老師オグチの家電カンフー

半日ほどポケトークで遊んだら、中国語をマスターできそうな気がしてきた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 外国語の勉強、したくないですよね。何年か前から、英語は現世ではあきらめました。もともと、神がバベルの塔に怒って世界中の言語を分けたそうですが、ガッデム! 以外の言葉がありません。

 さて、外国語学習を放棄した人間にとっての希望は、翻訳機。スマホの翻訳アプリも実用的ですが、より機動性を上げるために、ソースネクストの「ポケトークS」を購入しました。2月にタイに行くので、タイ語で使えるか試してみます。

 しかし、翻訳機って、海外に行く時以外は遊んでますよね。ポケトークSには、英会話の学習機能があるのですが、空港やホテルなどで使われるフレーズは、なんとなくわかるので今さら感もあります。しかし、外国語モードにして自分がしゃべれば、発音チェックに使えるんじゃねと思いつきました。

 来世は英語ネイティブに生まれる予定なので、今世では中国語に挑戦してみます。中国語は漢字なので、とくに台湾や香港で使われる繁体字は、見ればなんとなく意味はわかります。だが、音声となると、まるっきりわからない。簡単なフレーズですら通じない。中国語特有の発音が日本人には難しいからですね。「四声」といって、音の高低の出し方が4種類あり、それぞれイメージされる文字が異なるんですよ。

 たとえば「マー」の場合、

 第1声:「mā」 媽(お母さん)
 第2声:「má」 麻(しびれる)
 第3声:「mǎ」 馬(お馬さん)
 第4声:「mà」 罵(叱る)

 と、まったく伝わる意味が違う。そりゃ、カタカナで書かれたのをそのまま読んでも通じないわ。

 しかし、これもポケトークを使って練習すれば通じるようになるんじゃね? と試してみました。語学が上達しない理由のひとつが、「話す相手がいないから」ですが、それを機械相手にやるわけです。

ソースネクスト「ポケトークS」と、何年か前に買った「ファンキー末吉の10日で覚える『ひとこと』中国語会話」
四声(YouTubeチャンネル「カエルライフ−中国語学習サイト」「カエルライフ−中国語学習サイト」より)

 ネット上には無料で学習できるサイトがけっこうあります。今回、非常に参考になったのがYouTubeチャンネルの「カエルライフ」。ここ、四声の説明がすごくわかりやすいです。とはいえ、解説を聞いたときは、なんとなく理解した気になるが、実際に聞き分ける、発音するとなると難易度は高いです。なんせ、こっちは英語のLとRの発音の違いすらおぼつかないんですから。

 とくに、第2声と第4声。前者は声の高さが上がる、後者は声の高さが下がる、そう真逆なのに聞き分けできない、発音できない。やっぱり、脳の聴覚野あたりに問題があるのかもしれません。

 それでも、四声を意識しながら文章を読み上げると、意図した意味の日本語に翻訳されることがあります。単語レベルだと厳格に発音を判定されるところ、文章だと前後の意味をくみ取ってくれているのでしょう。しかし、機械相手でも言葉が通じる喜びは感じられますし、機械が認識してくれるなら、きっと人間にも伝わるはずです。

四声を意識して中国語でポケトークに話しかけてみる

 とにかく、何度間違えても恥ずかしくないのがいい。日本人が英語苦手なのも恥が強いからでしょ。これまで何度も台湾に行ってますが、こんなに中国語を話したのは初めてですよ。まぁ、加齢で記憶力も低下しているので、コミュニケーション取れるまで話せるようになる気はしません(中途半端に話して、ワーッと答えられて理解不能になるのも困る)。

 それでも、片言でも現地の言葉を話すことには意味があるはずです。ほら、来日した外タレが、「ニッポンノ ミナサン コニチワ」とか言って毎回感心されるじゃないですか。あれが目的であり目指すレベルです。

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>