家電製品ミニレビュー

ダイキン工業「うるおい光クリエール MCK70M」

~集じん能力とメンテナンス性が向上したパワフルな加湿空気清浄機
by 神原サリー
ダイキン工業「うるおい光クリエール」MCK70M-T。リビング内の一角に設置した

 今回紹介するのは、ダイキンの加湿空気清浄機「うるおい光クリエールMCK70M」だ。適用床面積が30畳、最大風量7立方m/分というリビング向けの空気清浄機で、実際2週間ほど使用してみた。

 ダイキンの空気清浄機は、本体内に交換用の集じんフィルターが5枚内蔵され、買い替えの手間なしで2年ごとに交換できるのが特徴だった。2011年モデルからはフィルターが2年交換式から10年間交換不要の高性能タイプに変更され、メンテナンス性がさらに向上した。

 空気清浄方式は、吸い込んだ花粉やホコリを電気集じん部でプラスに帯電させ、マイナスに帯電しているフィルターがプラスに帯電した花粉やホコリをしっかりと吸着させる「電気集じん方式」と、フィルターに捕獲したニオイやカビ・ダニ、花粉などに、同社独自の酸化分解力を持つ高速電子「光速ストリーマ」を組み合わせた独自の方法を採用。

 さらに、新モデルでは、これまでの約8倍の表面積を持つ高性能フィルターを採用。10年間使用しても集じん能力が初期の70%を維持できるという。


メーカーダイキン工業
製品名うるおい光クリエール ACK70M
希望小売価格オープンプライス
購入場所39,800円
購入価格ヨドバシ.com

 

見やすい表示で、センサーの感度も良好

 わが家では10歳になるラブラドール・レトリーバーを飼っており、リビングにハウス(寝床)を置いている。ハウスの周りは、犬の毛やホコリもたちやすく、ニオイも気になるため、今回はハウスの傍にMCK70Mを設置した。

背面は壁から10cm以上離して設置する(左右は壁から50cm以上)左右の吸い込み口部分をのぞいてみると、ホコリや花粉を帯電させて、本体のフィルターに効率よく吸着させるためのユニットが見える本体天面にある運転操作ボタン。加湿機能の入り・切りのほか、省エネ運転をする「eco節電ボタン」もある
風量は全部で7段階

 風量は全部で7段階あり、自動モードでは空気の汚れ具合に(加湿運転時には湿度状態も)応じて自動的に風量を「しずか」「弱」「標準」「強」に調整する。省エネ運転をする「eco節電ボタン」もあるが、このモードの場合は、「しずか」「弱」運転の2種類を空気状況に応じて調節し、加湿量も少なくなるので、就寝時もしくは外出中などに使うのがよさそうだ。わが家では基本的に自動モードで使用、就寝時にリビングの明かりを消すのに合わせて、eco節電ボタンを押すという使い方にした。

 本体前面の円形モニターでは、湿度が1%単位で表示されるほか、室内の空気の状況が色で表わされる。ランプの色が青ならばハウスダストやニオイが少ない状態、多くなるにつれてオレンジ→赤へと変化する。現在の空気環境の様子が一目で確認できるので分かりやすく、加湿機能のオンオフをどうするかの目安にもなるので、とても便利だ。

 センサーの感度も良い。ラブラドール犬がおもちゃで遊び始め、部屋を走り回ったりすると、空気の汚れやニオイを敏感に察知。表示が一気に青からオレンジ、時には赤に変わる。それに応じて風量が強くなり、しばらくするとハウスダストやニオイセンサーのランプが青になり、その後風量も控えめに。センサーとの連動状況が確認できて「お、がんばって働いてくれているな」と実感できるのは、嬉しいものだ。

本体前面についた表示ランプ。数字は現在の湿度。加湿トレー内の水を除菌しているときには「水除菌中」のランプが点灯するハウスダスト、ニオイともにオレンジになった状態

掃除する時や花粉が気になる時など、状況に応じてモードが選べる

花粉が気になる季節に便利な「花粉モード」もある

 MCK70Mには、5分ごとに風量を「標準」と「弱」に切り換えて室内にゆるやかな気流を起こし、花粉が床に落ちる前にキャッチしやすくする「花粉モード」もある。わが家には花粉症の症状のある者がいないため、今回は使用しなかったが、これからの花粉の季節に役立つ、便利なモードといえるだろう。

 そのほか、大風量の「ターボ運転」モードもある。取扱説明書によれば「大風量で空気の対流を起こして汚れを素早く取り除くモードなので、部屋の掃除をしている際に使用すると良い」と書いてある。なるほど、掃除の際に舞い上がったホコリを“空間清浄”できるということだと納得し、リビングに掃除機を掛けるときには「ターボ運転」にして使用した。動作音が大きいモードだが、掃除機との併用なら気にならないので上手に利用したい。

冷たく感じない加湿風と自立式給水タンクで加湿時の使い勝手も上々

加湿運転は自動、連続、のど・はだモードの3種類

 加湿運転は「自動」「連続」「のど・はだ」モードの3種類が用意されている。自動モードでは湿度50%を目安に自動で運転するのが「自動」モード、「連続」モードでは湿度に関係なく加湿運転を続ける。

 今回、加湿機能を使用してみて感じたのは、吹き出し口から出る風が冷たくないということだ。MCK70Mでは、水トレーにたまった水を加湿フィルターに含ませ、そこに風を当てることで水を蒸発させて加湿する“気化式”を採用している。一般的な通常の気化式の加湿器の場合、水が蒸発する際にまわりの熱を奪うために空気が冷やされ、吹き出し口から出る加湿された空気が室温に比べてかなり低くなってしまう。

 それに対して、MCK70Mでは加湿された空気と加湿されない空気を混ぜて送り出す「ミキシング方式」を採用しているため、室温よりは低いものの「冷たい、寒い」と感じるほどではない。「気化式の加湿器の風が冷たすぎる」という人が多いなか、この機能は大いに評価できるところだ。

 また、「のど・はだ」モードでは、室内の温度に合わせてのどや肌にやさしいとされる湿度に加湿するとしており、室内温度が20℃までは湿度70%、20℃~22.5℃では60%、22.5℃~25℃は50%が目標湿度となっている。実際に「のど・はだ」モードで加湿してみると、湿度を高めに設定しているためか、風量が多くなり、冷え込んだ日には窓の結露が激しくなるように感じた。

 使い勝手の面では、給水タンクが使いやすくなった。というのも実は、旧モデル(MCK75L)では薄型の給水タンクを採用しており、給水時には本体前面パネルを外さないとならなかったのだ。新モデルのMCK70Mでは側面に給水タンクが配置されるようになり、ワンタッチで取り出せるのでとても使いやすくなっている。また、給水時にキッチンのシンクに置いても、蛇口にぶつからないように設計されているため水を入れやすく、斜めの状態のまま自立するので、手で押さえておく必要もない。

 わが家ではリビングに大型の観葉植物やコーヒーの木などを置いているためか、比較的湿度が高めで頻繁に給水する必要がなかったが、乾燥しがちな部屋では4Lタンクでもすぐに給水ランプが表示されるという声も聞く。こうした給水のしやすさはポイントが高いのではないだろうか。

本体右側面にある水タンク。ボタンを押しながら手前に引き出すと、簡単に外れる水タンクを取りだしたところ。本体のカバーとタンクが一体型になっている天地をひっくり返すとタンクのキャップが現れる
キッチンのシンクに置いた際に、蛇口にぶつからないように設計されているため、水を入れやすい。斜めの状態のまま自立するので、手で押さえておく必要もない水タンク内のお手入れの際にも手首までしっかり入る口の大きさになっている
加湿トレーに残水があるとニオイや汚れの原因になるという。給水のたびに加湿トレーの残水を捨てることを習慣にしたい。円形の加湿フィルターの下に設置された銀イオンカートリッジ。10年間交換不要で、ぬめり防止効果があるという

加湿空気清浄機はメンテが大切

 集じんフィルターや加湿フィルターの交換が10年間不要とはいえ、性能を最大限生かすには定期的なメンテナンスは重要だ。MCK70Mではホコリや髪の毛などの大きな汚れをキャッチするプレフィルターは2週間に1度、掃除機で汚れを吸い取り、水洗いすることを推奨している。

 本体側面の吸い込み口部分に設置されている、2本のプラズマイオン化部(ユニット1)も、かなりホコリがたまる部分。プレフィルターのメンテと同じタイミングで掃除機で汚れを吸い取ろう。

 そのほか、厚みのある集じんフィルターのさらに奥に設置してある脱臭フィルターやハウスダストセンサー、ニオイセンサーの空気取り入れ口のホコリも1か月に1度はきれいにしたい。

本体前面のパネルを外したところプレフィルターにはホコリやペットの毛がびっしりついているのが分かるプレフィルターのお手入れは2週間に1度が目安。まずは掃除機でホコリなどを吸い取ろう
前面パネルの裏側にも細かいホコリがかなりついていたプレフィルター同様、掃除機で吸い取ればきれいに掃除機でホコリなどを吸いとったプレフィルターは、水洗いして陰干しに
約10年交換不要の集塵フィルター。こちらは掃除機、水洗いなどはNG集塵フィルターを外すと脱臭フィルターが現れる脱臭フィルターのお手入れは1か月に1度程度掃除機でホコリを吸い取るだけ。水洗いはNG
表示パネル脇にある9つの小さな穴(=ニオイセンサー用空気取り入れ口)にホコリなどがたまっていたら、ここも掃除機で吸い取ろう本体左にもセンサー用空気取り入れ口の穴(ホコリセンサー)があるので、ホコリがたまっていないかをチェックしよう

 電極がある「ユニット1」「ユニット2」については、本体天面にある洗浄ランプが点灯したら、取扱説明書を参考にぬるま湯でのつけ置き洗いをした後、日陰で十分に乾燥させてから取り付ければOKだ。

ストリーマユニットは、「ユニット2」の洗浄ランプが点灯したら、取り外してお手入れを。ぬるま湯に1時間程度つけおき洗い後、風通しのよい日陰に1日程度干して乾燥させてから取り付けようストリーマユニットの内部にある針に汚れが付着していたら、綿棒などで軽く拭きとる両側に2本設置されているプラズマイオン化部(ユニット1)
空気の吸い込み口に設置されている部分のため、かなりホコリがたまる。2週間に1度は掃除機で表面のホコリを吸い取ってお掃除をしたい。「ユニット1」の洗浄ランプが点灯したら、ユニットを開いて、つけおき洗い→日陰で十分に乾燥→設置を本体裏面には使用開始日を記入できるラベルがあり、お手入れ方法も簡潔に示されている

 加湿フィルターのメンテナンスは1か月に1回程度が目安。円形の加湿フィルターユニットは、枠ごと40℃以下のぬるま湯または水でつけおき洗いすればOK。ニオイが気になるようであれば、液体中性洗剤(食器用洗剤など)を溶かしたぬるま湯につけ置きするといい。

 お手入れ後は濡れたまま、本体に設置して使用できるが、シーズンオフなど長期間加湿運転をしないときにはよく乾かしてから取り付けるようにしよう。

加湿トレーと加湿フィルターユニット円形の加湿フィルターユニットは、枠ごと40℃以下のぬるま湯または水でつけおき洗いすればOK。ニオイが気になるようであれば、液体中性洗剤(食器用洗剤など)を溶かしたぬるま湯につけ置きするといいお手入れ後は濡れたまま、本体に設置して使用できる

乾燥、ニオイ、花粉、ウイルス…1年中活躍するリビング向けの1台

 わが家に到着したい際には「大きい!」という印象だったMCK70Mだが、実際に使ってみるとシックなブラウンの本体が思いの外しっくりとなじんだ。ブルーの表示で遠くからで室内の空気状況が見やすく、ちょっとしたニオイやホコリの舞い上がり状況にも敏感に反応する様子に、頼もしさを感じた。

 加湿時の空気が冷たくないことに加え、加湿時の給水が格段にしやすくなったことやぬめりを感じさせない清潔な給水トレーなど、みんなが集まるリビングをしっかりと加湿したいという人にはとても魅力的だと思う。

 これからいよいよ花粉シーズンが本番となるが、花粉モードも搭載し、集じんフィルターに吸着させた花粉をストリーマ放電によって花粉内部の核まで分解するというのは心強い。また、湿気の多い梅雨の時期にはカビ対策にもなり、夏場には帰宅時に何となく気になることの多いニオイ対策にもなるに違いない。同社ならではの「電気集じん方式」と「ストリーマ放電」を維持させるためにはユニット部分のお手入れにひと手間かかるが、だからこその性能に納得できる1台といえるだろう。






2012年2月21日 00:00