藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
今も現役「ママレモン」半世紀超えのロングセラーをリピ買い!
2023年5月25日 07:05
しばらく……数年前のことだが、某テレ東の家についていく番組を見ていたら、とある住まいのキッチンシンク前に、一瞬、目を疑うものが置いてあった。
「ママレモン」。ママレモン……?
しかも横に空ボトルまで並べられていたため、乱雑さのほの見える住まいの状況から勝手に「これは捨てられないタイプの人が数十年間、大事に使っている系のやつに違いない」と合点して、それっきりになっていた。
あんな昔のものがまだ売られているはずがない。
だが今年(2023年)、我が家から少し離れたホームセンターの食器用洗剤売り場にその「ママレモン」がしれっと並んでいるのを見た。ほとんど「ファッ?!」と声が漏れてしまった。困惑。まだ売ってたの?!
驚きついでに、折角なので買って来て、それまで使っていた洗剤が無くなったタイミングで使い始めることにした。
そう、昭和40年代生まれの筆者にとって、子供時代、食器洗い用の洗剤と言ったら、「ママレモン」一択であった。調べてみるとママレモンの販売開始は1966年、昭和41年だという。57年前……。
つまり昭和50年代でも、まあまあ新しめな製品だったわけだ。当時は子供だったので自分が食器洗いをするために使った記憶はなく、少々くすねて空のプリンカップに注ぎ、水で薄めてストローで吹く……シャボン玉で遊んだ……という思い出の方が濃厚だ。
実際、自宅でママレモンを使い始めて間もなく家人が「シャボン玉! シャボン玉の匂いがする!」と叫んだので、同世代の人には響くものがあるのではないだろうか。
実際の使い勝手をいえば、まずボトルがでかすぎるので、引く。現況市販されているママレモンは、小さくて中サイズボトルからで、中といいながらも800ml。次点の特大サイズは2,150ml。2kgはキッチンに置いて毎日片手で持ち上げて使うには筋トレが過ぎるが、800mlのほうでも十分ギョッとする。かなり重い。
そして香り。ただただ懐かしい、あの合成レモンの匂い……と思ってから調べてみたら、ママレモンの香料成分は「Citral」「Lemon oil terpenes」「Orange oil, sweet」だそうだ。精油由来のようでびっくり。思い込みは良くない。すみません。
肝心の洗いの感触はどうか。同社の「CHARMY Magica 速乾+(プラス) カラッと除菌」といったコンパクトな商品に比べると、若干「薄い」感じがする。これはボトルの大きさゆえの気のせいなのだろうか。
さてこのママレモンに使われている界面活性剤は「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(いわゆるLAS)」「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸」 「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」の3種類が主だ。残留性が低く野菜の味や匂いに影響を及ぼしにくいタイプの陰イオン系界面活性剤が並んでいる。
一方新しめのCHARMY Magica 速乾+の方は「アルキルアミンオキシド」「アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム」「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」の3つが柱で、ママレモンとは内容が異なる。こちらには両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤が加わっている。
またママレモンの方には今日の食器用洗剤の多くが標榜している「除菌」効果が謳われていないのも気になるポイントだ。ゆえにかCHARMY Magica 速乾+の方にはある「クエン酸」「ジエチレングリコールモノブチルエーテル」「メチルグリシン二酢酸三ナトリウム」といった「除菌剤」の項目が無い。ママレモンは全体的に組成がシンプルである。
この除菌剤による、スポンジやまな板除菌というものが用途にない代わりにママレモンにあるのが、「野菜・果物・食器・調理用具用」という「野菜洗い」の用途だ。野菜洗いというのは昭和50年代にはもう薄れかけていた、野菜についた回虫の卵などを落としたい、という訴求ポイントに応えるものだ。
野菜を洗剤で洗うなんて、なんとなくウエェ~という気持ちになるが、その代わりに酵素や漂白剤など含まず万一口に入った際にも安全性に問題がないとされるのが、このオールドなタイプの食器用洗剤の最大の特徴である。初手に感じた「薄い」感は何かが「無い」という直感に近いものだったのだが、そんないささかの物足りなさも使い続けていればさほど問題ではない。
要は皿や鍋がストレスなく綺麗に洗えれば用は足りる。自分が何にどのような効果を要求し、どのような結果をどの程度のレベルで受け取れば気が済むのか? このでかい800mlを使い終える間に普段考えないことを考える機会を貰った。伊達に半世紀売られていない。筆者はリピート購入するつもりである。