家電製品ミニレビュー

テスコム「ジューサー TJ210」

~広い投入口と2段階のパワー切り替えが魅力
by すずまり

テスコム 「ジューサー TJ210」
 とあるショッピングサイトでジューサーコーナーを見ていたところ、感想欄でよく見かけたのが「ニンジンリンゴジュースを作りたくて」というコメント。どうも一部で流行っているらしい。“フレッシュジュース熱”は季節を問わないのだな、と妙に感心させられた。

 そんな折り、テスコムのジューサーを試す機会が得られた。拙宅のテスコム製品と言えば、フードプロセッサーでお馴染み。果してどんな仕事をしてくれるのか興味津々。さっそく噂のフレッシュジュースを作ってみたい。

 試したのは「TJ210」だ。背面に大きな「カス受け」があり、「カッターフィルター」も大型、投入口も70mmと広いのが特徴のジューサーである。

メーカーテスコム
製品名ジューサー  TJ210
希望小売価格14,700円
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格5,750円


投入口もカッターも容器も大きめ


 本体サイズは270×235×370mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは4.5Kg。本体のほか、プッシャー(材料を押し込む棒)、フタ、カス受け、カッターフィルター、フィルター台、カップという構成で、このほか取扱説明書とミニレシピが付属する。掃除用のブラスなどはついていない。

 これまで見てきた中では、カス受けの分だけ全体的に大きめな印象だ。投入口が小さいとその分材料を細かくカットしなくてはならないし、投入回数に比例して手間が増えるから、投入口が大きいというのはスピードアップに貢献してくれそうである。また付属のカップも400ml強は注げるという大きさだ。通常なら一度に2人分、小さなカップなら3人分は作れる。

本体を側面から見たところ。ジュースの抽出口がある左の写真の反対側の側面。ここがカス受け部分となる付属の専用カップは、400ml以上も入る大容量

本体のパーツをすべて取り外したところ。使用後は、本体以外は流し行きとなるカス受けを取り外したところにある「カス受けストッパー」。カス受けがセットされないと動作しない仕組みだ

 使い方は一般的なジューサーと変わらない。スイッチを入れたら投入口から材料を入れ、プッシャーで押し込むだけだ。絞りカスは背面のカス受けと溜まるが、フタの裏側にたまる。無理矢理押すのではなく、乗せた手の重さで自然に削れて行くスピードがベストだとか。

側面のスイッチは「1」または「2」の2段階切り替え。間に「・・」がついているが、中間のパワーは選べない
 スイッチが「1」または「2」の2段階切り替えになっているのも見逃せない点の1つ。トマトや葡萄など柔らかいものの調理には10,500回転/分の「1」を選び、リンゴやニンジンといった硬いものの調理には12,000回転/分の「2」を選べるなど、材料にあった速度が選択できるのである。連続使用時間は10分となっている。

 なおリンゴ2個、人参3本、トマト3個くらい(いずれも中サイズ)を目安としてでカッターフィルターを清掃することが推奨されている。清掃用のブラシは付属していないが、歯ブラシなどで代用できる。フィルター台の隙間に挟まりやすいので入念に掃除しておこう。先に繊維の多い材料を投入し、次に根菜類、最後に果実類を入れると良いそうだ。加えて、とろろ、バナナなどの粘り気のあるもの、桃、いちご、柿、キウイ、パイナップルなどの水分の少ないもの、薬草類、ごぼう、しょうがなどの繊維質の多いものは使えない点も覚えておこう。

大型のカッターフィルターカッターフィルターのサイズ比較。左はコンパクトな某コンパクトジューサーのもの、左が「TJ210」フィルターの形状にも違いが。写真上の目が細かいのが「TJ210」用、下は某コンパクトジューサーのフィルター


意外と飲みやすい! 【小松菜】+【リンゴ】+【パセリ】+【レモン汁】のジュース


レシピ本を元に、パセリ、小松菜、リンゴ、レモン汁のジュースをつくる。通常の発想では思いつかない組み合わせかもしれない
 愛読しているフレッシュジュースのレシピ本によれば、小松菜とリンゴとパセリの栄養成分で貧血予防効果が見込めるらしい。生の小松菜をジュースにするなんて想像もしたことなかったが、調べてみたところ小松菜の栄養成分はほうれん草に似ており、鉄分とビタミンCが豊富なのだ。加熱調理するとビタミンCが壊れる可能性が高い。しかしフレッシュジュースならまるごと摂取できるというわけ。これは女性にありがたい。

 さっそく用意したパセリ約1束、小松菜1/2束、リンゴ1個を順番にジューサーに投入。投入口が広いのはいいのだが、調子に乗って葉もの大量に突っ込んだところ、プッシャーが動かなくなって困ってしまった。摩擦で押し込めなくなってしまったのだ。入り口は大きくても無理は禁物だ。リンゴは1/4個が楽々投入できた。一般的なジューサーではさらに小さくする必要があるのでこれは楽である。

できた“青汁”のようだが、リンゴのおかげで実はかなりおいしい
 できあがったジュースは濃厚な緑色で、まさに青汁といった感じ。これにレモン汁を少々加えてかき混ぜ、氷を数個入れて冷やした。さぞ青臭いのだろうと思って覚悟しながら飲んでみたところ意外にも飲みやすい! 絞れたジュースは300mlほどだが、ゴクゴクと半分ほど一気飲みしてしまったほどだ。確かに青臭さは感じられるものの、しっかりリンゴの風味と甘さがカバーしている。これなら、特に朝に限らず飲んでも良さそうだ。サラダ代わりに食前に飲めば、暴食も防げそうである。

 気になる絞りカスだが、パセリがもともと水っぽくないこともあり、かなりドライだった。ただし茎がかなり残っているのは気にかかる。軽いのでアッという間にカス受けに飛ばされてしまったのだろうか? プッシャーとカッターの間の隙間が若干広いようにも思われた。

絞りカス。パセリが大分残っているので、このまま捨てるには忍びない状態だ本体にもパセリの絞りカスがあちこちに落ちていた
フィルター台の隙間にはカスや絞り汁が溜まるので、歯ブラシなどで掃除するとよい絞りカスはコンソメスープで煮込んだ。ミキサーにかけて冷やせば冷製スープにもなる


妙にハマる味、【セロリ】+【キャベツ】+【グレープフルーツ】+【はちみつ】のジュース

 

食べ過ぎて胃が……というときに良さそうな組み合わせ。セロリ、キャベツ、グレープフルーツをミキサーに投入
 先ほどの小松菜に引き続き、フレッシュジュースとしては珍しい組み合わせにチャレンジしてみたいと思う。それが、セロリ、キャベツ、グレープフルーツである。キャベツの成分が胃に良いらしいので、“食欲の秋”向きのジュースなのだ。とはいえ、キャベツとセロリ(葉ごと)にグレープフルーツの酸味が加わるとどんな味になるのか不安ではあった。

 「TJ210」の取扱説明書によれば、使用するコツとして、先に繊維の多い材料を投入し、次に根菜類、最後に果実類を入れるといいという。そこでキャベツ、セロリ、グレープフルーツの順で投入してみた。

 スイッチは高速の「2」を選択。キャベツの葉は丸めて入れてみたのだが、小松菜同様に投入口の壁面との摩擦により、プッシャーが動かなくなってしまった。無理矢理押し込んでいたところ、プッシャーと壁の間に詰まってしまい、一時使用を断念。さらにセロリの繊維がカッターフィルターを詰まらせやすいようで、こちらも一時回転を止め、菜箸で投入口の中の材料を調整してからの利用となった。葉ものの投入は少しずつ様子を見ながらのほうが良いようだ。

 できあがったジュースはグロテスクな色合いで、クセのある味。飲む前にはちみつを大さじ1杯程度加えると飲みやすくなった。しかし、なかなかどうして、慣れてくると妙にハマる味だった。神妙な面持ちで飲みはじめたのだが、いつの間にかすべて飲みきっていた。クセのある味が大好きな方にはたまらないかもしれない。

丸めたキャベツが投入口に詰まり、押したプッシャーの隙間にまで入り込んで動かなくなった。葉ものの投入は少しずつ様子を見ながらのほうが良いできあがったジュース。クセはあるが、ハチミツをプラスするとおいしく飲めるようになる。妙にハマる味だ

 ちなみに気になったのは絞りカスである。キャベツは部分的に残り、全体的にかなり水分を含んでいた。ジューサーで一番気になるのは、どれだけきっちり絞り切れるかだからだ。最後にグレープフルーツを投入したが、すでに投入していた材料によるフィルターの目詰まりでうまく絞り切れなかったのではないかと推測。そこで次はグレープフルーツを先に投入してジュースを作ってみようと考えた。

カス受けに溜まった絞りカス。水分を感じさせる開けて見ると、カス受けにはグレープフルーツの果汁が溜まっているように見える絞りカスを集めたところ。もう一絞りできそうな状態だ

グレープフルーツはスイッチ「1」の低速モードで完璧!

 

テスト用に用意した、グレープフルーツとニンジン
 グレープフルーツの絞りカスを少なくするための実験として、まずはスイッチを「2」に設定し、最初にグレープフルーツ、その後にニンジンを入れてみた。

 結果 、カス受けとカッターフィルターをセットするフィルター台に、絞り汁び水たまりができていた。残った水分を集め、さらにカスだけ再度ジューサーにかけると、さらに果汁が抽出された。つまり、一度では絞り切れなかったということだ。

 「TJ210」は水分の多いフルーツ系は少々苦手なのだろうか? 絞り切れないうちに勢いで果汁ごとカス受けに飛んでしまうのではないだろうか……そんなことを考えたが、もう一度試してみることにした。

始めにグレープフルーツを投入。投入口が大きいので入れるのは楽だご覧の通り抽出できたが……カス受けには水分の多そうな絞りカスが溜まっている

カス受け内を見ると、案の定果汁たっぷりカッターフィルターを取り除いたフィルター台の様子。果汁の「水溜り」ができている絞りカスを全て集めて低速で絞り直したところ、さらに抽出された。一度ではすべてを絞り切ることができなかった

 今度は、グレープフルーツだけスイッチ「1」の低速モードにして処理してみた。すると、今度は見事に水分が分離しているではないか! カス受けに水たまりができることもなかった。続けてスイッチ「2」の高速モードでニンジンを処理したところ、できた絞りカスは二度絞りしてもほとんど水分がでてこないくらいの状態になっていた。

 これはすごい。確かに柔らかいものはスイッチ「1」でと説明書にあったが、ここまで差が出るとは想像していなかった。水分が多め、または柔らかい野菜や果物は、まず低速で処理することをお勧めしたい。

グレープフルーツをスイッチ「1」で処理したところ、しっかり絞れた抽出されたジュースニンジンを加えた後の絞りカス。かなりポロポロである

やっぱりおいしい! 【ニンジン】+【リンゴ】のジュース

 

最近巷で人気の「ニンジンリンゴジュース」を作ってみる
 最後は冒頭でも述べた、リンゴとニンジンのコンビだ。これまで何度となく作っているが一番好きなジュースでもある。どちらも栄養価が高いため、このジュースを作りたいという理由でジューサーを買うという人もいるほど最近注目されているコンビなのだ。ニンジンのおいしさ、甘さを改めて感じられるため、最適な組み合わせ。リンゴもニンジンも材料としては日持ちしやすく、また用意しやすいのも魅力だ。

 大きめのリンゴ1個、大きめのニンジン1本から約400mlのジュースができた。カスもかなり絞られているが、リンゴの水分がまだ若干残っているように感じた。そこで絞りカスだけ一旦集め、フィルターを水でざっと洗って目詰まりを取り除いてからから、スイッチ「1」で作動させて絞りカスだけまとめて投入してみた。するとさらに50mlほどのジュースを絞り出すことができた。案の定おいしいジュースのできあがりだ。

 カスは見事にポロポロになっている。ここまでくればもういいだろうと思える仕上がり。「TJ210」はニンジンリンゴジュースとは相性がいいかもしれない。なお、大きなニンジンも丸ごと入るが、実際には適度にカットしてから投入したほうがスムーズに処理される。

巨大なニンジンも1回で投入できるが、実際はカッターに負担がかかるので止めたほうがよい初回動作後の絞りカスジュースは400ml弱できた。なおタオルを敷いているのはキッチンがゆがんでおり、騒音が発生したため

絞りカスはリンゴによる果汁がやや気になるカス受け内もしっとりした感じだフィルターを簡単に水洗いしてから、カスを集めて低速で再処理してみた

フィルターが掃除されたせいか、さらに50ml以上のジュースが絞れた!2度処理した絞りカスはかなり乾燥しているここまでくれば絞りカスに未練はなくなる

スイッチの使い分けが鍵。カッターフィルターは2枚態勢で挑みたい

 投入口が広いため材料のカットが簡単で済むことや、付属のカップに500ml近いジュースを作れること、食材に応じてパワーを2段階で切り替えられる点が他にはあまり見られないメリットだ。特に「絞りカスがちょっと水っぽい」という方は、ぜひ切り替えスイッチを使いこなしたい。そうすれば、ジュースが抽出口から飛び散ることもなく、安定した使用感が得られることだろう。

 残念なのは、カッターフィルターの目詰まりが処理能力のネックになっている点だ。カッターフィルターも背面のカス受けも大きいため、一度に大量に作れそうな気もするが、繊維の多い食材が続くと、食材が滑ってカッターそのものが機能しなくなることがあった。途中でフィルターをはずして掃除するのも良いが、それではせっかくの鮮度が台無しだ。

 本機に限ったことではないが、ジューサーの処理能力は回転スピードもさることながら、フィルターが握っているといっても過言ではない。なので、初めからカッターフィルター2個、カップも2個搭載されていても良いのではないだろうか(部品はオプション品として購入も可能)。家族全員分のジュースを作りたいときは、交換用のカッターフィルターが手元にあったほうが作業はスムーズになる。そうすれば、大容量でハイパワーというジューサーそのものの性能も大いに活かし、家族でフレッシュジュースを楽しめることだろう。




2009年9月29日 00:00