藤山哲人の実践! 家電ラボ
室内のどこにいても快適! 家族みんなが笑顔になれる最新エアコン「nocria(ノクリア)」Xシリーズ
室内のどこにいても快適! 家族みんなが笑顔になれる最新エアコン「nocria(ノクリア)」Xシリーズ
2017年7月7日 07:00
自然で快適な「冷房」ってどんなの?
「自然」な風にこだわった富士通ゼネラルのエアコン「nocria(ノクリア)」Xシリーズ。冷風や温風を吹き出す、本体の吹き出し口とは別方向を向く、縦型の送風機「デュアルブラスター」を備えたモデルで、独自の自然で、快適な気流が作れる。こちらの機能に関しては、先週の記事でしっかり説明したので、是非そちらをご覧いただきたい。
その気流は、冷たい空気を直接人間に当てず、冷気を部屋の天井に這わせるように吹き出し、測定器では測れないほど微妙な気流を作ることで、部屋全体にエアコンの風を行きわたらせる。
今回はその気流によってどれだけ部屋が均一に冷房できるかを調べてみた。
エアコンと併用するとイイとされているサーキュレーターや扇風機は、部屋の気流を攪拌するために有効だ。しかしXシリーズに搭載されているデュアルブラスターは、サーキュレーターとしての機能に加えて、中央にある冷気が出る吹き出し口とは異なる風速の気流を吹き出すことで、中央の気流を遠くへ誘導してくれるというのだ。カタログにある通り、本当にムラなく部屋全体を冷房できるのか、実験してみよう!
エアコンの性能は部屋が快適になってからが勝負!
デュアルブラスターが最も効果を発揮するのは、部屋の温度が設定温度になってからだ。一般的なエアコンは、設定温度になると風量が絞られるため、それまで部屋の奥まで送風できていた冷気が、エアコンのすぐ近くに落ちてしまうようになる。
これは水撒きの際、いくらホースを絞っても(最近のエアコンは大型の2枚のルーパーで冷気を絞り込んで遠くに飛ばすが)、蛇口で水の量そのものを絞ってしまえば、水が遠くまで飛ばないのと同じ理由。物理の法則なので、仕方のないことだ。
しかしXシリーズはエアコンから出てくる冷気だけでなく、強い気流を作るデュアルブラスターがある。つまり設定温度になって、冷気の風量が少なくなっても、両サイドから送風するデュアルブラスターの気流に冷気が引っ張られ、部屋の隅々まで送風できるのだ。
さて重い冷気をデュアルブラスターがどれだけ遠くに運べるか、試してみたのが以下の実験だ。
見やすくするために、エアコンの設定温度を低めの18℃に設定し、デュアルブラスターがONとOFFで気流がどのように変わるかを調べた。風量は、設定温度になっていることを想定して、一番弱い状態に設定。デュアルブラスターをOFFにすることで一般的なエアコンの冷気の流れを、ONにすることでXシリーズの冷気の流れを再現している。
デュアルブラスターを使った場合(Xシリーズ)
実は、部屋の隅々まで冷気が届くことを売り文句にしているエアコンは多くある。どんなエアコンでも強く送風をすれば、遠くまで冷気を届けられるからだ。ただしこれは運転開始時か、よっぽどの猛暑でエアコンがフル稼働するときだけだ。
一般的なエアコンは、設定温度に近づくとパワーを弱めて弱運転に切り替える場合が多い。このとき、冷気はエアコンから数メートル離れた場所に落ちてきてしまう。これを「冷気のシャワー」という言い方で気持ちよさをアピールしている製品もあるが、「冷気が遠くまで送れない」ことを自ら認めているようなものなのだ。
また設定温度になると風量を少なくするため暑く感じることがあるが、これは人の体感温度が温度と湿度と気流で決まるから。一般的なエアコンは、設定温度(湿度)になると、気流を弱めてしまうので、体感温度が高くなるが、Xシリーズは、デュアルブラスターで気流を作り続けるので、体感温度が変わらないのだ。
Xシリーズの快適さの秘密は、設定温度になってからの制御と、複雑な形状の部屋でも均一に風を送れるという点にある。
実証! 部屋の冷え方、どこでも快適空間になるのか?
Xシリーズはデュアルブラスターの気流で部屋をまんべんなく均一に涼しくしてくれる。しかし部屋がどのように涼しくなっていくかを見るのは難しい。そこでスモークを使って実験してみたところ、気流の回りのよさが少し可視化できた。
今度は部屋に8個の温度センサーを取り付け、エアコンをつけてから、どのように設定温度まで涼しくなるかを実験してみた。温度センサーはつり下げて設置したため、実験は家族が寝静まる夜に行なった。なお人がいないと、自動的に節電モードや電源OFFになる機能はすべてオフにした状態での測定となっている。
温度センサーは、エアコンの風が直接当たらない場所に設置。1つは床からの高さ70cm、もう1つは150cm程度の高さに設置。ちょうど座っているときと立っているときの人の頭の位置とした。
14畳のLDKは、エアコン運転前は室温は28℃だったが、設定温度を23℃にしてデュアルブラスターを下向け急速にして運転すると、15分ほどで24℃まで下がった。その後デュアルブラスターを上に向けると、設定温度の23℃をキープするような動きを見せていた。筆者が動いていたためか温度に変動も見られるが、温度ムラは±1℃以内という極めて均一な室温になっていた。
一方気流が届きづらいキッチンの中と廊下の奥の温度変化は、次のようになった。
グラフの緑は、先のグラフから求めた室温の平均値を示している。廊下の奥(赤)は風が行き渡りづらいようだが、きっちり設定温度の23℃まで下がっている。特徴的なのは、運転開始直後の15分。部屋は一気に涼しくなったが、キッチンや廊下の奥までは冷気を届けられていないようだ。
しかし設定温度に近づくにつれ、上を向いたデュアルブラスターが気流を作り、部屋の奥の奥まで冷気を届けているのが分かる。またキッチンに関しては、カウンターの窓から冷気を送り込んでいるのか、廊下を経由して回り込ませているのか不明だが、ふつうのエアコンなら暑くよどんでしまう空気を十分に冷やしてくれるようだ。
エアコンが苦手なL字の間取りでも均一に涼しい!
nocria Xシリーズのもうひとつの特徴は、複雑な間取りでも均一に冷房できる点だ。デュアルブラスターの働きで、より遠く、よりワイドに冷気を送れるので、L字型など変形の間取りで室温にムラができやすい家庭にもお勧めしたい。サーキュレーターや扇風機が不要になり、床のスペースを有効に使えるようになるはずだ。
冷気を届けるデュアルブラスターと息を合わせるのが、「3D温度センサー」。部屋の温度分布を多角的に捕らえて、温度ムラを調べる。一般的なエアコンは、本体内蔵の気温センサーで部屋の温度を検知するようになっている。Xシリーズでは、エアコン本体のセンサーに加えてリモコン内にも温度センサーを搭載しており、本体から離れた場所の温度も多角的にチェックできるのだ。
几帳面な人はリモコンはリモコン置き場に置いているかもしれないが、たいていはダイニングテーブルやソファなど、人がいるところに転がっているもの(笑)。Xシリーズは、本体とリモコン間で通信を行ない、リモコンのある場所の温度、つまり人がいるところの温度を調べている。より快適を求めるなら、リモコンの定位置を人が居る場所の近くにすることをオススメする。
エアコン本体、リモコンに次いで、快適空間を作る3つめのセンサーは、本体内蔵の床温度センサーだ。「え? 室温じゃなくて床?」と疑問に思うかもしれないが、実は床こそ直射日光の影響を受け、一番温度ムラの原因になりやすい場所のため、床の温度もチェックして、そこに冷気を送ってくれるというわけだ。
Xシリーズでは、こうして3つの温度センサーの情報を3次元的に管理し、気流を制御、快適空間を作り出している。
選べるドライ運転で電気代を節約して部屋干しOK!
従来のドライ運転は、電気代が高くつくといわれていた。なぜなら室内機の半分を冷房運転して湿気を取り除き、もう半分を暖房運転して除湿後の冷たい空気を温めて、室内に送風する「再熱除湿」方式を採り入れているからだ。
そのため電気代を安くするためのテクニックとして、「ドライ運転するより一番弱く冷房運転する」という方法を多くの専門家が提唱してきた。もちろん筆者もその一人だ。
しかしXシリーズには、コレまで通りの再熱除湿に加えて、冷房をゆる~く回す「弱冷房除湿」モードも搭載している。部屋に誰もいないときに部屋干しする場合などは、部屋の温度が若干下がる弱冷房除湿にするといいだろう。一方、赤ちゃんがいるなどで部屋の温度をあまり下げられない場合は、従来式の再熱除湿を使うといい。上手に使い分ければ賢く節電できる。
締め切った部屋なら「完全おまかせモード」
歳を取ると、目や耳、足腰だけでなく、温度に対する感覚も鈍くなる。夏になると、お年寄りが熱中症で救急搬送されたというニュースが増えるが、それは温度に対する感覚が歳とともに鈍くなっていくからだ。若い人がまるでサウナじゃん! という部屋でも、お年寄りにはそれほど暑く感じられなかったりするのだ。
そんな家庭にお薦めしたいのが「みまもり」モード。設定しておけば、たとえエアコンを停止していても、室温が31℃を超えたり、15℃を下回ると、自動的に冷暖房を入れてくれる。
この「みまもりモード」をさらに発展させたのが「おまかせノクリア」の毎日快適モードだ。このモードにしておくと、四季を通して経済的な運転をしてくれる。
暑く湿気が多ければ冷房を、寒ければ暖房を、送風だけでも十分に涼がとれるような場合は、送風運転だけを行なう。何もしなくても快適な場合は、運転を止めてしまう。これなら操作も簡単な上に、熱中症の予防にもなる。
しかも26℃までは自動で運転停止、28℃までは送風と除湿運転で経済的に快適空間を作り、28℃以上でようやく冷房運転するというかなり経済的な運転をする。
また別売のWi-Fiユニットもお勧めしたい。スマホで出先からエアコンをコントロールできるユニットだ。実際に使ってみるまで「そんなものいらないよ!」という否定派だったが、イザ使ってみると手放せない(笑)。取り付け工事をしてもらった電気屋さんによれば、Xシリーズを取り付けた人の半数が導入しているという。
うだるような暑さの中、外出先からスマホでチョチョイと操作するだけでエアコンをON。家に帰れば即涼めるのは本当に助かる。またペットが留守番することが多いという世帯なら、このWi-Fiユニットは必須アイテムと言っていいだろう。
取り付けでちょっと困ったのは、家庭の無線LAN機器がWPSという規格に対応している必要がある点。最近の機器はほとんど対応しているが、昔の機器だと対応していない場合がある。また筆者のように、IPアドレスをきっちりサーバ側で管理している場合も接続が難しくなるので注意してほしい。
いろんな「気」配りができるnocria Xシリーズ
ここまで実験して、Xシリーズが独自のデュアルブラスターにより、他の製品ではマネできない冷気を"気配り"してきたということが分かった。
そして気流の気配りもさることながら、使い勝手の面での気配りも行き届いている。まず特筆したいのは、リモコンの操作性。携帯電話(ガラケー)と同じサイズの液晶ディスプレイを備え、温度や運転モードなどは非常に大きな字で表示される。
そしてよく使う機能をリモコンが覚えていて、アイコンで簡単に選ぶことができる。大きな液晶だが、持ち手の部分は少し幅が絞られているので、お年寄りや女性、子どもなど手が小さい人でもしっかり持つことができるのも特徴だ。
なにより筆者が感心したのは、ボタンがパソコンのキーボードのようなキートップになっている点。一般的なエアコンのリモコンは、コストを安くするためテレビのようなゴムのキートップだったり、給湯器のようにシールを貼ったペコペコするスイッチだったりする。
これらのスイッチは長く使っていると、機器が悪くなったり、壊れてしまったりするのだが、Xシリーズのリモコンは作りがしっかりしていて◎。おそらく末永く使って欲しいというエンジニアからのメッセージが込められているのだろう。
またフィルターお掃除機能に加え、部屋の空気をキレイにするプラズマクリーン機能、内部のカビ発生を抑える機能や仕組み、就寝時に温度制御しながら電源を切るおやすみタイマーなど、人への「気配り」も余念がない。
部屋に温度ムラができてしまう「暑がりさんと寒がりさんの共存」へのアンチテーゼを唱える富士通ゼネラル。より自然で優しい快適空間を選ぶなら、富士通ゼネラルのアプローチに一票入れたい