家電製品レビュー

1万円台のコンパクトな電気圧力鍋「Re・De Pot」で手軽に見栄えごはん

A-Stageの「Re・De Pot 電気圧力鍋 2L PCH-20L」

近年、爆発的に普及が進んでいる電気調理鍋。鍋に食材を入れて、メニューを選ぶだけで自動調理ができるため、ほったらかしで料理が完成する。中でも電気圧力鍋は、短時間で食材を柔らかく煮込める、ご飯が炊ける、などのメリットがある。今回は数多くの製品がある中で、低価格ながら機能豊富なA-Stageの「Re・De Pot PCH-20L」を取り上げる。

A-Stageは、ピクセラグループの新しい家電ブランドだ。ピクセラはPCやスマホに装着するTVチューナーユニットや液晶テレビなどを手掛けてきたAV機器メーカーのピクセラなどを擁するグループ。「Re・De Pot」はその第一弾の家電製品として今年5月より販売が開始された。価格はオープンプライスで、直販サイトのRe・De 公式オンラインショップでは14,800円(税込)。短時間で炊けるご飯を含め豊富なメニューが作れて、比較的手ごろな価格というのが特徴だ。

もちもちのご飯が20分。炊き込みご飯や、香ばしいおこげも

Re・De Potは呼び(満水)容量2Lの内なべを内蔵する電気圧力鍋。本体サイズは288×222×244mm(幅×奥行き×高さ)。ご飯は最大4合炊飯でき、おかずは一度に2人分が調理できる。

「Re・De Pot 電気圧力鍋 2L PCH-20L」のブラックモデル。非常にコンパクトで、かさばらないフォルムなので置きやすい

調理モードとして搭載されているのは「圧力/スロー/温め/オートモード」の4つ。このうちオートモードでは、「1.白米/2.おかゆ/3.無水カレー/4.肉じゃが/5.クリームシチュー/6.鯖の味噌煮/7.豚の角煮/8.りんごのコンポート」の8つのメニューを、番号を選ぶだけで自動調理できる。

満水容量2Lの内なべ。内側には炊飯、おかず調理時の水位線が記されている。内なべの内径は約16cm
蓋の裏側に取り付ける内ぶた
蓋に配置されている圧力切替弁。加圧するときは、「密封」の位置にセットする
Re・De Potの背面。電源コードはマグネット接続となっている

まずはオートモードの「1.白米」でご飯を炊いてみた。一般的な炊飯器と同じく、内なべに水位線があるため、お米と水をセットして、メニューで1番を選んでスタートするだけでいい。加圧時間は約20分。一般的な圧力炊飯器が20kPa(沸点105℃前後)の圧力をかけて炊くのに対し、Re・De Potは最大83kPa(沸点118℃前後)の圧力で炊けるため、通常の炊飯器より早く炊けるのがポイントだ。

炊き上がったごはんは粒感を残しながらも、もちもちした食感が楽しめた。短時間で炊き上げることもあり、甘みはそれほど強くはない印象。ただし、マイコン式の炊飯器とは異なるレベルで、同価格帯の炊飯器と比べても遜色のないごはんの炊き上がりだといえる。浸し水に冷水を使ったり、20~30分程度つけ置きすることでさらに美味しさが引き出せそうだ。

内なべにお米を入れ、水位線に合わせて水をセットする
オートモード1でスタートする
粒感を残しながらも、もちもちとしたご飯がたけた

さらにRe・De Potでは玄米も短時間で炊飯することができる。Webサイトに掲載されている「ふっくらツブツブ玄米」のレシピに、浸水なしで炊けると記載されていたとおり、実際に炊いてみても短時間で玄米を炊くことができた。ただ、白米のような柔らかさはないため、食べやすさを求めるなら浸水はしたほうが良さそうだ。

白米と同じ1番のメニューで炊いた玄米。玄米ならではのプチプチした食感が楽しめた

Re・De Potの圧力炊飯機能をより活かせると感じられたのがさまざまな炊き込みご飯だ。Re・De PotのWebサイトでは購入時に付属するレシピ以外に、さまざまなレシピを追加公開している。そこで紹介されているスペシャルな「ごちそう炊き込みごはん」をいくつか作ってみた。

「ざく切りごぼうと砂肝の炊き込みごはん」は炊き込むまえに、ごぼうと砂肝を加圧調理する一手間をかけたレシピ。ごぼうと砂肝の食感、そして味の染みたごはんが非常に美味しかった。

砂肝とごぼうに味付けをして15分加圧する
汁ごと砂肝とごぼうを加えてメニュー1で炊飯する
焦げ目のついたごはんとぷりぷりした砂肝、ごぼうの食感も良い

また、同じく掲載されている豆板醤で味付けした「ピリ辛ジューシースペアリブごはん」は食べごたえのあるスペアリブとその味が染みたごはんが一緒に楽しめる1品。こちらは事前の圧力調理なしで炊ける。どちらも適度におこげができるため、その香ばしさも楽しめる。

スペアリブに豆板醤で味付けをしてごはんと一緒に炊き込む
豚肉の脂と豆板醤の辛味が染みた炊き込みご飯が出来上がった

ふたり分のおかずも短時間。無水カレー

続いておかずを調理してみよう。最初に作るのが、オートメニュー8番の「サバの味噌煮」だ。サバの半身を適当な大きさにカットして鍋に入れ、そこに味噌ダレを回しかけ、長ネギ、生姜を入れる。あとはメニューを選んでスタートするだけで、サバの味噌煮が出来上がった。下ごしらえも味噌ダレを作るぐらいなので手間がかからず簡単にできた。味もしっかり染みており、上々の出来だった。

カットしたサバ、長ネギ、味噌ダレを内なべにセットする
わずか11分の加圧調理でサバの味噌煮ができた

カレーもほったらかしで作れる。付属のレシピ集には無水カレーのレシピが掲載されている。玉ねぎなど野菜をカットして鍋に入れ、圧力調理したあと、カレールーを足し、溶かすだけでカレーができる。

注意したいのは圧力調理前にカレールーを入れないこと。それさえ守れば、具材などはある程度自由にできる。レシピ集には生のトマトやトマト缶を入れるアレンジも掲載されている。

玉ねぎ、鶏肉などの具材をセットして、圧力調理する
具材が柔らかくなったら、カレールーを溶かし、温めモードで再加熱する
完成した無水カレー。玉ねぎの甘味が引き出された濃厚なカレーができた

さらにWebサイトに7つのアレンジカレーのレシピが掲載されているのが嬉しい。オートメニューではないが、どれも簡単に作れるレシピとなっており、これ一つでさまざまなカレーを楽しむことができた。

マニュアル調理でさまざまな調理が楽しめる

Re・De Potはオートモードだけでなく、マニュアルモードでさまざまな調理ができる。なかでも注目したいのがスロー調理機能だ。これはいわゆる低温調理ができる機能。40℃から100℃まで設定でき、設定した温度でゆっくりと加熱できる。低温調理専用の家電と比べると、設定温度は10℃刻みと自由度が高くないが、低温調理のローストビーフやローストポーク、チャーシュー、サラダチキンなども作ることができる。

ここでは豚の肩ロース肉を使って煮豚を作ってみた。煮汁に塊肉を入れて70℃で2時間加熱する。

豚の肩ロース肉と醤油、蜂蜜などを内なべに入れ、ひたひたの水を足して2時間煮る
ピンク色の断面がきれいな煮豚が完成した

同じようにローストビーフもできる。味付けした牛もも肉を密閉袋に入れ、水を張った内なべに漬ける。あとは60℃で2時間、加熱するだけでローストビーフが完成した。香ばしく仕上げたい場合はフライパンなどで表面だけ焼き色をつけてもいい。

フォークで穴を開けた牛肉を密閉袋に入れる
内なべに水を張り、肉を浸け低温調理する
完成したローストビーフをカットしたところ。中はレアに仕上がった

塊肉を使ったレシピを作る上では、内なべがそれほど大きくないことに注意。塊肉が大きすぎる(長すぎる)場合は事前にカットする必要がある。300gぐらいまでなら問題なく調理できた。

さらにRe・De Potには小さな蒸し台も付属している。これを使うことで手軽に蒸し調理ができる。蒸し台は高さがあまりないものの、蓋をしっかりしめて蒸す仕組みのため、一般的な蒸し物のように蒸し水が減りにくいのもポイントだ。

そこで、蒸しポトフを作ってみた。内がまに水を張り、蒸し台の上に根菜やソーセージ、薄切り生姜を入れて、8分ほど圧力をかける。調理はたったこれだけでOKだ。あとは蒸し上がった野菜に塩こしょうするだけでいい。茹でるのとはまた異なったうまみの強いポトフができあがった。蒸し水にもソーセージのうまみが適度についていて美味しくいただけた。

内なべに蒸し台を入れ、水を注ぐ
大きめにカットしたカブやニンジンなどを蒸し台の上にのせて蒸す
完成した蒸しポトフ。生姜の香りが美味しそう

多彩なWebレシピで見栄えのいいご飯。高いデザイン性も魅力

最初に述べたとおり、現在電気圧力鍋は多くのメーカーからさまざまな商品が登場している。中でもRe・De Potと同じ1万円台半ばという価格帯は最も激戦で、非常に選択肢が広い。

その中でRe・De Potを選ぶポイントとなるのがデザイン性と、Webレシピの充実ぶりだ。Re・De Potはボディカラーに、ブラック、レッド、ネイビーの3色を用意。さらに左右と蓋に金メッキのハンドルを備えるなど、キッチンはもちろんのことダイニングテーブルに置いても見栄えのいいデザインとなっている。

レシピはオートメニューで作れる12品をレシピ集に掲載するのに加えて、Webサイトには基本のレシピ36品、さらにスペシャルレシピとして本格カレーご飯7品、ごちそう炊き込みご飯7品が載っており、合計62品が調理できる。そして、Webサイトに掲載されているレシピはすべてフードデザイナーや料理研究家の手による、見栄えの良いメニューなのも嬉しい。

低価格ながら見栄えが良い料理が手軽に調理できることから、初めて電気圧力鍋を購入するのに非常に良い選択肢になる。特に2~3人の少人数世帯におすすめしたい。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter: @takh0120