老師オグチの家電カンフー

顔パスのスマートロック「セサミ フェイス」が、スター・ウォーズのフォースっぽい

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
左から「セサミ 5 Pro」6,578円、「セサミ フェイス」6,028円、「セサミ フェイス Pro」6,578円

スマホで電車やバスに乗ったり、レジの支払いをしたりするのが当たり前になっている昨今、家の鍵をスマホにするスマートロックは、もっとも導入メリットが高いスマートホーム関連デバイスでしょう。その中でも、価格面で導入しやすい製品が、CANDY HOUSEの「セサミ(SESAME)」シリーズです。

「セサミ 5」は、同社のサイトでの販売価格が4,378円という衝撃の安さ。この価格で経営が成り立つんだろうかと、かねてから不思議に思っていますが、2018年から日本国内向けに販売し続けているんで、たぶん大丈夫なんでしょう(笑)。

そんなセサミの新製品が、顔認証で解錠する「セサミ フェイス」。CEOのジャーミン氏より「発売に先行して使ってみてよ」と言われたので、さっそく自宅に設置してみました。

セサミ フェイスは、「セサミ フェイス」(5,480円)と、「セサミ フェイス Pro」(5,980円)の2種類あります。「セサミ フェイス」は、顔認証と手のひら静脈認証、指紋認証、ICカードの4種類の解錠方法に対応。「セサミ フェイス Pro」は以上に加えて暗証番号による解錠に対応しています。

その差はわずか500円なので、Proのほうに人気が出そうな気もしますが、ドア付近に目立つデバイスを付けたくないなら、無印のセサミ フェイスを選ぶことになるでしょう。生体認証3種類とICカードに対応していれば、暗証番号は最後の手段というか保険みたいな存在になりそうですし。

「セサミ フェイス Pro」をドアに設置。IP65防塵防水なので、雨のかかる戸建てでも使用可能
計5種類の解錠方法が設定できる。とりあえず全部登録した

生体認証の何が便利かって、スマホすら取り出す必要がないことです。ドアの前に立つだけで、セサミ本体が「ミュイーン」と鍵を開けてくれる、いわゆる“顔パス”になります。

両手が塞がっている時はとくにラクですね。マスクにサングラスといった、顔が塞がっている状態であれば、手のひらの静脈認証が使えます(セサミ フェイスには複数の認証方法を登録できる)。

セサミの商品名は、アラビアンナイトの「開けゴマ」が由来ですが、もはや呪文を唱える必要すらありません。

手のひらをかざしてドアを通してもらえるのは、Mr.マリックのハンドパワーっぽくもありますが、思い出したのはスター・ウォーズのシーンです。

確か、「スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望」だったと思いますが、オビ=ワン・ケノービがフォースを使って、敵兵の目の前を堂々と通り過ぎるんです。顔が割れているのにも関わらず、相手の知覚を操作したんでしょう。相手を超能力で吹っ飛ばすような派手な力ではないんですが、妙にリアルで印象に残っています。

あれをデジタルの力で実現するのが、生体認証対応のスマートロック。しかも修行なし。顔認証だけじゃないし、もう商品名は「セサミ フォース」で良くないですかね?

顔パスでも手のひらでも、状況に応じて解錠可能。解錠速度は0.9秒。顔認証は赤外線を使っているので暗い場所でも動作する
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>