長期レビュー
フィリップス「ノンフライヤー HD9220」
フィリップス「ノンフライヤー HD9220」 後編
~油の摂取量が気になる人には絶対おすすめ!
(2013/4/10 00:00)
揚げずに揚げものができる、フィリップスの「ノンフライヤー HD9220」を試している。1回目は、付属のレシピ集の中から、鶏の唐揚げやとんかつ、コロッケといった、家庭でよくある揚げ物メニューの仕上がりを紹介した。自宅で揚げ物を作るときと同じように下ごしらえしたら、温度と時間をセットするだけでOK。カロリーカットできるのはもちろん、油の処理や後片付けなど、揚げ物ならではの問題をクリアーできるのも大きな魅力だ。
後編となる今回は、前回紹介できなかった揚げ物レシピのほかに、ドーナツなどのスイーツ、温め直しなどを見ていこう。
メーカー名 | フィリップス |
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製品名 | ノンフライヤー HD9220 |
希望小売価格 | オープンプライス |
参考価格 | 29,800円 |
バリバリした皮が楽しめる「豚もやし春巻き」
揚げ物で、たまに食べたくなるのが春巻き。パリパリした皮が魅力なのだ。それが「ノンフライヤー」ではどうなるのか。
レシピ集の春巻きでは、豚バラ肉、もやし、ごま高菜漬け(なかったので高菜漬けに胡麻をプラスしている)を用いる。刻んだ豚肉と高菜、小麦粉、もやしを混ぜ、塩胡椒で味付けしたら、春巻きの皮で巻くだけだ。これを予熱したバスケットに並べ、200℃で12~13分加熱する。
すると、全体がこんがりときつね色に焼けた春巻きができあがった。油で揚げたような濃さや均一さはないものの、驚くほどバリバリしていて、歯応えは十分。中にもしっかり熱が通っていて、とてもおいしい。油っぽさがないため、いくらでも食べられそうな気がした。中の具として、チーズを入れてもおいしいのではないか。おかずにも、おやつにも、おつまみにもなりそうで、鶏の唐揚げに次いで、お気に入りのメニューとなった。
あっさりでも、お腹にしっかり溜まる「揚げ出し豆腐」
揚げ出し豆腐というと、居酒屋のメニューで定番だが、自宅で作るとなると、油ハネなどが気になってなかなか意外と手間がかかる。
でも「ノンフライヤー」なら簡単に作れる。水をよくきった木綿豆腐に、小麦粉と片栗粉を同量混ぜた粉をまぶし、200℃で7~8分加熱。できあがったら、熱いだし汁をかけ、上に大根おろしとネギ、おろし生姜をトッピングして完成である。
加熱後の豆腐は、つけた衣の影響で、焼き餅のような膨らみを見せる。豆腐がしっかりするので食べ応えもある。揚げ物の油とだし汁が醸し出す、独特のまったりした甘さはないものの、味は非常にさっぱりしており、疲れたときでも食べられそうな味だ。
胃もたれが心配な方でも安心の「串カツ」(豚ねぎ、れんこん)
最近串カツ屋に行く機会が多かったこともあって、ぜひ試したかったのが、この「串カツ」だ。用意したのは、豚ロースカツ肉8切れ、3cm程度の長ネギ4切れ、れんこんの輪切り4切れだ。いずれも竹串に刺して衣をつけたら、まず豚ねぎを4本、バスケットに入れ200℃で12分加熱し、できたところで、れんこんに入れ替え、再び200℃で7~8分加熱する。
すると、立派な串カツができあがった。盛りつけて、ソースをつけて食べてみたが、なかなかおいしい。あの、細かい衣の歯応えがちゃんと堪能できるのに、胃もたれはない。これは、油が苦手で串カツを諦めていた人にもお勧めできる。
おやつも作れる「焼きミニドーナツ」
揚げずに済むなら、と考える代表的なおやつがドーナツだろう。ここではホットケーキミックスと卵、牛乳、グラニュー糖、バターを使って作ってみた。
材料を混ぜて生地を作ったら、コップやペットボトルキャップを使って、ドーナツ型に型抜きをする。それをバスケットに並べて、160℃で7分間加熱するのだ。すると、オールドファッションのような雰囲気の、ちょっとごつごつしたドーナツができあがった。
食べてみると、外はザクザクしたクッキーのようでいて、中はやわらかく、味や舌触りがスコーンによく似ていた。ドーナツ型のスコーンといったもいいかもしれない。小さなクッキーサイズなら、かなりの量も作れそうである。持ち歩きもしやすいので、差し入れおやつなどにも活躍しそうだ。紅茶の葉やチョコレートを混ぜてもいいかもしれない、と夢が広がる。
焼き料理もOK「にんじんカップケーキ」
最後のチャレンジは「にんじんカップケーキ」だ。これまで紹介してきたレシピは、本来揚げるはずのものが、揚げずにできる、というコンセプトだったが、今回はケーキゆえに、はじめから「焼く」を意識したものとなっている。
砂糖、卵、オイルをよく混ぜ、そこにすり下ろし人参に、振るった薄力粉とベーキングパウダーを加えてさっくり混ぜ合わせたら、炒ったクルミを加える。あとは、直径7cm前後のカップに流し混んで、170℃で13分程度加熱する。
やや焼き色が濃くなってしまったが、ほんのりと甘いカップケーキができた。中に入れたクルミがとても香ばしく、紅茶に合いそうな味わいである。
カップケーキは、春巻き同様にバスケットを全く汚さないので、他の料理を作る前に作っておけば品数が増やせるうえ、メイン料理の予熱代わりにもなって便利だ。
なお、焼き料理としては、このほかに餃子の皮を使ったピザや、焼いた野菜のホットサラダなどもレシピ集に紹介されているので、参考にしていただきたい。
揚げ物の温め直しにも使える!
ノンフライヤーを使う前までは、揚げ物と言えば、“買ってくるもの”だった。スーパーに行けば、天ぷらから、とんかつ、コロッケなど、様々な種類の揚げ物が並ぶ。そんなお総菜につきものなのが、温め直しである。温め直しは、いかにサックリ仕上げるかが鍵だが、「ノンフライヤー」なら温め直しも得意ではないか――という考えが頭をよぎった。
そこで、ノンフライヤーで作った串カツ、とんかつ、コロッケ、フライドポテトのあたため直しにチャレンジしてみた。200℃で約7分加熱してみた。すると、ふにゃふにゃだったポテトが、再びバリッと蘇り、串カツはジュージューいい、とんかつとコロッケは前よりこんがりしているではないか。これはいけるとばかりに、気がついたら完食してしまった。
長らく冷蔵庫で寝ていたおかずが、ここまでカラッと温まるなら、フライドチキンもかなりのものでは、と期待が高まった。スーパーで購入したフライドチキンを同じく200℃で7分加熱してみた。
すると、こちらも大成功! もともと油がついているだけあって、ジュージューといい音を立てている。食べてみると、歯応えも抜群。カリッ! ザクッ! として、中はジューシーだ。バスケットをはずしてみると、しっかり油も落ちていた。揚げ物の温め直しができるということは、活躍の場がかなり増えるといえるだろう。
ちなみに、パン粉がサクサクになるのだから、トーストもできるかも? と考え、コロッケの加熱後に、自家製の米粉パンを1枚入れて、180度で3分加熱してみた。しかし、表面が少し固くなった程度で、トーストはできなかった。パン粉同様、トーストも8分以上加熱すればそれなりのものができるかもしれないが、現実的ではない。トースターやオーブンレンジを使えば、もっと短時間でトーストできるため、それ以上の追究はしていない。
「ノンフライヤー」は、油が気になるすべての方におすすめ!
これまで調理してみて、予想以上の実力に驚かされた。操作も扱いも簡単なので、カロリーを気にする方から、揚げ物の油が苦手になって来た方まで、広くおすすめできる製品である。
調理中の本体側面を触ってみたが、上部はさほど熱くなかった。ただし、バスケット付近はそれなりの熱を帯びる。ヤケドするほどではないが、ハンドルにロック機能はないので、小さなお子さんがいる家庭では注意していただきたい。
使用後は、バスケットとバスケットパンは丸洗いできるので、手入れが楽なのもメリットだ。掃除用のブラシは付属しないので、楊枝やハブラシを活用するといいだろう。
1回の調理量が限られているため、大家族向きとは言い難いが、普段と変わらない準備で、短時間調理できるため、ケアが必要な方の分だけは、「ノンフライヤー」で調理するという使い方も考えられる。
場所を取りにくいし、持ち運びできるので、「ノンフライヤー」を持ってでかけ、訪問先でできたてを食べるといった楽しみ方もできるだろう。自分で作るにしても、温め直すにしても、かなり出番があることは間違いない。
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