シャープ、「静音No.1」のプラズマクラスターサイクロン式掃除機
シャープは、“業界No.1”の低運転音を謳うサイクロン式掃除機「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」を、10月21日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、8万円前後。
シャープ「プラズマクラスターサイクロン式掃除機 EC-VX220」。メタリックレッド(手前)とステラシルバー(奥) | コスメティックピンク |
■運転音は“業界最小”の52dB。ベアリング搭載で操作性も向上
シャープの掃除機では最上位クラスに当たる、吸込仕事率450Wのサイクロン式掃除機で、静音性能の高さにこだわった点が特徴。ボディには、モーター回転による振動音や、吸気/排気の風切り音を低減する「新設計サイレンサーボディ」を採用し、ヘッド部には吸込み口やホース、延長管内の風切音を吸収する「消音サイレンサーマフラー」を、新たに搭載した。これにより、運転音は最大で52dBとなった。同社ではこれを“業界最小”としており、夜間や早朝の掃除にもお勧めとしている。
ボディとヘッドに静音構造を採用。運転音は“業界No.1”の52dB(最大) | ヘッド内部には風切り音を吸収するサイレンサーカバーが備えられている |
写真はヘッド付け根部分の消音マフラー | 消音マフラーのカットモデル。運転音を壁に当てることで、音が減衰するという |
運転中のようす。運転終了後にカタカタ鳴るのは、フィルターの自動掃除機能 |
また、操作性を向上するために、本体の後輪に新開発の「マジックホイール」を搭載した。このホイールには、車輪と車輪軸の摩擦抵抗を減らす「クリスタルボールベアリング」が採用されており、走行抵抗が低減。本体重量は5.8kgと重いが、従来モデルよりも最大で約1/5の力で動かせるという。
新構造の「マジックホイール」を採用。本体を引っ張る力が、従来モデルよりも最大で約1/5低減するという | マジックホイールの外観 |
マジックホイールのカットモデル。軸受けにクリスタルボールベアリング(中央)を使用している | 本体裏側。車輪は3個 |
集塵機能は、従来モデルに引き続き、ごみと空気を高速回転することで、ごみを回収する「遠心分離サイクロン」機構を採用。フィルターの目詰まりが少なく、使い始めのパワーが持続するという。また、ダストカップ内のゴミを強力に押し固めて、通常よりも約1/4に圧縮する「ダブルスクリュープレスごみ圧縮」機能も引き続き搭載。ゴミ捨ての頻度を減らし、ごみ捨て時に微細塵の舞い上がりを抑える効果もある。
省エネ機能としては、自動で床面の種類を検知し、吸引力を調節する「エコ掃除」掃除を搭載。今回は新機能として、エコ掃除運転中に吸込口が床面から離れると、自動的に運転をストップする機能が追加された。再び吸込口を床面に付ければ運転を開始するため、余分な電力を使わずに済むという。
ゴミを遠心分離するサイクロン式を採用。サイクロン式は定期的なゴミ捨てが必要になるが、後述する「ダブルスクリュープレスごみ圧縮」で、ゴミ捨ての頻度が減らせる | ダストカップ | 吸い込んだ繊維ゴミは写真のようにまとまる。塵が舞い上がるのも抑えられるという |
「エコ掃除」モードでは、掃除の中断時にアイドリングをストップし、無駄な電力消費を抑える機能もある | ホースは本体に立てかけておけば、ヘッドが床に付かない |
エコ運転では、ヘッドを床面から上げると、自動で運転を停止。再び床に置くと、運転を再開する |
このほか、高濃度プラズマクラスターイオンの放出機能も搭載。排気とともにイオンを放出し、空気を浄化する効果に加えて、ダストカップ内にも放出することで、カップ内の静電気を除去、雑菌が繁殖する原因となるゴミやホコリの付着を抑える効果もあるという。イオン濃度はいずれも1立方cm当たり7,000個。
なお、排気口にはULPAフィルターも備えており、通常、空気の中には1L当たり0.3ミクロンの微細塵が5~10万個あるところを、EC-VX220の排気では400個ほどに抑えられるという。シャープの健康・環境システム事業本部 ランドリーシステム事業部 商品企画部部長 隅謙造氏は、「空気清浄機と同じくらいの能力を持っている。これはサイクロンならではの機能で、紙パックではゴミの抵抗があり、基本性能が落ちるため、ULPAが搭載できない」と話す。
本体サイズは276×444×261mm(幅×奥行き×高さ)。消費電力は約300~950W。運転音は約48~52dB。集塵容量は400ml。ペットの毛やふとんの掃除に使える「2WAYベンリヘッド」、スキマ掃除に使える2段伸縮すき間ノズル、パイプを取り外して使える「ベンリブラシ」も備える。カラーはメタリックレッド、コスメティックピンク、ステラシルバーの3色が用意される。
プラズマクラスターイオンの発生機構も備える | プラズマクラスターは、ダストカップ内に放出することで、カップ内に微細塵が付着するのを抑える効果もある | シャープの健康・環境システム事業本部 環境システム事業部 商品企画部長 隅謙造氏 |
下位モデルとして、「EC-AX120」も発売する。EC-VX220のような静音機能が省かれているが、本体はEC-VX220よりも小型・軽量で、タイヤも4個備えるなど操作しやすい作りになっている。
価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7万円前後。本体サイズは265×365×256mm(同)で、重量は4.4kg。吸込仕事率は450W。消費電力は約300~1,000W。運転音は約53~59dB。集塵容量は350ml。本体カラーはコスメティックピンク、メタリックブルーの2種類が用意される。
“戸建て住宅向け”という「EC-AX120」。右がメタリックブルー、左がコスメティックピンク | タイヤを3つ備えているため、クルッと旋回するような操作もできるという |
■“高齢者家庭向け”の計量&コンパクトタイプも投入
“高齢者家庭向け”の計量&コンパクトタイプ「EC-PX120」。右がシャンパンゴールド、左がメタリックレッド |
上記2製品に加えて、新たに軽量・小型モデル「EC-PX120」も、同時に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4万円前後。
EC-PX120は、重量は2.8kgで“業界最軽量”を謳うサイクロン式掃除機。モーターに軽量のマグネシウムモーターを採用している。また、持ち運びに便利な大型ハンドルや、簡単にゴミが捨てられる小型ダストカップなど、毎日の掃除の負担を軽減するような機能が設けられている。
高濃度プラズマクラスターイオンの発生機能も搭載するが、ダストカップへの放出機能は省かれている。また、ダブルスクリュープレスごみ圧縮や、フィルターの自動掃除機能も搭載されていない。
本体サイズは215×333×239mm(同)。吸込仕事率は330W。消費電力は約240~850W。運転音は約57~64dB。集塵容量は250ml。「2WAYベンリヘッド」が付属する。本体カラーはメタリックレッド、シャンパンゴールドの2種類が用意される。
【お詫びと訂正】初出時、EC-PX120の運転音のスペック値に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
“業界最軽量”という2.8kgの軽い本体が特徴 | ダストカップも小型。容量は250ml | 上位機種に搭載されているような、運転終了後の自動フィルター掃除機能もない。写真の赤いツマミ部分を回して手動で掃除する |
フィルター。赤い部分が回り、フィルターに付着した塵をたたき落とす | ペットの毛やふとんの掃除に使える「2WAYベンリヘッド」が付属する |
隅氏は、EC-PX120をラインナップに追加した理由として、現在、高齢者だけの世帯数が増えている点を指摘。「現在、65歳以上の人口は全国で2,819万人いるが、高齢者だけの世帯数が1,000万世帯を越えている。これから、団塊の世代もその世帯に入っていく。それを考えると、もっとお年寄りの家庭にピッタリの掃除機を作りたい、という思いから開発した。キャニスター形の掃除機で一番軽い」とした。
なお同社では、EC-VX220については「マンション世帯、“夜家事派”の家庭に」、EC-AX120については「階段のある戸建て住宅の家庭に」としている。
高齢者のみの家庭は増加傾向にある。EC-PX120はそういった層に向けた掃除機となる | EC-VX220はマンション向け、EC-AX120は戸建住宅向けという |
■ついにサイクロンと紙パックの台数比率が逆転
2010年度は、サイクロンの台数比率が54%と、紙パックを上回る見込みという |
隅氏はまた、2010年度におけるサイクロン式掃除機と紙パック式掃除機の比率について、「恐らく、台数比では(サイクロンが)54%以上になる。金額ベースなら7割を超えるのではないか」と、台数ベースでサイクロンが紙パックを初めて追い抜くと見通した。
この理由については、各社が本格的な遠心分離方式を取り入れはじめたことが大きいと主張。「これまで遠心分離を採用してきたのはシャープとダイソンだけだったが、各メーカーからも本格的な遠心分離サイクロンが登場してきた。これまでの日本の各社のサイクロンはダストカップが四角く、フィルターでゴミを濾し取る“フィルターサイクロン”が主流だったが、これからはますます本来の意味でのサイクロンが本流になってくる」と、主流が遠心分離方式の製品へ移っていくという見解を示した。
(正藤 慶一)
2010年10月6日 13:07