家電製品ミニレビュー

タイムアンドスペース「カーボンコンベクションオーブン corobo CKY-19Q」

~揚げないフライもできるロボットみたいなオーブン「corobo」

ロボットのようなデザインのコンペクションオーブン

カーボンコンベクションオーブン corobo CKY-19Q(ホワイト)

 先日揚げずに揚げ物風の料理ができるフィリップス「ノンフライヤー」のレビューをしたが、実は揚げずに揚げ物ができる製品は、「ノンフライヤー」だけではなかった。今回ご紹介するタイムアンドスペースの「カーボンコンベクションオーブン corobo(コロボ) CKY-19Q」(以下、corobo)という製品も、同等の機能をもっているのだ。

メーカー名タイムアンドスペース
製品名カーボンコンベクションオーブン corobo CKY-19Q
希望小売価格22,800円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格17,800円

 coroboは、簡単にいえばコンベクションオーブンである。コンベクションとは「対流」を意味する。庫内のファンで熱を循環させ、食材を均一に加熱するオーブンだ。フィリップスのノンフライヤーも、熱風を庫内に循環させて食材を加熱するので、仕組み的にはそう遠くないといえるだろう。

 熱源はカーボンヒーターを採用しており、赤外線調理が可能だ。だから「カーボンコンベクションオーブン」というわけだ。カーボンのほうが、省エネ効果が高く、しかも赤外線を放出するため熱が均一に通るという。

 ちなみに、熱を循環させるファンはどこについているかというと、ただのフタに見える(ロボットの顔にも見える)「本体」の裏側だ。カーボンヒーターの奥にファンがあり、加熱時に回転して熱を送り出す。

 注目すべきはその形だ。そのまま動き出しそうな、ロボットのようなデザインで、とにかく面白い。

顔のような本体操作部
本体操作部の裏側。電源ケーブルは、操作部、つまりガラス蓋からでている
横から見た様子

 coroboという名前は「cooking robot」が由来かな、と容易に想像がつく。実際は容器台座に、容量7Lの専用ガラス容器が乗っており、その上に、ヒーターや操作部のついた本体(フタの部分)を乗せただけ、というアナログ仕様なところも渋い。サイズは300×275×315mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約4.1kgで、本体、専用ガラス容器、容器台座のほかに、トング、調理用網(高網1つ、低網1つ)、オーブンパン、フタ置き、レシピブック、取扱説明書が付属する。

「corobo」の基本構成。左から、容器台座、専用ガラス容器、本体操作部(ガラス蓋)調理用網
容器台座はプレートが分離する
左から、調理用の高網、蓋置き(高網と同じ)、トング、オーブンパン、低網
トングは、中から網ごと取り出す際に活用する
蓋置きにガラス蓋を置いた状態
操作部の裏側。ヒーターが見える
カーボンヒーターと、その奥にファンがある
取扱説明書と、レシピブック、簡単レシピ

開始から終了まで、調理中の食材が360度見える!

 調理の際は、中に調理用の網を入れ、上に食材を載せて、本体でフタをする。ロボットの中に食材を入れるようで、とても不思議な感覚である。フタをしたら、本体操作部の左側の温度設定ダイヤルで温度を、右側のタイマーダイヤルで時間を合わせる。あとは電源を入れれば調理スタートである。設定可能な温度は65℃から最大210℃まで。時間は最長60分まで設定できる。

 電源スイッチはどこにあるかというと、実はハンドル部分(電源遮断ハンドル)がスイッチになっており、「ストッパーブロック解除ボタン」を押しながら倒すと電源が入る仕組みだ。うっかり電源が入らないようにするとともに、調理終了後は、電源遮断ハンドルを持ち上げれば電源が切れ、ガラス蓋を持ち上げられるという2つの機能をまかなっている。調理中はタイマーダイヤルからカチカチカチカチという音が聞こえ、カーボンヒーターがオレンジ色に変化。時間になると「チーン!」という軽快な音ともに、調理終了を知らせてくれる。

ハンドルと思いきや、電源スイッチの役割も果たす「電源遮断ハンドル」
電源を入れるときは、ハンドルの上についている「ストッパーブロック解除ボタン」を押しながら背後に倒す
「電源遮断ハンドル」がストッパーを超えると電源が入る。電源コードは約1.2mと短め

 これで、鶏の唐揚げやとんかつなどが揚げずに調理できるほか、オーブン調理が可能というわけだが、ガラス容器のおかげで、オーブンの中が丸見えというのも面白い点だ。一般的なオーブンでもドアを通じて中の様子を見ることはできるが、1方向のみだ。しかし「corobo」は、フタを開けなくても、上からも左右からもぐるりと全体を見渡すことができる。どのように焼けているかが常に分かるので、見ていて安心感もあり、変化の過程も楽しめる。「焼きが足りないかな」と思ったら、フタをとらずに時間を延長できるので、熱を逃さずに済む。

実際にポテトを調理している様子。中が丸見えだ
上から加熱
調理中のカーボンヒーターの様子

エアーフライだけでなくオーブン調理もできる

 油を使わずに揚げ物ができる調理器具に興味のある方なら、フィリップスの「ノンフライヤー」との仕上がりの違いは大いに気になるところだろう。

 ノンフライヤーのレシピが揚げ物や焼き物を強く意識した内容だったのに対し、coroboのレシピブックは、“中までしっかり熱を通します”という意識の強いメニュー構成で、あくまでもオーブン料理が主体というイメージだ。唐揚げ、とんかつ、フライドポテトといった揚げ物は、coroboの簡単レシピに目安となる時間や温度が紹介されているのみとなっている。スタンダードな料理なので、あえてレシピとして紹介するほどではないだろう、ということかもしれないが、coroboが揚げ物風の加熱ができる専用調理器というより、揚げ物風加熱“も”できますよ、というコンセプトだからではないかと感じた。

 実際、調理してみると、確かに揚げ物風調理ができる。ただ、ノンフライヤーに比べるとcoroboのほうが全体的にしっとり感のある仕上がりとなった。脂肪の多い部分から余分な脂はバッチリ落ちるのだが、表と裏の仕上がりには差が生じやすいようだ。ガラス蓋を開けた瞬間、湯気が立ち上ることが多かったので、水分を溜め込みやすいのかもしれない。

フライドポテトは仕上がり上々!

 まず試したのが市販の冷凍フライドポテトである。適量を高網にのせて、180℃で15分加熱する。全体的な仕上がりは上々で、表面は適度にサクサクしており、中はしっとりホクホク。病みつきになりそうだ。生のじゃがいもで作る場合も同様で、さすが遠赤外線加熱という出来だった。

冷凍フライドポテトが揚げずにできる様子

 ただし、量を入れすぎると、重なり部分がしっとりしてしまうので注意が必要。しっとり系が好きな方にはいいかもしれないが、ぱりっとしたポテトが好きな方は、できるだけ重ならないように乗せなくてはならない。途中でポテトの重なり具合を変えて加熱し直すことで多少緩和できるが、その分手間はかかる。

 網にも大きな問題があった。ポテトより網の目のほうが大きいため、乗せようとすると、網の隙間から落下してしまうのだ。落ちたポテトをそのまま加熱すると、熱は通るものの、しんなりしてしまい、とても“フライ”を名乗れない。オーブンパンで試してみたが、むしろ全体的にしっとりしてしまう。蓋置き用の高網も使って二重にしてみたところ、かなり乗せやすくなったが、それでも冷凍ポテトの落下は防げなかった。この点はぜひ改良をお願いしたいところだ。

フライドポテトを作る際は、網二重作戦がおすすめ!(低網でも可能)
細いポテトも置けるように
ただし、どうしても落ちてしまうものも……
完成したノンフライのポテト。ほどよい歯応えでおいしい。右上は落下した分。水分が多いのが色で分かるだろうか
オーブンパンを使って試したが、折れるほどに柔らかくなってしまった
生のじゃがいもも、できるだけ重ならないようにしよう
焦げ目がついておいしそうにできた
中はサクッと爪楊枝が通る柔らかさ
生のじゃがいもはとくにホクホクしておいしい

唐揚げはしっとりジューシーに仕上がる!

 揚げ物ではおなじみの、鶏の唐揚げ、とんかつ、春巻きも、coroboを使えば油を使わずに調理できる。しかし、素材そのものが持つ水分や油分が多いせいか、熱源に向いた表と、ガラスの底に近い裏側では、仕上がりに差が出てしまった。

 鶏の唐揚げの場合、まずまずの焼き色で、中はしっかり熱が通っていた。表の脂の少ない部分では粉が白く残ってしまったが、この点はノンフライヤーでも同じである。

 裏側は、落下する脂と、ガラス容器の底に溜まる水分のせいか、水分が多かった。食べるのに影響が出るほどではないが、好みは分かれるところかもしれない。

 ただし、加熱の際の脂の落ち具合は感動もの! 衣に油を一切吸い込んでいないどころか、タポタポと波打つほどの脂が落ちるのである。普通に唐揚げを作る時に比べたら、相当カロリーを抑えられ。全体がしっとり仕上がることで、大量の脂を排出していても、パサつかず、柔らかく食べやすいともいえるかもしれない。

低網の上に鶏肉を並べる
210℃で15分加熱後の様子
落ちた脂はかなりの量だった
完成した鶏の唐揚げ
表を向いていた皮はよく焼けている
裏側は水分多めなので、取り出すときに衣が取れてしまうことも……

 水分を吸収しやすいパン粉を使用したとんかつはあまり相性がよくなかった。表はカラリとしているのに、裏側のパン粉が見事に水気を帯びてしまい、ふにゃふにゃだったのだ。中はしっかり熱が通っており、味には問題がなく、盛りつけてしまえばわからないが、この結果は残念だった。

とんかつは2枚作れる
200℃で15分加熱後の状態。脂身のある部分の焼き色は濃くなる
裏返したところ、全体の8割ほどが湿った状態だった
中に問題はない
盛りつけてしまえば分からないのだが……

 一方、豚バラ肉、もやし、ごま高菜を使った春巻きは、食材の油分や水分が少なかったせいか、全体的にカラリと調理できた。水気を感じるほどでもなく、春巻きらしい仕上がりとなった。

「ノンフライヤー」と同じ材料で春巻きを作ってみた
高網に乗せ、210℃で15分加熱した状態
裏側の状態
春巻きらしい仕上がりに

ミートローフはジューシー!

 ここまでは、エアーフライの出来を中心に見て来たが、エアーフライからは離れた料理を1品作ってみよう。レシピ集には、ブロッコリーを挽肉でぐるりと巻いた肉料理や、ハンバーグ、豚肉の塩釜焼きなどが紹介されている。そこで、大きな挽肉料理として、ゆで卵入りのミートローフを作ることにした。

 ゆで卵をハンバーグのタネでぐるりと包み、さらにベーコンを巻き、アルミホイルにくるんで準備完了。ガラス容器が大きいため、低網に4つ並べることができた。

 まずはアルミホイルを閉じたまま、180℃で20分焼き、続いて、ホイルの口を開けた状態焦げ目がつくまで焼く。ガラス張りなので、焦げ目のつき具合は非常に確認しやすい。すると、アルミホイルの底に、大量の肉汁をたたえたミートローフができた。それぞれの肉汁は集めてソースに加工し、カットしたミートロールにかけてみたところ、目にも賑やかな料理が完成した。

ミートローフの材料
ゆで卵を肉で包んで、さらにベーコンで巻く
アルミホイルで包んだら、低網の上に並べて焼く
ホイルの口を開けてさらに焼く
お弁当のおかずにもなるミートローフのできあがり

 大きなオーブンを使うより気が楽で、調理そのものを楽しめた。実は、ミートローフ作りはこれが初めてだったので、仕上がりが心配だったが、ガラスで状態がハッキリ見えたのはよかった。coroboの本領発揮というところだろうか。このように、省スペースのオーブンとして、じっくり焼く料理を楽しむのもよさそうだ。

さすが遠赤外線。温め直しはバッチリ

 最後は、市販のフライドチキンの温め直しで210℃で8分ほど加熱してみた。これはまったく問題ないといっていい。外はジュージュー、中は熱々のチキンと再会できた。小型のオーブントースターでは、焦げ目にムラができそうだが、こちらは全体がしっかり熱で包まれていたと感じる。

 これまでの利用から、ガラス容器の底に油が溜まることは分かっていたので、アルミホイルを敷いてから加熱したところ、予想通り余分な油がばっちり落ちていた。温め直ししながら、カロリーオフできるというのは嬉しい。

温め直し前のチキン
210℃で8分ほど加熱したら、作りたて感が蘇った
裏側の状態。見た目ほど水っぽさはない
この油分はカロリーダウンに

 調理の種類にかかわらず気をつけたいのが、本体に顔を近づけすぎないこと。というのも、加熱中のcoroboは、ヒーターが赤く光って綺麗であり、つい顔を近づけて観察してしまうのだ。しかし、中は高温で加熱されており、うっかり触れば大ヤケドする可能性が高い。お子さんがいる場合は十分な注意が必要だ。また、ガラス蓋でもある本体操作部からは、電源コードが出ているが、蓋をする際、挟んでいないか、ガラス容器に接触していないか確認したほうがいいだろう。使用後に洗浄する際も、十分冷めたことを確認してから移動したい。

 なお、「corobo」には自動洗浄機能が用意されており、1.4L程度のお湯と中性洗剤を入れ、65℃で10分加熱すると、水が回転しながら中を洗浄してくれる。大量の脂が付着したときは、先に自動洗浄しておくと洗いやすい。

そのまま洗ってもいいが、先に自動洗浄しておくと洗いやすくなる
お湯を1/5程度いれ、65℃で10分加熱すれば自動洗浄に

卓上でも使える、コンパクトなコンベクションオーブンとして

 ちょっと焼きものを作りたいときに、大型のオーブンを使うのはどうしても気が引けてしまう。かといって、オーブントースターでは足りない……そんなときにcoroboくらいのオーブンは、ちょうどいい。エアーフライはもちろん、ピザ、グラタン、タルト、焼き芋といったオーブン料理も作れる。ガラス容器内で焼くというのは珍しいので、来客時のパフォーマンスとしても成立しそうだ。

すずまり