家電店ちょっとイイ話

家電を安く買う! ~「アウトレット」という選択

第2回

本連載では、家電量販店業界を20年にわたりWatchしてきた筆者が、お得な買い方、店頭で見つけた面白い商品、家電製品を買う時に注意したいことなど、家電購入時に役立つちょっとイイ話をお伝えしていきます

 洋服や靴、時計などには「ファクトリーアウトレット」というジャンルが存在するのはご承知のとおり。製造過程で縫製がずれたり少し汚れたり小さな傷がついたりした物や、輸送段階で包装が汚れたり破損した物など、使う分には遜色ないけどよく見ると少し気になる、という商品を正価よりお安く購入できるものです。

 実は、家電製品にもアウトレット品が存在し、かなり安く購入できます。ただ、"商品の気になる点"がアパレルとは少し異なります。そこで今回は、家電のアウトレットとは何かを解説しながら、お得に家電を買えるコツを解説していきましょう。

家電のアウトレットは「展示品」

 家電のアウトレットの大半は「店頭展示品」です。家電量販店に展示されている製品は、一部のメーカーを除き、ほとんどが販売商品。つまり、量販店がメーカーから借りて役目を終えたら返すといったものではなく、仕入れた商品の中から1台を選んで開梱し、店頭にデモ機として展示するのです。ですからこの展示品も、売らないと不良在庫となってしまうため、量販店は何としても売り切る必要があります。よく店頭で見る「展示品」という札には、そういう意味があるのです。

 店側としては利益を確保するために少しでも高く売りたいし、次に出る新製品の価格を乱したくないので、できるだけ早く売り切りたい。ですので、新製品の情報が入った時点で値下げに動きます。多くの場合、店頭で「展示品」として売られますが、展示品なので基本的に1店舗に1台しかないし、次の新製品が発売されるタイミングは商品によって異なるので、展示処分品が出る時期もバラバラ。そのため、アウトレット品が買えるか買えないかは、タイミング次第でした。

 そこで、店頭展示品を一堂に集めて販売したほうがお客さんも買いやすいだろうと考え、一部の家電量販店がアウトレット専門の店舗を作りました。現在、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機などがアウトレット店を運営しています。今回は、全国にアウトレット店を25店舗構えるヤマダ電機の旗艦店「YAMADA IKEBUKURO アウトレット・リユース&TAXFREE館」(東京・池袋)に行き、どんな掘り出し物があるか見てきました。

 同店の今泉 裕明店長によれば「店頭展示品なので小さな傷がついた商品もありますが、その分、お安く購入できます。もちろん完動品ですし、店できれいにクリーニングしてお渡しします。梱包箱がないものもありますが、お客様に届ける時には別の箱を用意して、きちんと梱包してお届けします」とのこと。

東京・池袋にあるヤマダ電機のアウトレット旗艦店「YAMADA IKEBUKURO アウトレット・リユース&TAXFREE館」
同店の今泉 裕明店長

 同店には、東京エリアにある自社店舗の展示品が集まっており、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、オーブン/電子レンジなど、幅広く展示販売しています。特に人気なのが冷蔵庫なのだそうです。

 「冷蔵庫は、ラインアップや容量違いなど一般店舗での展示品が多いため、アウトレット品も多く出ます」(今泉店長)。数が多い分、価格も安くなりやすく、掘り出し物が頻発するようです。とはいえ、掘り出し物は1週間程度で売れてしまうとのこと。ですのでこの店舗には、店頭ウオッチャーが数多く存在するそうです。

1年前に発売された、日立の520L冷蔵庫が12万9,800円。人気の真空チルド機能搭載で、発売当初は34万円ほどした。これは安い!
こちらは2年前のモデル。555Lのフラグシップ機が10万円。発売当初は38万円もした

 また都市型店舗の場合は、大型製品のアウトレットが出やすいのも特徴なのだそうです。「大型テレビや大容量の冷蔵庫・洗濯機のアウトレット品は、郊外店よりも都市型店舗のほうが比較的数が多いですね。というのもラインナップ上、店頭展示が必須ですが、70型のテレビや700Lの冷蔵庫が入る家は、都会にはあまり多くないんです」(今泉店長)。

 郊外の住宅はリビングやキッチンが広いので、大型家電製品がアウトレット品にならずに売れてしまいますが、都市部の店舗は大型モデルのアウトレットが出やすいので、大画面・大容量を探すのならば都市部の店舗が狙い目です。

2年前のソニーの65型有機ELテレビが20万円弱。チラシ特価とはいえ、55型と同じ価格なんて信じられません
昨年発売のLGの75型液晶テレビも25万円弱。家に置けるなら、私が買いたかった……(笑)

 このほか、店頭デモに使用したドラム式洗濯乾燥機や高級炊飯器など、次の新製品がまだ発表されていない現行品も、訳ありで安くなっている商品も展示してありました。

店頭デモに使用したシャープのドラム式洗濯乾燥機。現行品ながら、デモで水を使っていた関係で安くなっているとのこと
人気のヘルシオ グリエ。初期型だが、ネットの激安ショップ並みの安さ。特にブラックモデルはもうあまり出回っていない人気色なので、この価格で買えるのは魅力的

中古なのに新品同様のキレイさ

 ヤマダ電機の場合、展示アウトレット品だけでなく、店名にもあるようにリユース品、つまり中古品も扱っています。ヤマダ電機ではテレビ、冷蔵庫、洗濯機に関しては、お客さんの買い替え時に、それまで使っていた製品を買い取るサービスを実施中。

 買い取り品の中で状態が良い物は、分解・洗浄・修理して中古品として販売しているのだそうです。「洗濯機は完全に分解・洗浄・組み立てをしているので、中まできれいにしています。また糸くずネットなどの消耗品は、新品に交換した上で販売しています」(今泉店長)。

2016年製のパナソニックのドラム式洗濯乾燥機が、中古ながら9万円弱。中古なのに、ドラムの中は新品同様

 ちなみにエアコンは、アウトレット品はほとんど出てきません。というのも店頭展示品は、「モック」と呼ばれる外装だけの中身がない模型だからです。また、冷媒ガスの再充填にコストと手間がかかるため中古品もありません。

 このほかヤマダ電機の場合は、アウトレット店舗にしかない新品モデルも販売しています。例えばテレビなら、50型の4Kモデルが6万円と激安。とはいえ、名前を全く聞いたことがないメーカー製です。これらは、ホームセンターやディスカウントショップなどで売られている物で、大手メーカーを扱う一般店と区別するため、アウトレット店だけで販売されています。テレビだけでなくさまざまな商品があるので、トレジャー・ハント感覚で店内を歩き回るのは楽しいですよ。

値段が安ければブランドは気にしないという人も意外に多く、よく売れるそうです

 また、同館にはグループ会社のツクモも入居していて、中古パソコンとリファービッシュパソコンも取り扱っています。リファービッシュというのは、一度販売されたものの、初期不良など何らかの理由でほとんど使用されずにメーカーに戻ってきたモデルを修理して再販する、いわゆる新古品です。なので、メーカー保証がついているのが特徴です。ツクモではNEC製のリファービッシュ品を扱っており、現行品より2~3万円ほど価格が安い場合もありお買い得。中古パソコンは、ヤマダ電機グループのインバースネットが買い取り、修理したもので、購入時には、ハードディスクをSSDへ換装したり、メモリーアップも有償で対応します。

販売されている、リファービッシュ品のNECのパソコン
2年前の超軽量ノートが6万円強。新古品なのでバッテリーも新品
中古パソコンも多数あります

アウトレットは、現品限りの早いもの勝ち!

 当然ですが、アウトレット品、中古品、リファービッシュ品は台数が限られ、価格も市場に応じて大きく変動します。ですので、ここで紹介したものが店頭に残っているとは限りません。むしろ、一点物が多いので、すでにに売り切れている確率のほうが高いです。「ただ、他のアウトレット店や倉庫に残っている場合もあるので、目当ての商品がある場合は店員にお尋ね下さい」(今泉店長)とのこと。

 新製品が発売される前後は、旧モデルの価格が下がってお買い得になりますが、買うタイミングを逃してしまって店頭からなくなってしまった、という経験をした人は多いと思います。そんなときは、あきらめずにアウトレット店を探してみましょう。また、どんな掘り出し物が出るか分からない楽しみもあるので、近くにアウトレット店があるなら、定期的な店頭チェックがおすすめです。

近藤 克己