家電製品ミニレビュー

ダイキン工業「うるおい光クリエール MCK70N」

~空気を潤してキレイにする、冬を快適に過ごす加湿空気清浄機

ダイキン工業「うるおい光クリエール MCK70N」。各家電量販店向けの限定モデルも出ているようだ

 先週からグッと寒さがキツくなったが、それと同時に空気の乾燥も厳しい。何も対策をしないでいると、いつのまにかノドがカラカラになってしまい、風邪の原因になってしまう恐れもある。

 そこで活躍するのが、加湿空気清浄機だ。乾燥した室内の空気を潤すと同時に、空気中の微細なホコリや花粉などをキャッチしてキレイにするなどの効果がある。加湿器単体、空気清浄機単体で購入するよりも価格が安く、また省スペースで済むことから、家電量販店でも多くのスペースを占める人気商品となっている。

 というわけで、数ある空気清浄機の中から、ダイキン工業の「うるおい光クリエール MCK70N」を紹介しよう。

 ダイキンの空気清浄機については、過去のレビューでも何度も取り上げているが、今年のモデルは、ダイキンがこれまで頑なに搭載しなかった「イオンの放出機能」を備えるなど、過去の製品からアップデートした機能がある。ここは使ってみることにしよう。

メーカーダイキン工業
製品名うるおい光クリエール MCK70M-W
製品名オープンプライス
購入店舗ノジマオンライン
購入価格52,800円

大きめだが能力は十分。湿度を常に60%でキープし、空気もキレイに

395×287×620mm(幅×奥行き×高さ)と大きめだが、2年前のモデルと比べるとだいぶコンパクトになっている

 本体は395×287×620mm(幅×奥行き×高さ)と大きい。とはいえ、このくらいのサイズは加湿空気清浄機としてはよくあるサイズ。本体内に空気清浄用と加湿フィルター、加湿用の水タンクに風を吹き出すファンも搭載しているのだから、ある程度の大きさになるのは仕方がない。初めて購入する人はビックリするかもしれないが、実は2年前のモデル「MCK75L」と比べると、これでも小さくなっている(MCK75Lは415×302×621mm)。

 使用方法は、本体内に入っているフィルターのカバーを取る→本体側面の水タンクに水を入れる→プラグをコンセントに差し込む→パネルの運転スイッチを押す、という単純なもの。あとは自動で、加湿しながら空気をキレイにしてくれる。体は大きいが、準備も操作も非常にシンプル。特に迷うことはないだろう。

 自動運転中は、基本的には弱めの風量で運転するが、ニオイやホコリを感知した場合は、風量を強める。例えば、帰宅して本体の近くで服を脱いだりすると、ホコリセンサーがすぐに反応し、本体前面のモニターを黄色、または赤に光らせながら、“ブオー”という強力運転で部屋の空気をキレイにする。花粉など付着物が床に落ちる前に吸い込んでしまおう、という意図があるようだ。

空気の吹き出し口。ルーバーを広げたり閉じたりすることで、風向が変えられる
空気の吸い込み口は、本体側面に2口用意されている。吸い込み口奥に見える青いものは、後述する「新・プラズマイオン化部」
本体前面下部からも空気を吸い込む。ここはホコリがたまりやすいのて、こまめに拭き取りたい
本体前面の表示パネル。中央の数値は湿度を表している。その左がハウスダストセンサー、右がニオイセンサー
センサーがハウスダストやニオイを感知すると、風量を自動でアップする。汚れの程度は、緑→黄→赤の順に増す

 なお、風量は弱い順に「しずか→弱→標準→強→ターボ」という6段階が用意される。ターボ運転時の運転音は54dBと、掃除機並みの音がするが、標準運転時は37dB程度。図書館の中よりも静かな音のため、テレビや会話の妨げにはならない。

運転を「しずか」から「ターボ」へ順に切り替えているところ
リビングに置いている時計兼湿度計。湿度は常に60%付近を維持するため、喉がカラカラになったり痛くなることもない。空気も爽やかだ

 設置してしばらく使っているが、湿度、空気のキレイさの両面で快適だ。リビングに置いている湿度計は、これ1台で50%~60%をキープするため、寝起きだったり、1日中部屋に居ても、喉がカラカラになることはない。タンクも3.6Lと大容量なので、我が家の場合、水の交換の頻度が2日に1回ほどで済んでいる。空気もキレイで、イヤなニオイやホコリっぽさとは無縁。とても爽やかでスッキリとした感覚がする。我が家の空気環境は、確実に良くなった。

どうやって空気をキレイにしているのか? 中を見てみよう

 しかし、どうしてMCK70Nを使うことで、室内の空気がキレイになり、空気も潤せるのだろうか。メーカーの説明によると、全部で7つの空気をキレイにする機能が備わっているという。

MCK70Nの本体内部構造。空気をキレイにする7つの機構が備わっているという。図はダイキン工業のホームページで公開されたものに編集部で数字を振りなおしている

 このうちの4つがフィルターだ。大きめのホコリをキャッチする「(1)プレフィルター」、小さなホコリや花粉をキャッチする「(2)新・高性能フィルター」、新高性能フィルターの裏側についている、光触媒でニオイを抑制する「(3)光触媒チタンアパタイト」、シックハウス症候群の原因の一つとされるホルムアルデヒドや、ニオイを吸着する「(4)脱臭フィルター」という4つのフィルターに室内の空気を通すことで、空気をキレイにしている。

まずは(1)プレフィルター。大きめのホコリをキャッチする。ここがもっともホコリがたまりやすい
その次にあるのが(2)新・高性能フィルター。10年間交換不要という
新・高性能フィルターの裏面にあるのが(3)光触媒チタンアパタイト。ニオイの抑制に効果があるという
こちらはホルムアルデヒドやニオイを吸着する(4)脱臭フィルター。後述する光速ストリーマで吸着能力が再生できる

 MCK70Nではこれに加えて、他社の製品では見られないダイキン独自の2つの技術もついている。

 まずは、「(5)新・プラズマイオン化部」だ。これはカビやダニ、花粉など小さいものに対し、プラスの電気を帯電させるというもの。新・高性能フィルターがマイナスに帯電しているため、プラスとマイナスが引き合いフィルターの繊維に吸着しやすくなるため、フィルターの目詰りが少なく、風が通りやすいという。まだ使って1カ月ほどなので当たり前だが、現時点で風量にまったく問題はない。メーカーでは10年間集塵能力が持続するとしている。

 もう1つが「(6)光速ストリーマ」という技術。本体内に強力な酸化分解力を持った活性種を作り出すことで、吸い込んだ空気に含まれるカビやダニ、花粉、ホルムアルデヒドなどを除去し、空気だけでなく、脱臭フィルターのニオイ吸着能力を再生したり、加湿に使用する水を除菌する効果もあるという。

本体内の左右に設置されている(5)新・プラズマイオン化部。細かいホコリを帯電することで、フィルターで捉えやすくする。かなりホコリが溜まっているが、2週間に1回の手入れがひつ
ダイキン独自の除菌・脱臭技術「(6)光速ストリーマ」の発生装置も本体内部にある
光速ストリーマの発生ユニット。本体の洗浄ランプが点灯したら、取り外してつけおき洗いをする
フィルター部をすべて抜き取った本体。奥には加湿フィルターが見える
ダイキンの空気清浄機ではこれまで搭載されてこなかった放出系のイオン技術「(7)アクティブプラズマイオン」の発生機能も備える。発生ユニットは本体内部にあるため見えない

 そして、今年度モデルで新たに追加されたのが、「(7)アクティブプラズマイオン発生ユニット」。風路内の電極部で放電し発生したOHラジカルという活性酸素が、空気中や部屋のカーテンやソファーの菌や花粉、ダニの死骸などに付着することで、表面のタンパク質を酸化、分解する。

 簡単に言ってしまえば、シャープの空気清浄機に搭載されている「プラズマクラスターイオン」や、パナソニックの空気清浄機に搭載されている「ナノイーイオン」のようなものと同じようなものを発生しているということになる。ダイキンでは、このような空気中にイオンを放出する空気清浄機を長い間出していなかったが、ついにMCK70Nで搭載。パンフレットでは、本体内の光速ストリーマでも本体外のアクティブプラズマイオンでも除菌・脱臭できることから、2つの技術を合わせて「ダブル方式」と称している。

 以上が、MCK70Nに搭載されている空気をキレイにする技術だが、正直、普段使っているぶんにはあまり意識することはない。確かにプレフィルターや新・プラズマイオン化部には、しばらく使い続けるとホコリが溜まっているが、新・高性能フィルターにはまだまだこれといった汚れは出ていない。光速ストリーマもオゾンっぽいニオイがややするものの、本当にどれだけ除菌・脱臭できているかははっきりしないし、アクティブプラズマイオンも目に見えない。

 せっかく搭載されているのに、なんだか不運な役回りだが、「なんだかニオイがしなくなった」「そういえば風邪を引いていない」などに気づくことがあったら、それはこれら内部に搭載された技術のおかげかもしれない。

 説明書によると、光速ストリーマやアクティブプラズマイオンを使う場合、オゾン臭がする場合があるという。もしオゾン臭が気になる場合は、光速ストリーマーの出力を弱めたり、アクティブプラズマイオンの出力をOFFにもできる。個人的にはそれっぽいニオイは確かに感じられたが、気分が悪くなるということはまったくなく、すぐ慣れてしまった。

 なお加湿フィルターは、1カ月に1回の手入れで、10年間使用できるという。

加湿ユニットは写真で紹介する。水車でフィルターに水を通し、そこに風を送ることで、水分を含んだ風を送る気化エレメント回転式を採用する
水車を取り外したところ。1時間当たりの加湿能力は630ml。加湿フィルターは1カ月に1回、つけおき洗いで手入れをする。トレーも月1回の水洗いが必要
タンクの容量は3.6L。給水の度に水洗いをするよう推奨されている

加湿のバリエーションが増えてうれしい。eco節電は静音性がさらにアップ

加湿の湿度設定のバリエーションは、3種類から4種類に増えた

 MCK70Nを使って一番うれしいかったのが、自動運転の幅が広がった点だ。

 具体的には、加湿の湿度設定が変更できるようになったこと。これまでは「自動(50%)」「のど・はだ(最大70%)」「連続」の3つだけだったが、MCK70Nでは「ひかえめ(40%)」「標準(50%)」「高め(60%)」「のど・はだ(最大70%)」の4種類になった。

 我が家では「高め」で毎日設定しているが、これが実に快適。部屋の湿度計は常に55~60%台されるため、のどが乾くこともないし、結露の発生も抑えられる。湿度に過不足がないため、加湿器を併用して無駄な電気代を使うこともない。「連続」はなくなったが、「のど・はだ」で代用できるだろう。

eco節電ボタンは、節電というよりも運転音を抑える効果の方が大きいかもしれない

 もうひとつ気に入ったのが、「eco節電」ボタンを押すことによるみはり運転だ。通常の自動運転だと、しずか~強の間で自動的に風量を切り替えるが、eco節電では「しずか」「弱」の2通りだけ。しかも、部屋の空気がキレイになると、送風を停止し、電気集塵・光速ストリーマ・加湿・アクティブプラズマイオンの放出もストップする「待機モード」に切り替わる。

 このモードの良さは「静かさ」だ。ニオイやホコリを感知して「ブオー」という強力な風に切り替わることがなくなるのはもちろん、中には運転が完全にストップする時間帯もできるため、とても静かに使える。音楽を聞いたりテレビを見ている時には、ぜひともONにしておきたい。

eco節電で運転中のようす。ニオイセンサーが感知している際にeco節電から通常運転に切り替えると、風量が一気に強くなる

 ちなみに、NCK70Nの消費電力は最大75W、最小13Wで、標準運転の場合は20W程度(いずれも加湿空気清浄時)。基本的には消費電力の少ない製品なので、eco節電による節電効果はそこまで大きなものではないだろう。我が家では24時間使用している。

加湿空気清浄機は、冬を健康、快適に過ごすための必須アイテム

 NCK70Nについて約1カ月ほど使用しているが、非常に重宝している。冬なのに乾燥することもなく、風邪も引いていない。多少大きいが邪魔にはならないし、それだけの効果は確かにある。

1カ月ほど使い続けたMCK70Nのプレフィルター。ホコリがたまりやすいので、約2週間に1度の掃除機による掃除と水洗いが推奨されている

 実は本製品を使う前、空気の乾燥からのどがひどく荒れ、カゼをひいてしまった。その後、加湿器を使ったが、今度は加湿をしすぎて結露が窓や玄関で発生してしまった。なので、適度に加湿でき、しかも部屋の空気をキレイにしてくれるNCK70Nは、非常にうれしい存在だった。

 欠点としては、しっかりとした風量がある反面、風に当たると肌寒さを感じることもある点か。風の吹き出し口のルーバーを調節して、体に当たらないようにしておきたい。

 乾燥と風邪のシーズンはまだ始まったばかり。小さな加湿器でやり過ごすよりも、確かな性能を備えた本製品を買って、悠々と健康に冬を満喫してみてはいかがだろうか。

正藤 慶一