長期レビュー

三洋「eneloop bike CY-SPL226」 第1回

~今時的電動アシスト自転車を試して……みたらッ!!
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




三洋電機「eneloop bike CY-SPL226」。メーカー希望小売価格は15万7,290円で、三洋電機の電動ハイブリッド自転車としてはフラッグシップモデルとなる
 家電Watch編集部から「最近の貴様はサイクリング野郎だから、三洋電機の新型電動ハイブリッド自転車を試しなはれ」てなメールとともに「eneloop bike(エネループ バイク) CY-SPL226」が送られてきた。

 あ!! コレって平地走行時でも発電&充電しちゃうという、あの電動アシスト自転車シリーズですな。てか、3年くらい前に電動アシスト自転車を試用したが、その後はゴブサタな拙者。今時的な電動アシスト自転車ってどうなのよ? 的な興味とともに、ゼヒ!! 鋭意試用して長期レビューを書いてゆきたい!!

メーカー三洋電機
製品名eneloop bike(エネループ バイク)
品番CY-SPL226
希望小売価格157,290円
販売価格148,000円(yodobashi.com)

 目下人気急上昇中の電動アシスト自転車。人間がペダルを踏む力に加え、モーターなどの補助力が働き、よりラクに走行できるという自転車ですな。

 これからアレコレ試すこの「eneloop bike CY-SPL226」も電動アシスト自転車だが、この世代の製品はいわゆる“新基準”に対応した電動アシスト自転車となる。2008年12月1日に道路交通法施行規則が改正され「電動アシスト自転車の人力に対するアシスト比率が1:1から1:2に拡大された」のだが、これに対応したのが新基準の電動アシスト自転車となる。

 それ以前は人間が1の力でペダルを踏むと、最大で1の力でモーターが動いて助力した。人が1の力を出すと、最大で2の力で前進できたってわけですな(旧基準)。新基準に対応した電動アシスト自転車の場合、人間が1の力を加えると、自転車は最大2の力を出す。結果、人が1の力を出すと、最大で3の力で進めるようになった。

 前述のとおり、旧基準の電動アシスト自転車は体験したことのある拙者。そのときの印象は「おおっ!! ラク!! 坂が全然気にならない~走り出しも超余裕~」みたいな感じ。「コレはいい、そのうち買うし!!」とも思った。

 新基準対応のeneloop bike CY-SPL226は、その旧基準電動アシスト自転車よりもずっとパワフルなハズ。実際どうなのか? 製品の細かい部分は後回しにして、まずは実走!! 最新の電動ハイブリッド自転車を体感ッ!!

外見はママチャリな感じのeneloop bike CY-SPL226。これでも最新技術搭載の電動ハイブリッド自転車なのだ。でもやっぱりフツーにママチャリですな電源は専用のリチウムイオン電池。当然、繰り返し充電して再利用できる。走行中の(回生ブレーキ使用時の発電による)充電も可能だ電力は前輪ハブ部分にあるモーター(ダイナモ)により推力に変換される。前輪駆動でアシストするんですな。もちろん、アシストをオフにすることもできる

 結論から言えば「すゥっげェ~ぜ俺の最強にマックス強まった電動ハイブリッドケッタママ疾走バイクっ!! イィ~ヤッハァ~!!」みたいな気分になった。よくわからない気分であるが、すなわち、非常に新しい体験ゆえの脳内混乱が生み出したイミフなシャウトと言えよう。


 何しろ走り出しが実に軽快。さらに鼻歌交じりでグイグイ加速。アッという間に24km/hの速度に到達。坂道もスイスイ進み、あらまぁコレって凄いママチャリかも~と思うが早いかまさかの市境越え!! みたいな。

 これ最高。てか電動ハイブリッドケッタママ疾走バ……じゃなくて今時的電動アシスト自転車最高。もう原稿とか書いてる場合じゃなくて、電動ママチャリ買いに行くでしょ即!!

 とかいうハイな気分になったと同時に、この電動チャリが拙者の距離感を鳴り物入りで再構築していくのを実感した───「駅前まで自転車で行くのカッタリィなァ」と思っていたのが「駅前? 一瞬でしょ」となり、4~5kmなら着替えもせずに電動ハイブリッド自転車であり、市内ならクルマじゃなくてeneloop bikeで行くゼ、てな意識に。……しっかり走るスポーツ自転車のパフォーマンスを知ったときと非常によく似ている。

 さておき、この凄い電動ハイブリッド自転車eneloop bike CY-SPL226の機能などを、以下に写真中心で見ていくことにしよう。

三洋電機のeneloop bike(エネループバイク) CY-SPL226。総重量は25.3kgで、一般的なシティサイクル/軽快車より10kg前後重い。アシスト無しで走ると重いママチャリになるが、アシストがオンだと実に軽々と走りまくれるダウンチューブには「eneloop bike」のロゴが。電池のエネループと同様のイメージでちょっとカッコイイかもヘッドチューブにはモロにeneloop。三洋電機の自転車と言われると「?」だが、電動ハイブリッド自転車にeneloopのロゴがあると「なるほど」って感じがする

ハンドルの前にはカゴ(フロントバスケット)が。LEDライトも装備しているLEDライトを点灯させたところ。夜間に路上を多少は照らせる明るさとなる。自車位置をアピールするあかりとしては十二分な明るさだ。中央は反射板と思われるカゴは大きめ深めで最大積載量は3kg。ハンドル右には電動アシスト機構制御のための手元スイッチが、右にはベルや変速グリップがある

ハンドルの付け根部分には簡易的なハンドルロック機構がある。駐車時にこれを「とまる」の方向に回しておけば、ハンドルの向きが固定されて転倒しにくくなる手元スイッチ部。電源のON/OFF、モード切替、ライト点灯消灯程度で、操作は簡単だ電池残量やモードなどに合わせてLEDが点灯する

後ろから見たところサドルは中央部分が凹んでいるので、やや長時間乗ってもお尻が痛くなりにくい。サドル自体は、ママチャリのそれとしては若干硬めというイメージサドル高さはもちろん調節可能。CY-SPL226の場合、サドル高さは750~930mmに動かせる

後輪にはサークル錠(リング錠)がある。鍵はバッテリーの盗難防止ロックと共通リアキャリア(荷台)は大きめだがシンプルな見栄え。最大積載量は22kgとなっている後方には赤い反射板とブレーキランプ(赤色LED)を装備する。ブレーキをかけると赤く点滅するほか、フロントライト点灯時は常に点滅してより安全に走行できる

後輪のハブ部分にはシマノ製の内装変速機を搭載するハンドルの右グリップ根本を回して変速する。3段変速ですな写真の赤丸部分を回すタイプの変速機だ。内装タイプなので変速機周辺のメンテナンスは最小限で済む

 てな感じ。詳細はメーカーの製品紹介ページをご覧いただきたいが、とりあえず試乗してみての雑感は前述のとおり、ヒッジョーに軽快に走りまくれること。外見はフツー的な軽快車なんだが、実際はクロスバイクを追いかけられるかもしれ!? みたいに、意外なほどの速度を出せる自転車なのである。

 それから、危なげない走りをする点。eneloop bikeはすぐに20km/h程度の速度が出ちゃう自転車である。走り出しからけっこーな速さまで力強くアシストしてくれるんですな。ぶっちゃけ、人力と比べるとかなりの急加速が可能。だが、加速中にフラつくとか不安定になるという印象は非常に少ない。これはたぶん、重めの本体重量と低めの重心、それから前輪でのアシスト駆動ゆえだと思う。

前輪のハブ部分は少々ゴツい。ここにモーターが内蔵されているのだ通常はモーターとして動作して推進力を生み出し、ときには回生ブレーキとして発電を行なう。走りながら電池に充電できちゃうってわけですなeneloop bikeシリーズの特徴の1つである前輪アシスト。前のタイヤはモーターにより推力を得て、後ろのタイヤは人力で動かすので、両輪駆動となって安定して走れるのだ

 ただ、細かな印象を言うと、若干気持ち悪い部分もある。たとえば、中央のフレーム1本で前後輪をつないでいるため、この部分がグニャグニャするという印象が多少あること。それからペダルにかかる人の力を感知するためか、ペダルも少しグニグニした踏み心地だったりする。でもまあ、そのあたりはさほど不安な要素でもないし、すぐに慣れてしまうと言えばそうだ。

 てなわけで、まずはチョイと乗ってみての率直な感想を言えば、これからママチャリなどの実用車ってんですか軽快車ってんですか、そーゆー多目的な自転車買うなら、CY-SPL226のような今時的な電動アシスト自転車だと思った。てゅーか買いたい。

 結局、ラクだし楽しいから。CY-SPL226に乗ってると、多くのシチュエーションで疲れないんですな。もちろん前進するのを助力してくれるからだ。すると「坂の上のあのお店は楽しいけど、あそこまで自転車で行くのがチト疲れる」という現実から「チト疲れる」が削除される、どころか、「あそこまで自転車で行くこと自体も楽しい」になったりする。乗って移動すること自体が新しい楽しさになることが多い。

 ともあれ、今後さらにeneloop bike CY-SPL226の試用っていうか試乗っていうか試走を重ね、レポートを続けたいと思う。次回以降、さらに細かな使用感などをお伝えしますんで、引き続きご愛読をよろしくお願いいたします~。



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2010年6月4日 00:00