家電店ちょっとイイ話
いよいよ迫った消費増税、家電は今が買い時なのか? 増税前に買っておきたいモノ
第5回
2019年9月13日 00:00
10月1日の消費増税まで1カ月を切りました。
9月初旬現在、家電市場でも増税前の駆け込み需要が見受けらます。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、テレビ、パソコン、ゲーム機などの分野で、前年比120~150%の売り上げを見せています。
この連載の初回でも言いましたが、価格変動の激しい家電製品は10月以降、増税分の2%をカバーする値下げ、量販店・メーカー各社によるキャンペーンなどが実施される可能性もあるので、今すぐ必要だというような事情がない限り、個人的には急いで買う必要はないと考えています。
以前も書きましたが、家電が売れる時期はあまり価格が下がりません。実際、先週末から一部のモデルでじわじわと価格が上昇する傾向が見えています。家電は、一度購入すると7~10年は使うもの。自分の家に合わないものを慌てて買うより、じっくり時間をかけて吟味したほうが、次の7~10年を幸せに過ごすことができます。
型落ちモデルが例年より少ない!?
とはいえ、これで終わってしまってはこの連載の意味がなくなってしまうので(笑)、駆け込み需要時の家電の買い方を、私なりにアドバイスしていきたいと思います。
まず注意したいのが前年モデル、いわゆる型落ち品です。すでに冷蔵庫や洗濯機、炊飯器などでは、今年の新製品が発表・発売され始めており、一部の型落ち品の値段が下がっています。
ただ今年は、メーカーのサプライチェーンの精度が上がったり、家電量販店が無理な低価格訴求を控えているため、型落ち品の在庫があまり潤沢ではなく、価格下落も昨年ほど大きくありません。さらに、これから起こる駆け込み需要がさらに高まってくると、店頭から型落ち品がなくなり、狙っていた価格帯の製品が店頭から消え去る可能性もあります。
ですので、欲しい家電があるならば頻繁に家電量販店の店頭を訪れ、価格と在庫の推移をチェックしましょう。多くの量販店が、製品のプライスPOP(価格表示札)の下に在庫数を記した紙をぶら下げているので、在庫数は一目瞭然です。
一般的な価格の目安としては、フラグシップモデルの冷蔵庫や洗濯機などの大型家電では、型落ち品が発売当初の売り出し価格からマイナス10万円程度、というのがこれまででしたが、今年はそこまで下がっていない場合もあるので、残りの在庫数を見極めて判断しましょう。
配達・設置家電は購入のタイミングに注意
また特に、大型家電製品で注意したいのが購入のタイミングです。消費税が8%から10%に切り替わるのはご存知の通り10月1日。家電製品の場合、持ち帰り品なら9月30日までに購入すれば問題なく8%になりますが、配達・設置工事を伴う大型家電は事情が異なります。
消費税がかかるタイミングは、店頭でお金を払った時点ではなく、商品が家電量販店の手を離れた時。つまり、9月30日に購入しても配達が10月1日ならば消費税は10%になってしまうのです。9月最終週は駆け込み需要が見込まれるため、配達・設置工事のスケジュールがタイトになる可能性もあるので、遅くても9月23日までには購入の判断をしましょう。
では、増税前に買ったほうが良い商品とは何か。それは、価格変動の少ない商品です。メーカーでいうとアップル、マイクロソフト、アイロボットなどが挙げられるでしょう。他のメーカーでも、例えばシャープのホットクックのように、価格がほぼ下落しない商品があり、こちらも対象といえます。
商品ジャンルで見ると、高級一眼レフカメラ、アクションカメラ、スマートスピーカー、ヘッドフォン、マッサージチェア、理美容機器、玩具、ゲーム機本体、ゲームソフト、映像・音楽ソフトなどが、価格変動の少ない商品です。お目当ての製品があるのならネットで価格の推移をチェックし、変動が少ないモデルならば増税前に購入するとよいでしょう。
また、発売されたばかりの新製品をいち早く手にしたいのなら、思い切って増税前に買ってしまうのも手です。高額な大型家電は徐々に価格下落していきますが、それまで待てないという人もいることでしょう。価格下落には時間がかかるものなので、最近家電の調子が悪いとか、新製品に搭載された新機能が気になるというのであれば、この機会に購入を検討してみましょう。たとえ1カ月後に1万円ほど価格が下がっても、新しい家電製品と過ごしたその1カ月間の体験は価格に見合ったものになるはずです。
このほか、例えば4Kテレビ用のアンテナ工事や食洗機の設置工事費用にも消費税はかかってきます。工事費が変動することはまずないので、4Kテレビや食洗機を購入する予定があるのならば、今のうちに済ませてしまうのも良いでしょう。
リフォームは住宅ポイントに気をつけて!
家電量販店が近年力を入れている住宅リフォームに関しても、増税前に済ませたほうが良いものが一部あります。屋根・壁塗装や間取り変更のような大掛かりなリフォームは、これからすぐに工事しても工事完了が10月になり、消費税は10%になってしまいます。今からではもう間に合いませんね。一方、2~3日で終わるようなプチリフォームならまだ間に合います。トイレ、キッチン、洗面台、お風呂などです。これらのプチリフォームは基本的に価格変動が少ないので、増税後に価格が大きく下がることもないでしょう。
ただし、ここでも注意が必要です。政府が増税の反動を抑えるために10月1日から導入する「次世代住宅ポイント」の対象になるリフォームならば、10月以降に工事をしたほうがお得になります。バリアフリーや耐震、断熱、節水型のトイレや水栓、、エコキュートやエコジョーズなどの省エネ設備、ビルトイン食洗機やIHクッキングヒーター、宅配ボックスなども対象になります。これらをリフォーム・設置した場合にポイントが発行され、家電やインテリア・家具、生活雑貨などの購入にあてることができます。工事の種類や設置する製品によって付与されるポイント数は異なりますが、大概において消費増税分より高いポイントが付与されます。
- ◇次世代住宅ポイント制度
- https://www.jisedai-points.jp/
ネット通販もタイミングに注意!
これまで前2回の増税は4月1日からでしたが、どちらの時も3月最終週に生活雑貨のまとめ買いが起きました。シャンプーや台所洗剤、ティッシュ、トイレットペーパーなどの生活必需品が店頭で品薄になったのです。増税分は数円から100円程度しかありませんが、少しでも安く買いたいという消費者心理が動いた結果です。
今回、家電量販店でも同様のまとめ買いが起きる見られています。プリンター用紙やインク、乾電池、シェーバーの替刃、LED電球といった消耗品を少しでも安く買いたいのであれば、この機会にまとめ買いしておきましょう。
最後に、ネット通販での購入もタイミングに注意してください。先に述べたように、消費税が課せられるタイミングは出荷時です。つまり、9月30日に注文が完了しても、通販業者の倉庫を出荷するのが10月1日以降ならば消費税は10%になります。9月最終週は駆け込み需要で出荷作業が混雑する可能性があるので、気になる商品があるのなら早めに行動を起こすのが吉です。