走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

日曜ドラマ『陸王』で話題! 人間本来の走りを取り戻す、「きねや無敵」

<実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!

 アメリカのみならず日本でも注目を集めたランニングに関する書籍「BORN TO RUN」の影響もあり、一時期は大きな注目を集めた裸足感覚シューズ。しかしながら各ブランドの撤退が相次ぎ、その当時の盛り上がりはないのが現状だ。

 そんな状況においても、良好なセールスを記録する裸足感覚シューズが存在するという。それが足袋メーカーの「きねや」が製造する「きねや無敵」である。このモデルのアッパーは日本伝統の足袋デザインを継承し、つま先部分が親指とそれ以外とで二分割されている。今回は実際にこのシューズを着用してトレーニングすることで、その実力を検証してみる。

日曜ドラマ『陸王』で話題! 人間本来の走りを取り戻す、「きねや無敵」 きねや無敵
きねや無敵
メーカー名きねや足袋
製品名きねや無敵
実勢価格5,400円(税込)

 「きねや無敵」はナイロン製のアッパーを使用しているが、ランニング足袋という名称のままに、親指とそれ以外が分かれた日本伝統の足袋デザインを採用している。そのため、フォルムはかなり独創的だ。

 筆者は地元の祭りで御神輿を担いだ際に地下足袋を履いた経験があるが、それも20年以上前のこと。実際に足を入れてみると最初は二股に分かれたつま先部分が不思議な感覚。

 しかしながら五本指タイプの裸足感覚シューズを初めて履いたときと比較すれば違和感は少ない。立った状態で足の指を動かすと路面をしっかりと掴めるような感覚がして通常のシューズよりも安定感がある気がする。

 地下足袋のようにコハゼで止めるのではなく、シューレースを用いているので、フィット感の調整も簡単だ。ミッドソールが一切なく、天然ゴムの薄いアウトソールのみなので、最初の3分くらいは走るのではなく歩いてみた。

 最近お気に入りの裸足感覚シューズのメレル ベイパーグローブよりも裸足感覚が強い。徐々にスピードを上げてジョグペースで走ってみると、自然とつま先着地となり、しっかりと路面をグリップして走ることができる。これまで数十足の裸足感覚シューズを着用してきたが、この路面を掴む感覚が最も強い気がした。

 これには足袋型のつま先形状と、一般的なスポーツシューズのアウトソールよりも柔らかい、天然ゴム製のアウトソールが大きく貢献していると思う。裸足感覚シューズで走る際の典型的なフォーム、ストライドを小さくカラダの真下にして、前足部着地で回転させるようにするとグイグイ進む。

 いつも通りの6kmランが終了する頃にはこのシューズの独自の走り心地が気に入り、翌日も同じ距離を走ったが、足に慣れたこともあって快適性はさらに増した。

日曜ドラマ『陸王』で話題! 人間本来の走りを取り戻す、「きねや無敵」 グリップ性に優れたアウトソールは天然ゴム製で薄さ5mm。ゴム自体が柔らかいので、接地感はソフト
グリップ性に優れたアウトソールは天然ゴム製で薄さ5mm。ゴム自体が柔らかいので、接地感はソフト

 ちなみに筆者は台湾で購入したつま先が二分割されたソックスを着用していたが、メーカー側の説明では裸足で着用するのもOKだという。また最近は五本指タイプのソックスが至る所で販売されているので、こちらを活用するのもいいだろう。

 このように「きねや無敵」は裸足感覚シューズで日々走りたいランナーはもちろん、一般的なランニングシューズと併用して脚力の強化に活用するのもオススメ。そして税込で5400円という買いやすいプライスはとても嬉しいポイントだ。しっかりとした作りを考慮すると、この価格設定はバーゲンといっていい。

日曜ドラマ『陸王』で話題! 人間本来の走りを取り戻す、「きねや無敵」 アッパーはステッチで補強することで、シューズと足のフィット感を向上させている
アッパーはステッチで補強することで、シューズと足のフィット感を向上させている

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間56分09秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。