ぷーこの家電日記

第391回

会えないけれどお互い楽しく健やかに

とうとう8月が終わってしまう。まだまだ暑いけれど今年の夏もそろそろ終わりな気分。最後に福岡の実家に帰ったのはいつだったっけ? コロナ禍直前の正月も帰省していないはずなので、2年前の夏が最後の帰省か!? 食べたいものや行きたいところがたまり過ぎて、通常の1週間程度の夏休みでは消化できる自信がない。いろいろ落ち着いたら、1カ月くらい休みを取って帰りたいなぁ。まぁそれはなかなか叶わない願望なのかもしれない。

唯一ありがたく心穏やかに過ごせているのは、70代の両親が健康で元気で暮らしていることだ。それでも、もしものことがあったら、この自粛の期間に私は何を思うのだろうか。なぁんてちょっとネガティブなことも考えてしまったりもする。

とはいえ、両親はまぁとにかく元気だ。きっと私よりもパワフルで元気。私の73歳の父親はとにかく元気で、よく働きよく飲みよく笑いよく動く。60歳で定年を迎えたあとも65歳まで嘱託社員として働き、その後も「もうそろそろ引退するよ」と言いながら毎年1年単位で契約を更新して今年の夏までサラリーマン生活を続けていた。50年以上のサラリーマン生活で、最後はとうとうテレワークまで体験したそうで、「最先端じゃん!」と笑ったもんだ。

働きながら週に何度かはランニングし、毎晩よく飲みよく食べて、週末は家庭菜園に行ったり、町内のソフトボールチームで体を動かしたり、毎週のように中高時代の同級生と同窓会という名の飲み会をしたりなど、とにかくよく動く人だ。このご時世で友人にも会えないみたいだけれど、「この前Zoom飲み会したよ。でも、あれはちょっと合わなかったなぁ」なぁんて言っていた。頭固いところも結構あるけれど、面白そうなことは柔軟に取り入れていくスタイルである。

今ではこの柔軟さと好奇心の強さ、加えては体力も含め「敵わないわー」とかなり尊敬もしているし、一緒に飲むと楽しくてついつい飲み過ぎてしまうほどに仲は良いのだけれど、私は反抗期も長く中高生時代は父が苦手だった。亭主関白な感じが嫌だったし、それをニコニコと支える母も、ただ父が言うことを聞いているように見えて腹が立って仕方がなかったのだ。

実情は母がしっかり手綱を握っていて、上手く役割分担を果たしていたワケなんだけれど、大人になるまでそれに気づかなかったし、「こんな大人になんかならないぞ」と強く心に決めていた。ところが大人になったら、まんま両親を真似るように育っているわけですよ(笑)。料理が好きで何でも手作りしちゃうところは、完全に母を真似ているとしか思えないし、父とは家庭菜園の作付けの話をするときなんかに、妙にウンチク大好きなオタク気質がそのまんま。顔も性格も似ていて、本当に嫌になっちゃう(笑)。あぁ、どんどん似ていく。困ったもんだ。

食べても食べても太らないその体質とか、疲れが残らないそのパワフルな体力とか、どうせならそこら辺も似てほしかったけれど、残念ながら願望は叶わず。この会わない2年で横に成長を重ねている私は、今度会ったときに「老けたね! 太ったね!」なぁんて言われてしまいそう。早くリセットしてその日を迎えなければいけない!

なかなか帰れない実家だけれど、両親は今も毎日元気で楽しそうだ。仕事を終えてもやりたいこととやることには事欠かないようで、まぁ安心。先日電話した時も「今日は相談があるのだよ」と言われて何かと構えたら、「庭の木に鳥の巣箱を付けたくて、ホームセンターとか見て回っても売っていなくて、ネットショッピングしたいから教えてくれ」という相談だった。どこで買うかなどを電話で説明するのはなかなか面倒だぞって思い「買って送るから、こんなのがいいとかってある?」と聞くと、「えへへ。そう言われるかなぁって思って調べていたんだよ。お店の名前と型番を言うぞ」と、下調べ完璧で笑う。すぐに購入して1週間ほどしたら、「本日から入居者募集し始めました」とかって、アパート経営始めました風なLINEが写真付きで届いてちょっとクスッときた。

暗いニュースややるせないことも多いし制限も多く閉塞的な毎日だけれど、その中でも楽しめることは無限にあるし、私も見習ってとにかく毎日楽しいことを見つけていこうと思っているのであります。それにしても、早く帰れる日が来てほしい!!!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。