長期レビュー

東芝「石窯オーブン ER-KD520」

東芝「石窯オーブン ER-KD520」後編

~忙しい日におすすめ、手早く作れるオーブン料理がおいしい

東芝「石窯オーブン ER-KD520」

 東芝のオーブンレンジ「石窯オーブン ER-KD520」のレビューをお伝えしている。前編では、パンやお菓子、ピザなどを作った。オーブン機能が得意な機種だけに、ふっくら焼き上がるパンには大変満足した。

 後編では使用頻度が高い電子レンジ機能や、過熱水蒸気を使ったから揚げ、シューマイなどの蒸し料理、オーブンを使ったスペアリブなど、「おかず作り」を検証しよう。

大きな蒸し器の準備は必要なし! 一度にたくさんできる蒸し料理

 石窯オーブンはスチーム機能を搭載している。ので、蒸し料理もできる。さっそくレシピにあった「手作りシュウマイ」を作ってみることにした。レシピでは20個分だったが、皮が30枚入りだったので、材料を1.5倍にして合計30個作った。

 まず、挽肉とむきえびをたっぷり入れたシュウマイを、角皿に焼き網をのせ、焼き網の上にオーブンシートを敷いて並べる。30個ものシュウマイを蒸すのは大きな蒸し器が必要だが、これなら一度で済む。給水カセットに水を入れ、「蒸し」で15分ほど加熱した。加熱を始めると、庫内は一気に蒸気が立ちこめる。

 出来上がったシュウマイは、プリプリの仕上がり。焼き網いっぱいにシュウマイを載せたが、中心も隅も火の通りにムラはない。

スチームが一気に吹き出す
30個ものシュウマイを蒸すのには、大きな蒸し器が必要だが、これなら一度で終わる
家でシュウマイを作ったのは久しぶり。後片付けも簡単で嬉しい

 石窯オーブンは電子オーブンレンジだが、「蒸し器」としても優秀だ。下の子は手作りのシュウマイを初めて食べたので、感激していたようだ。シュウマイは、慣れてしまえば餃子より簡単なので、これからも作っていきたい。

揚げない「鶏のから揚げ」。過熱水蒸気、ハイブリッド、オーブンの3種類を試す

 次に作ったのが、油は一切使わないヘルシーな鶏のから揚げ。作り方は、鶏肉を8等分し、ビニール袋にから揚げ粉をまぶし、角皿に焼き網をのせて自動メニュー「から揚げ」のボタンを押すだけ。

 加熱方法は、過熱水蒸気、ハイブリッド、オーブンの3種類から選ぶことができる。

 はじめに調理したのは過熱水蒸気だ。過熱水蒸気とは、水蒸気を加熱し、100℃以上になった無色透明の気体で、熱効率が高く、食品を素早く加熱する。脱油効果もあり、食品に含まれる余分の油脂を落としてヘルシーに仕上げるという。

から揚げ粉をまぶして入れるだけ
過熱水蒸気で加熱してみた。表面はもう少し焦げ目がついてほしい
ドーム状に湾曲した庫内の天井が特徴だ

 焼き上がったから揚げは、中身がとてもジューシーで驚いてしまった。主婦歴10年以上で、今までも鶏のから揚げは何度も作っているが、こんなにふっくら揚げられたことは一度もない。ショックに感じた程、やわらかく、とても食べやすい。ただ、油で揚げたから揚げのように、表面がカリッとした感じにはならない。

食卓に出してみると、いつも揚げているから揚げと見分けがつかない
切ってみると肉汁があふれ出す。こんなにジューシーに揚げられたことはない

 次にハイブリッドで試してみた。ハイブリッドとは、過熱水蒸気と高火力のヒーターの2つの加熱法を組み合わせた調理法だ。過熱水蒸気ほどヘルシーにはならないが、余分な油脂を落としつつ、おいしさを残す調理法となっている。

 ハイブリッドはジューシーさを残しつつ、衣の一部がカリッとしている。過熱水蒸気のみのから揚げより、こちらのほうが一般的にイメージする、から揚げに近い。ただ、全体的に、もう少しカリカリ感が欲しいように思う。

ハイブリッドで揚げたから揚げは焦げ目とジューシーさのバランスがよい
お弁当に入れてもおいしい

 最後に、オーブンのみで加熱したから揚げは、表面はカリッとしているものの、中身のジューシーさが薄れてしまった。一番バランスがよく美味しかったのは、やはりハイブリッドだ。

一番カリッとしていたのはオーブンで加熱したから揚げ
過熱水蒸気やハイブリッドと比較すると、ジューシーさがいまひとつ

 我が家ではいつも油で揚げていたから揚げだが、油の準備をする必要がなく、オーブンで仕上げられるのはラクだ。オーブンにお任せしておけば、手間もかからない。肉汁たっぷりでボリューム感もあるのに、ヘルシーにできるのも嬉しい。

一度でらくらく! 2段で2品同時調理もできる

 石窯オーブンは庫内を2段に分けて調理できる。忙しい日は、一度に2品同時調理できるので、働く主婦にとって頼もしい機能だ。今回は「さんまの香味焼き」と「焼きキャベチーズ」を同時に調理した。

 さんまの香味焼きは、さんまの内臓をとって水気をとり、腹の切り込みにパセリを詰め、調味料をかけて10分置く。角皿に焼き網をのせてサラダ油をぬってさんまを置いて下段に入れる。

 焼きキャベチーズは、角皿にキャベツとプチトマトを並べ、チーズをのせて塩・黒胡椒するだけ。あとは上段にいれ、一緒にオーブン予熱なし、300℃で24分、加熱する。

野菜を切って、チーズをのせるだけ
サンマは子供の分は頭を落とした
2段で調理する

 さんまの表面はカリカリで身の部分はやわらかく、味もついていておいしい。焼きキャベチーズは、キャベツとプチトマトの甘味が増して、子供達が大喜び。これなら、野菜嫌いのお子さんでも食べられるかもしれない。

サンマの表面がパリパリ
じっくりオーブンで加熱した野菜は甘味が増して子供もたくさん食べる
お皿からサンマがはみ出してしまったが、いつもよりおしゃれな雰囲気に

オーブン調理は、手間いらずで豪華に見える

 続いて、オーブンの機能を使ってスペアリブを作ることにした。友人や知り合いは「オーブン機能はあまり使わない」という方が多いのだが、ぜひオーブン機能は活用していただきたい。なぜなら簡単で豪華に見える料理ができるからだ。

 スペアリブも一見手間がかかって豪華に見える一品だが、前日に調味料につけて、あとはオーブンにおまかせするだけ。

 表面には焦げ目がついて、骨の部分まで火はしっかり通っているものの、肉汁たっぷり。300℃という高火力で25分ほど焼き上げたスペアリブは、お店で食べるようなおいしさだ。焼き網に乗せて焼くので余分な脂は下に落ち、ギトギトした感じもない。

前日に漬けて置いたスペアリブ。オーブンで焼くだけ
すべてお任せなのでとても簡単
手間がかからないのに一見豪華に見える一品

 スペアリブをフライパンで焼くと焦げすぎたり、半生だったりすることもあり、なかなか難しいのだが、オーブンを使えばひっくり返す必要もなく、その間に他のおかず等調理ができるので、とても便利だ。

 特に石窯オーブンは、オーブン機能が優秀なので、忙しい方こそ活用して、日々の調理に取り入れることをおすすめしたい。

こんなにジューシーにできるなんてビックリ「ピーマンの肉詰め」

 このほかにも、さまざまなおかずを作ってみたが、おいしさに驚いたのは、ピーマンの肉詰めだ。手順は一般的なピーマンの肉詰めと同じ。あとは過熱水蒸気とオーブンのハイブリッドで20分ほど焼くだけ。

ピーマンの肉詰めはハイブリッドで調理
ふっくらしたピーマンの肉詰めが完成
こんなにおいしくできたのは初めて
多めに作ってお弁当にも

 フライパンでピーマンの肉詰めを作ると、うまく火が通っていなかったり、中身の肉だけがポロッと落ちてしまうこともあったが、これはふっくらやわらかくジューシーで、ピーマンの皮にほどよくついた焦げ目との相性が抜群だ。ひっくり返したり、火加減の調節をすることもない。

 一度に16個ものピーマンの肉詰めを加熱できるのも魅力的だ。お弁当にもぴったりなので、少人数のご家庭でも、多めに作り置きできるので便利ではないだろうか。

オーブンでヘルシーに焼き上げるローカロリーフライ「梅じそチキンカツ」

 もう1つダイエット中の方にオススメなのが、梅じそチキンカツだ。鶏胸肉を観音開きにし、梅と青じそを入れてくるくるっと巻き、衣を付けてゴマ油を少量かける。あとは自動メニューの「ローカロリーフライ」を選び、30分ほど待てば完成だ。

 包丁で輪切りにするとき、一部衣がはがれてしまったが、皮はサクッとしており、胸肉はポソポソしていない。焦げ目に多少ムラがあるものの、切ってみると全体に火は通っている。

実はあまり期待していなかったチキンカツ。パリッと焼けている
切るときに衣がはがれてしまうのでなかなか難しい

 油はほとんど使ってないので、もっとサッパリしているかと思ったが、鶏肉がふっくらしておいしいので、物足りなさは感じない。胸肉は、子供でも食べやすいようで、ペロッと食べてしまった。低カロリーでおいしいので、ダイエットしながらでも楽しい食生活を送ることができそうだ。

温度を設定して加熱できる電子レンジ機能は地味に便利

 ここまでレシピを通して製品を紹介してきたが、ここからは日常で便利な機能を紹介しよう。まず、地味な機能ながらとても便利だったのは、好みの「温度」に温められる電子レンジ機能だ。温度は-10℃から90℃まで設定可能となっている。

 耐熱容器に入れ、15℃~20℃に設定して加熱すれば、バターはちょうどいいやわらかさになる。

温度を指定して加熱できる
真ん中に置く
ちょうどいいやわらかさになる

 30℃~40℃に設定しておけば、ベビーフードや介護食を温め直すときにも熱くなりすぎない。ゼラチンやバターを溶かすときは60℃~65℃に温度を合わせておけば、ちょうどいい温度で溶ける。我が家には小さな子供がいるが、いつも温め直すと「熱いよ! 」と文句を言われることがあるので、この機能の出番は多い。思った通りの温度になるのは便利だ。

両面グリルを使いたいときは「こんがりプレート」

 豚のしょうが焼き、お好み焼き、石焼きビビンパなど、しっかり焼き目をつけたい時に便利なのが付属の「こんがりプレート」。自動メニューにある両面グリルは、表はグリル、裏はレンジでプレートを加熱して、焼き色をつけて調理する。

 レシピにあった豚のしょうが焼きを作ってみたところ、仕上がりはばっちり。街の洋食屋さんで食べるものと遜色ない出来だ。一度にたくさんのお肉を並べて調理したいときは、とても便利。また、こんがりプレートについた汚れは水洗いでサッと落ちるので、後片付けも簡単なので、助かっている。

こんがりプレートはフライパンに比べて面積が広く、たくさんできる
しょうが焼きの肉を広げて加熱できる
洋食屋さんで食べるようなしょうが焼きができた

電子レンジ機能はシンプル。ごはんのあたため、おかずの温めも簡単

 電子レンジ機能はシンプルだ。スタートボタンを1回押すとごはんあたため、2回続けて押すとおかずあたため、3回押すと種類や温度が違う2つの食品をあたためることができる。

 ごはんはラップなしでちょうどいい温度になる。温め直しにピッタリだ。

ごはんはラップなしでスタートボタンを1回押すだけ
ちょうどいいあたたかさのごはん

 おかずあたためは、肉料理や魚料理など、はじけやすいおかずを少し弱めの出力で温めているようだ。試してみると、まわりに飛び散ることがなく、熱々になっていた。なお、冷蔵庫で保存しておいた煮物や焼き魚などはラップはいらないが、冷凍食品、とろみのある食品はラップをして温める。

 2品同時あたためは、冷蔵の食品が冷蔵・常温が1品100g~250g、冷凍食品は100g~150g。4人家族では少量のおかずを少しずつ温めるという機会がほぼないので、我が家ではほとんど使用していないが、今後子供が塾などに通うようになり、一人で食事をとるときなどに便利に使えそうだ。

庫内はネジが多く、壁が薄いのは不満

 気になった点をいくつか挙げると、まずは庫内の壁が薄いこと。マメに拭き掃除をしているが、掃除のときに奥側を拭くと、その度にペコッと一部凹んでしまう。石窯と聞くと頑強そうなイメージだが、耐久性が気になった。

庫内のネジや凹凸が多すぎる

 また、他のオーブンレンジに比べ、庫内のネジの数が多いように感じる。ズラッと側面に並んだネジがあるので、汚れがはねて付いてしまったとき、掃除がしづらい。もう少し庫内はフラットにして欲しいところだ。

 付属の網の収納にも悩む。場所をとるので、折りたためるように工夫をして欲しい。後継機は、以上の点をぜひ改良していただきたいと思う。

パンやお菓子作りに期待して買ったけれど、おかず作りにもフル活用

 石窯オーブンは、その名の通り、オーブン調理を最も得意とするオーブンレンジだ。最初は「パンやケーキを上手に作りたい」と選んだ石窯オーブンだが、レビューの通り、蒸し料理などもおいしくできるので、おかず調理でもよく活用している。一度にたくさん調理できるので、翌日のお弁当用のおかずも一緒にできてしまうので助かる。ちょっと図体は大きいが、大きい蒸し器などを用意する必要がなく、結果的にキッチンの収納場所は整理できてスッキリした。

 また、オーブン機能を使用した直後に、レンジ機能を使えるのはとても便利だ。庫内が冷めるのを待つことなく、レンジを使って調理ができるので、菓子作りを作った後、すぐに作りおきのおかずを温めたい時にちょうど良かった。

 我が家の石釜オーブンは、休日にはおやつ作りと食事作りでフル稼働している。日頃料理を頑張っている方に、ぜひおすすめしたいオーブンレンジだ。

前編/ 後編

石井 和美