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冬本番前にチェック! 空気清浄機の選び方と2013年のトレンド
(2013/10/23 07:00)
一昔前まで家電量販店には空気清浄機コーナーなんてなかった。しかし現在はどの店にも何台もの製品が並び、国内の世帯保有率は43.5%(2013年内閣府調べ)となっていて2軒に1軒は使っているという普及率だ。
しかし清浄前と清浄後の空気を比べることは難しく「キレイになった気がする」「臭いが消えた気がする」というプラシーボ効果(暗示効果)ではないか?と疑問を抱く人もいるだろう。しかしその効果はさまざまな第三者研究機関などで実証されているだけでなく、およそ50%の世帯が購入しているというのも事実だ。
ただ最近の空気清浄機は、イオン発生機能や加湿機能まで備えた複合機も多いので、機能を少し整理しておきたい。
空気清浄機は、部屋の空気をファンによって吸い込み、内部のフィルターで空気中の粉塵などを捕らえて、きれいになった空気を再び部屋に循環させる装置だ。したがってイオンを発生するだけで、フィルターを備えていないものは、空気清浄機には分類されない点に注意したい。
空気中の粉塵を除去するフィルターと効率よく除去するしくみ
空気清浄機はフィルターで空気中の粉塵を濾し取る。そのため大型のファンを高速に回転させ、大量の空気を吸い込める空気清浄機は、部屋の空気を素早く清浄できる。ただファンを高速回転させると運転音も大きくなるので、各社、空気の汚れを検知するセンサーを設けて、必要なときだけ大風量で運転するようにしている。
空気清浄機が、どのぐらい小さい粉塵を濾し取れるかは、内蔵しているフィルターの目の細かさで決まる。
1つの目安はHEPAとよばれる目の細かいフィルターかどうかだ。「HEPAフィルターを利用」と謳っている場合は、0.3μmの粒子まで濾し取れる。さらに目の細かいULPAフィルターというタイプもあるが、目が細かすぎて風量を稼げないので、空気清浄機ではあまり使われていない。「HEPAフィルター」搭載を謳っていない場合は、それより下のランクの目の粗いフィルターを使っている場合が多い。目の粗いフィルターの場合は、花粉などの大きな粒子は濾し取れるが、PM2.5や黄砂と言った細かい粒子は濾し取れない場合がある。
最近は、機種によっては、より確実に粉塵を濾し取れるように、静電気の力やイオンを使っているものがある。たとえばフィルター自体にプラスの電気を持たせ、フィルター直前でマイナスの電気を持たせた金属の網を設けることで、この網を通った際に粉塵がマイナスの電気を帯び、プラスの電気を持たせたフィルターに吸い付かせるというものだ。プラスとマイナスの電気を持ったものは、磁石のNとSのように互いにひきつけあうという性質を使っている。こうすることで、少ない風量や多少目の粗いフィルターでも効率的に集塵ができる。
もう1つ勘違いしてしまいがちなのは、空気清浄機は必ずしも臭いを取れるわけではない点だ。たいていの空気清浄機は、空気中の粉塵と一緒に空気の臭いも脱臭してくれるが、そうでない機種もあるという点。カタログで「タバコの粒子も濾し取る」とあっても、臭いまで消臭してくれるとは限らない。
脱臭の方法には、フィルターに活性炭(冷蔵庫や靴の臭い取りに使われる)を混ぜたり、臭いを電気的に分解するなどがある。たばこやペットの消臭に空気清浄機を購入する場合は、必ずそれらの臭いを低減・消臭できるかを確認することをオススメする。
以上をまとめと、次のようになるだろう。
風量 | 多いほど素早く空気を清浄できる |
---|---|
フィルター | HEPAフィルターや電気集じん式タイプのフィルターなら微粒子も濾し取れる。それ以外の場合は、カタログで濾し取れる粒子を必ずチェック |
集塵方法 | 静電気などを使う方式では、多少フィルターの目が粗くても細かい粒子が取れる |
脱臭機能 | 脱臭用途で購入する場合は、脱臭もできるかどうかを確認すること |
1台で済ませたいなら空気清浄機+αのコレ!
子どもがいる世帯のリビングは、どうしてもモノが多くなりがちだ。とくに冬は、石油ファンヒーターにコタツ、さらに加湿器と空気清浄機まで置いていたら、くつろぐスペースがなくなってしまう。できるだけ設置スペースを少なくしたい場合は、空気清浄機能のほかに、イオン放出や除湿・加湿機能なども備えている複合機を用意するといいだろう。
これからのシーズンに人気がでるのは、空気清浄機に加湿機能を搭載したタイプ。これ1台運転しておけば、空気もきれいにしてくれて、加湿もしてくれるので便利ではある。しかし梅雨シーズンではどうだろう。機器をしっかりメンテナンスしておかないと、空気清浄機の中はカビの温床になりかねず、せっかくキレイにした空気にカビの胞子をまき散らかすことになる。複合機は便利な点もあるが、それなりにメンテナンスにも手間がかかるという点を理解しておきたい。
またフィルターの交換時期も要チェックだ。定期的なフィルター交換が必要なタイプとそうでないタイプがある。単純に考えれば、フィルター交換が必要ないタイプの方がランニングコストは押さえられるが、それによって性能がどう変化するのか。メーカーによっては、使用後~年後のフィルター性能は~%など、しっかり明記しているところもあるので、確認したい。
とにかく空気をキレイにしたいなら単機能タイプがおすすめ!
花粉症や黄砂、PM2.5や浮遊しているアレルギー性の物質など、部屋の空気をキレイにしたいなら単機能の専用機がオススメだ。空気の清浄をメインに設計されているので、空気の吸い込みから吹き出し、部屋全体の空気の流れまで、しっかり計算され、素早く効率的に空気をキレイにしてくれる。
単機能タイプはベンチャー系の専業メーカーが多いのも特徴だ。しかし、その設計や性能は国内大手メーカーにまったく引けを取らない。それどころか、製品開発やデザインに力を入れているメーカーが多い。
さらに単機能タイプの空気清浄機は、フィルターの定期的な交換を推奨している場合が多い。交換周期は、メーカーにもよるが、半年から1年ほどと比較的短いのも特徴だ。これは、単機能タイプの空気清浄機を扱っているメーカーがこぞって「同じフィルターを使い続けるのはよくない」といっている証拠だろう。確かにランニングコストはかかるものの、日常的なメンテナンスが少ないという利点もある。
見えない空気を扱うから正しく使うことが最大のポイント
空気清浄機のしくみや使い方のポイント、色々な製品を紹介してきたが、何よりのポイントは置き場所だ。見えない空気をキレイにする家電なので、説明書などをよく見て最大限に機能を発揮できるように設置することが大切だ。
とくに空気の吸い込み口と吹き出し口は、部屋の空気を吸い込み、循環させる機能も備えているため、説明書に明記されている前後左右や上部に障害物を置かないように注意したい。逆に設置場所が決まっているような場合は、機能云々の前に設置場所に適した吸い込み口、吹き出し口のある空気清浄機を選ぶといいだろう。またどのぐらいのスペースが必要なのかも、購入前にチェックするといい。部屋の間取り図を書いて、店頭で製品と照らし合わせてみてもいいだろう。