e-bike試乗レビュー
ロードバイクタイプのe-bike初体験!! キャノンデール「Synapse Neo」は速いけど、自転車旅にも向いてるモデルかも♪
2020年6月5日 08:30
最近、ロードバイクタイプのe-bikeが続々と登場しています。そんな中で筆者が超気になっているのが、キャノンデールの「Synapse Neo(シナプスネオ)」。2020年5月1日より予約受付が始まりました。
メーカー名 | キャノンデール |
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製品名 | Synapse Neo |
実売価格 | 390,000円 |
キャノンデールはアメリカ発の実力派スポーツバイクブランド。「アルミのロードバイクならキャノンデール!」と言われるくらい、そのアルミフレームには定評があります。また、片持ちフロントフォークのcannondale leftyを始めとする“キャノンデール独自のテクノロジー”も多々。変態的とまで言われたりする最新テクノロジーでスポーツバイクを作っているブランドです。
Synapse Neoが気になるのは、実は以前にキャノンデールのロードバイクに乗っていたからです。2010年頃ですが、CAAD10(キャド テン)というロードバイクで走っていました。
CAAD10の印象は「ラクに走れるのに速い」ということでした。グイグイ加速できるのに、何だかコンフォート。「なるほど〜だから“アルミロード買うならキャノにしなよ”と言う人が多いのか〜」と納得したものです。ただ、ラクに速く走れる感じなんですが、走行後はしっかり体力を使い切っている感じで、なんかこう、自転車がうま〜く体力を使ってくれちゃうというイメージもあります。
ともあれ、そんな不思議な体験から、キャノンデールの新型e-bikeのSynapse Neoにも興味が出たというわけです。そして運良く、発売前のSynapse Neoに試乗する機会を得ました♪ というわけで以降、Synapse Neoについてレビューしてみたいと思います。
Synapse Neoはどんなe-bikeなのか?
Synapse Neoはエンデュランスロードにカテゴライズされるロードバイクタイプのe-bike。ドライブユニットとしては静音性とアシスト力を両立したボッシュ製Active Line Plusを採用しています。バッテリーはボッシュ製PowerTube 500Whを採用し、最長166km(エコモード)のアシスト走行が可能。価格は39万円となっており、現在予約受付中です。では車体細部をサッと写真と説明文で見ていきましょう。
ほかにも写真では見づらいですが、フロントハブの位置に「キャノンデールホイールセンサー 」が組み込まれており、「走行スピード、距離、時間などを自動的に記録し、保存。動きを感知し自動的にライドデータを記録。ボタンを押す手間は一切必要なし。アプリと同期する前に900時間分のライドデータを記録」できるそうです。そういったデータをスマートフォン用アプリの「キャノンデールアプリ」で管理できます。
スムースで速く、意外なほどの安定感、そしてユーティリティ性も
さっそく試乗してみました。走ったのはサイクリングロードで、舗装路です。また、サイクリングロード近くのアップダウンがある道路でも試走しました。
走り始めてすぐ感じたのは、速いこと。走り出しはアシストのパワーのおかげで軽く、すぐにスピードに乗ります。ギアにもよりますが、重めにしていても軽快に走り出し、そこから10秒しないうちにアシスト上限24km/hを超えられます。やや軽めのギアにしてせっせとペダルを回せばさらに短時間でアシスト上限速度に。
さらに、アシスト上限を超えた後も、ペダルを踏めばスムースに加速していきます。人力ロードバイクと比べると車重が重いので、40km/hに近いような巡航速度で走り続けるのは難しいと感じますが、でもちょっと頑張れば30km/hを超える速度を維持できる感じ。転がり抵抗の低いタイヤを履いていることもあり、スピードが落ちにくいというのもこのe-bikeの気持ちよさです。
それから、アシストなしで加速している時は、ペダルを踏んだ力が逃げにくいという印象があります。ロスが少なく、踏んだ分だけスピードが出て、最小限の体力で走れるというような、キャノンデールのアルミバイクらしいスムーズなフィーリング。これも楽しい♪
なのですが、そういう走行感の楽しさに調子に乗ると、やっぱり疲れます。というのは、このe-bikeはスピードがよく乗るので、アシスト上限を超える速度で走り続けることが多くなりがち。重い自転車のアシストなし高速巡航ですから、さすがに体力をかなり使います。で、自転車を降りた後、「あれ、なんか凄く体力削られてる……」と感じるのも、筆者的には“キャノンデールらしいバイク”だと思います。
人力ロードバイクと大きく異なるのは、車体の安定感。下りコーナーなどを安定的かつ滑らかに曲がるのはこのe-bike独特の乗り味かもしれません。恐らく車体下部に重量物が集まっているからでしょう。ダウンチューブに内蔵されたバッテリー(ボッシュ製PowerTube 500Wh)の質量は約2.8kgで、ダウンチューブ部自体も太く、さらにその下部後方にはドライブユニットがあります。自転車の重心が低いことが、安定感につながっているのだと思います。ただ、その分、ロードバイク特有の“軽やかなヒラヒラ感”はやや少ないかも。
あとちょっとした坂道。走り出しの軽快さに加え、やはり登坂でもe-bikeの良さが発揮されます。軽めのギアにしておけば、たいていの坂道をグイグイ上れてしまう。また、わりと高速で上れる。勾配にもよりますが、普通のロードバイクが立ち漕ぎをして時速10〜13km/hで上る坂道を、Synapse Neoなら座ったまま15km/hくらいで上がれてしまったりも。
緩い上り坂が長〜く続くという状況でも快適に走れます。ダラダラ走る感じですが、ペダルを軽く回している程度で、非常に軽やかに坂を上がれるんですね。「坂道は全部キミ(ドライブユニット)に任せた!!」的な、身も心もコンフォートな走りをすることも可能というわけです。
走り出しが軽快で、登坂にも強く、平坦な道でのスピードの乗りも良いSynapse Neo。しかも最長166km(エコモード)のアシスト走行が可能です。う〜ん、キャノのe-Road、39万円は高くないのかもしれない、とか思ってしまいました。
それともうひとつ、Synapse Neoにはユーティリティ性にも可能性が感じられます。ボトルケージやキャリアなどを取り付けられるネジ穴がけっこう豊富だからです。それらを写真と説明文でチェックしてみましょう。
例えば「Synapse Neoで通勤通学」という場合、こういうネジ穴が“効いてくる”と思うんですよ。リアキャリアを取り付ければカバンなどの荷物を積めますし。ボトルケージにはボトル型小物入れ(工具やパンク修理セットなどが入る)をセットできますし。いろいろ実用性が高まる。
まあ「純粋にスポーツ走行だけする」というなら、ボトルケージが1つ装着できれば済むかもしれません。でも39万円の自転車ですし、長距離アシストしてくれるe-bikeですし、やはり幅広く活用したくなると思います。そういう時、上の写真のようなネジ穴がいろいろ役立ってくれるんだろうなぁ、と、ネジ穴がなくてリアキャリア取り付けに四苦八苦したe-bikeを所有している筆者は思うのでした。
Synapse Neoは、やはり、ロングライド派に向けたロードバイクって感じでしょうか。率直なところ、速く走れるものの、速い速度で走り続けるための自転車という感じではないんですよね。24km/hまですぐ達することもできるSynapse Neoなんですが、それ以上の速度域ではアシストが意味を失ってしまう。
一方、ゆったりのんびり長距離を走ることを考えると、Synapse Neoの良さが見えてくる。アシスト距離が長く、走行時の安定感も高く、リアキャリアなどを取り付ければ多めの荷物を携行するのにも向く。乗り心地も良かったですし。Synapse Neoは「ロードバイクで自転車旅!!」みたいなフレーズにグッと来る人のためのe-bikeかもしれません。