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「ポメラ」があれば仕事に邪魔されず「書くこと」を楽しめる

家電 Watchの書き手の皆さんと編集部が「よかった」と思えたものやサービスなどを、ゆるめに紹介するコーナーです。日々のちょっとした気づきなども共有します
キングジム「ポメラ DM250」

キングジムの「ポメラ」は文章入力に特化したツールで、作家やライターなど書く仕事をする人から愛用されています。

筆者がポメラを使い始めたのは、約10年前に芸人をしていた時です。漫才の台本を手書きするのは面倒でしたが、かといって衣装のスーツだけでも荷物になるのに、重いパソコンを持ち歩くのも負担。文字入力ができて持ち運びやすいツールを探した結果、見つけたのがポメラでした。

軽量小型なだけでなく、液晶画面を開くとパッと起動するため、思いついたアイデアを忘れないうちに書き留められる点も便利でした。Web検索やスマホゲーム、動画閲覧ができないため、誘惑がなく文字入力に集中できるのも大きな利点です。メモ感覚で気軽に使えるため、自宅での利用頻度も高かったです。

今回は、最新モデル「ポメラ DM250」をお借りしたので久々に使ってみました。昨今はコンパクトなパソコンやタブレットなど、持ち運びがしやすく文字入力ができる製品も増えています。そのような状況でも、ポメラには他製品にはない独自の価値がありました。

レトロな喫茶店にもなじむデザインとサイズ感

「ポメラ DM250」は、長形3号の封筒とほぼ同じサイズで、狭いテーブルの上でも置きやすいです。

本体サイズは約263×120×18mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約620g、材質はABS+PC

デザイン面の長所は、喫茶店でも使いやすいところだと感じています。レトロな雰囲気の喫茶店でパソコンを開くと、店の景観を損ねる印象があり、周囲の目も気になり使用をためらいがち。

ただ、ポメラの場合はコンパクトでシンプルなフォルムのため、テーブル上での存在感も控えめ。どこか簡素な外観から、ポメラを知らない人でも「文字入力するための機械」という印象を受けやすそうです。

文房具の延長線上にあるような雰囲気をもつツールのため、レトロな内装にも溶け込みやすいです。サイズ面だけでなく、ビジュアル面でもいつでもどこでも使いやすいのがポメラの魅力の一つ。

最大開閉角度160度。膝の上で開いても見やすい
キーピッチは17mm(横)、15.5mm(縦)。タイピング音が静かで周囲に人がいても気になりにくい。打鍵感も快適

バックアップや文章校正など便利な機能を搭載

機能面でいえば、一つ前のモデル(DM200)より進化している点が多数あります。新機能に「ゴミ箱」と「バックアップ」を搭載し、作業中に間違って削除したり、上書きしてしまったりしたファイルの復元が行なえるようになりました。

さらに専用アプリ「pomera Link」を利用しWi-Fi接続すれば、スマホとのデータのやり取りができます。「ATOK校正支援機能」も強化されており、読み、仮名づかいの誤りや誤用の指摘で文章作成をサポートしてくれます。

本機はUSB Type-C対応。専用の充電器以外で充電すると不具合を起こす可能性があるので注意が必要
画面下のステータスバーにバッテリー残量が表示される。連続駆動時間は約24時間。従来機のDM200より約6時間長くなり、外出先で充電切れの心配を軽減

休日気分を損なうことなく文字入力ができる

ポメラの利便性は、書く仕事をする方だけに限定されていません。

余計な機能が削がれている分、日記をつけたり日頃の考えをまとめたり、自分の中だけで完結する情報整理に集中しやすくなっています。画面構成もシンプルなので、没頭して作業に取り組めます。

全画面表示設定にすれば、入力した文字以外は表示されない

休日にキーボードを使って日記を書くなどの作業をしたくても、普段パソコンを使って仕事をしているため、休日までパソコンを使うと気が休まらない。ポメラはこのジレンマを解消してくれます。

基本的に文章作成しかできないため、「仕事を進める」という選択肢がちらつくことなく、余計なことを考えずに休日モードで文字入力ができます。フリーランスとして仕事と休暇の境界線が曖昧になりがちな筆者にとってはうれしいポイントです。

また友人や親しい仕事仲間とのカジュアルな会議の議事録作成にも便利です。和気あいあいとした雰囲気の中で、パソコンを開くと仰々しい印象を与えかねませんが、ポメラは不思議となじみます。仕事感が薄れ、遊び感覚でアイデアを出す作業もはかどるでしょう。

仕事ではなく休日モードで文字入力ができる点も魅力の一つ

直販価格は60,280円ですが、2022年7月発売の商品のため、最近では40,000円程度のお値打ち価格で購入できることもあります。パソコンやタブレットに近い価格帯ですが、ポメラで文字入力をするという休暇の過ごし方が加わる点は、唯一無二の価値があると感じました。

福永 太郎

フリーランスの編集者・ライター。ライフスタイル系メディアの家電記事の担当を経て独立。現在は複数のWebメディアに寄稿。