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ヤマハ、助け合いの町を目指して公道用電動カートの実証実験を支援。奈良県で地域住民が運営

奈良県王寺町美しヶ丘自治会が中心となって公道用電動カートを使用し、将来の実装を見据えた2年間の実証実験が開始された。

ヤマハ発動機によると、全国での公道実証実験や本格導入への協力活動は2014年から始めており、その数は50を超え、あらゆる側面から検証されたパフォーマンスと利便性は、活躍の場をさらに広げているという。

2021年からは千葉大学予防医学センターと共同で、電動カート導入による地域高齢者の外出および社会参画を促し、これらの促進による介護予防、健康増進効果の関係を明確化することを目標に活動している。2021年に行なった他エリアでの約2カ月間の実証実験では、電動カートを利用した高齢者が、健康促進や介護予防に寄与しうる各種項目に効果が見られたとしている。

20km/h未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス「GSM(グリーンスローモビリティ)」を利用する。車両はゴルフカートで、50年近い歴史があるヤマハゴルフカーの技術がベースとなっている。世界中で認められた操作性や居住性、メンテナンス性などが特徴。

スーパーマーケットが隣接する発着所を基点に、路地の住宅地等をゆっくり静かに巡回する「美しヶ丘電動カート」(運賃無料)

奈良県・王寺町同地区、および大阪府河内長野市では約半年間の実証実験が行なわれ、美しヶ丘地区では延べ人数約2,300人と多くの人が利用した。

2023年3月1日からの実証実験の内容(美しヶ丘自治会作成チラシより)

その結果「買い物の帰りに荷物を持って坂道を登らなくてよくなり、とても助かっている」「地域内で車を出すのは煩わしいので、電動カートがとても便利」など移動が便利になったという声の他、「運行スタッフや同乗者との会話が弾んでとても楽しい」「スタッフがとても親切」「譲り合い、助け合いで上手く運行できていると思う」など、住民同士のコミュニケーション活性化がうかがえる声が挙がったという。

乗務員合わせて7人乗りの車内空間は、町の社交場といった印象だという

こうした声をもとに、これまでの半年間の実証実験協力者を中心に、地域住民による運営チームを立ち上げ、継続的な運行体制と利用者の推移を検証する長期実証実験へ移行することになった。