e-bike試乗レビュー

e-bikeとの出会いがきっかけで、ロードバイクとの2台持ちになってみた結果

手前の車体はいつも紹介しているBESV(ベスビー)グラベルロードe-bike「JGR1.1」で、奥にあるのがパナソニックのロードバイクだ。これは2台とも筆者所有の自転車である。それにしても並べてみると印象が全然違う

前回の記事では筆者がe-bikeに乗るようになった理由について書いた。そして同年代の人に対して、e-bikeのメリットをお伝えした感じである。今回はその続きというか、前回触れなかった部分も書いてみようと思う。

まずはおさらい的なことからだけど、e-bikeでの運動は関節などへの負担が少なく、それでいて長時間の有酸素運動をしやすい。だから若い人はもちろん、ある程度の年齢になった人でも続けやすいものである。そして、続けて乗ることによる効果としては、体力維持やダイエット、絞った体重をキープすることができる点だ。

このような理由から運動不足な人に対して「e-bikeはいいぞ」という話だったのだが、e-bikeに乗る人のすべてが運動不足というわけではない。むしろバリバリに自転車で走っていた人もいるのだ。

それが年齢や体型的な変化による乗り換え。これまではアシストのないロードバイクやマウンテンバイクで走っていたけれど、前記したような利用からe-bikeにから乗り換えるパターンだが、ここでポイントになるのは、乗り物を変えても自転車趣味はやめていないこと。

自転車趣味は楽しいものであり、状況に合うやり方をすれば続けられる。だから自分の事情が変わったら、それに合わせた自転車にすればいいという考えである。そして、ロードバイクでもマウンテンバイクでもe-bikeが選択できる。

また、ロングツーリングが趣味だったという人も、e-bikeに乗り換えることで自分の行動範囲を縮小することなく趣味を継続することができるようになる。

筆者の愛車グラベルロードe-bike「JGR1.1」はベスビー製で、ほかにも29インチの本格的なフルサスe-MTBも取り扱っている。ペダルバイクから乗り換えることで、年齢的体力的にきつくなってきても、トレイルライドなどハードな自転車趣味が継続できる

このようにそれまで乗っていたペダルバイクにアシストがつくことで、年齢を重ねても培ってきた自分の力やテクニックをそのまま同じフィールドで使い続けることができる。これはスポーツ系の趣味の中ではかなり特殊なことで、e-bikeが存在する自転車界隈ならではかもしれない。

これからはe-bikeから乗り始める人だけでなく、ペダルバイクから移行してくる人も出てきて人口が増えていくのではないかと思っている。というかe-bike推しの立場からすると「増えて欲しい」のだ。

e-bikeに乗ることで、気づかないフリをしていた身体の問題に直面

前回の記事では筆者がe-bikeに乗るようになった理由を書かせてもらったが、実はそのときは触れていなかったことがあった。それが体の歪みについてである。

いつの頃からかは覚えていないけど、どうも姿勢が悪かったらしく、その影響で体に歪みが生じてしまい、そのまま大人になってしまった。しかも高校生時代に乗っていたオートバイで転倒したときに痛めた部分もあって、そこをかばうような体の使い方をしていたのもよくなかったようだ。

それに運動しなければ体の柔軟性も失われてくるので、股関節なんかも可動域はかなり狭くなっていた。とはいえ、そんな状態でも普通に生活はできる。だからコンプレックスではあったけど、何か対策をすることもなかった。でもそこを変えてしまったのがe-bikeだ。

e-bike(自転車)は左右の脚を交互に使う運動であり、しかも自転車の上でバランスを取るもの。それだけに体の左右差や歪みがあると、それに関連する問題点が分かりやすく現れる。特に筆者が乗るJGR1.1のようなロードバイクタイプはそれが感じやすいようで、体の歪みや柔軟性のなさが意識しやすくなったと同時に、そのことから発生する乗りにくさに「なんとかならんかなぁ」という新たな困りごとが出てきたというわけだ。しかもこれはどうにもごまかしが効かないものだった。

これはノーマルの姿。自転車は左右の足を同じように交互に使う乗り物。特にロードバイクタイプは、その動作の正確さが走りに反映されやすい。だから乗り方うんぬんの前に、体の使い方がちゃんとできるかどうかがポイントになる

そんなときに腰の痛みの治療で通院していた整体の先生に体の歪みについて相談してみると、「曲がった骨そのものを年齢的に直すことは難しい。ただ体に現れている歪みは骨だけでなく、左右非対称に固まった筋肉が曲がっている方向に体を強く引っ張ることで強く出ることがあります」という説明を受けた。

そこで痛みの治療と同時にストレッチや整体をしばらく続けることにした。それなりの期間は要したが、現在は目で見てわかるくらいに体の歪みが減ってきたし、「なんとかならんかなぁ」と思っていたところが「なんとかなってきたかなぁ」と感じるまでになったのだ。これは本当に驚いた。

もちろん、ちゃんと治ったというレベルではないけれど、ここは完全に諦めていたところなので多少でも改善されたことは素直にうれしいし、コンプレックスも減るから精神的にもメリットがあるものだった。

こうした体のヘンテコリンな事情は筆者特有のものかもしれないが、年齢を重ねていれば多少なりとも体に歪みが出てくる人は多いのではないだろうか。まっすぐ立ったときに左右の肩の高さが違う、片方の腰だけ張る、あるいは首が少し傾いている。そんなことに気づいている人もいるはずだ。

そして、実際の話として、筆者は取材で人物写真を撮ることも多いのだが、肩の高さが左右で違う人は意外と多いし、首がわずかに傾いている人も珍しくない。

もちろん、軽度であれば気にすることはないかもしれないが、年齢を重ねることは経験したことのない状況に向かっていくことでもある。だから体力低下や体重増加への対策と合わせて、体のアライメントを整えていくことも必要なのではないかと思ったりする。

いつも1人で撮影もやっているので、自分が写っている写真というのは基本的にない。そこで以前撮ったものを流用する。前傾ポジションでバランスを取りながら乗るというのは、最初の頃は難しく感じたけど、これって体が歪んでいたり、柔軟性がなかったり、そんなことが原因だったかもしれない

パナソニックのロードバイクを増車した

さて、そんな感じでコンプレックスが若干解消されたのだが、その状況で出てきたのが「ロードバイクに乗ってみたい」という気持ちだった。

唐突に感じるかもしれないが、やはりe-bikeに乗りたいと思ったときから、うっすらそういう意識はあった。だけどコンプレックスがあっただけに「乗ってもあまり楽しくなさそう」と考えていたので、欲求として表に出てくることはなかった。

でも完全ではないにしろ前とは状況が違ってくると「いけるかも」と考えてしまった。まぁなんというかリミッター解除である。

そこで思い切って購入したのがパナソニック製のロードバイク「POS」だ。このPOSとは「パナソニック・オーダー・システム」の略で、特徴は完成車ではなくフレームだけの販売であること。そして、そのフレームは注文する人に合わせたサイズで、1台ずつ熟練の職人の手によって組み立てられるオーダー品であることだ。

こうして作られたフレームが注文窓口となった自転車店に納品され、そこで必要な部品を取り付けて自転車として完成させるという仕組みである。

パナソニックのPOSにはいくつかのグレードがあるが、筆者が選んだのはFRCC35(2026年式の名称)というもの。細身のクロモリフレームとクロモリフォークを使ったモデルで、十分な剛性がありつつ、路面からの振動を和らげてくれる特性を持つ
POSはフレームカラーもかなりの種類から選ぶことができる。そして、そのカラーは職人が個別に塗ってくれるものだ。そんな技術が標準色では無料となっているが、筆者は「レインボー」という有料色を選択。光の当たり具合によってハイライトの色が変わる。これでも色の種別的にはブラックである。こんな塗り方の難易度が高そうな色だが、たった26,400円でオーダーできる。これがオートバイやクルマだったら桁が違うだけに、技術に対しての値付けが安すぎる印象である。頼まない理由はなかった

現在のロードバイク界隈はカーボンフレームやエアロ効果を前面に出した作りのモデルが主流である。それに対してPOSは昔ながらのフレーム形状であり、素材もクロモリ。さらにディスクブレーキではなくリムブレーキである。

だけど筆者がPOSに感じた魅力は、速く走るための最新技術ではなく、POSが持っている「職人によるものづくりの魅力」だった。

前述したようにPOSは乗り手の身長に合わせてフレームサイズが細かく指定できる。そして、そのデータに合わせて熟練した職人がパイプを切断し、断面を丁寧になめらかに整えていく。

そうしてオーダー通りに揃えられたパイプは「ラグ」と呼ばれる継ぎ手と組み合わせて溶接される。そのときもフレームの寸法が狂わないよう細心の注意を払って作業が進められる。そして、最後の塗装も塗装担当の職人の手によるガン吹きである。

このように職人が関わるものづくりは、今の時代において希少なものだ。それがそれほど高くない値段で手に入ることは、筆者の感覚ではかなり「お買い得」なことである。それに昔ながらのフレーム形状も好みだったし、流行に左右されないという意味でも長く乗るにはうってつけだった。

また、ロードバイクでもe-bikeと同様に「快適なサイクリング体験」がしたかったので、そういう面でもPOSのコンセプトは合っていた(POSにも速さや性能を追求するモデルはある)。このようなことから筆者にとってPOSは最良のロードバイクだったのだ。

こうして筆者はe-bikeとペダルバイク2種類の自転車を使い分けることになった。そして、両方乗るようになって気がついたことがいくつかある。

見た目も乗った感じも満足すぎるPOS。流行に影響されないので長く乗れるロードバイクだと思っている

e-bikeとペダルバイクの両方に乗って感じたこと

そんな感じで乗り始めたPOS。体のコンプレックスも多少は解消されてはいるが、それでもうまく乗れているかどうかはわからない。だけど乗っていて気がついたことがあった。それはペダリングについてだ。

アシストのあるJGR1.1はペダリングについてあまり考えずラフに漕いでも、それなりの力で走ってくれる。だがアシストのないPOSはペダリングの効率がそのまま走りに反映される。つまり体の使い方が自転車の動きとして素直に現れるのだ。

そこで意識してペダリングをしようとすると、次に「あれ?」となるのが足の回し方だけでは済まないことだ。足だけでなく、上半身まで含めて意識しないと、自分が考えているようなペダリングができないことが分かった。

まぁこれも乗れる人が見ると「そういうんじゃないんだよね」と言われるかもしれないが、現状の自分ではそういう答えになっている。ここは乗っていけば、いずれ変わってくることもわかっている。物事の過程を楽しむのも良いことだろう。

2台の乗りわけについては、ほぼその時の気分。強いていうなら行き先に未舗装路がありそうと思ったらJGR1.1を出すといったことくらいしか考えてない。でも、ペダリングを含めてロードバイクの練習で乗るならPOSがいい

ちょっと脱線したが、筆者としてはまずe-bikeで体の欠点をきちんと意識でき、アシストのないロードバイクでそこをさらに細かく気づくことができた。そして、それは体の状態と直結するものなので、ここである程度修正できれば普段の生活にもメリットがあるはずだ。

つまり、筆者にとってe-bikeは「楽な自転車」ではなくて、自分の体の状態を知るための道具でもあったわけだ。

そして、現状ではこの段階にたどり着けたことは自分としてはかなり満足している。現在60歳。この年でようやく気づくのもどうかと思うが、このまま気づかないままでいるよりは全然マシである。

そんなことから筆者の2台体制は自分にとってかなりメリットのあるものとなった。これも自転車に興味がない人にはあまり参考にならないことかもしれないが、とにかくすべての始まりはe-bikeなので、年齢的な悩みや不安があるなら、まずe-bikeに乗ってみることをおすすめしたい。ほんと、これ、経験者は語るである。

撮影のためにJGR1.1のレンジエクステンダーテスト時と同様に、有明・豊洲地区を走ってみた。このエリアは歩道の自転車通行帯も整備されているが、もともと速めの巡航速度で走る前提のPOSだと歩道を走る速度をすぐに超えてしまうので、歩道を走るのは向いてない感じだ
街中でも勾配はあちこちにあるので、e-bikeは特に意識しなくてもかなり楽をさせてもらっている乗り物だということも気づいた
パナソニックが公表しているようにクロモリフレームのPOSは乗り心地が良い。それなりの時間乗ったけど乗り心地について不快に感じたところはなかった
POSは軽さも意識してあまり部品はつけないが、JGR1.1はSUV的にカスタムしている感じ。今後考えているのはドロッパーシートポストの取り付け。信号や一時停止で止まるときにもあると便利な装備
深田昌之