老師オグチの家電カンフー

23年ぶりの電動アシスト自転車で浦島太郎(意識低い系のeチャリ選び)

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
パナソニック「ティモ・S」の2022年モデル

チャリ買ったんすよ、チャリ。ここ10年ぐらいは、自分の自転車を持っておらず、必要な時に妻のを借りて使っていたのですが、漕ぐ度にギシギシいうかなりのポンコツで、ついにはタイヤに空気を入れたら、2倍の速度で抜けていき、二度と空気が入らなくなりました(笑)。まぁ、20年ほど前に2万円で買ったチャリなんで寿命ですかね。

で、どうせ買うなら電動アシスト自転車かなと、車種を色々と検討してみました。ただし、スポーツタイプのe-bikeは除外です。理由はいくつかあります。

1.跨ぎにくい
まずはスポーツタイプは高い位置にフレームがあること。妻と共用なので、スカートを履く(こともある)女性に跨ぎにくいのはNGだし、体の硬くなった初老男性の私にとっても扱いづらい。

2.速度はいらない
それに、速く走ろうという気がさらさらない。行動範囲は自宅周辺、都内を出ることもない日常使用で、走ることが趣味でもない。ヘタにスピードが出せるのは、むしろ危険かもと思ってしまう。アシストが切れるのは、e-bikeだろうとママチャリだろうと時速24kmと同じだし。車道で流れに沿って走ることを考えるなら免許持ってるんでバイクを買います。

3.盗まれそう
スポーツタイプのイケてる自転車は盗まれやすそう。おちおちその辺の歩道に駐輪できないのは嫌だし、自宅マンションの駐輪場が誰でも出入りできる場所にあるのも不安です。

4.高い
なんやかんやいって、これが最大の理由。30万とか50万とか出せません。

予算は15万円ぐらいに抑えたいので、シティタイプあたりから選びたい。とはいえ、電動アシスト自転車は小さい子供の送り迎えに使う需要が高いのか、その辺の自転車屋さんを覗いても、ママチャリ感が強いモデルばかりです。

ネットで調べて絞り込んだのは、ブリヂストン「ステップクルーズe」とパナソニック「ティモ・S」の2つ。通勤・通学向けで、デザインのママチャリ感は弱め、悪目立ちしないので盗難リスクも少なそうです。デザインも性能もかなり似た2つですが、実売で約3万円安かったパナソニック「ティモ・S」を選びました。

パナソニック「ティモ・S」を購入。カラーは自然に溶け込むマットオリーブ
前かごが大きいのが便利。かっこいいe-bikeにはないメリットです

乗り始めた最初の感想は、「バッテリーが全然へらねー!」です。カタログにある走行距離は、モードごとにパワーで約59km、オートマチックで約70km、ロングで約100km。山手線1周が34.5kmらしいので、オートマチックモードで2周できる計算。実際に1時間ほど走り続けてもバッテリーは100%からピクリとも動かないんですよ。

話はさかのぼること23年前の1999年、初めて買った電動アシスト自転車がホンダ「ラクーン コンポ」です。当時はまだニッケル水素バッテリーは使われておらず、ニカドバッテリーで、一充電あたりの走行距離は16kmでした。

当時、港区赤坂の事務所から千代田区神保町の出版社まで通うのに使っていたのですが、往復約9kmでバッテリーがギリギリでした。赤坂は名前の通り坂が急なのも原因でしょうが、下手すると途中で電池がなくなってました。今の電動アシスト自転車はバッテリーが切れても普通に走れますが、昔はやたら重くなって、ほうほうの体で事務所に戻ってきた記憶があります。

ホンダ「ラクーン コンポ」。当時愛用していたのは1999年発売のホワイトモデル

そんな浦島太郎的な感想しかない23年ぶりの電動アシスト自転車体験ですが、1999年はパソコンでいえば一番売れていたのがブラウン管一体の初代「iMac」で、Windowsは98の時代なんで、そりゃあ当然です。

ちなみにこのモデルが人気なのか偶然なのか分かりませんが、マンションの駐輪場には全く同じ色の同じ車種が最近購入されたらしく、横に並べて置いてあるのを発見しました。自転車泥棒もどちらを盗んでいいか分からないだろう、ザマミロ!

ほとんど減ることのないバッテリー残量
マンションの駐輪場に、社用車のように同じ色の同じ車種が並ぶ光景
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>