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スマート家電はAIでもっと使いやすく進化する? 「IFA2025」9月開幕
2025年6月24日 18:09
国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA2025」がドイツ・ベルリンにて9月5日~9日(現地時間)に開催される。その開幕を前に、イベントを主催するIFAのライフ・リントナーCEOが来日。CEOとして2年目を迎えての所感や、今後も変化を続けるための取り組みなどを語り、日本からも来場を呼び掛けた。
かつてラジオなど主に放送技術の展示会として始まり発展してきたIFAは、今回101年目を迎える。年末や近い将来に登場する予定の家電や、スマートホーム、AI、オーディオ・ビジュアル、ゲーム、ヘルスケア、モビリティといった様々なジャンルの最新技術や製品が一足先に披露される。一般消費者向けだけではなくBtoBを含む様々な企業や団体による出展があり、近年はスタートアップ企業も大きな存在感を示している。
2024年の実績は、出展企業が44カ国約1,800社、総ビジター数約215,000人(139カ国)で、そのうちプレスとメディアが約4,500人(101カ国)、トレードビジターは約133,000人だった。日本からは、パナソニック、シャープ、ソニー、東京都らが出展した。
これまでも、世界のイノベーションが集結するIFA Nextというカテゴリーにおいて、2019年に日本がIFA史上初となるグローバルイノベーションパートナーに選出。スタートアップ企業が最新アイディアなどを披露した。
IFA2024には東京都から「SusHi Tech Tokyo」が初出展。最先端技術をもつスタートアップ企業など7社が出展して存在感を示した。なかでも、近視や老眼といった見え方をサポートするメガネ型のウェアラブルデバイスを開発する日本のViXionも、IFA Next Pitch Battleというイベントでグランプリを受賞していた経緯がある。
生活家電では、主にボッシュやシーメンス、ミーレといった欧州企業のほか、LG、パナソニックなどのグローバル企業がスマートキッチンや、エコ家電、IoT技術を展開してきた。
映像やオーディオといった分野も以前から関心が高く、その最新動向なども体験できる場となっている。ヘルステックや、スマートモビリティといったカテゴリーも特に関心が高まっている領域。
リントナーCEOは、101年目の2025年について「100年目のビッグバンからさらに次のステップ」として、AIやサステナビリティを注目のキーワードに挙げた。新たな取り組みも検討しており、IFA会場のメッセ・ベルリンは18万m2という巨大なスペースなため、これを効率よくみられるようにAIを使ってナビゲーションすることなども計画しているという。
具体的な出展企業の詳細はまだ明かされていないものの、パナソニックやソニーといった2024年の出展企業には再びの参加を呼び掛けている。特に、写真や映像などのイメージング分野の企業にも高い期待を寄せた。
スマートホームのMatter対応は当たり前? AIでさらに使い勝手向上
X-HEMISTRY(ケミストリー)のCEOであり、Matter(マター)などスマートホームの標準規格策定を進めるConnectivity Standards Alliance(CSA)日本支部の新貝文将 代表がゲストとして登壇。スマートホーム分野で長年IFAを見続けてきたことから、最近のスマートホームの動向などについてメディア向けに説明した。
IFAやCESなどのイベントを含めて最新動向をチェックし続けている新貝代表は、欧州や韓国、中国など海外勢が既にスマートホームで数多くの製品やコンセプトを展示していることなどを紹介した。
IFAでは日本にいるとなかなか触れることがない多くのメーカーの製品を目にできることや、AIを駆使した最新家電で困りごとを解決する事例を知るなど、様々な楽しみ方ができることを説明。そうした中でスマートホーム関連では共通規格のMatter対応製品も数多く目にするという。
Matterはこれまでバージョンを順調にアップデートしており、Matter 1.4では太陽光システムや蓄電池といったエネルギー管理機能の強化が加わり、Matter 1.4.1ではNFCセットアップなど使い勝手の向上も進められている。
一方で、Matter自体は登場から約2年半でコモディティ化/インフラ化が進んだ側面もあり、それだけでは差別化要因になりにくくなっているとのこと。スマートホーム関連企業は、これまで「コネクティビティ(ネットにつながる)」に投資してきたのが、これからはAIによって安定して利用できることへの価値が注目されつつあるとの見方を示している。