藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

水まわりで面白いくらいに水を弾く! リンレイの撥水剤がスゴイ

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
リンレイ「ウルトラハードコーティング キッチンシンク水まわり用」

もう30年近く前に観た、アメリカの家事番組? のことが忘れられない。

日本の兎小屋に比べて、はるかに大きな一戸建ての邸宅を一人で切り盛りしている「有能な主婦」が現れ、豪華な家庭料理をテーブルに並べる。それを作っているという巨大なキッチンは、モデルルームのような美しさである。

そこには生活感がまるでなく、謎めいている。しかしその謎はすぐに解ける。邸宅には巨大な地下室が穿ってあり、その一角には普通に調理後のキッチンがあったのだ。まさに「舞台裏」。驚きつつ心の底から「なるほどですね」と思った。

基本的にキッチンにしろ浴室にしろ、住まい、なかでも水場は使えば使うほど汚れるのが自然の理である。一人暮らしの住まいなどでは分かりやすいが、いかにズボラな性格でも「料理を一切しないライフスタイル」のキッチンというのは実は大して汚れておらず綺麗なものだ。

気まぐれに料理をたまにするような場合にもそれなりに汚れるが、一番えげつなく汚れるのは自炊しながらもズボラなケースだろう。

使うほど汚れることの根底には水場ならではの「水」がある。とにかく水はやばい。水があるから菌が育つ。バイオフィルムを育て、すぐ、そこここをヌメらせてくる細菌だ。だから腐朽もする。いやな臭いもする。

また水があるからカビも育つ。カビの菌糸が入り込むとそこらじゅう黒く汚らしくなる。水に含まれるミネラル分は白茶けたシミを浮かび上がらせる。水があることで金属も錆びる。貰い錆でも錆シミは落としにくい。

水があればゴキブリも飲みに来る。チョウバエや蚊のボウフラも育つ。とにかく、水はやばい。

逆に言えば、水を残さない、「濡れ」状態を維持しないだけで、汚れの付き方は阻害される。そのため、筆者のなかでは去年の秋くらいから、住宅用の「撥水剤」がアツく、数社の製品を購入し、並行して試用している。

リンレイの「ウルトラハード」シリーズにコーティングを冠した撥水剤が並んだ時には、「やはり、来たな」と思った。もともと長いことワックスを扱っている企業だ。ノウハウの蓄積がもともとあるだろう企業が「ウルトラハード」を名乗るところに、揺るぎない自信を感じる。

本体裏側の使用方法と使用上の注意

他社製品に比べると商品の単価は明らかに高いのだが、量も多く、水周り全般に汎用できるマルチパーパス性からすれば、べらぼうに高いわけではない。

正しく使うように、という圧はある。主原料のシリコンには「シリコンアレルギー」の発症可能性がないわけではないので、掃除用の手袋、メガネ、マスクの装着はマストである。そしてコーティングする箇所の前もっての掃除も必須だ。水場であるが水気を完全に拭ってからの塗布が指示される。

もろもろめんどうくさいが言う通りに塗ってみる。すると……水を弾く。面白いように弾く。すると、そこにはあの「ヌメリ」が発生しないのだ。これまた面白いようにそうなる。そう、面白いのだ。効果が、その様子が、とても面白い……。これまでの苦労を振り返り、思わず「まじ?」「ウケる」「くさ」と内心の語彙が崩壊していく。

余談だが、「リンレイ ウルトラハードコーティング」は、「尿や洗浄水が便器外へ跳ねて飛び出す恐れがあるので便器内には使用しないでください。」と、便器内の撥水処理は勧めていない。他社製品には便器内の撥水に特化したものも存在している。「それだけこれは弾くのか……」。興味深く感じ入った。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。