藤本健のソーラーリポート

実際、太陽光発電は儲かるの!? 富士山麓での太陽光発電所、運用開始 その1

「藤本健のソーラーリポート」は、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電・ソーラーエネルギーの業界動向を、“ソーラーマニア”のライター・藤本健氏が追っていく連載記事です(編集部)
富士山麓の太陽光発電所

 以前にもレポートした通り、紆余曲折あった後、富士山麓にある富士河口湖町に設置された太陽光発電システムを3月末に購入。その後、多少のトラブルがあったものの5月19日に念願の系統連系が実現し、実際に発電がスタートしたのだ。

 その日から、筆者も"晴れて"立派な(?)発電所長に。まあ、とくに何をするわけでもないのだが、運用を開始して5カ月も経過すると、いろいろな状況も見えてくるし、その間に、難しい問題にも直面することになった。そこで、これからしばらくは、「実際に太陽光発電は儲かるのか?」という観点から、発電所長としての経験をレポートしていきたいと思う。

太陽光発電の問題のホントのところ

 最近、会う人、会う人、みんなから「太陽光発電、大丈夫なのか?」と心配そうに声を掛けられる。確かに最近の報道を見ていると太陽光発電に逆風が吹いているように思えるし、実際、世間を見渡すと問題ある事案が発生しているのも事実のようだ。

 「太陽光発電の買い取り価格の見直しをし、大幅な価格引き下げを実施」といった記事もよく見かけるから「藤本は破産したんじゃないか……」と心配してくれているわけだ。

 まあ売電単価は2012年度の40円から、2013年度には36円、2014年度には32円と下がり、2015年度は29円、さらに7月からは27円と急落してはいる。それをマスコミが騒ぎ立てているわけだが、それは2013年度にこの制度が始まったときからみんな分かっていたこと。

 たとえば36円で発電開始できれば、36円が20年間、32円なら32円が20年間売電できるというのが、国の法律で決められた制度であり、そこを変えるという話は出ていない。そのため、筆者としても現在のところ、問題には出くわすものの致命的な事態には陥っていないし、いまのところ大きな心配はしていないのだ。

 では、何が社会的に問題になっているのかというと、40円とか36円の権利を取得したのに、すぐに発電所を作らずに、権利を転売して儲けようとしている輩がいるので、これがよろしくない。そして、国によって発行された権利の8割程度が、転売目的のようで、いまだ発電所が設置されていないため、権利を失効しようというのが、最近の話なのだ。

 そのため、実際に発電を開始した筆者にとって直接関係のある話ではないのだが、まったく無縁というわけでもない。いろいろと気になることもいっぱいではあるが、まずは実際に発電を開始してみて、本当に売電ができているのか、収支がどうなっているのか、そして儲かるビジネスといえるのかをユーザーの視点で見ていきたいと思う。

収支予測はしたものの……

 詳細は前回の記事に書いているので省くが、今回、富士山麓で稼働を開始したのは1,111万円を払って入手した52kWの発電所。具体的な値段の内訳は
・太陽光発電設備 1,700万円
・土地 500万円
・不動産手数料 22万円

の計2,222万円となっており、この発電所1基を昔の同僚である友人Aと折半で購入したのだ。友人Aはこれとは別に隣にもう1つ購入しているから、トータル1.5基、筆者が0.5基ということになる。

 ただ東京電力との契約上は筆者もAも1基ずつとなっているので、売電収入はそれぞれ1基分が振り込まれるので、筆者から友人Aへは経費を差し引いた収益の半分を振り込むという契約だ。長い付き合いの友人ではあるが、ここで金銭的なトラブルが生じるとマズイし、20年間の長い売電事業なので、その期間中にお互いにもしものことがないとも限らない。

 そんな場合は家族に引き継ぐことになると思うので、そうしたことも考慮した契約書を作成し、交わしておいた。もっとも、そうしたアイディアは友人Aによるもの。不動産に強いだけあって、こうした契約書も簡単に作ってくれるので心強い。

友人Aとの契約書
収支予測の表

 この発電所の購入前に収支予測としてもらっていた表が上のものだ。本来「52kW」と表記すべきところが「52KW/h」と書かれているなど、不安に思う要素もいろいろあったが、悪意があるわけではなさそうだし、発電量、売電収入の目安としては参考になりそうだ。

「20度南向き」でシミュレーションしているけれど、実際には30度だった

 ただし、後からいろいろ調べて分かったのは、この収支予測も、そもそもあまり正確なデータになってない、ということ。まず間違いとして見つけたのは「20度南向き」でシミュレーションしているけれど、実際には30度であったこと。連系の日に立ち会ってくれた設置業者である電気屋さんに話を聞いたところ、たまに大雪が降ることがあるので、雪が滑り落ちやすいように角度をつけたというのだ。

 また、このシミュレーションの元になる日照量は河口湖付近でのもののようだが、同じ富士河口湖町でも、富士山との位置関係によってこのエリアはだいぶ気候、天気が異なるようなのだ。とくに顕著なのが朝で、朝霧高原の近くだけあって、朝は霧が出て日照量も少なくないのだとか……。

 何か不安になる話ばかり出てきて、ちょっと心配になってしまうが、もう発電所を買ってしまったのだから、あとは見守っていくしかない。

検針結果が届いた!

 問題は、いつその結果が分かるのか、ということ。本来はすぐにエコめがねなどのモニターシステムを設置したかったのだが、諸々の事情からすぐに設置することができなかったため、当面は東京電力からの検針結果を待つのみである。設置翌日からは天気を気にしつつ、遠く離れた横浜の自宅で無事な発電を祈っているしかないという状況なのだ。

 居ても立ってもいられないので、翌日、管轄する東京電力の営業所である大月支社に電話をしてみた。いつが検針日で、いつ入金があるのかを聞いてみたのだ。名前や住所とともに、系統連系日や契約番号などを伝えた結果「そこだと、毎月10日前後での検針となる予定です。また、購入電力金額のお振込みは、その月の月末ですから6月30日には振り込まれるます」とすぐに回答がもらえた。

 また念のため、検針結果がどう届くのかを訪ねたところ、横浜まで郵送してくれるとのことで一安心。九州電力の場合、検針結果は発電所に設置したポストに入れられるため、結果を入手するにはポストに取りにいくか、現地の人に送ってもらうしかない、という話を聞いていたので、ちょっと不安に思っていたが、東京電力は親切なシステムになっているようだ。

 その後も、不安な日々を過ごしつつ、検針結果の連絡を待っていたわけだが、6月12日になり、念願の通知が東京電力から届いた。が開いてみると「電気ご使用量のお知らせ」とあり、請求予定金額1,832円とあるだけに見えた。

 そう、この発電所は電気を売ることが中心ではあるが、夜間もパワコンなどで微妙な電気を使うため、その分の電気を購入する必要があるのだ。その時は「肝心の売電料金が分からない!」ともがきつつ、待っていたら翌日には再度、東京電力からの封書が届いた。

 今度こそ、と思って開いてみると、こちらは、1,832円の使用料の振込用紙であって、売電に関する情報が何もない。それから数日待っても何も届かない状況だったのだ。

検針結果。購入電力量は右下に記されている

 そうした中、友人Aと情報交換のため、ランチミーティングをしたのだが、そのときに持ち寄った先ほどの「電気ご使用量のお知らせ」を再度見直したところ、右下に「購入電力量のお知らせ」なるものがあったことに、ようやく気付いたのだ。だいぶ間抜けな話ではあるが、一番求めていたものは6月12日にしっかり届いていたわけだ。改めて確認してみると
・期間 5月19日〜6月9日
・購入電力量 4,439kWh
・購入予定金額 172,588円

となっている。

 丸1カ月分ではなく22日分で172,588円の売電金額だから、1日当たりで計算すれば7,845円。それを365倍して、1年分に換算すると286万3,391円となり、先ほどのシミュレーション結果である1年目の226万4,255円を大幅に上回る結果だ。

 もっとも、そう単純な計算ができないことは、10年間自宅で太陽光発電をしてきた筆者が一番よく知っている。5月から6月上旬というのは、夏至に近い時期であり、かつ梅雨入り前で天気もいいので、発電量が非常に多いのだ。

 とはいえ、まずは順調に発電していることが確認できた。また友人Aの結果を見せてもらったところ、購入電力量、購入予定金額ともほぼ同じなので、お互い故障の心配などはなさそうだ。

 その後、6月30日には無事172,588円の入金を確認。もちろん、筆者の取り分は半分の86,294円ではあるけれど、これが1,111万円投資した結果の最初の収益というわけだ。投資分を回収するまでには、だいぶ長い道のりにはなるけれど、まずはその第一歩を踏み出せたということで、一安心したところである。

自宅のモニターシステムを使って富士山麓の発電量をシミュレーション

 ところで、モニターシステムを設置するまでの間に自分でできる範囲でのシミュレーションを行なってみた。その手法は自宅の発電量を元にして、富士山麓での発電量を割り出そうというものだ。横浜の自宅の屋根に太陽光発電のパネルを設置したのが2004年と10年以上前になるが、今でも元気に発電している。

 古いシステムであるだけに、最新の家庭用ソーラーシステムのモニターと違い、表示できるは現在の発電電力と、その日の発電量、それに総発電量だけ。そのため、ソーラーマニアの筆者としては、原始的な手法ではあるけれど、日々の発電量をチェックしては、毎日夜にノートに付けているのだ。

 2年前にクラウドを利用する自動モニタリングシステムであるエコめがねを設置したので、それに任せてもいいのだが、やはり誤差があって気になるため、10年間、日課として続けてきたノートのへの記録は今も行なっている。

自宅の太陽光発電のモニター
発電量をチェックしてノートに記録している
クラウドを利用する自動モニタリングシステム「エコめがね」

 そこで、このノートを元にして自宅での5月19日〜6月9日の22日間で発電した電力量を調べてみると、283kWhとなっていた。天気、気候は異なるものの、そこを無視して考えれば、4,439÷283=15.7倍の発電をしてくれるシステムとみなすことができる。

 ちなみに、ウチの屋根に乗っているのは3.6kWだから、実際の規模としては52kW÷3.6kW=14.4倍。経年劣化や屋根の角度や向きなどを考慮すれば、妥当な数字のように思える。

 一方、6月は梅雨入りしたこともあって、天候も悪く、ウチの発電も芳しくない。6月10日〜7月9日を集計してみた結果、247kWhと前月を大幅に下回ったのだ。

 そこで、この数字を利用して、次の検針結果がどうなるかを予想してみたのだ。単純に247kWh×15.7=3,878kWh、金額は36円/kWhで税込みにすると38.88円/kWhなので、これで計算すれば3,868×38.88=150,387円。そんな数値を友人Aにも伝えていたところ、7月12日になって2回目の検針結果が届いた。予想は思いのほか、ほぼピッタリ。
・期間 6月10日〜7月8日
・購入電力量 3,784kWh
・購入予定金額 147,121円

という結果となった。

 友人Aの結果もほぼ同等のものだったのとともに、筆者の予想の正確さにちょっと驚いていたようだった。「前回は22日分だったのが30日分になるから、確実に増えるだろうと期待していたところ、金額が減ってしまったのにはガッカリだったけれど、このシミュレーションを教えてもらわなかったら、故障ではないか……と不安に思うところだった」と喜んでくれたのはよかった。

 その後、8月、9月の検針結果も届いているので、それをまとめたのがこの表だ。

6月 7月 8月 9月 10月
発電量[kWh] 4,439 3,784 6,173 3.568 - 17,964
売電金額(税込み)[円] 172,588 147,121 240,006 138,723 - 698,438

例年なら横浜でもかなりの発電量になる8月だが、今年は天候不順により、過去11年の中で最低の数値となっていたが、9月10日の検針結果を見ると富士山麓でも同様だったようだ。このままいくと、1年目の発電量は購入前にもらったシミュレーションを下回りそうな気もしてきたが、まあそんなものなのかもしれない。

 次回は、意外と重要になるメンテナンスをどうするのか、ということについての実情をレポートしていく予定だ。

(藤本 健)