ぷーこの家電日記

第413回

寒いこの時期に自分好みのお味噌仕込み

あっという間に1月が終わって、2月に入ってしまいました。あけましておめでとうございますって言ったばっかりなのに、早すぎる! 2月に入ったら趣味の家庭菜園も夏野菜の種まきシーズン。1月までに何を植えるか計画を立てて種を買っておこうと思ったのに、気づけば2月突入で、慌てて種を選定した。

毎年夏野菜の準備をこの真冬に始めるたびに「アパレル業みたい!」となんだかファッショナブルな気持ちになる。今年の夏は何が来る!? みたいな流行りを考えたりしつつ、結局好きな種をいろいろ買ってホクホク。手で脱穀するのが想像するだけでも面倒そうで手を出さなかった胡麻の種まで買っちゃった。自家焙煎した胡麻は面倒臭さを差し引いてもお釣りが来るくらい、格別に美味しいらしいので、今から既に夏が楽しみなのであーる。

家庭菜園も夏の準備を今から始めるけれど、同じく今の季節に準備すると良いものがある。それは「味噌」だ。二十四節気の最後、「立春」の直前の「大寒」。1年で1番寒い時期とされるこの大寒の時期は、雑菌が繁殖しにくいということと、寒い期間に仕込むとゆっくりと時間をかけて発酵するので味に深みが出ること、さらに大豆の収穫時期は秋から冬なので、新米と同じで新大豆(?)を使うと美味しい味噌ができると言うことで、味噌の仕込みに最適な季節なのだそう。

私の実家でも私が子どものころ、毎年近所のママ友と味噌作りをしていた母。いつもこの時期の土曜日に作っていた気がする。味噌用に柔らかく煮た豆を食べるのが大好きだった私は「今日は味噌作りするよ」と聞くと、その大豆を食べるのが楽しみで楽しみで、午前中で学校が終わる土曜日、ダッシュで家に帰っていた。

帰ると、ちょうど豆が茹で上がったばかりの大豆を、母がお椀に分けて取っておいてくれる。それをスプーンでモリモリと食べる幸せったら! もちろん調味料なんていらない。大豆の香りとやわらかいあの食感がとてつもなく美味しくて、味噌作りの日はとても楽しみだった。母たちはお喋りしながらの1年分の味噌の仕込みをイベントとして楽しんでいたんだと思う。味噌を作るのに使っていた、深くて大きい黄色のタッパーウェアを今も覚えているくらいに、子どものころの手作り味噌は思い出深い。

そんな私は、大豆を食べる専門で味噌作りは全然やってこなかった。美味しい手作り味噌を食べたいなぁとは思っていたけれど、機会がないというか……。そんな私が8年ほど前に友人と味噌作りに挑戦した。「これ作らない?」と、ネットで見つけた手作り味噌キットでチャレンジ。一人暮らしの友人の家で作ることになり、友人は前日の夜に、家にある1番大きな鍋に大豆を浸けておいてくれたのだけれど、一人暮らしでそんなに大きな鍋があるわけもなく、ましてそんなに大豆が膨らむとも思わず、夜中に「コローン」「コローン」とシンクにこぼれ落ちる豆の音を聞きながらホラーな夜を過ごしたらしい。今でも思い出すそのエピソード(笑)。

一緒に作った味噌作りはとても楽しかったのだけれど、いざ出来上がってからの味噌の味といえば、あまり芳しくなかった。なぜならば、2人とも西の人間で、結構白い味噌を好んで食べる舌なのに、購入したのは結構深く漬ける赤い味噌のキットだったのだ! この大量の味噌をどうしようかと途方に暮れ、それから「私は味噌はもう作らない。美味しい味噌をちょこちょこ買った方が私には合う」と思って味噌作りは封印したのだった。

そして今年になり、封印していたはずの味噌作りの蓋を再び開けてしまった! なぜならば、友人から特級品のめっちゃ美味しい大豆を沢山頂いたからだ。そして今更ながら、「麦味噌を仕込めばいいんだ!」と、あの失敗の理由と対策を知ったからだ(笑)。九州といえば合わせ味噌か麦味噌だ! 生の麦麹を買い、水に浸して1晩待つ。あの大豆ポロポロ事件を思い出して1人で笑いが出てくる。

そして圧力鍋で柔らかくなるまで煮ているときに大豆の良い香りが漂ってくると、あの小学生の頃の記憶が鮮明に戻ってくる。楽しい楽しい思い出旅行だ。茹で上がった大豆の硬さを見るためと言い訳をして茹で大豆を食べながら、何だか涙出そうなほど感動した。危うく食べる手が止まらないところだった。

味噌作り自体はいたってシンプルで、潰した大豆と大豆の茹で汁、それと麹と塩を混ぜるだけ。手に付いた常在菌がより美味しくするとは言うけれど、きっと私の手にはろくな菌がいないと思うので私は手袋付ける派(笑)。容器に空気が入らないようにみっちりと詰めてあとは待つだけ。麦味噌はこの時期だと3カ月程で食べられそうである。今度こそ「この味を知ると離れられなくなる」と言う感動を味わいたいものだ! 楽しみー!

そんなワクワクする味噌作りをした数日後「丹波篠山の黒豆で作った味噌がヤバい」とこれまた友人に聞きまして……。「え!? あの正月の黒豆の最高峰のやつを味噌に!?」みたいな気持ちになって、黒豆も購入しちゃった。味噌の食べ比べも楽しみだ。味噌作りはもうやらないって思ってたけど、既にもう病みつきになりそうな今年の味噌作り体験なのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。