老師オグチの家電カンフー

そろそろモバイルバッテリーを半固体タイプに置き換えていきますかね

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
エレメント「Element Metal Power Bank 8000」。カラーはブラック、シルバー、オレンジの3種類。現在Makuakeで先行販売中(3月31日まで)、5月中旬よりAmazonで販売開始(価格は6,900円)

このところ発火のリスクを抑えた半固体電池や準固体電池のモバイルバッテリーが続々と発表されています。なんだか次世代っぽいモバイルバッテリーの波に乗ってみました。

一般的にリチウムイオン電池は、電解質に可燃性の液体が使われています。そのため内部で急激な発熱が起こると、発火につながる可能性があります。こうしたリスクを抑えるため、電解質を液体から固体に近づける研究が進められてきており、その中間的な技術として登場しているのが、半固体電池や準固体電池です。

両者の違いを調べてみたんですが、厳密な定義が統一されておらず、ざっくりした理解としては、「半固体電池は液体と固体の電解質を組み合わせたタイプで、準固体電池はゲルポリマーなどより固体に近い状態の電解質を採用するタイプ」といったところでしょうか。まだ定義も固まってない! テレビ番組でよく見る「諸説あります」で逃げたいです。

背面

さて、マイファースト準固体電池モバイルバッテリーとしてお迎えしたのが、現在Makuakeで先行販売中のエレメント「Element Metal Power Bank 8000」です。容量は8,000mAhで、ワイヤレス充電(MagSafe)に対応、今どきのモバイルバッテリーらしく残量%を表示するディスプレイが搭載されています。重さは178gと、同容量のモバイルバッテリーに比べ、特段に重いわけではありません。最大出力は有線で18W、ワイヤレスで15Wです。

本体はかっちりとしたアルミ製で、これは見た目の高級感だけでなく放熱性や耐久性のために採用されたそうです。誰かに「そのモバイルバッテリーかっこいいね」と言われれば、「これは準固体電池といってね」とドヤ顔で説明できますね(相手によってはウザがられるだけだと思いますが)。

MagSafeに対応(出力最大15W)
スタンド機能を搭載し、MagSafe使用時にスマホを縦置き・横置きに立てかけられる

さて、モバイルバッテリーとしての使用感ですが、正直、準固体電池であることを実感することはありません。電池の中で何が起こっているか見ることはできないからです。衝突安全性の高い自動車を選ぶのと同じで、安心感を買うことに近いですね。自動車の場合は、事故った時に助かったと思えますが、モバイルバッテリーの場合は発火しなければそれすら実感はないわけですが。

ストラップはUSBケーブルになっており、ケーブル忘れに対応できる

いずれにせよ、どうせ買うなら、半固体電池か準固体電池という流れは来るでしょう。あと数年もすれば、「おまえ、まだ普通のリチウムイオン電池使ってるのヤバくない?」と言われる世界になるのかもしれません。

ちなみに飛行機の場合は、モバイルバッテリーの預け入れ(受託手荷物)は従来から禁止されていますし、機内持ち込み(手荷物)も、2026年4月中旬より日本発着の全航空機内でモバイルバッテリーの使用・充電が原則禁止されます。将来的にこれらの制限が半固体・準固体電池であれば緩和されるといいですね。そうなれば、一気に買い替えが加速しそうです。

我が家に保管されている最古参のモバイルバッテリー、三洋電機「eneloopモバイルブースター KBC-L2A」と。初代は2007年12月発売であり、もはや20年近く前の製品だ。そりゃ次世代に移行していくわなぁ
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>