシンプルなナビです。

丸いデバイスが「Beeline Moto」。スマートフォンと組み合わせて使うナビ用表示デバイスで、実際に使う場合はこのデバイスをハンドル周辺などに装着。丸い画面上には「この先あと何m走ったらどうするのか」といったナビ表示が出ます。その表示だけを見れば目的地に到着できます

えっ? それだけ? ちゃんとナビしてくれるの、それだけで!? 自転車用のナビならそういう感じのはあったかもしれないけど……モーターサイクルでも大丈夫? というのが筆者の最初の印象です。

そんな少々の疑問とともに試用してみましたが、結果オーライ。画面に地図が出るナビとは使い勝手が違うものの、ナビ自体はちゃんと機能してくれました。また、このBeeline Moto独特の楽しさもありました。

実際にモーターサイクルにセットしてナビさせてみましたが、予想外に実用的で、ナビを使ったプチツーリングを楽しめました

ちなみに、このBeeline Motoは、「Beeline Velo」という同様の自転車用ナビデバイスからの派生製品だそうです。Beeline Veloはそのシンプルさから人気となり、現在は後継機種の「Beeline Velo 2」が発売されています。

ともあれ、以下にBeeline Motoの使い方や使用感などをレビューしてみたいと思います。なお、Beeline Motoは色・素材違いで何種類かあり、正規代理店直販価格は27,500円~38,500円。今回試用したのはガンメタルグレイというタイプで33,000円の製品です。

Beeline Moto、どうやって使うの?

まずBeeline Motoの使い方を少々。以下のようなものがパッケージに含まれています。

Beeline Motoのパッケージには、Beeline Moto本体のほか、モーターサイクル取り付け用ブラケット×2種、USB充電アダプター、クイックスタートガイドなどが含まれています

最初にスマートフォンに専用アプリ「Beeline Bike Navigation」(Android/iOS/iPadOS対応)を使ってBeeline Motoとスマートフォンをペアリングします。その後、ルートを検索すればすぐにナビを利用することができます。

専用の「Beeline Bike Navigation」アプリをスマートフォンにインストールし、アプリからBeeline Motoのペアリングを行ないます。ペアリング後、ルートを設定すればすぐナビを使い始められます
使えるようになりました。実際はBeeline Moto本体をモーターサイクルのハンドルなどに装着してナビさせます。スマートフォンはモーターサイクルに取り付ける必要はありません(Beeline Motoと一緒に携行する必要はあります)。スマートフォンにもルート案内が表示されますので、Beeline Moto本体と併用してもかまいません

Beeline Motoのモーターサイクルへの取り付けですが、付属の取り付けブラケット×2種類のどちらかを使います(別売・別種の取り付けブラケットも利用できます)。ここではもっとも簡単に取り付けられるラバーOリング式のブラケットを使いました。

付属のラバーOリング式取り付けブラケットを使いました。左上のマウントを、ラバーOリングを使い、モーターサイクルのハンドルなどパイプ部分に固定します
Beeline Moto本体の表と裏。表側はディスプレイで、ノングレア加工がされていますので屋外でも写り込みが少なく見やすいです。裏側はマウントやUSB充電器に固定できる形状になっています
モーターサイクルのハンドル上部にパイプがあったので、そこにマウントを取り付けました
マウントを裏から見た様子。ラバーOリングでこんなふうに取り付けました。自転車のサイクルコンピュータにもこんな取り付け方法がありますね
マウントにBeeline Moto本体を装着。本体をマウントに押し当てて45°回転させるだけで安定的に装着できます。着脱が容易なので、モーターサイクルから離れるときにBeeline Motoを外して携行するのも現実的です

スマートフォンとペアリングして使用可能したBeeline Moto本体を、モーターサイクルに装着すれば準備完了。なお、ペアリング後のBeeline Motoには以下のような表示がなされます。

ナビを開始する前の表示。気さくな感じですね
これはナビ中の表示。右前方に進み、68m程度進んだらロータリーを回る、といった案内です
時計表示も
ペアリングしたスマートフォンおよびBeeline Moto本体の電池残量も表示されます

なお、Beeline Motoの内蔵電池持続時間は、バックライトなしで約30時間、バックライトありで約10時間となっています。電池切れからは約1時間で満充電にできます。

実際にナビさせてみると……

Beeline Motoをモーターサイクルに装着し、実際にナビさせてみました。まずはスマートフォンアプリを使ってのルート設定です。

「ライド」画面の「目的地を探す」からルート設定を行ないます。ここでは青梅駅から奥多摩駅のルート設定をしてみました。現在地から目的地へ行く場合、目的地を指定するだけでルート設定が完了します
ルートは自動的に設定されます。立ち寄り地(経由地)も設定可能。通りたくないスポットを迂回するようなこともできます。専用アプリの操作感は、普通のナビアプリとまあ同じような感じです

上のスクリーンショットの1枚目と2枚目の下部に「高速」「楽しい」とありますが、「高速」にすると文字どおり短時間で目的地に到達できるルートが示されます。一方、「楽しい」を選ぶと、交通量の少ない道など走っていてより楽しめるルートが示されるようです。

ルート設定が済んだら「Go」をタップすればナビが開始されます。ナビはBeeline Moto本体で行なわれますが、スマートフォン上でアプリを表示しておけば地図入りナビとしても参照できます。

ナビが始まると、Beeline Moto本体画面上に下の写真のような表示がなされます。大きな「△」のような図形が進むべき方向、「4.6km」とあるのが次の曲がり角までの距離で「●」が次に曲がる方向です。ほか、曲がり角までのルート進捗も示されています。

ナビ中に示される案内はこの程度。音声などはありません
アプリから主な表示例の意味を知ることができます
表示例の意味はアプリの「設定」から何度でも参照することができます

では実際にBeeline Motoにナビをさせてみましょう。ここでは入間市駅を出発して青梅駅を目的地としてみました。

入間市駅から青梅駅へのナビゲーションをセット。1枚目と2枚目のスクリーンショットはルートを「高速」にしたもの。3枚目と4枚目のスクリーンショットはルートを「楽しい」にしたものです。「楽しい」のほうは裏道を通るようです
もう少し詳しく見てみましょう。「高速」のほうは関越自動車道を使うようです。確かに最短時間で青梅駅に到着できます
高速道路使用の次に短時間で青梅駅に到達できるのは国道16号線経由です
時間帯によっては混雑したりします
こちらは「楽しい」で設定したルート。詳しく見ると、圏央道の北側で並行して走る「山根通り」を走るルートです
山根通りは狭山茶生産者が多い通りで、通称「根通り」。高速道路や国道に比べたら交通量が少ないのんびりした道です
スピードは出せませんが、ワインディング的なカーブもあり、モーターサイクルでも飽きずに走れる道かもしれません

このルートは地元の道ですが、「山根通りを選ぶとは、なるほど“楽しい”かもしれない」と思いました。実はこの道とは別に、モーターサイクルで走ってさらに気分がいいであろう「茶どころ通り」もありますが、それは選ばれませんでした。ともあれ、この山根通りを使い、入間市駅から青梅駅まで、Beeline Motoをナビとして走ってみることにします。

出発後、最初の曲がり角が234m先にあると知らされました。地元なので道はわかっていますが、まだ道なりじゃなかったっけ?
ここが最初の曲がり角。あぁ確かに。一応ここ丁字路なのか。正しくナビしてくれたBeeline Motoなのでした
その後も「409m先を斜め右に」といったナビがなされます
スマートフォンアプリでもナビがなされます。ただ、通常はBeeline Moto本体だけで大丈夫だと感じられました
Beeline Motoのナビに従って、迷うことなく目的地に近づくと……。951m先でほぼ直角に右に曲がる? そんなトコあったっけ? と思ったら、目的地の青梅駅前で、まさに直角に右に曲がるのでした
そして目的地の青梅駅に到着。支障なく、また迷うこともなく到着できました。歩道を挟んで2mくらい左が青梅駅です

最初はBeeline Motoの表示に少し戸惑うこともありましたが、表示と実際の道の状況を照らし合わせると「あぁそういうコトか」とすぐ理解できます。シンプルな表示ですが必要な情報はしっかり得られるので、十分にモーターサイクルのナビを任せられました。

自転車でも試してみた!

このBeeline Moto、メーカーによると自転車でも使えるそうです。ということで自転車(e-bike)でBeeline Motoによるナビを試してみました。

手持ちのe-bikeでBeeline Motoによるナビを試してみました
ちなみに、今回のBeeline Moto試用レビューでは、ナビ中の風景を撮影するためにGoProアクションカメラを使いました。自転車のハンドルは手狭なので、GoPro固定用アーム上にBeeline Motoを装着できるかな? と思って試したらバッチリ装着可能でした。マウントはこんなふうに固定できました
マウントにBeeline Motoをセット。GoProとBeeline Motoを同じアームに固定できました
続いて、専用アプリでルートの設定。「オプション」の「ルートタイプ」で「自転車」を選ぶと、自転車に適したルートが設定されるようです。公園を出発点、目的地をホームセンターとしてみると、自転車のルートとして「高速」と「バランスのとれた」という2つのルートが提示されました

自転車のルートが2つ提示されました。このあたりは地元なのでよくわかりますが、「高速」については「ですよね、そこがいちばん手っ取り早いですよね」と思いました。ただ、この「高速」のルートは、直線的である程度スピードが出せて迷わないのはいいんですが、交通量が少なくなく、自転車が待避できる箇所も少なめ。自転車であまり走りたいと思わないルートです。

一方の「バランスのとれた」というルートは、途中まで「自転車であまり走りたくないルート」ではあるものの、そこからは裏道へと回り込んで住宅街を走るようです。地元民としては「確かにそのあたり空いてそうで自転車で走りやすそうだけど……そんな道わざわざ行く? 裏道でももう少しまっすぐな道なかったっけ?」などと思ったりしました。

ともあれナビさせてみましょう。もちろん「バランスのとれた」というルートを選びました。どんな道でしょう?

ナビ開始直後は「自転車であまり走りたくないルート」を案内されます。この日は空いてましたが、道も歩道も狭いところが多いので、自転車で走りやすいとは言い難い道です
途中まで走ると「ここを右に」という案内がなされました。「知ってる知ってる、この脇道は空いてるよね!」と同意しました
空いている道に入って少し進むと「48m先を左折」という案内が。え? すぐ近く?
150mくらい先に見えるセブンイレブンのところを左折ならわかるんだけど……そのかなり手前? どこだろう?
左折を案内されたのはココ。うわ、初めて曲がる角。その先も初めての道かも
案内どおりに進んでみると、なるほど、すごーく空いてます。静かな住宅地の真ん中って感じ。確かに安全&気楽に走れます
何度か右折と左折を案内されつつさらに進みます。けっこうジグザグに走りましたが、確かに空いている道ばかりを案内してくれている。走りやすい!
ここまで知らない住宅地の道でしたが、突然「あっココはあの交差点か!」というところに出ました。そして目の前が目的地のホームセンター
そしてホームセンターに到着

正直なところ「こんな裏道を通ってこのホームセンターに来たのは初めて!」です。前述の「自転車であまり走りたくないルート」よりも自転車で走りやすいルートはあるのですが、Beeline Motoはそれよりずっと走りやすいルートを提示してくれました。なかなかヤルな、Beeline Moto。

Beeline Motoを使って思うに、モーターサイクルや自転車で使ってみると「楽しい」や「バランスのとれた」というルートは新鮮で愉快です。普通のナビだと案内しそうにないマイナーなルートを選ぶことが多いようで、そういう道を走ると「あーこんなルートがあるんだー」と楽しめます。

また、Beeline Moto本体だけの(少なめの情報量での)ナビも、わりと実用的だなと思いました。何度かナビを試したところ、走り方によっては逆方向に行ってしまうこともありますが、そのときは自動的にリルートしてくれます。また複雑な交差点では違う道に入ってしまうこともあり、そこでもリルートしてくれるんですが、そんなときに「あーこっちに行くと道がこうつながるのか」という発見があったりします。

いつもとは違う道を案内してくれがちなBeeline Moto。のんびり気楽にツーリングをしつつ、これまでのルートとは少々違う道を案内してくれて、ちょっと新発見をもたらしてくれるあたりが楽しい。場所によっては迷うこともあると思いますが、迷ったことで思いも寄らない楽しさがもたらされたりするのは、Beeline Motoの美点かもしれません。

Beeline Moto本体は小さく、ハンドル周辺がゴテゴテしないのもいいですね。またマウントへの着脱が容易で、配線も不要。車体から離れるときはサッと取り外せるのが便利。電池もよく保つので、モーターサイクルや自転車でときどき使うナビとしてはいろいろ好都合です。

ただ、ナビに効率を求めると、Beeline Motoはちょっと使いにくい。画面上にマップが表示される普通のナビとは違い、Beeline Motoの表示と現実の場面を見比べつつ進むべき方向を判断しないといけないので、案外いろいろ考えさせられますし、ある程度の慣れも必要です。

また、ある程度慣れても、複雑な交差点や道の本数が多い場所では正しいルートを辿れなかったりします。普通のナビの場合は画面表示を信じて進めばだいたいOKですが、Beeline Motoだとそういう「わかりやすさ」や「効率」はあまり期待できません。まあ、Beeline Motoでも、複雑な道を通る時はスマートフォンをタンクバッグかなにかに装着し、専用アプリの地図表示ナビに従えばいいんですけどね。

といった感じのBeeline Moto。クルマでは使いにくいだろうなと思いますが、小回りの効くモーターサイクルや自転車とはなかなか好相性だと感じられました。興味のある方はぜひジックリとチェックしてみてください。

スタパ齋藤