ぷーこの家電日記

第412回

我が家の老犬、猫との友情が芽生える

1月に入ってからオミクロン株による第6波の勢いがすごくて、もういつどこで誰が罹患しても全然おかしくないなと実感する。間近でも罹患した人や濃厚接触になった人も多くいる。幸い重篤化しにくいともいわれているけれど、進んで罹患したいと思う人はいないわけで、小さな子どもや高齢者の方と同居している人は特に毎日神経をすり減らしながら暮らしているんだよなぁと、体もだけれどメンタルの健康も心配になる。

私はほぼ外出しないので今のところは心穏やかに過ごしてはいるけれど、夫も仕事で出勤する日があるし、病院だけじゃなく、利用する近所のスーパーだってコンビニだって、いつだって平常で運営できることが保証されてる状況でもないよなぁと、ますます身近に感じているのです。

そんな第6波の勢いが収まらない中、2年以上帰省していない福岡の両親とはときどき電話で近状報告とたわいない会話を交わす。4月で金婚式を迎える両親。「来年の春には旅行でもしてお祝いしよう!」と、昨年からずっと言っていたので、「春までに何卒、何卒って感じだよねぇ!」と言っているけれど雲行き怪しいよなぁ。

そんな電話の会話の中で、「お爺ワンコがさ……」と言ったら、「え!? あの子まだ元気にしてたの!?」と驚かれた。本連載でも何度か登場している老犬、保健所から我が家に来たのは1年9カ月前の第1波で初めての緊急事態宣言が出た期間だった。急に在宅という形になり、どうせ自宅にいるのだからと引き受けた、ヨボヨボの老犬。最後くらい暖かい部屋と美味しい食べ物とふかふかなベッドで少しの幸せを感じてくれたらなぁって願ってた。

我が家に来てすぐに肝臓の数値が非常に悪くなって黄疸を出したりして、「せっかくご縁があったんだから、少しは現世を楽しんでからにしてよ」と祈るように待ってたりしたんだけれど、今では元気で「あのとき仮病使ったでしょ?」と、冗談で言われるほど。現在、ヨボヨボしているのと多少体に不自由と病気はあるものの、元気に過ごしている。母以外からも「あのワンちゃんは……」と聞きづらそうに言われたりするので、ときどき近状報告は必要だなって思うと共に、たくさんの人にこうして愛されていて、とっても嬉しい。まだしぶとく生きてるぞー!(笑)。

先行き短いの子にしつけなんて必要ないと思っていたし、今までおそらく1度もちゃんとした飼い犬生活をしたことがないであろうこの子に、十数年分の楽しさを味わって欲しいし、何なら世界一幸せになってほしい! なんて思っていた。そもそも目も見えないし耳も聞こえないもんだから、しつけのコマンドなんて何一つ効かないのだけれど(笑)。

おかげさまで、立派にいい感じのワガママお爺さんになった。安心して信用してくれているんだろうと思うと、そのワガママでさえ嬉しくて堪らないし可愛い。目が見えなくても、家の中だったらもう自由に歩き回れるし、階段の上り下りも完全にマスターしたもんだから、好きなタイミングで水だって飲めるし、目が覚めたときに私がいないと、仕事をしているデスクの所まで来て膝の上に乗せてとせがむ。ふかふかのお布団の上のほうが気持ちよく眠れるだろうに、私の膝の上で寝たいらしい。おかげさまで私の足はバッキバキに固まってしまうけれど、お犬様が所望されるのであれば仕方がない。そんな完全に家犬の老犬は、猫とも着実に友情を育んでいるようだ。

老犬が我が家に来て数カ月は、得体のしれない存在に3匹の猫たちは「何だこれ!?」とかなり警戒していた。ルンバのように歩く老犬に猫は「ひゃー! こっち来た」と逃げ惑ったりしていたけれど、慣れた後はお互いまるで空気のような存在に。関わることもないけれど、気にもならなくなっていた。

それがこのごろ、猫が老犬を見守るように寄り添って寝ていたりする。前よりもずっと距離が近い。秋に私の出社が少し増えていたころ、おそらく留守番に慣れない老犬に、猫が寄り添って寝てあげてたんだろう。ときどき添い寝どころか犬の上で寝ていたりするけれど(笑)。ご飯を食べていてもなぜか横で猫が応援するように見守っていたりする。老犬がトイレをすると、ペットシーツの前で猫が「さっさと片付けて!」と私に言ってくるし、友情というよりもまるで保護者。老犬は相変わらず興味なさそうだけれど、特に嫌がる様子もない。

おかげさまで、在宅勤務のときは犬と猫が私の膝に乗り(重いよ!)、寝ようとすると左腕枕で犬が、右腕枕で猫が寝て、刺身などが食卓に上がると左から犬が右から猫がねだってくる始末。「絶対に仲良しだろ!」と突っ込まずにいられない微笑ましい状況。老犬のおかげで私がモテモテだ(笑)。このまま、少しでも長く元気で仲良く過ごしてほしいなと毎日毎日祈ってる。まだまだしぶとく生きるぞー! おー!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。