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e-bike3台をトランポ!! クロモリフレームのDAVOS E600でポタリング&激坂チャレンジ

「トランポ」して「おいしいルート」だけ走ろう!!

 2019年に入って急激に存在感を増し、注目を浴びまくっている「e-bike」。e-bikeとは、スポーツ志向のドライブユニットを搭載したスポーツタイプ自転車のことで、従来の電動アシスト自転車よりもパワフルでスピーディーな走りが自慢。e-bikeについてより詳しくお知りになりたい方はコチラの記事をどうぞ。

注目浴びまくりのe-bike

 そんなe-bikeで、どこを走るか? 自転車が走れるところならどこでも走れますし、MTBタイプのe-bikeなら急峻な山道も走破できます。自転車慣れしていない人でも、e-bikeなら強力なアシストにより軽快なサイクリングも可能。50km以上の長距離だって拍子抜けするほど簡単に完走できると思います。

 ただ、どこを走っても楽しいというわけはありません。e-bikeにも「走って楽しくない道」があります。首都圏の混雑路とか、トラックの往来が激しい国道とか。それは普通の自転車でも同様。都市部から出発して郊外へ出るようなサイクリングの場合、途中でそういう道をけっこう長く走らなければならないことがままあります。クルマも排ガスも多いと、サイクリングがちょっとした苦行になっちゃいますよね。

 そこで使いたいのがトランスポーター。自転車を積んで運べるクルマのことを指しますが、要は「サイクリングしたい場所まで、クルマで自転車を運んじゃう」というわけです。自転車を楽しむ人たちの間では、このことを「トランポ」「トランポする」なんて言ったりも。

 ともかく、トランポすれば「楽しいルートだけ走れる」というのが魅力。都市部でクルマに自転車を積み込み、自然溢れるエリアまでひとっ走り。おいしい空気を吸って美しい風景を見ながら悠々サイクリング! といった楽しみ方を手軽に実現できます。クルマで行ける場所ならどこでも、そこがサイクリングのスタート地点であり、サイクリングを楽しめるエリアになっちゃうんです♪

楽しいルートだけ走れるのが魅力

 筆者はよくソロでサイクリングしますが、そのときも度々トランポします。愛車に自転車を積んで目的地まで行き、そこからサイクリング! 高地の美しい湖を周回するとか、見晴らしの良い尾根づたいのコースだけ走るとか、夏でも涼しい山岳コースを走るとか、そういうことが手軽にできます。目的のコースがある場所までクルマで一気に到達できますから、あまり時間がなくても充実したサイクリングになりますよ~♪

 グループでサイクリングするなら、大きめのトランスポーターをレンタルするといいですね。たとえばトヨタ「ハイエース」クラスの車両をトランポに使えば、自転車3~4台+人3~4人が乗り込んでの移動ができます。クルマのレンタル料金も、3~4人で割ればそーんなに高くないですしネ。

 というわけで、今回はトランポしてのe-bikeサイクリングをしてみました。楽しげなルートだけ走り、寄り道しておいしいもの食べたりして大充実するゼ! てな目論見のe-bikeサイクリングです♪

今回はe-bike3台をトランポ!

ゆる~り気軽に駿河湾沿いポタリング

 さて、トランポです。e-bike部3名でのサイクリングということで、トヨタ「ハイエース」をレンタル。編集部からe-bikeを3台積んで一気に伊豆の西側までトランポ!! ご存知の方も多いと思いますが、スタート地点はダイビングや海水浴のスポットとして有名な「大瀬崎海岸」です。

ダイビングや海水浴のスポットとして有名な「大瀬崎海岸」
ここから出発します

 大雑把な目的地は「戸田(へだ)港」。スタートの大瀬崎海岸から約12kmの地点で、ここでお昼ごはんをいただいて、その後さらに「土肥(とい)港」方面へ足を伸ばすか、Uターンしてスタート地点まで戻るかは、昼食後の体調次第・お天気次第という、ユル~い感じのポタリング(←散歩感覚で寄り道したりしつつの気軽なサイクリングのこと)です。

 右手に駿河湾を眺めて走るコースで、クルマの通りもまばら。晴れていれば駿河湾越しに富士山が見えるコース。しかもずーっと見える。こういうトコロをポタリングなんて、サイコーの予感以外しません!!

 ちなみに、編集部からトランポで出発したのが朝8時頃、スタート地点大瀬崎海岸に到着したのが11時前。ガッツリ走る系サイクリングだと夜明けとともに走行開始みたいなイメージですが、e-bikeをトランポしてのポタリングとなると、朝もゆっくり出発なのでした。

 さて、トランスポーターから降ろしたe-bikeは3台。それぞれ、フカヤ「DAVOS E600」ミズタニ「Seraph E-01S」BESV「JF1」です。それぞれ駆け足でご紹介しましょう。

 フカヤ「DAVOS E600」は、フレーム素材としてクロモリを採用したツーリング向けのe-bikeです。ドライブユニットにはシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載。1回の充電で130km(ノーマルモード時)の長距離ライドに対応します。クロモリならではの細く美しいフレームが印象的ですが、オプションのキャリアを取り付けるダボ穴も豊富で「旅バイク」としての実用性も非常に高そうです。価格は43万円(税抜)。

フカヤ「DAVOS E600」
クロモリフレームのe-bikeです
キャリアを取り付けるダボ穴も豊富
シマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載

 ミズタニ「Seraph E-01S」は、軽快な走りをコンセプトとしてつくられたe-bike。ドライブユニットにはシマノSTEPS「E8080シリーズ」を搭載し、想定走行距離は100km以上となっています。フレームはアルミ製でグラベルロード(←砂利道も走破可能なロードバイク)向け設計ですが、フロントフォークは極太・軽量のカーボン製。アシストが切れた状態でも軽快な走りが可能といいます。白黒ツートンのキレイなe-bikeですね。価格は38万円(税抜)。

ミズタニ「Seraph E-01S」
フロントフォークは極太・軽量のカーボン製
Seraphはミズタニのオリジナルブランド
長距離ライドを可能にするシマノ製のバッテリー

 BESV「JF1」はクロスバイクタイプのe-bike。街乗りをメインに想定したと思われるe-bikeですが、車体が比較的に軽量なため115kmの航続距離を実現しています。バッテリーはフレーム内に格納され、またドライブユニットは独自のリアハブ内蔵タイプなので、一見すると普通のクロスバイクに見えます。独自のフルカラー液晶ディスプレイも特徴的。価格は23万円(税抜)。

クロスバイクタイプのBESV「JF1」
バッテリーはフレーム内に格納。スッキリしたデザインで普通のクロスバイクのよう
ドライブユニットは独自のリアハブ内蔵タイプ

 この3台で出かけま~す♪ 筆者はフカヤ「DAVOS E600」で走ってみることにしました。ミズタニ「Seraph E-01S」やBESV「JF1」のレビューは別記事で紹介されると思います。

フカヤ「DAVOS E600」で走りまくるゼ!!

一気に約100m上る、出発地点がずいぶん下!!

 出発前にちょっと足慣らし。大瀬崎海岸の先には「砂嘴(さし)」と呼ばれる地形があります。「海流で流れてきた砂が堆積してできたクチバシのような地形」で、先端には湖のような水たまりができることがあるとか。それをちょっとe-bikeで見に行きます。

 海岸沿いを岬まで行くって、クルマは通行禁止だし、徒歩だと遠いし……自転車ならではの散策ですね~♪ こういった自転車通行可の散策路でも、もちろん人が優先。人が来たら一時停止、ということもe-bikeの走り出しの軽さがあるから億劫になりません。

大瀬崎海岸沿いをのんびりと走ります
砂嘴の写真はまたのちほど
見事な大木

 大瀬崎の砂嘴見学を終え、軽い足慣らしも完了。それじゃぁユルリユルリと出発しますか~、的にe-bikeサイクリング開始。

あの山を上っていくようです

……で、わかってはいたコトなんですが、走り始めからイキナリの登坂。けっこう激坂です。

いきなりの激坂に突入

 海抜ほぼ0mの大瀬崎海岸駐車場から県道17号線に出るんですが、その距離600m弱で、標高差は約50m。勾配は8%前後ですが、部分的に10%を越えている感じです。普通の自転車&普通の人だったら、坂を見た時点で「自転車押して行こう」と思っちゃう感じ?

 しかし、そこはサスガのe-bike。「けっこう急ですね~」「カーブの内側とか勾配15%とかありそう(笑)」「この先が県道17号?」とか話しながら上れちゃいました。

 県道に出てもさらに上りです。海岸沿いとはいっても、伊豆全体に急峻な地形が多く、ある程度はヒルクライムが必要になってしまいます。でも、e-bike。県道からの上りもグイグイとクリアして、出発地点から一気に標高100mほどを稼いでしまいました。

 まだ2kmも走っていないんですが、もうスタート地点の大瀬崎海岸が眼下に。その先には駿河湾が遙かに広がっています。

あっという間にスタート地点の大瀬崎海岸が眼下に
上から見ると「砂嘴」の形がよくわかります

 一同「すっげー!! もうこんなところまで上ってきちゃったのか!!」

 e-bikeで登坂するといつも思うんですが、登坂後に「え~っこんなに上ってきたの?」という驚きがあります。普通の自転車だったらけっこう苦労するハズの坂道を「あら、もう上りきっちゃった」という感覚。「こんな坂は上れない~」という感じの激坂でも「うそ~、上れちゃうのか~」という……何というか、狐につままれた感じ。凄いしラクなe-bikeなんですが、それ以上に「にわかには信じがたい」という感覚が残るんです。とても不思議。ぜひこの不思議感覚を味わうべく、e-bikeで急坂を上ってみてください。

町まで下りてミカン! 一気に200m下ったその後は……?

 思っていたよりもアップダウンが多いルートですが、e-bikeなので上りは「ペダルを軽く漕ぎ続けていれば済む」という感覚です。立ち漕ぎ不要でゆっくり登坂。筋肉も膝も痛くならず、まあ多少は息が上がることもあるわけですが、それでもゼェゼェと苦しくなることはありません。下りは、e-bikeは車重が重めということもあり、安定感をもって下れます。

e-bikeなので上りはラクラク。下りも安定感をもって下れます

 そんなアップダウンを繰り返し、けっこう高いところまで上ってきました。標高約200m。この先に「井田(いた)」という町があるとのこと。じゃあ、そこに下っていって、さっき道端で買ったミカンを食べて一休みしましょう~♪ ということで標高200mから一気に下り、県道17号線を離れて町へ。

無人のみかん直売所
これだけ入って200円。安いっ!!
なんとなく良さげな場所でみかん休憩~

 井田の町で一休み。さすが名産品だけあってミカンがうまい! 水分補給したら町のなかをちょっと散策。菜の花がキレイに咲いていました。でもなんか、ほったらかし状態の菜の花畑? 花が微妙にまばらだったりして。

下ってきたら桜も咲いていました
まばらだけど菜の花もキレイ

 ともあれ、そろそろサイクリングに戻ります。ここから……そうか再び県道17号線に戻るから、また坂を上っていく感じですネ。再度、標高200mくらいのところまで上るようです。

  難波「じゃあ県道に戻りますが、ちょっと急な坂にチャレンジしてみましょう!!」

 ヤな予感です。ガチなスポーツ自転車野郎でもある難波さんが言う「ちょっと急」は、恐らく激坂。でもまあ、e-bikeならイケるでしょう。

 と思ったら、予想をさらに超える激坂でした。距離にして500mほどの急坂ですが、急坂の終点は標高100mくらい。単純計算で20%の勾配を500m進む? うわぁ~ハードそう! でもまあ、e-bikeだし、行ける……かな?

 結果から申しますと、最初の300mくらいで息が切れて足を着いてしまいました! 我ながら不甲斐ない。でもすぐ走り出そうとすると……。

 難波「いったん息を整えましょう! で、スピードをなるべく抑えて、マシン任せで上る感じで!」

 それが激坂e-bike登坂のコツなのか。ともあれ、そうしてみることに。

 すると、さっきとは違って、息が切れるほどにはなりません。ゆ~っくり上がると、徐々に徐々に高さを稼いでいける感じ。なーるほど、e-bikeでの激坂登りはこうするのか~♪ よ~しわかったゼ! これならイケるゼ!

 などと調子コイたのが悪かった。知らぬ間にまたスピードを出そうとグイグイペダルを踏んでいたようです。間もなく息が上がって再度足を着いちゃいました。これでツーアウト?

 でも一呼吸入れて息を整え、今度はゆ~っくりゆっくり上っていったら県道に出ました。そこからも上りが続きますが、さっきの激坂と比べたらこれ以降の上り坂が緩く感じられます。「上り坂はスピードを抑えてマシンに任せて」というアドバイスも効いてか、なんだかより上手にe-bikeの特性を活かした走りができるようになった気が……。

 てな感じで、ある程度以上の勾配がある程度以上長く続くと、e-bikeといえども走り続けるのが辛くなることがあるんでした。まあエンジンじゃないし。あくまでもアシストだし。よりうまくe-bikeのアシスト力を活用するためのテクニックも必要、ということを学びました。

 またひとつ、e-bikeの使いこなしを学んだゼ~、とか思いつつ見下ろすと……あっ、さっきの菜の花畑! そういうコトだったんですね~。「ほったらかし」とか言って失礼しました~。

あっ!!
「井田」って書いてありますね

漁港でおいしい昼食、二度目の砂嘴(さし)巡りの後は?

 アップ、ダウン、アップ、ダウン。途中、標高150mくらいにある「出逢い岬」で一休みです。眼下には昼食を取る予定の「戸田(へだ)港」が見えます。この岬に立った感じ、けっこう高度感があります。

出逢い岬
戸田港が見えました!
ここにも砂嘴が!

 しかし、上ったり下ったり。まさに伊豆って感じ。ゆる~りポタリングのつもりでしたが、これ、普通の自転車だったら頑張る系のスポーツサイクリングですネ。そこそこハードです。でも、e-bikeだと「もう脚がない!」って感じにはなりにくい。ちょっと休むとすぐ回復。アシスト力のおかげで筋肉を酷使せず済むからか、疲れにくくてイイです。

 それと、e-bikeサイクリングで度々思うんですが、膝とか背中とかが痛くなりにくいこと。とくに膝。走り出しや登坂でペダルを力一杯踏み込む必要がほとんどないため、膝への負担が少ないのだと思います。アシスト無しの自転車の場合、力一杯ペダルを踏み込むと同時にハンドルを強く引き寄せるような動作をするので、サイクリング後に背中や肩がミョーに疲れたりします。これもe-bikeではほとんど感じられません。

 こういった疲れにくさについて、今回乗ったフカヤ「DAVOS E600」の性能も一役買っている気がします。というのは、DAVOS E600のクロモリフレーム独特のしなかや乗り味と、700×32Cという太めのタイヤ。な~んとなくですが、いいタイヤを履かせたカーボンフレーム・ロードバイクのような、静かに地を這うようなスムーズな乗り心地が好印象です。今回走った県道17号線は、それほどキレイには舗装されていない道でしたが、DAVOS E600の乗り心地により快適に走り切ることができました。

スムーズな乗り心地が好印象なDAVOS E600
ドライブユニットはシマノSTEPS「E8080シリーズ」
コンポーネントはシマノDEORE
サイクルコンピューター
油圧式ディスクブレーキ

 あ、あとこのDAVOS E600は、安心して扱える感じも良かったです。筆者的には「アルミフレームはへこみが心配」「カーボンフレームはヒビや割れが心配」という印象で、どちらもやや恐る恐る丁寧に扱っています。ですが、クロモリフレームは頑丈。そういう意味で、DAVOS E600はあまり神経質にならず気楽に扱えるe-bikeだと感じました。

 さてさて、出逢い岬から下って戸田(へだ)港へ到着。新鮮なお魚でお昼ごはんです♪

お昼は地魚料理店「ゆうなぎ」にて
味のたたき定食をいただきます♪
e-bikeで走ってきたかいがあります。美味っ!!
深海魚料理でも有名な「ゆうなぎ」。こちらはウツボの煮つけです。こちらも美味っ!!
店主がサービスで提供してくれたウツボの刺身はお酒にも合いそうです

 食後は、腹ごなしに御浜岬をグルリとサイクリング。この岬もまた「砂嘴(さし)」だそうです。こういう岬周辺のサイクリングは気分爽快ですネ。自転車なら通って行ける道がけっこう多いので、ぜひe-bikeで岬を巡るサイクリングをしてみてください。

 ところで、今回のポタリングで残念無念だったのが、あいにくの曇天で富士山が見えなかったこと。晴れていればサイクリング中ずーっと富士山丸見えの絶景コースだったんだけどな~。まあ、お天気ばかりは、ね。

 スタパ「天気だけは、やっぱり運ですね~」
 一同「……うん!」

 って駄洒落かよ! それがオチなの!? マジで? 若干寒々した空気を残し、一同仲良くスタート地点の大瀬崎海岸へ向かってe-bikeを走らせたのでした。

戻る前に記念撮影

 寒々した空気で終わるのもアレなので、最後にひとつ。思いついたことなどを。

 今回のポタリングは、都内でレンタカーを借りてe-bikeを乗せ、伊豆までクルマで移動して行ないました。ですが、よくよく考えてみたら、伊豆でe-bikeをレンタルするってのもアリですね。

 たとえば道の駅「伊豆ゲートウェイ函南」にある「スポークカフェ」には、MERIDAエクスペリエンスセンターが併設されています。そこでは、MERIDAブランドのスポーツ自転車各種や、ミヤタの「RIDGE-RUNNER」「CRUISE」といったe-bikeをレンタルできます。あるいは「道の駅 伊豆のへそ」にある「MERIDA X BASE」では、やはりMERIDAのスポーツバイクやe-bike、ミヤタのe-bikeをレンタルできます。

 手ぶらで伊豆に行って、こういう場所でe-bikeをレンタルして遊ぶのは現実的です。さらに、伊豆に着いたらまずレンタカーを借りて、さらにe-bikeをレンタルし、トランポして「楽しそうなコースだけをサイクリングする」というスタイルも。レンタル費用はかかりますが、手軽かつ短時間で「伊豆のおいしいルートだけサイクリング」できて、なんかとっても豊かな遊び方だと思います。

 ともあれ、トランスポーターを活用してのe-bikeサイクリング、かな~り快適。楽しいです! うまく予定を立てれば、たった1日でた~っぷり遊べますので、ぜひどうぞ♪

スタパ齋藤