ぷーこの家電日記

第354回

巣ごもり生活もベテランの域に。愛する老犬に届かない夫のDIY愛

冬らしさが少しずつ見え始めたこの頃、再びコロナのニュースが不穏な感じで流れ出して、ピリピリした空気と「またか」という疲れと、思考の違いや怒りなどが交差してバチバチしていて息苦しい。我が家はといえば、まぁ変わらず通常運転。緊急事態宣言時期よりは普通に買い物とかも出かけているし、通勤もしていたり。それでも人混みに出かける気持ちが全然沸かないし、ちょっと怖い気持ちが強い私。かといって、GoTo施策を使って積極的に動いている人に対して怒りなど全く無いし、「チーム引きこもりは任せて! チーム現地もよろしく!」などと、勝手に変な連帯感さえ感じているほど。

とはいえ、やっぱりいろんな考え方やいろんな生活の人と一緒の空間で仕事をしていると、ちょっとだけ緊張したり不安になったりと結構疲れる。しばらく100%テレワークになったらいいのになぁなどと思っている私は、良い意味でも悪い意味でも、自分と、手が届く家族にしか興味なく、自分のご機嫌くらいしか取れないのだ。

今年のお正月も帰省できないし、ついつい太るし、何気ない刺激が減って季節感を味わえなかったりと、あまり良いことがないなぁと思いつつ、我が家の可愛い老犬との出会いは、このコロナ禍のお陰で得られたものだった。

「預かり犬から飼い犬に。我が家の老犬その後」で書いたけれど、緊急事態宣言がきっかけで預かることにした、保健所にいた老犬。「先行き短いし、せめて温かいお布団と、少しの楽しい思い出を」なぁんて思っていたわけですが、我が家に来て7カ月経過した今、ますます元気な上、最初の甘やかしが響いて、まぁわがままお坊ちゃまな訳です(元気とはいえ、病気もあるし老犬に変わりないし、いつまで元気かはわからないけど)。

夫も「誰? 先行き短いからちょっとの間置いてって言ってたのは(笑)」と言うくらいに、それはそれは堂々と飼い犬している。今更厳しい躾をするつもりはないけれど、かなり甘えん坊で私にべったり。赤子並みの寝かしつけが必要だったり、テレワークしてる間は膝の上だったり、そこそこ大変なんだ。

私が出社して不在のときは「おとなしくずっと寝てたよー」と夫が言うので、まぁ私はわがままできるちょろい人間なんだろう。「俺は知ってしまった。愛というものを……。愛を知らなきゃこの寂しさも知らずに済んだのに」なぁんてアテレコをしては笑っているんだけれど、私への愛が強くて、可愛いけれどそこそこ疲れる。

一番疲れるのは睡眠時間が削られること。夜寝ていても、3時か4時くらいになると、「トイレ行きたいー! 降ろしてー!」と起こしてくる。「はいはい」とベッドから降ろしてトイレ介助して、ちょっと寝るも、「やっぱりもう1回トイレ!」とか、「喉乾いたー」とか「ちょっと小腹すいたー」とかとか、寝ない日は何度も起こしてくるわけです。「そのままそこら辺で寝ておいて」と言っても通じるわけもなく、ほぼ毎晩付き合わされるのだ。まぁ、本人(本犬)はとっても幸せそうなので、「長かった辛いときのこと、そろそろ忘れちゃえたかしら?」なぁんて、嬉しくなるのだけれど、それでも体的には結構辛い断眠生活。

そんな生活が続いたある週末、夫が「よし、ジジイにスロープ作ってやる!」と言い出した。前にも亡き愛犬の体が衰えてきた頃、スロープを作ってくれたことがある。そのときは大好きなベッドの上に自由に上り下りできるようになって、犬も私も大喜びだったのだ。週末にベランダでDIYする夫が眩しく格好いい!!!

「よかったねー! 愛されてるねー!」と、老犬に話しかけつつ、愛と優しさに包まれた我が家。スロープを作り上げた夫は、「このままじゃ滑るから、滑り止め的な何かを探してくる!」とホームセンターに繰り出した。シンプルな坂道スロープに、人工芝的なカバー。これで自由に動けるし私の安眠も確保できるかもと、本当に嬉しかった。

と思ったのは束の間、全くもって使おうとはしないのだ。「キューンキューン! (降ろしてー!)」と言うたびに、「ここからこうやって降りるんだよー」と、根気よく教え、登りたがるときも「ほら、こうやってここからこうやって」って根気よく歩かせたりしたけれど、全くもって使いたがらない。まぁ角度が急すぎて目が見えない犬には恐怖でしかないものだったのだから仕方ない(笑)。

犬は使わなかったけれど、なぜか猫がお気に入りに。スロープの下の部分が、「暗い」「狭い」「暖かい(床暖房)」で、大好きが詰まっていたらしい(笑)。滑り止め代わりに敷いていた人工芝は爪研ぎとしてガリガリして即ボロボロに。「これは正しい使い方……なのか!?」と夫も複雑な表情(笑)。

懲りずに「スロープ使わない?」と言う飼い主に対して、老犬はというと、「俺の返事はこれだ!」とばかりに、ヨボヨボ老犬と思えないほど高々と足を上げてジョロジョローとおしっこを掛けたのである。膝から崩れ落ちる夫と「おーい!!!」と爆笑する私。「もうこれは解体じゃー!」と、夫にノコギリでズタボロにされてしまったスロープだったのであります(笑)。

大変なことも多いけれど、夫と愉快な仲間たちのおかげで、今年も楽しく元気に乗り切れていけそうな我が家。ちょっと消化不良のDIY熱、私が今欲しいのは食器棚。自炊が捗ると食器が欲しくなっちゃうのだけれど、これ以上収納できないので食器棚が欲しいし、むしろ作ってしまいたい! 夫とともに週末を使いながらボチボチ作って行きたいなぁ。と、不便で不満ながら、なんだかんだこの生活を楽しんでいる私たちなのでした。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。