藤山哲人の実践! 家電ラボ

驚きの結果に! 床のすみずみまで暖かくなるエアコン「nocria(ノクリア)」Xシリーズを検証してみた

驚きの結果に! 床のすみずみまで暖かくなるエアコン「nocria(ノクリア)」Xシリーズを検証してみた

 各社がこぞって訴求する「足元が暖かい」エアコン暖房。でも実は、設定温度になるまでの「ひと時の幸せ」というエアコンが多いのをご存知だろうか?

 今回紹介するのは、日本、いや世界で唯一と言っていい、設定温度に達してからも足元が暖かい富士通ゼネラルの「nocria(ノクリア)」Xシリーズ。なぜ「ノクリア」Xシリーズのエアコン暖房が快適なのか、がっつり検証してみた。

富士通ゼネラルのエアコン「ノクリア Xシリーズ AS-X56G2W」(18畳相当・単相200V)。部屋がムラなく暖まると評判で、CMでもおなじみの最上位モデルだ

 Xシリーズの特長は、なんといってもムラのない室温コントロール。足元から頭まで、部屋の北から南まで、そして西から東まで、わが家に温度計を多数セットして、温度データを取得。その結果をExcelでグラフ化したら、なんと設定温度±0.5℃というムラのなさ。

 確かにテレビCMでも、部屋全体を均一に温めるエアコン暖房として宣伝していたが、ここまで凄いものとは思いも寄らなかった。

 この記事は、次のような方にぜひ読んでいただきたい。

・ウチのエアコン暖房はイマイチ効きが悪い!
・エアコン暖房はランニングコストが高そうで使ってない!
・エアコンはなかなか温風が出なくて朝が寒い!

 読み終わった後は、「なるほど! そうだったのか!」とすべての疑問が解消。そしてXシリーズが欲しくてたまらなくなっているハズだ(笑)。

 いやー、今回の実験は、ほんと結果に驚かされた!

にゃんだか、床がポッカポカで眠くなってきたニャン!

暖房機器で一番経済的なのは今年もエアコンで決定!

 そもそも、エアコン暖房は電気代が高いんじゃない? とお思いの方も多いかもしれない。しかし資源エネルギー庁発行の「省エネ性能カタログ2016冬版」にある各暖房機器の能力(平均値)と、石油連盟の燃料単価を元にランニングコストを筆者が独自に計算してみたところ、次のようになった。

暖房器具暖房出力1kWあたりのコスト
エアコンおよそ6円
灯油ファンヒーターおよそ9円
都市ガスファンヒーターおよそ16円
LPガスファンヒーターおよそ23円

 昔のエアコンは、技術的にも未熟で暖房より冷房向きだった。しかも灯油は今よりずっと安く、20年ほど前は18Lの赤い灯油缶は900円の値がスタンドに掲げられていた。しかし今や1,400円程度(全国平均)する。灯油だけでなくガスもしかり。

 その一方で石油やガスファンヒーター、石油ストーブの技術はそれほど進化しておらず、石油を効率的に使って発熱量を増やしたという話は聞かない。

 しかしエアコンは大きく進化している。先の「省エネ性能カタログ2016夏版」によれば、エアコンは2005年から2010年にかけて約16%省エネ化された。特に省エネを余儀なくされた東日本大震災以降の技術革新は華々しく、規定のエネルギーでどれだけ冷暖房できるか? を示すAPFという値は、どんどん大きくなり、今や7.0を越える勢いだ。(※APFの詳しい説明はこちら)

2005年に設定されたAPFの目標値は、すでに達成したエアコンがほとんど。出典:資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2016夏版」より

 さらにエアコンの圧倒的な経済性を後押ししたのが、センサーを使った省エネ機能だ。人がいなくなると自動的にセーブ運転に切り替え、電力を節約。また、部屋の温度を見極めて、効率よく運転を行なう。

 また気象庁によれば、2017~2018年にかけての冬の冷え込みは、シベリア高気圧に冬将軍が張り出すため、北海道より南の地域では、冷え込みが例年より厳しくなるという。

 つまり寒さが厳しい2017~2018年の冬越しは、使う暖房機器によって大きくランニングコストが変わる年ともいえるだろう。

Xシリーズでは、室内の温度を3次元的に把握する温度センサーに加え、人がいるかを見極める人感センサー、そしてリモコンにも温度センサーを備えている

エアコン選びは暖房能力が注目ポイント!

 さてエアコン暖房をお使いの方で、よく聞くのが「夏場の冷房は効くけど、冬の暖房はちょっと弱くて……」という声。おそらく夏のエアコンシーズンに購入された方の声だろう。エアコンは夏の冷房能力だけを見て選んで購入してしまうと、冬の暖房としてはちょっと弱い場合がある。

 実は各社からエアコンが販売されているが、気流や温度制御技術こそ違えど、エアコンの「冷房能力」はほぼ互角。なぜなら、外気温34℃のときに室温を28℃にするだけでいいのだ。エアコンにとっては、-6℃すればいいだけの話。つまり室温を-6℃下げればいいぐらいなら、(畳数さえ間違えなければ)どんなエアコンだってできる。

エアコン暖房を使う場合は、必ず「暖房」欄の畳数を見て買うこと。またAPFが高い数値の方が、より経済的ということを示している

 しかし冬場の寒さは、そう簡単な話じゃない。心底冷える寒さをしのぐには、外気温が2℃のときに室温を20℃まであげなければならない。その差18℃。ここで示した室温は環境省の推奨する温度。なので、実際にはほとんどのご家庭で、さらにエアコンにとって厳しい条件になっているはず。

 そう、いくら冷房が快適でも、その3倍の能力が必要になるエアコン暖房は、冷房能力だけで選んでしまうと暖房能力が不足してしまうのだ。

エアコンは「低外気温時暖房能力」が大きい方を選べ!

 エアコン暖房は、冷房の3倍近くの能力が求められることが分かった。だからエアコンで暖を取るなら、暖房能力でエアコンを選ぶ必要がある。

 その指標のひとつが、JISで定められた暖房能力というもの。この値は、外気温が7℃の場合に室温を20℃まで上げるときの能力を表している。先に掲載したカタログの一覧表がそれだ。

 ただこれには問題があって、最小能力で運転した場合と、最大運転した場合の幅がある。しかもその幅がえらく大きい(笑)。そのため機種選びが非常にしづらいのだ。またJISが定めた外気7℃というのは、経験上から見ても「心底冷える」気温ではない。

先のカタログを1つピックアップしたもの。暖房の欄の能力を見ると5.0kWとあるが、カッコ書きで「0.6~11.6」と! これが曲者!

 そこで、もう少し暖房能力を比較しやすく、また実際の寒さに近づけた指標としたものが、「低外気温時暖房能力」だ。先のカタログで言うと、赤い文字で書かれた「8.4kW」という値。コレに注目!

 この指標は、実際の寒い気温に近いだけでなく幅を持たないのでエアコン選びをするのに都合がいい。この数値が大きいほど、暖房能力が高いということを示している。

 同じ畳数でモデル選びに困ったり、メーカー選びで困ったとき、同じ価格でどのエアコンにしようか迷った場合は、「低外気温時暖房能力」の数値の大きいほうを目安にするといい。これで暖かい冬が過ごせるようになる。

暖房選びで指針になるのは「低外気温時暖房能力」。同じ畳数や価格帯で迷ったら、ここを見て大きい数値を選ぶと、暖かく冬を過ごせる

Xシリーズは足がポッカポカ! というのは本当!

 ただし、低外気温時暖房能力が高ければ全て良しという訳ではない。エアコン暖房の悩みと言えば、暖かい空気は上に上昇する性質があるため、頭ばっかり暑くなるところ。この対策として、サーキュレーターと呼ばれる空気を循環させる送風機や、普通の扇風機を使って部屋の空気をかき混ぜればいいなんて話をテレビできいたことがあるはず。かく言う筆者も、もう言い飽きちゃったぐらい……。

天井に吊り下げるタイプのシーリングファン。これもサーキュレーターの一種だが、Xシリーズに替えてから1回も使っていない

 でもXシリーズならサーキュレーターいらずで、足元ポカポカ運転。その秘密は、Xシリーズ本体に「デュアルブラスター」というサイドファンが付いているから。

 筆者が知る限り、サイドファンを内蔵したエアコンは、富士通ゼネラルの「ノクリア」Xシリーズだけ。まあその名前だけでも、ロボットアニメに出てきそうな最強武器っぽいんだが、コイツの活躍がハンパない!

左右に1個ずつ装備されている「デュアルブラスター」。これ、暖房運転時にも最強っす!

 一般的なエアコンも最近は足元が暖かい。でもそれは「設定温度になるまで」の話。なぜなら設定温度になるまでは、ルーバー(風向を変える羽)を床に向けて送風を強くして、温風を床に当てられるから。でも設定温度近くになると、暑くなり過ぎるので送風を弱めるため、とたんに温風が床まで届かなくなる。

 温風はどうなっちゃうのか? というと、軽い温風は部屋の中の対流で天井方向へと上昇してしまうのだ。つまり一般的なエアコンは、設定温度になってしまうと、床を暖めようにも暖められないジレンマに陥る。しかも温風は、天井付近ばかりにたまってしまい、頭ばかり暑くてのぼせたような感じになる。

デュアルブラスター未使用時。つまり一般的なエアコンと同じ状態だと床まで風が届いていない。設定温度になった状態を再現するため、送風は弱の設定

 でもXシリーズは、室温を送風するサイドファンが付いているので、メインの送風が弱くなっても暖かい温風がサイドファンの風に押さえつけられて床まで届けられる。だから設定温度になっても足元が暖かい!

 しかもデュアルブラスターが暖気が上がる前に抑え込むので、頭の付近が暑くならない。特にこたつなど床に座って生活するスタイルだと、立ち上がった瞬間にムワッとするアノ感じがなくなる。

 わずかに内側に向いたデュアルブラスターの風は、中央から噴き出した温風をまるで抑え込むかのように床に押し広げる。その様子を煙を使って視覚化したのが次の写真だ。

温風が弱くてもデュアルブラスターが天井付近に溜まった温風を吸い込み、その風で温風を床に押し付けているので、暖気だまりを作らない
煙は床を這うようにして、ダイニングテーブルの下に潜り込んだ。これが足元ポッカポカ! の原理だ

 一般的なエアコンでは、サーキュレーターの併用をお薦めしている筆者だが、このXシリーズだけは併用をお薦めしない。なぜなら自身に内蔵していサイドファンも含めて、気流を計算し、室温コントロールしているからだ。

部屋の隅々まで、どこにいても快適!

 「気流を見ただけじゃ本当に足元まで暖かいか分からない!」という方には、こんな実験もしてみた。夏のエアコン実験でもやったとおり、部屋の4箇所に温度計を設置。それぞれの箇所の、足元(床から10cm)と頭(床から150cm)の高さの温度推移を記録していった。

左下(南西)にエアコンが取り付けてある

 エアコンは南の壁、左(西)側に取り付けてあり、先の写真のようにCH1,2,3,4には比較的温風が当りやすい。また7,8もエアコンから遠くなるが、デュアルブラスターで十分に温風が届く範囲。問題は右下のCH5,6で、ここはあまり風が届かない場所だがどのような温度変化を見せるだろうか? なお設定温度は、かなり高めにしてグラフに変化をもたせるようにした。

 その結果が次のグラフだ。

設定温度まで上がるまではフルパワー運転。1時間以降は、28℃から±1℃というムラのなさ!

 スタートはだいたい室温20℃だったが、10分もしないうちにどんどん温度が上昇する。風が直に当たるCH1,2,3,4は、足元が頭の+2℃ぐらいでどんどん床が暖まる様子が分かる。風が直接届きにくい右下のCH5、エアコンから少し遠い右上のCH7は、足元に風が届かないようで、グラフの一番下から徐々に温度を上げている。逆に頭の高さはデュアルブラスターで空気が攪拌されるためか、足元より早く温度が上昇。

 このようにデュアルブラスターの風が届く範囲は、頭よりも+2℃ほど足元が温かく、届かない範囲は頭が足元より+2℃ほどで設定温度まで推移していく。

 1時間ほどして設定温度に近づいてから、Xシリーズの「デュアルブラスター」がさらに活躍。フルパワー運転では、場所や高さによって4℃ほどあった温度差だが、わずか10分ほどで部屋全体が設定温度の28℃±0.5℃に収束されているのだ!

 これこそ、どこにいてもポッカポカ! 室温にムラがなく、どこにいても暖かいということだ。正直、筆者もここまで均一になるとは思ってもいなかったので、Excelでグラフを描いてビックリ!

 加えて温度分布が分かる赤外線(サーモ)カメラで、部屋の様子を撮影したのが次の写真。

暖房を入れた直後。エアコンの吹き出し口のみ赤くなっている。青い部分がおよそ20℃、赤い部分は30℃となっている
2時間後に撮影した部屋。これ以上にないほどムラなく床が赤く30℃ぐらいになっている
キッチンに続く廊下。画面上が先のリビングで白いのはダイニングテーブル。そして右側がキッチン。30℃まではいかないが25℃程度まで床が暖まっている

 これなら小さなペットから大きな大人まで、暑がりさん寒がりさんも快適に暮らせるリビングになること間違いない!

エアコンは温風が出るまで時間がかかるというのは昔話

 エアコンは温風が出るまでに時間がかかるから、石油やガスファンヒーターが欠かせないという方も多いだろう。特に朝早くから起きるお母さんやお父さんからは、「スイッチを入れたら、すぐに温風」が出て来てほしいというニーズが強い。

 確かに数年前のエアコンは、温風が出てくるまでに何分もかかり、「やはり朝の暖房は石油かガスファンヒーターじゃないだとダメネ!」ということがあった。でもXシリーズなら、「速暖機能」で朝起きる時刻やいつも帰宅する時刻をセットしておくと、少し前に予熱運転をして、1分ほどで温風が出るように待機。タイマーと違って、指定時刻になると運転をするわけではないので、人がいない部屋を暖めるなんてこともない。

 設定時間から30分以内に、リモコンやスマートフォン(別売の無線アダプターの購入が必要)で電源を入れると即温風。これなら寒い朝のお父さんお母さん、会社帰りの寒い部屋でもすぐ暖める。

外気が暖かかったためか、この実験では通常の運転と劇的な差は出なかった。とはいえ、4分後には30℃に達した

 ひとつだけ問題点を指摘するなら、風が直接あたる場所に、ソファーなどを置かないこと。設定温度に達すれば快適なのだが、直接風が当る場所はフルパワー運転時にちょっと暑さを感じる。

Xシリーズならみんなが快適! みんなが笑顔!

 Xシリーズの最大のポイントは、部屋の隅々までムラなくムダなく暖かいという点に尽きるだろう。テレビCMを見ていて「さすがにそこまで、隅々まで暖かくならんだろ?」とタカをくくっていた筆者だが、Excelが描いたグラフを見て驚いたほどだ。部屋全体が、しかも足元から頭まで、設定温度±0.5℃というムラのなさだ。

背の低いワタシでも快適にゃ♪ ご主人も暖かそうにゃん!

 さらに驚いたのが床の暖かさ。先ほどのサーモカメラの映像でも分かるとおり、部屋の隅々まで床が暖かい。こんな芸当ができるのは、「デュアルブラスター」だけ。この独特の快適さは、しばらくXシリーズだけのオンリーワンになりそうだ。

 ちなみに、11月に発売したばかりの2018年モデルでは、清潔性が大幅にアップ! なんと、熱交換器を加熱して除菌する機能を備えている。エアコン内部の汚れって外からは見えないけど、実はかなりのもの。中でも熱交換器は複雑な形状で、凹凸もあるから、汚れが溜まりやすい。新モデルでは、冷房・除湿運転時に熱交換器に付着した水分を約55℃で10分加熱することで、雑菌やカビ菌を除去、よりクリーンな空気を送り出す。

 もちろん、この機能は業界初! 清潔さにこだわりたいなら、新モデルも要チェックだ。

床がポカポカだから、スグ横になりたくなるにゃー
だ、ダメだ。大好きな猫じゃらしより、暖かくて眠いにゃー。ゴロゴロ

藤山 哲人