調理の下処理

第99回

秋の果物を楽しむ! 「西洋ナシ」の選び方と食べごろの見分け方

 とろりとした果肉と芳醇な香りが魅力の「西洋ナシ」は、ヨーロッパで親しまれている果物です。収穫が早い品種だと9月ごろから、日本でよく知られているラ・フランスは10月ごろから店頭に並びます。

 日本に「西洋ナシ」が伝わったのは明治初期ですが、栽培に適した環境が限られたことや、栽培に手間が掛かることから、産地以外ではあまり食べられていませんでした。現在では、秋の味覚の1つとして手に入りやすくなったものの、食べごろの見分け方が難しい果物です。今回は、「西洋ナシ」の選び方と食べごろの見分け方、追熟する方法をご紹介します。

とろりとした果肉が魅力の西洋ナシ。食べごろを見極めて果肉を楽しもう

手に持って重みと皮を確認して選ぶ

 西洋ナシの多くは、ひょうたんのような形をしています。丸みのある整った形をしたもののほかに、いびつな形をしたものもあります。果物の中には、形が整っているほうが味の良いものもありますが、西洋ナシの味は形に左右されません。

 選ぶときには、手に持って重みのあるものを選びましょう。また、皮に傷があったり、部分的に柔らかくなっていたりすると腐りやすいため、皮もよく見て確かめます。

手に持って、ずっしりと重みのある果実を選ぶ

室温に置いて追熟する

 西洋ナシは木になったままだと熟さないため、収穫後に追熟させる果物です。そのため栽培農家では、出荷前に追熟をして、家庭で2~4日ほど置くと食べごろになるように調整しています。

 追熟が十分でない西洋ナシは固く、食べごろになると柔らかくなります。購入時に固い西洋ナシを選んだ場合は、乾燥しないように新聞紙や紙袋で包み、室温で追熟させましょう。追熟に適している温度は15~20℃です。追熟を早めたいなら、リンゴやバナナなどエチレンを発生する果物と一緒にポリ袋に入れます。

新聞紙などで包み、室温で追熟させる

手で軽く押して食べごろを見分ける

 追熟が進むと、皮の色が黄色っぽく変化し、軸が茶色になります。見た目の変化だけでは分かりにくい場合もあるので、軸のつけ根を軽く押して確認します。弾力を感じたら食べごろです。

 食べごろになった西洋ナシは、追熟が進みすぎないようにすぐに食べきりましょう。そのまま食べるほか、サラダやサンドイッチの具、スイーツのトッピングなどにもおすすめです。

軸のつけ根を押して固さを確認する

じゅん

チョコレートと漬物が好きな管理栄養士です。現在、子育てに奮闘中。体力の衰えを感じながら、子どもと公園を走り回っています。家事の効率化とシンプルライフを目指して、日々の生活を見直し中です。