走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

楽しくなる走り心地も健在 ミズノ「ウエーブライダー27」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
ミズノの「ウエーブライダー27」

1997年に初代モデルがリリースされて以来、ミズノのランニングカテゴリーをリードしてきた「ウエーブライダー(WAVE RIDER)」。着地安定性や衝撃吸収性、反発性を高いレベルで兼ね備えることで、これまで数多くのランナーを魅了してきたロングセラーシリーズだ。

そんな人気シリーズの第27弾は、ソールユニットのボリュームを増すことで、特にクッション性を向上させている。

同シリーズは、アシックスのゲルカヤノ、ナイキのエアペガサスとともに、スポーツシューズ業界を代表するモデル。着地安定性と衝撃吸収性、反発性の絶妙なハーモニーで知られてきた。だが前作の「ウエーブライダー26」は、従来のシリーズと比較すると、若干ではあるが、衝撃吸収性が目立つスペックとなった気がした。

一方、今作「ウエーブライダー27」では前作からのソールユニットを継承しつつ、踵(かかと)部分の構造を見直した新しいアッパーを採用。進化したフィット感と軽量化を実現している。ウエーブライダーらしい安心感のあるサポートを維持しつつも、よりソフトでスムーズな履き心地を実現する、新設計のヒールカウンターを採用している。

実際に足を入れてみると、踵部分をはじめとして、前作よりもフィット感が向上していることが分かる。自分が履いたのはレギュラータイプのウィズ(足囲)だが、足が幅広のランナーのためにスーパーワイドも用意されている。

アッパーに用いられたエアメッシュは軽く通気性に優れ、包み込まれるようなフィット感。アッパーの補強には硬い素材を用いずに樹脂プリント技術を用いることで、必要なサポート性と耐久性は持ちつつも、ソフトでスムーズなフィット感を損なわない設計となっている

走り始めると、着地安定性、衝撃吸収性、反発性のトータルバランスに優れ、初心者から中級ランナーまで幅広く対応することが理解できる。

前作からクッション性がある程度強調されたセッティングとなったが、やりすぎていないので、ウエーブライダーらしさはしっかりとキープしている。

ソールユニットは絶妙なクッション性のアップに成功した前作からのものを継承。快適な走行感を提供してくれる

以前のウエーブライダーよりも前足部の接地感は感じられなくなったが、着地から中間動作を経ての蹴り出しまで、走っていて楽しくなる走り心地も健在だ。

コンクリートやアスファルトといった舗装路で最高のグリップ性を発揮するアウトソール。ある程度刻みの深さがあるので、土や芝生といったオフロードでも充分なグリップを確保していた

他ブランドではランナーからの要望や、マーケットのトレンドを取り入れ過ぎて、シリーズが継承してきた歴史や特性をスポイルしてしまうこともあるが、ミズノの「ウエーブライダー27」はそのあたりをクリアしつつ、上手くアップデートすることに成功している。

また、昨今の原材料高もありランニングシューズは軒並み大幅な値上げをしているが、このシューズに関しては前作からの据え置き価格。こうした部分も、ランナーからポジティブな評価をされている。

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『人は何歳まで走れるのか?』『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。