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マイボトルの洗いにくさ解消、「食洗機でマグをキレイに」実現の理由を聞いた

パナソニックの食洗機でサーモスのケータイマグが洗える

急成長を続けているマイボトル市場。マイボトルが売れている理由は、エコ意識の高まりや保冷保温が可能で手軽に飲みものを持ち運べる利便性、酷暑の夏は学校からの「水筒持参」指導など、さまざまだ。子どもが2人いる我が家でも、シーンに合わせて複数のマイボトルを所持している。

便利なマイボトルだが、なんといっても面倒なのが毎日のお手入れだ。各パーツが複雑な形状で洗いにくく、洗い終わった後も隅々まで汚れを落とせたのか、いつも不安になる。水筒洗い用ブラシは多く販売されているが、パーツに合わせてブラシを使い分けており、毎日複数のボトルを洗うのはストレスになっている。

食器洗い乾燥機があれば簡単に洗えそうだが、食洗機対応のマイボトルがほぼないため、せっかく食洗機を持っていても水筒類は手で洗うことになる。食洗機ヘビーユーザーの我が家でも、マイボトルは毎回手洗い。洗いにくい長筒形状と細かいパーツに毎日イライラしていたところに、気になるニュースが飛び込んできた。

1960年以来、食洗機カテゴリで長年の歴史を持つパナソニックと、魔法びんで有名なグローバル企業として高い人気を誇るサーモスの2社が協業し、パナソニックは「ボトルをキレイに洗える食洗機」を、サーモスは「食洗機に対応したボトル」を同時に開発したというのだ。

パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TZ300」は新たにボトルホルダーを搭載し、食洗機対応マイボトルを清潔に洗えるようになり、サーモスは同社初となる食洗機対応の「真空断熱ケータイマグ JOK-350/500」を開発。2020年9月1日に同時発売した。

マイボトルを毎日持ち歩いているユーザーとして、期待が膨らむ製品だ。本当にボトルのお手入れから解放されるのか、さっそくパナソニックとサーモスの担当者に話を伺った。

パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TZ300」
サーモス「真空断熱ケータイマグ JOK-350/500」

ボトルやマグが倒れず、長筒形状でも奥底までしっかり水が当たるからピカピカに

パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TZ300」は食器類を一度に約40点洗うことができる、卓上タイプの食洗機だ。新モデルは、手洗いでは難しい約50℃以上の高い水温と、高圧水流で食器類を洗い上げ、洗浄全コースで洗浄と同時に除菌が可能になった「ストリーム除菌洗浄」を搭載。パナソニック独自の技術「ナノイー X」で、庫内のニオイを抑制、除菌することで、まとめ洗い時の食器を清潔に保管することもできる。

基本性能でもある洗浄力は高い水準にあり、ユーザーの満足度も高い。しかし、パナソニック キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 商品企画部 食洗機商品企画課の山田恭平氏は、「洗浄力だけではなく、他の困りごとも解決したい」と、新機能の開発に着手したという。

パナソニック キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 商品企画部 食洗機商品企画課の山田恭平氏

「弊社の調査では、長筒形状の水筒などが洗いにくいという声を多くいただきました。そこで、業界大手のサーモスさんに食洗機対応マグボトルの開発を提案いたしました」(山田氏)

こうして最大の特徴でもある新搭載のボトルホルダーを開発。ボトルホルダーは下段カゴの手前3カ所に設置されている。

緑色の部分がボトルホルダー

ボトルなどをセットするときは、ボトルホルダーを広げて使用する。各ホルダーは独立しており、下段カゴの左側に2個、右側に1個ある。左側は高さ17cm以下で直径7.5cm以下、右側は高さ22cm以下で直径7.5cm以下のボトルをセットできる。ボトルホルダーの内側には調整用のパーツがあり、それを使うと直径は6.5cmのボトルにも対応する。このボトルホルダーの形状はサーモスと連携しながら開発したという。

パナソニック キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 食洗機技術部 コンパクト商品設計課の佐藤百合菜氏は、「従来の食洗機でもマイボトルやマグを立てて洗うことはできますが、水の勢いで傾いたり、倒れたりすることがあります」と語る。食洗機は、底にあるノズルが回転しながら勢いよく水を噴射し、食器類に当てて汚れを落とす仕組みだ。ボトルを適切な角度で立てておかなければ、長筒形状のボトルは隅々まで水が当たらなくなり、汚れが残ってしまう。新搭載のボトルホルダーでしっかりボトルを固定することによって、洗浄中に倒れるトラブルはなくなり、確実に水が奥底まで当たるのでキレイにできるとする。

パナソニック キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 食洗機技術部 コンパクト商品設計課の佐藤百合菜氏

上段には細々したパーツを入れられるカゴ状の「ちょこっとホルダー」が搭載されている。このホルダーは新たに追加された部品ではなく、シリコンカップなどの細々したものを入れて洗浄するために以前開発されたものだが、ボトルの部品を入れるのにもちょうどよい。ここにパッキンや飲み口などのパーツを入れておけば、食洗機の庫内で移動してしまい、あとから探す……ということもなくなり、しっかりと水も当たる。ボトルホルダーを使わないときは収納しておけるので、お皿などを洗うときに邪魔にならない。

細かいパーツは左側の「ちょこっとホルダー」に収納できる

しかしボトルは狭い溝や部品が多く、本当にパッキンや飲み口の溝の部分などもしっかり洗うことができるか、不安が残る。佐藤氏は、「見える汚れはもちろん、見えない汚れまでしっかり検証しています。落ちにくい汚れをつけて、何回も洗浄テストを行ないました。試薬などを利用して、細部まで汚れが落ちていることを確認しています」と自信をみせる。

パナソニックの新しい食洗機は、ボトルをセットして固定することで倒れたり傾いたりすることがなく、確実に隅々まで洗ってくれるのだ。熱に強いパーツ類は分解して食洗機に入れておくだけ。これならゴシゴシと細かいパーツを洗う必要はなくなる。

食洗機の水流は、垂直に飛ばすと約2mにもなる

高温で洗浄力の高い食洗機でも変形や塗装剥がれを起こさない

しかし、食洗機の洗浄力が上がれば上がるほど、ボトルには過酷な状態となる。食洗機非対応のボトルを洗ってしまうと本体の塗装が剥がれ落ち、フタ、せん本体、飲み口などは変形するおそれがある。うっかり食洗機で洗ってしまうとボトルのせんユニットが熱で変形し、カバンの中で飲みものが漏れてしまうということも起こり得るのだ。

初期の試験サンプル

そこでサーモスはパナソニックと共同開発し、数百回にも及ぶ耐久試験を同社と行ないながら、ボトルの改良を図ったという。熱による変形を防ぐため、せんユニットにガラス材を配合し、フタ、せん本体、飲み口の耐熱温度は100℃まで向上した。

また、本体は熱負荷による塗装剥がれを防ぐため、密着性の高いポリエステル樹脂塗装を採用している。飲み口やパッキンなど、全パーツをはずして食洗機で洗えるようにした。

飲み口は外せるため、溝までしっかり洗える

このように異業種である2社が協業し、検証しながら食洗機で洗浄できるボトルを開発した。サーモス 技術部 研究開発課・岩井寿倫氏は、協業したメリットについて次のように語った。

「食洗機において長年の歴史を持つパナソニックと協業することで、ケータイマグを食洗機対応の仕様となるよう、何度も耐久試験を行なうことができました。完成したサーモスのケータイマグは、高い洗浄力の食洗機で洗っても問題ナシというお墨付きをいただいた製品ということになります」(岩井氏)

サーモス 技術部 研究開発課・岩井寿倫氏

なお、今回発売された真空断熱ケータイマグの容量は350mlと500mlで、カラーはホワイトとブラックのみとなっている。サーモス マーケティング部 商品戦略室企画課 企画第1グループ・柏原雄樹氏に今回のラインナップに決定した理由を伺った。

サーモス マーケティング部 商品戦略室企画課 企画第1グループ・柏原雄樹氏

「市場で一番売れている容量の350mlと500mlにしました。サーモスのケータイマグには、フタを回して開けるスクリュータイプと、ボタンを押して開けるワンタッチオープンの2種類ありますが、売れているワンタッチオープンタイプを採用しています。ケータイマグは軽いことも魅力のひとつで、今回の350mlタイプは約200g、500mlタイプは約300gと軽量です。

デザイン面においては、男女ともにお使いいただける、飽きのこないホワイトとブラックにしました。今回の新製品の反応を見て、カラーの追加やイラストなどが入ったタイプもラインナップするなど、バリエーションを増やしていくことも検討しています」(柏原氏)

今回はホワイトとブラックのみ。シンプルで飽きのこないデザインだ

在宅時間の増加で昨年よりも好調の食洗機市場

ところで、食洗機の普及率はどれくらいなのだろうか。パナソニックによると現状では3割弱で推移しており、ここ数年も大きな変動はないとのことだ。

しかし、今年はコロナ禍で在宅時間が増え、食事作りの回数も増加し、後片付けを任せられる食洗機にも注目が集まっている。最近は水栓工事不要のタンク式食洗機も続々登場し、定額給付金で食洗機を購入する方も増えていると聞く。パナソニックの食洗機も、昨年の同時期と比較して売上げが伸びているという。

食洗機の利点は、食器を手洗いしなくて済むことと、洗浄力の高さが挙げられる。高い水圧と洗浄力の高い食洗機用の洗剤、手洗いでは難しい高温の湯を用いた洗浄ができるといった理由から、食器類は曇りがなくピカピカに。一度食洗機を使うと手放せないという方も多い。我が家では1日に2~3回運転することも多く、食洗機なしの生活は考えられないほどだ。

ただ、これまではボトル類は洗うことができず、ずっと不満とあきらめを感じていた。サーモスの食洗機対応ケータイマグとパナソニックの食洗機を組み合わせて使うことで、毎日の面倒なボトルのお手入れから解放され、いつも清潔な状態で使えるようになる。マイボトルを持ち歩くユーザーにとって、嬉しいニュースではないだろうか。

高温で洗えるのが食洗機のメリット。食洗機対応のボトルを使えば、高温で洗っても大丈夫だ