家電製品ロングレビュー
本当に使える空気清浄機はコレだ! 機能をガチ比較!! 前編
by 藤山 哲人(2013/11/5 07:00)
空気清浄機能だけにフォーカスした単機能製品をガチ比較!
空気清浄機を買おうと家電量販店に行くと、コーナーには雛段にたくさんの製品が並べられており、どれを選べばいいのかサッパリだ。しかも「それは清浄機とちゃうやろ! 」なイオン発生器やサーキュレータまで並べている店もあるから困ったモンだ。
さて機種選びでサックリ絞り込みできるのは、加湿機能付きモデルを候補外にするという手。なぜなら我が家は、加湿機能付きエアコンと石油ストーブ中心なので、冬場でもそんなに乾燥しないからだ。しかも加湿器がついていると、カビが発生しないように手入れするのが超面倒。水タンクもしばらく放置してるとヌルヌルして気持ち悪いし………
【お詫びと訂正】初出時に「エアコン暖房なので、乾燥しない」という記述になっていましたが事実に反します。お詫びして訂正させていただきます。
それでも十台ぐらいの候補が残るが、イオン発生器がついているヤツを候補から外す。だってエアコンにイオン発生器がついているので、これ以上イオン漬けになる必要はない。
こうして単機能の空気清浄機に絞ると候補は、数台しかなくなる。単機能と言うと聞こえが悪いが、空気清浄に特化しているだけに効果も大きい。特徴的なのは、単機能の空気清浄機に絞り込むと、国産大手メーカーの製品がほとんどなくなっちゃうという点だ。言い方は悪いが大手は清浄機としての性能ではなく、付加価値で差別化しようとしているのが良く分かる。
ということで、この記事ではあえて大手メーカーを外し、空気清浄機の機能で真剣に勝負しにきている3台で機能比較してみよう。選んだのは、スウェーデンからやってきた「Blueair(ブルーエア) 450E」、扇風機で有名なBALMUDAの「AirEngine(エア エンジン) EJT-1100」、デザインがカッコイイcadoの「AP-C300」の3台、ある意味ガチの空気清浄機対決だ。
世界標準のBlueairと国産のBALMUDA&cado
まずは3機種の概要とカタログスペックを紹介しよう。
・Blueair
スウェーデン生まれの空気清浄機。空気をより早く、より効率的に清浄することを主眼に設計された製品で、最上位機種の650E(~39畳用)では、ホコリ、タバコの煙(粒子)、花粉除去のそれぞれで、世界ナンバーワンを記録(2011年4月)した。
空気清浄の専用機としてのパイオニアで、国内では次に紹介するBALMUDAとcadoがこれを追う形となった。標準添付されているフィルターは脱臭機能がないという徹底振りが珍しい。もし脱臭機能も持たせる場合は、ずっしりと活性炭が入った別売フィルターを用意する。
・BALMUDA
扇風機で一躍有名になったBALMUDAの空気清浄機「AirEngine」。円筒形のフィルターが特徴的で、機器の左右下部から空気を台風のように回転させながら吸い込み、上部に吹き出すという珍しい構造。また清浄した空気+機器の回りの空気を上部に送風するため、サーキュレーション効果は絶大。しかし部屋の空気をかき乱すという反面もある。なお部屋の大きさに合わせたラインナップはなく、~36畳までの1モデルのみとなっている。
標準添付のフィルターは、カビやウィルスをを分解する酵素がコーティングされている。また脱着式の脱臭ユニットになっているので、風量を稼ぐ場合は脱臭ユニットを外して運転できるのが特徴。
・cado
空気清浄機や加湿器など、部屋の空気を創るベンチャー企業。55畳用まで対応する最上位機種では、タバコ煙、粉塵、花粉除去で世界ナンバーワンを記録(2012年11月)した。メーカー名のcadoは、生け花の「華道」に由来していて、ハイセンスなデザインを得意としたメーカーでもある。
特徴的なのは、眩しい青色LEDを使った光触媒によるフィルターの滅菌だ。有害物質や細菌、カビや花粉、さらにはニオイなどを特殊な活性炭が吸い取り、青色LEDを照射することで二酸化炭素と水に分解する。これによりフィルターは、分解した水で洗浄され、フィルター交換は半年~1年に1回で済むようになっている。
http://www.product.cado.ne.jp/
メーカー | Blueair | BALMUDA | cado |
---|---|---|---|
Model | Blueair 450E | AirEngine | AP-C300 |
メーカー直販価格 | 79,800円 | 49,800円 | 69,800円 |
サイズ | ~21畳 | ~36畳(60m2) | ~23畳(38m2 ) |
清浄空気供給量 | 7.9m3/min(130-475m3/h) | 6.9m3/min | 4.5m3/min |
寸法 | 500×275×590mm | 250×250×700mm | 350×230×580mm |
重量 | 15kg | 8kg | 9.7kg |
運転 | 1,2,3,自動 | 弱,中,強,自動,省エネ,ジェット | 弱,中,強,自動,省エネ,急速 |
タイマー | 1,2,4,8時間 | なし | 1,4,8時間 |
吸い込み | 側面(右側) | 左右側面 | 左右側面 |
吐き出し | 側面(左側) | 上部 | 正面 |
脱臭機能 | 別売フィルター | 標準装備・着脱可能 | あり(着脱不可) |
フィルター掃除の可否 | 不可 | 3週に1度(掃除機で) | プレフィルターを週に1度 |
フィルター交換の目安 | 6ヶ月 | 1年 | 6ヶ月~1年 |
設置スペースとエアーの流れはBlueairがNo1
本体の大きさは見てもらったが、空気清浄機は前後左右にスペースを開ける必要がある。そこでマニュアルに指定されている最低限のスペースを開けて、設置した場合の占有スペースを見てみる。
一番本体サイズの大きかったBlueairが設置スペースが一番少なかったのには驚きだ。本体左右と背後に10cmの隙間があればいい。次にスペースを食わないのがBALMUDA。左右は30cmで背後に10cmのスペースが必要だ。ただし吹き出し口が上部にあるため、上に120cmのスペースが必要となる点に注意が必要だ。ちょうど左側の黒い棚の高さまで、上部にはスペースが必要ということになる。
設置スペースと密接に関係している、空気の吸入・排出口は、それぞれ次のようになっている。
独自の実験で測定したパワフルテストではBlueairとBALMUDAが互角
空気清浄機の性能には、大きく分けて2つある。1つは「どれだけ小さな微粒子をキャッチできるか?」で、フィルターの性能、しいては目の細かさで決まる。もう1つは「どれだけ大量の空気を清浄できるか?」だ。部屋の空気はどんどん入れ替わるので、いかに早く部屋全体の空気を吸い込めるかという送風機としての性能も非常に重要。
しかしコトは簡単ではない。なぜなら微粒子をキャッチするためにはフィルターの目を細かくする必要があり、目を細かくしてしまうと空気の流れが悪くなるので送風機としの性能が落ちてしまうからだ。逆に送風性能を上げると、フィルターの目が粗くなってしまい「ザルの空気清浄機」になってしまう。
フィルターの性能は後日後編で詳しくお伝えするので、ここでは送風機としての性能を独自の実験で調べてみた。実験の内容は、どんな家庭でもできる簡単なもので、そこそこの精度で調べられる。なお、専用の測定器を使った値ではないので、カタログの値とは異なっている点に注意して欲しい。
【実験方法】
・90Lのゴミ袋を2つ使い、大きな180Lの袋を作る
・空気清浄機の吹き出し口にゴミ袋をセット
・電源を入れファンが安定するのを待つ
・せーの! でストップウォッチをスタートさせ、袋を吹き出し口に密着させる
・袋が膨れ上がったらストップして、膨らんだ時間を計測
・180Lの袋を何秒で膨らませたかを元に、1分や1時間単位で何L(何立方m)かを計算
実験結果をまとめたのが次の表だ。
メーカー | 風量 | 脱臭フィルターあり | 秒数 |
---|---|---|---|
Blueair | 強 | × | 3.98 |
中 | × | 6.41 | |
弱 | × | 12 | |
強 | ○ | 4.29 | |
中 | ○ | 7.42 | |
弱 | ○ | 15.99 | |
BALMUDA | ジェット | × | 2.72 |
強 | × | 4.16 | |
中 | × | 6.9 | |
弱 | × | 9.6 | |
ジェット | ○ | 3.69 | |
強 | ○ | 4.35 | |
中 | ○ | 7.15 | |
弱 | ○ | 10.22 | |
cado | 強 | ○ | 6.43 |
中 | ○ | 11.57 | |
弱 | ○ | 35.97 |
脱臭フィルター欄の○と×は、脱臭フィルターを取り付けた状態と外した状態の秒数となっている。cadoは取り外しができないため脱臭機能を外した状態は測定できなかった。またBALMUDAには「ジェット」モードというブォーーーーっ! と爆音を立てるが、性能を最強にできる特殊モード(留守中に使う空気清浄モード)がある。
さて数値の表では分かりにくいので、グラフ化して見よう。合わせて12畳の部屋の空気清浄に掛かる時間に換算してみた。
フィルターの目の細かさと風量という矛盾が一番大きくなるのは、風量を最大にした場合だ。グラフを見るとパワフルさでは、BlurairとBALMUDAがほぼ互角という結果になった。
加えてそれぞれの運転音を測定してみたところ、次のようになった。
先の風量を強にした場合の、BlueairとBALMUDAが互角だったが、運転音を比較してみるとBlueairが41dB、BALMUDAが47dBと運転音はBlueairの方が静かだ。測定は風の抵抗が大きな脱臭フィルターをつけた状態で行なったが、Blueairのフィルターは非常に大きく、抵抗が少ないので静かな運転ができると思われる。
なお弱運転時のBlueairとBALMUDAの運転音は20dB。これは部屋で物音ひとつしないときのレベル(暗騒音=街から聞こえる静かな雑踏など)だ。つまりそれぞれの運転音は測定限界以下で、運転音は聞こえないということを示している。
送風機としての性能はBlueairに軍配だがフィルターの性能はいかに?
今回行なった実験から、空気清浄機の性能を決めるファクターのひとつ、送風機としての性能はBlueairが静かで送風量も多く、パワフルということが分かった。
もうひとつのファクターである、微粒子を捕らえるフィルターの性能は、次回の後編で詳しく説明したい。
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