家電製品レビュー
すっきりデザインで出しっぱなしOK! 2口IH調理器としても毎日使いたいパナソニックのホットプレート
2018年7月31日 06:30
今回レビューするのは、パナソニックから間もなく発売される「IHデイリーホットプレート KZ-CX1」。ホットプレートにとどまらず、プレートを外せば2口IHコンロ調理器としても使える、業界初のユニークな調理家電だ。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | IHデイリーホットプレート KZ-CX1 |
価格(編集部調べ) | 53,308円 |
特筆すべきは、2つのIH熱源を搭載している点だろう。ホットプレートとして使用すれば、食材や料理に合わせて左右異なる温度設定で加熱調理ができ、IH調理器として使用すれば一般的なコンロのように、汁物と焼き物などの2品を同時に調理ができる。
薄くてスタイリッシュ!
まず驚いたのはその薄さだ。本体の幅と奥行きは593×323mm。だが、IHヒーターを冷却するファンは新開発の薄型ターボファンを採用しており、器具の厚みがこれまでにないぐらい格段に薄い。ホットプレート時でも厚みは69mmで、プレートを外したIH調理器の本体だけなら、なんとたったの46mm! テーブルの上に置いても邪魔になりにくい高さだ。本体の質量は4.9kgで、専用プレートは2.8kgと、安定感がある。
薄さにとどまらず、全体的なデザインも洗練されている印象だ。ガラス製のトッププレートがついた本体はホワイトを基調としており、操作の全てのつまみは本体前面に集約。卓上IH調理器にありがちな、火力や温度設定のちまちまとした表示が無くスッキリとしている。また、本体に乗せるだけで安定するフッ素樹脂加工を施したプレートはメタリックベージュで、圧迫感のない色合いが選ばれている。
使用できる鍋は、底の平らな鉄・ホーロー・ステンレス製のIH対応のもの。鍋底の直径は12〜26cmとなっているが、左右IHヒーターの同時使用には、鍋径23.5cm未満のものが推奨されている。
使用中と使用後は、本体の冷却のためにファンが稼働する。その吸・排気口は本体の側面にある。電源コードを取り付ける右側面から吸気し、左側面から排気する。
なお揚げ物には、必ず別売りの専用天ぷら鍋を使用するよう指定されているため、今回は揚げ物調理を割愛する。
軽快な操作感
操作は各つまみを動かすだけと、とても軽快だ。マグネット式の電源コードを本体に繋ぐと、操作部中央のつまみの上に、「専用プレート/IH/揚げ物」と調理コースが表示される。調理に合わせていずれかを選択し(選択したものが点滅表示)、左右使う側のIHスイッチを押し下げると調理がスタートする。再度スイッチを押し下げると停止する仕組みだ。
調理を開始しなければ、約1分後にスタンバイモードに切り替わる。意図せずにつまみに触れても加熱が始まらないよう、安全性に配慮されている。いずれかのつまみを左右どちらかに動かせば、スタンバイモードは解除される。
調理コースによって、IHスイッチ上の表示が変わるので、それぞれの違いを記しておこう。
専用プレートコース(ホットプレート調理)
専用プレートを載せ、中央のつまみで「専用プレート」コースを選択する。左右のIHスイッチを押し下げると、温度は「230℃」で開始する。食材に合わせてIHスイッチを左右に動かして希望の温度を設定する。左右同時・片側使用にかかわらず、140〜250℃間が10℃刻みで設定できる。もちろんどちらも保温に適した90℃も選べる。
使用前に予熱が必要だが、設定温度に達するとブザーが鳴って知らせてくれる。付属のふたを載せて予熱した場合、180℃は3分30秒、250℃は5分40秒かかった。
IHコース (手持ちの鍋やフライパンでの調理)
手持ちの鍋やフライパンを本体に直接載せ、「IH」コースを選択する。専用プレートコース同様に、使いたい方のIHスイッチを押し下げると「火力4」の中火で開始する。調理に合わせて火力1(とろ火・75W)から火力7(強)まで選べる。弱火は2段階(火力2・3)、中火は3段階(火力4・5・6)あり、様々な調理に対応する。
片方のみなら最大「火力7」まで設定できるが、左右同時使用の場合、最大火力が変化する。同時最大は「火力5」で、どちらかを「火力4」以下にすれば、もう一方は「火力6」まで選べる。
鍋を載せなかったり、IH非対応の鍋を載せてIHスイッチを押した場合は、火力の数字が点滅し、加熱は開始されない。
揚げ物コース
別売りの天ぷら鍋を右側に載せ、「揚げ物」コースを選択。右側のIHスイッチを押し下げると温度は180℃で開始する。IHスイッチを左右に動かして、140〜200℃まで10℃刻みの設定ができる。揚げ物コース時は、右IHヒーターのみ対応する(左IHヒーターは使えない)。
便利な左右独立タイマー
タイマー機能は、左右どちらにも搭載されている。どちらも設定範囲は1分〜9時間30分と、長時間の煮込み料理まで対応できるほど範囲が広い。ただし、揚げ物コース選択時はタイマーは作動しない。
タイマー操作はもちろん簡単だ。温度や火力を設定して加熱をスタート後、調理コースを設定した中央のつまみが、タイマー設定つまみになる。つまみをタイマー操作したい側に動かすと、点灯していた時計マークが点滅し、温度や火力の表示部が時計カウンターに変わる。時計マークが点滅している間に、IHスイッチを左右に動かして時間を設定すればいい。
設定時間は30分までは1分刻み、1時間までは5分刻み、3時間までは10分刻み、9時間30分までは30分刻みと単位が変化する。設定時間になれば加熱は自動的に停止する。つまみを左右に動かすだけなのですぐに慣れた。
付け加えて、空焚きを防ぐ温度過昇防止機能や、切り忘れると自動で停止するなど、安全面にも配慮されている。
使い方がわかったところで、実際にホットプレートとIH調理器の両方で調理してみよう。
朝食から夕飯まで楽しめるホットプレート
ホットプレートは焼きムラを抑えるため、一般的なホットプレートと同様に予熱が必要だ。設定温度に達するとブザーが鳴って予熱の完了を知らせてくれる。
試しにホットケーキの生地をIHヒーターの真上、その周り、プレートのフチに沿って流し込んでから予熱を始めた。設定温度(170℃)に達した時、ヒーターの真上はキレイなきつね色になったが、四隅にはまだ十分に熱が届いておらず生焼けのままだった。付属のふたをして十分な予熱が必要だ。
キレイに仕上げたいなら、やはり左右それぞれのIHヒーターの中央に生地を流し込むのがいいが、焼いている途中に場所を移動させれば、直径11cmのホットケーキを1度に8枚ほど焼くことができる。
なお、予熱にかかる時間は180℃で3分30秒、250℃で5分40秒かかった。
朝食
プレートの右側は250℃にしてトースト2〜4枚、左側は180℃で目玉焼きやスクランブルエッグ、ソーセージ、焼き野菜など、途中ふたを使いながら同時に調理できた。鉄板で焼くトーストが特に美味しい。テーブル上で作れば焼き加減も自在。熱々が楽しめる。
ランチ
付属のレシピに従って、麺を焦がして風味付けした焼きそばは、昼食や小腹が空いた時にぴったりだろう。麺は250℃、肉と野菜は180℃で同時に調理をスタートした。麺の両面に焼き色が付く頃には、肉も野菜にもしっかり火が通った。次に、250℃側を180℃に設定し直してから麺と野菜を混ぜ合わせて水を入れて炒め、ソースを絡めれば出来上がりだ。
レシピの材料は、焼きそば麺2玉に対して、肉は100g、野菜は200gと具材たっぷり。普通に作るならフライパンが2つ必要な量だが、ホットプレートなら1つで風味豊か、ボリュームたっぷりの焼きそばが簡単にできる。
夕飯
夕飯として、ホットプレート調理では特にポピュラーな焼き肉を調理した。肉は250℃の高温でサッと素早く焼き、野菜は180℃でじっくり焼いた。油ハネを避けるためにも、ふたを使った。高温で仕上げた肉は柔らか。いい焼き色も付いて食欲をそそる。野菜はそれぞれの甘みがしっかり引き出され、より美味しくいただけた。
最初のホットケーキの時は、四隅に熱が届かない火力の弱さがやや気になったものの、以上の調理では全く気にならず、どの料理も満足いく仕上がりだった。
プレートはフッ素樹脂加工されているので、食材がこびりつきにくいだけでなく、後片付けも簡単だった。プレートはまるごと水洗いができるが、急ぐ時は、濡らしたペーパータオルで拭うだけでも簡単にこびりつきが落ちる。また、プレートのフチのせり上がりが穏やかなので、隅々まで拭き取りやすい。
2口あるIH調理器は、メインのコンロとしても活躍
100VタイプのIH調理器ゆえ、火力が気になるかもしれない。だが、我が家で毎日使っているガスコンロとさほど変わらない火力が感じられた。
というのも、1Lの水をヤカンに入れ、炎がはみ出さないように調節した我が家のガスコンロにかけた場合、沸騰まで6分30秒だったのに対し、同じ水量のヤカンを「火力7」の本製品で加熱した場合、沸騰まで7分と大差はなかったからだ。
実際の調理では、餃子12個と麻婆豆腐2人前を同時に作ってみた。火力はどちらも火力5で開始し、十分熱くなったところで火力を弱めて調理した。餃子ならふたをして蒸し焼き、麻婆豆腐なら豆腐にソースを入れてから少し煮込む時、タイマーがあるのは特に便利。ガスコンロの時と変わらない時間で、美味しくできた。
スッキリとしたデザインなので、テーブルの上に置いて保温や温め直しにも重宝する。またガラス製のトッププレートなので、汚れがこびりつきにくく清潔に保てる点もいい。
排気音は静か
使用中はいずれの場合でも冷却ファンが作動するが、その作動音はIH調理器の中でもかなり静かな印象だ。高温に設定するほど作動音は大きくなるが、それでもさほど不快な作動音ではなく、会話の邪魔にもならないほどだった。中温以下なら作動音は小さくなり、ますます気にならない。
ただし、作動音以外ではいくつか気になる点もあった。
特にホットプレート使用時は本体の左側面から、ドライヤー並の熱風が吹き出てくる。30cm離れても感じられるので、テーブル上で四方から囲んで使用する場合は注意が必要だ。
また、調理が終わって停止させても、本体の冷却のためにファンが回り続ける。IHコースは数分で停止するが、専用プレートコース使用後、熱されたプレートが本体上に載ったままだと、ファンが停止するまでに20分近くかかることもあった。使い終わったらコンセントは抜いておきたい器具なので、食事後に出かけるならば、冷却時間も考慮して使用するといいだろう。
そのほか、付属のふたはプレートと変わらない大きな1枚タイプなので、調理の途中にふたの置き場所に困る場面が何度も発生した。食材や調理に合わせてホットプレート面の温度設定が別々にできるのだから、収納も踏まえて、それに合わせてふたも2つに分けられたらなぁと感じた。
IH熱源の構造上や大きさから気になる点は多少あった。とは言うものの、高いデザイン性、十分な火力、操作性が見事に調和しており、使うほどに既にIH調理器とホットプレートのどちらを持っていても買い替えたい衝動に駆られるほど気に入ってしまった。「IHデイリーホットプレート」という製品名の通り、テーブルの上やカウンターの上に置きっぱなしにして、毎日朝から晩まで使い倒したい、とても魅力的で素敵な調理家電だ。