ぷーこの家電日記

第421回

新学期スタート! 好奇心を引き連れていろいろチャレンジするぞ

全国各地で桜が満開だ。日曜日に花見に行こうと思ったら雨が降っていて結局家でゆっくりと過ごし、SNSで共有される綺麗な桜の画像を眺めたり。写真で見るだけで癒される。

今年は開花が少し遅いのか、満開の桜の中で入学式を迎えられる子もたくさんいるようで、新しいランドセルを背負って桜の木の下で撮ってもらう写真は最高だなと、関係ない私まで何だかご褒美を貰ったような気持ちで、無駄に泣きそうになった。この涙腺のパッキンが壊れたような現象は加齢によるものなのか(笑)。ともあれ春から新しい環境に進まれるみなさま、おめでとうございます。素晴らしい出会いと経験に恵まれますように。

そんなことを言いながら、私自身は学校がとても苦手だった(笑)。人付き合いがとても下手で、上手くやっていけなかったし、それを平気だと受け入れて一人を楽しみ打ち込めるようなものも無かった。そして、学校に行きたくないと言い出せる勇気も無く、ただただ憂鬱だったなぁ。

私は大人になってから人生が楽しくなった人間だ。あのころに戻りたいなんて微塵も思ったことがなかったけれど、40歳をすぎたあたりから、「何もかも中途半端で頑張れなかった自分をやり直してみたい」「もっと勉強もやって、いろいろなものを見て、いろいろなところに行きたかった」などと頭をかすめることが増えてきた。

もちろん今からやれることもたくさんあるけれど、あの持て余すような感受性と体力とがあるあの時期に体験してたらどうなっただろうかと思うのだ。やり直すとしたら何歳から? などと、本当に無駄で不毛なことを真剣に妄想して楽しむほどには憧れる。

若いころに「若いっていいなー」と何度も言われて、正直面倒だったけれど、あれは純粋に心からの「いいなー」でしかなかったんだろうな(笑)。どちらの気持ちもわかるので、私は絶対に口に出さないようにはしている。返事に困るよね。

そんな若さに憧れる中年の私。体力も記憶力も感受性もどんどん低下する中、「好奇心」って加齢とはリンクしないかもってことに最近気付いたのだ。特に知的好奇心。興味さえ持てばどんどん追求したくなる。もっと知りたくなるし、研究したくなる。

学生のころは暗記教科と呼ばれる科目が本当に苦手で、歴史や地理などの社会科の成績がもの凄く悪かった。数学など考えて解を導き出す教科は好きで得意だったので、私は「暗記教科が苦手」だと勝手に思い込んでいたのだけれど、今考えると本当にただ興味がなかっただけだと思う。

今はやたらと野菜の品種名に詳しかったりするし、その原産国がどこで、どういう歴史的な流れでいつ日本に入ってきたなどまで知っていたり調べたりする。「ここにもコロンブス関わってるの!?」なんてビックリしたりして楽しい。記憶力は低下してるはずなのに結構覚えられるし、どんどん知りたくなる(笑)。

当たり前だけれど、時間も世界も繋がっているのだ。「何年に何が起きました」って点じゃなく、脈々と流れて繋がって今がある。食べ物も言語も繋がっていてグラデーションのように少しずつ変わって根付いて文化が形成されていっている。いろいろな国のご飯、特に大好きなアジアご飯を食べているときなんか「シルクロードは繋がっているなぁ」といつもしみじみしてしまう。

あぁ、歴史や地理の授業も、食べ物絡めてやってくれたら、食い意地が張っている私はきっと大好きな教科になっていただろうなぁ。いや、教科じゃなくても、今となって苦手だと思い込んでいたことが実は大好きなことだったと気づいたのは面白い。妄想世界旅行に妄想タイムスリップは最高だ!

そして、その知的好奇心、知ることである程度気持ちが満たされるのだけれど、誰かと共感したくなる。共に感動しながらお互いに知らないことを補完しあったり、そこから派生する新たなことに興味を持ったりするのはめちゃくちゃ面白い。

好奇心と好奇心を掛け合わせると、1+1=2じゃなくて化学反応的に大きなものになる。人と会うこと、人と話すこと、人と食事をするということはきっとそういうものだ。このコロナ禍で失った物ってこういう時間だよなとしみじみと思う。

インドア派の私は、外に出られないこと自体には特段ストレスを感じなかったのだけれど、何かがすっぽり抜け落ちたような、ぽっかり穴が開いたような感覚になっていた。きっとこの好奇心をくすぐる刺激に飢えていたのだ。今年こそ、たくさんの人に会って、たくさん見てたくさん聞いてたくさん話して、この穴を埋めていきたいなぁ。

そしてそして、人付き合いが下手で苦手な子供だったのに、人と会うことに飢えて感動する大人になっているというのが我ながらとても面白い。人はいくつになっても変化もするし成長もする。「いい歳だから」などとストッパーをかけず、いろんなことにチャレンジしたいと思っている春なのでありました。体が横に成長していくのだけは、そろそろ本気で止めに入りたいのだけれど(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。