走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

これまでと全く異なる斬新な走り心地の1足!

<実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!

 今シーズン、ニューバランスから新たにリリースされたランニングシューズのFUEL CELL(フューエル セル)。このシューズは、ミッドソールに特殊技術で窒素を合成した、樹脂の一種であるTPU(熱可塑性ウレタン)に含有させることにより完成した。ニューバランスで最も反発するクッショニングマテリアルを採用しているのだ。その反発性能を早速体感してみた。

ニューバランス「フューエル セル」
メーカー名ニューバランス
製品名フューエル セル
実勢価格17,280円(税込)

 「もっと速く走りたい!」「もっとスピードを感じたい!」といったランナーのために今年の春夏シーズンまで展開されていたVAZEEコレクションが終了し、それを継承するかたちで登場したのが、「スピードを手に入れろ!」をキャッチコピーとするFUELの名を冠したモデル群。

 今回トライしたFUEL CELL(フューエルセル)は、靴ひもの替わりにダイヤルを回すことで簡単にフィット感の調節ができるFUEL CORE SONICとともにラインアップされたランニングシューズ。

 実際に履いてみると 新たに採用されたクッショニングマテリアルの反発性を感じるのと同時に、足裏に路面の感覚をかなり感じることができる。着地ごとに衝撃を吸収しているのと同時に、新開発の窒素をTPUに含有させたミッドソールは、足裏を押し返すような従来のニューバランスにはない感覚の高い反発性を与えてくれる。

ミッドソールは二層に分かれており、上層部はスポーツシューズ業界では最も一般的なEVA(エチレンビニールアセテート)系素材。下層部が今回新たに採用された、窒素をTPU(熱可塑性ウレタン)に含有させることにより完成したニューバランスで最も反発するクッショニングマテリアルとなっており、足裏を押し返すような力強い反発性を提供

 またアッパー部分では中足部のサポートパーツ、ダイナミックマテリアルに要注目。このパーツが実現する身体の一部のようなフィット感により、カーブや折り返しといった場面でもシューズ内部で足を正しい位置にキープするのに大きく貢献してくれた。

アッパーの中足部には折り紙のように素材を折り畳むことで強度が増し、足をしっかりとホールドするダイナミックマテリアルを採用。このパーツが実現する身体の一部のようなフィット感により、カーブや折り返しといった場面でもシューズ内部で足を正しい位置にキープしてくれる

 ちなみにこのシューズは前述の通りどちらかいうと、より速く走りたいランナーのためのシューズであり、中級者以上の脚力の備わったランナーが履くと本領を発揮するが、足の保護性を重視するランナーは、同ブランドのラインアップならクッション性や安定性、サポート性を兼ね備えたZANTEを始めとしたフレッシュフォーム搭載モデルやM1040のようなベーシックタイプのランニングシューズをオススメする。

 また17,280円(税込)というプライスは、従来のニューバランスのパフォーマンスランニングシューズと比較して、若干高めの価格設定。だが、クッション性や反発性、アッパーのサポート性といった、その総合力の高さを考慮すると決して高くはない。

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間56分09秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。